黒川清の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○黒川参考人 ありがとうございました。三原委員長のもとでこのようなアドバイザリー・ボードを設けていただいたことに感謝します。
私どもは、国会事故調という立法府の法律によって行われた委員会でしたけれども、これは日本の憲政史上初ということで、世界では普通、民主主義が比較的マチュアなところは当たり前なんですね。御存じのように、イギリスでは、大体こういうことが四つか五つぐらい、ずっと続いています。例えば、ブレア首相がどうしてイラク戦争へ行ったのかというのは多分八年ぐらい続いて、膨大な報告書が出てきましたけれども、そういうことをやはりやっているのが、三権分立の、民主主義が初めて機能しているという証拠になったのがこの委員会だと思います。
この委員会は、もちろん公開でやりましたし、英語の同通も入れていますし、今の時代ですからオンラインで誰でも見られますし、その後の記者会見も全部見えていますので、どの記者がどんな質問をしたかということも記録に全部残っています。それも英語の同通を入れているというのが私たちの信条だったわけですが、七つの提言をしています。
この報告書は世界で英語でも出ていますので、関係者には非常によく読まれておりまして、時々、例えばヘッド・オブ・ステートとか、いろいろな人が来たときに、あの報告書はすばらしいんだけれども、七つ提言しているよね、七つで何か起こりましたかと結構聞かれちゃうんですね。そういう話が関係者でもみんな知られていますので、この提言の七つのうち、一だけが、これが三回目です。
最初は、森先生が委員長でやりまして、このときは、私ども九人の委員が呼ばれて、ここで話を、いろいろな質疑応答をしたというのが、三時間ぐらいしましたが、二度目は、吉野先生になられまして、結局何も開催されなかった。これが初めて、三回目で、二回目ですけれども、アドバイザリー・ボードというのもちゃんと入った初めてのことで、これはすごく私どもは評価できるなと思っています。七年たってようやっと提言の七つのうちの一の初めてが形としてもできて、三原先生たちとも御相談したんですけれども、私、このような七人のメンバーにさせていただいたのは、今のような、行政府とかいろいろな、原子力だけじゃない方の意見も聞いていただきたいと思ったからであります。
ですから、今回、そういうところからいうと、福島の事故は非常に世界共通の大きな問題ですし、四百基以上あるような原子力の安全性については、ぜひ、起こった事故のこれからの処理も含めて、業界の人たちがみんなどんどん公開して、一緒にやってもらいたいということを随分言っていますけれども、そういう雰囲気が、皆さん、あると思っているでしょうかという話が一番の懸念です。
つまり、これを世界のエキスパートとかなり透明性を持って公開することによって、水もそうですけれども、そういう提言が、それを日本の政府がそのもとで今度は執行していけば、明らかに、この事故から関係者みんなで学ぼうよ、それを国民とシェアしようよという気持ちが出てくるわけで、これはまさに立法府の責任ではないかと思っております。
そういう意味では、今、アメリカの三権分立の歴史を話していただきましたけれども、こういうことも非常に参考になると思いまして、私どもは、国会事故調のときに、国会図書館の方も三人ついておりましたので、いろいろなことで助けていただきました。見てみると、彼らは物すごく優秀ですね。こういうことを頼みたいんだけれどもと言うと、そんなこと簡単ですよと言ってどんどんやってくれるんですが、最後の方はほとんど徹夜で三人がずっと手伝ってくれましたけれども。
このようなプロセスは可能だと思うので、やはり行政府を常日ごろから評価していて、今益田さんが言ったようなことが起こるようになっているプロセスですが、ぜひこれをやっていただきたいし、こういうところにこそ非常に意思の高い国家公務員をふやすのは非常に大事じゃないかと私は思っております。
さらに、このような委員会は、先ほど言ったバックエンドの問題にしても皆そうですけれども、私どものやったような独立した調査委員会というか、それを時に応じてどんどんつくっていただくのは非常に大事なプロセスではないかということを皆さんにぜひ共有していただければ、だんだんだんだんそういう動きが国会議員の先生方の中、つまり国権の最高機関ですから、その方たちに、何が問題で何がどうなのかなという話を、だんだん意識が広がっていけば、必ずこのようなGAOのようなものができ、また、私どものような、課題によっては、皆さんもいろいろな意見はあるかもしれませんけれども、明らかに独立した、専門家を入れたような調査委員会の報告書を出される。
アメリカの場合は大体年間に百ぐらいそれをやっていますけれども、ナショナル・リサーチ・カウンシルが大体チェックするようになっていますが、これはアメリカのアカデミーの成り立ちそのものが、リンカーン大統領が、アカデミーは大事である、それは国の機関ではないというふうにして、さらに、そのかわり国の政策にいろいろアドバイスを下さいねということで一八六三年につくっているので、いろいろな政策でも必ずそこに問い合わせをするという形になって、ナショナルアカデミーというか、ナショナル・リサーチ・カウンシルは、基本的には全ての経過をオープンにして、公開してやっているので、それをするかどうかはまた議会が判断することですけれども、非常に国民からも信頼されるインスティテューションになってきたという歴史があります。
そういう意味では、先生方は政治家ですから、政府の方に行くとかいろいろなことがあるにしても、多分この委員会そのものはこの二回で終わりなのかな、またメンバーがかわられるのではないかと思いますが、私個人としては、ぜひ先生方に、このアドバイザリー・ボードはしばらく続けていただけるようなことができれば、次に引き継ぎしたときにまた、こういう私どもの見解、あるいは専門家、鈴木先生と橘川先生もおられますけれども、先生との、こういう認識をぜひ広げていって、こういう形の日本の国のガバナンスができてくるといいなと切望しているというのが、私の委員長としての本当に国民に対する気持ちだと。先生方の見識と、このような提言の一のやり方、書いてあるとおりなことをやっていただいて、私は、委員全体とそれから国会事故調に関係した皆さんを代表して本当に感謝しております。
このプロセスがぜひ続けられ、また広がって、国の統治のメカニズムということについての先生方の判断材料をいろいろと提供できるというシステムができると、今言ったような、世界から見た日本の民主主義というのがどう動いているかという話を認めていただくと、だんだん国民からの、ああ、そうか、選挙ってこういうものなんだという意識も変わってくるだろうと思っておりますので、本当に、先生方の見識とこのような機会をつくっていただいたことを、私は国会事故調の委員長として、いろいろなところから問い合わせがありますけれども、一歩進んだよと、それについてはやはりかなり理解を、その機会を使って、また先生方との、この委員会の意味とそれから国会事故調の意味が少しずつ広がっていくことが日本に大事かなと思っております。
本当に心から感謝しております。ありがとうございます。