赤嶺政賢の発言 (憲法審査会)

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○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 安倍首相は五月三日、改憲派の集会へのビデオメッセージで、二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にしたい、憲法九条に自衛隊を明文で書き込むなどと表明しました。まず指摘しておきたいのは、こうした安倍首相の発言自体の問題です。
 憲法九十六条は、改正の発議権は国権の最高機関である国会にあると明記しています。だから、安倍首相もこれまで、改憲の具体的な案については憲法審査会において議論すべきであるというのは私の不動の姿勢と発言してきました。
 しかし、今回、安倍首相は、勝手に期限を区切って改正の具体的な中身に言及し、憲法改正議論の方向を指示しました。憲法尊重擁護義務を負う政府の長が国会の権限に介入したものであり、三権分立に反するものであります。到底容認できません。
 しかも、首相は、九日の参議院予算委員会で、憲法審査会について、相当議論が煮詰まってきた、最終的にいよいよ案を出すところに来ているとまで発言しました。
 こうした首相の改憲発言が十一日の憲法審査会の幹事会で大問題となりました。自民党は党内に向けた発言だと言い張りましたが、一連の発言が首相として全国民に向けたものであることは明らかであり、結局、会長所感と自民党冒頭発言として、与野党で丁寧な議論を行い、首相発言に縛られるものではないと表明することになったのであります。
 ところが、翌日、首相はさらに改憲原案づくりを指示し、起草委員会を党内に設置、自民、公明、維新の三党だけで発議することまで報じられています。十六日には、内閣が憲法改正の原案を提出できるという答弁書を閣議決定しました。言語道断であります。
 こうしたもとで、自民党憲法改正推進本部長の保岡議員は、党総裁から方向性が示された、できるだけ早く具体案を考えると述べ、総理は慎重であるべきだと先週の幹事懇で発言した船田議員も、これまでを反省し、加速化に転じました。
 今や、自民党が憲法改正の加速化へと大きくかじを切り、審査会での議論はまさに憲法改正案の発議に向けたものになろうとしています。
 昨年十一月十七日、一年半ぶりの審査会の再開に当たり、森会長は、「憲法改正の必要性の有無とその内容について熟議を重ねる」と述べ、自民党を代表して発言した中谷議員は、改正ありきの改正項目の絞り込みではないと述べてきましたが、今、全く違う方向に行っているのではありませんか。
 我が党は、何度もこの場で主張してきたように、国民の多数は改憲を求めておらず、改憲案の発議に向かう審査会を動かすべきではないということを改めて指摘したいと思います。
 次に、総理の改憲案の中身の問題です。
 第一に、安倍首相は、今回、九条一項、二項を残しつつ自衛隊を明文に書き込む、これは国民的な議論に値するのだろうと提起しました。しかし、首相は、昨年二月の予算委員会で、稲田議員の質問に答えて、九条二項を改正し国防軍を明記する自民党の憲法改正草案を、自民党総裁として同じ考え方だと述べています。今回の発言は、結局、自民党草案が国民的な議論に値しないと認めたものであり、自民党結党以来掲げてきた九条改正は国民の理解を得られなかったということになるのであります。憲法九条の改正自体、諦めるべきであります。
 第二に、政府解釈の問題です。
 歴代政府は、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは九条で禁止されていないとして、自衛隊を合憲と解釈してきました。自衛隊を書き込む必要があるというのは、結局、これまでの政府見解は誤りであったということではありませんか。
 二年前の安保法制は、従来の政府解釈でも憲法を変えない限り認められないとしてきた集団的自衛権の行使を容認しました。憲法学者の九割が違憲だと言い、多くの国民が反対したように、安保法制も違憲の法律だということになります。
 第三に、九条に自衛隊を書き込むということは、単なる自衛隊の現状追認にとどまりません。こうした主張をする改憲論者は、自衛隊を明記した第三項を加えて二項を空文化させるべきであると公言しています。九条はそのままでというのは全くの欺瞞です。
 そもそも九条は、日本国憲法の核心であります。日本国憲法は、侵略戦争の反省のもと、軍国主義を全面的に排除し、国民主権と民主主義を掲げる平和国家として国際社会に復帰するための出発点であり、アジアと国際社会に対し、二度と戦争をしないということを約束したのが九条です。九条に手を加えることは日本国憲法を根底から覆すことにほかなりません。
 この七十年、戦力不保持を定めた憲法九条に反して、米国の再軍備要求で自衛隊が創設され、歴代自民党政権は、米国の求めに応じて解釈拡大を重ね、海外派兵へと道を開き、憲法と矛盾する自衛隊の現状をつくり上げてきました。それでも憲法九条は自衛隊の活動を制約し、政府を縛っているのであります。
 今、国民が求めているのは、憲法改正ではなく、立憲主義の回復であります。憲法の原点に立ち返り、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重といった諸原則に合わせて現実政治を変えていくことこそ求められており、それと逆行する改憲議論など断じて認められません。
 最後に、沖縄について述べます。
 沖縄は、今月十五日で、平和憲法のもとに帰ると復帰して四十五年たちました。しかし、今なお沖縄では憲法の上に安保が置かれています。政府は、米軍基地のために、法律の恣意的な運用を重ねて、地方のあらゆる権限をじゅうりんし、地方自治も民主主義も踏みにじっています。こうした沖縄の現状に対して、先日、参考人四人全員が、国策によって民意が一顧だにされない現状への批判を示したことは極めて重要であり、歴代自民党、安倍政権の責任が問われています。
 九条とともに、日本国憲法で初めて位置づけられた地方自治は、憲法の基本原則を地方政治においても貫くことを求めていることを指摘しておきたいと思います。

発言情報

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発言者: 赤嶺政賢

speaker_id: 6967

日付: 2017-05-18

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会