山尾志桜里の発言 (憲法審査会)

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○山尾委員 民進党の山尾志桜里です。
 時代の変化にかかわらず、憲法第一章に規定された天皇制という制度の根幹を守るためにいかなる制度の変更が必要とされるのか、再考する大変重要なタイミングで発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 この点、冒頭に三つの論点を提示いたします。
 一つ目は、現憲法における象徴行為の意義です。
 天皇を人間と位置づけた現憲法のもと、天皇陛下が国事行為と並んで象徴行為を大切になさり、現に国民統合の象徴として国民の敬愛を受けていることから、象徴行為の意義の重要性を共有すべきときです。
 この点、このたび正副議長による議論の取りまとめにおいて、今上天皇の象徴としての行為は国民の幅広い共感を受けているとされ、特例法においても同旨の記載がなされたことは、この意義の共有に大変資するものだというふうに思います。
 二つ目は、高齢化社会における譲位のあり方です。
 日本社会全体で高齢化が進む中、時の天皇陛下が象徴行為を含めて御活動を十全になさるために、生前退位による譲位が制度として必要とされています。
 この点、いわゆる生前退位の制度的担保については、このたび確かに特例法という形式がとられました。しかし、取りまとめにおいても、また法の審議における政府答弁においても、先例となり得ることが確認されました。今後、先例となり得る制度が先例となっていくような場合には、さらに皇室典範本則に一般的要件を書き込む形での恒久的制度化も国民的議論となっていくのではないかと考えます。
 三つ目は、皇族減少という現状に鑑みた皇位継承、皇室の御活動維持のあり方です。
 女性宮家が認められず、皇位継承が男系男子に限られている現行制度がこれを不安定にしており、こうした制度の見直しが必要とされています。この問題の解決策として、女系・女性天皇、女性宮家の議論を速やかに開始すべきであり、退位の後に先送りすべきではないということを幾つかの論拠で申し上げたいと思います。
 これまで皇位は男系で継承されてきたという歴史的経緯と今後も男系に限るべきだという価値判断は、少なくとも論理必然の関係には立っておりません。そして、今後も男系に限るべきかどうかについては、歴史的経緯のほかに正当性の根拠があるのか、すなわち、昔からそうなってきたからそうなのであるという以外に根拠があるのか、深く考える時期に来ていると思います。
 このことについて、皇室典範制定時の帝国議会において、金森徳次郎大臣はこのように述べています。男系によるということがなぜに正しきや否やということの議論は、相当に難しいことであると存じまするし、今後とも深き研究を要するものと思いまする。この答弁は昭和二十一年十二月五日であります。
 しかし、七十年の時を経過した今も、その正当性の根拠として、歴史的経緯の尊重ということのほかに真に合理的な根拠は聞こえてこないように感じます。
 しかし、時の経過は当然のことながら皇室の構成を変え、現代において男系継承を維持することは、すなわち皇位継承を不安定にすることに直結しております。
 天皇そして皇室が歴史的な存在である以上、男系継承という歴史的経緯の尊重は、私は正当性を持つと思います。しかし一方で、この過去を尊重するが余り、将来に向けた皇位継承が不安定になるのであれば、それは考え直されてしかるべきではないかと考えます。
 この点、今回成立した皇室典範特例法に対する附帯決議では、こういった課題について、本法施行後速やかに政府が検討を行い、国会に報告することとされました。この法律二条は、施行日を退位日と定めておるので、機械的に当てはめると、施行後速やかにとは、退位された後速やかにと解されることとなります。
 しかし一方で、次のような事情があります。
 取りまとめの時点においては、施行日が退位日であるという前提はとられていなかったこと。むしろ、今回成立が予定されている特例法においては、公布日から施行される条文、退位の日から施行される条文、退位の翌日から施行される条文の三種類があり、そうだとすると、公布日を施行日として定めた上、それ以外の条文についてはその旨別に定めるという立法形式が採用されても全く不自然ではなかったこと。しかし、取りまとめの後、内閣が法律案の立案に着手して示された骨子においては、施行日を退位日とする立法形式が採用されたこと。
 立案検討の際には、施行日が皇位継承等の議論が開始される時期を画するという要素は、およそ考慮されていなかったと思われること。
 また、全体会議の中では、こういった課題についての検討時期をいつにすべきかという論点は提示されていたものの、退位されるまでは退位に万全を期すべきで、検討はその後であるというような主張は全くされていなかったこと。
 こうした事情を総合的に考慮するならば、取りまとめの後に、たまたま施行日が退位日とされたという事実を機械的に当てはめ、議論の開始を退位の後に先送ることは、取りまとめに至る全体会議の議論の趣旨にそぐわない上、適切とも思えません。
 また、女性宮家が認められるのか否か、男系男子の限定が変わるのか否かによって人生が変わる女性皇族方がいらっしゃること、男系男子の限定は男子のお世継ぎ誕生への期待を不可避的に伴わざるを得ないこと、こういったことを今私たちはもう一度深刻に受けとめるべきだと思います。
 最後に、政府は、したがって、速やかに議論を開始すべきでありますし、何よりも、国民統合の象徴たる天皇とそして国民とをつなぐのは、私たち国会議員、立法府でありますので、この国会において速やかに議論を開始することが憲法の精神に沿うものであると申し上げて、私からの意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 山尾志桜里

speaker_id: 12435

日付: 2017-06-08

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会