天野妙の発言 (厚生労働委員会)

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○天野参考人 初めまして。私、希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会の代表を務めております天野妙と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、八時四十分までにこちらに入室をするということで、きょう、私、ゼロ歳の子を連れて国会まで参りました。しかし、議場に小学生未満の子は入れないということでございまして、ここでも子連れに厳しいのかなと大変残念に思っております。今、友人に抱っこをして廊下で待機してもらっていますので、もし泣き声が聞こえましたら、ちょっとにこやかにしていただけたらなというふうに思っております。
 ちなみに、欧州会議では、議員の方が子連れで議会に出席できるような仕組みにもうなっているということで、ぜひ日本でもそのように進めていただけたらなというふうに期待をしております。
 さて、まず、私の自己紹介を簡単にさせていただければと思います。皆さん、私が何者か、御存じないと思いますので。
 こちらのプリントをごらんいただければと思います。ごらんいただきましたとおり、私、子供が三人おりまして、三世代同居。女の子の働く母ということで、自称ですけれども、安倍政権推奨モデルというふうに称しております。
 配付資料の表紙の家族写真ですけれども、この八歳の女の子が、保活を八年前に私がいたしまして、不承諾通知を受け取りました。そこから八年たって、また改めて保活をこのたびしたんですけれども、当時より大変な状況に今現在なっておるという次第です。
 そういったこともありまして、昨年、市内の保護者たちで保育園増設を訴えまして、やっとのことで計画が六月にできたんですけれども、近隣住民の反対等によりまして事業者が撤退するという事態になりまして、結局、いろいろな活動をしたんですが、保育園がふえなかったという結果になりました。一市民の無力感を味わったわけであります。
 昨年、保育園落ちた日本死ねというブログによりまして、問題が顕在化されたことは記憶に新しいかと思いますけれども、その後、課題解決にはまだ至っていないのかなというところになりまして、国にぜひ働きかけをしていこうではないかということになりました。次のページをごらんいただきまして、SNSで、保育園問題を可視化させるために、当事者の意見を取りまとめをしております。そういった団体でございます。
 つい先日も、国会の中で、議員会館の中で、待機児童問題の解決に向けた建設的な話し合いの場ということで、約百五十人の方々がお集まりいただきまして、老若男女かかわらず、保育園問題が大きな社会問題ということでディスカッションをした次第でございます。
 保育園の問題は、なかなか、野党のテーマというふうに言われることが多くて、ぜひ、与党の皆様の、政権の政策の本丸に入れていただければなと思いますので、私どもも、ぜひ皆様方と対話をさせていただき、直接対話させていただけたらと思いますので、ぜひ、後ほどお声をかけていただけたらというふうに思っております。
 さて、本題に入る前にでございますが、育休二年についてきょうお話しさせていただくんですけれども、育休二年延長よりも、とにかく保育園をふやしてくれということで、それが大前提という上でお話を進めたいと思います。
 結論を先に申し上げますと、条件つきで育休二年に賛成をする立場で御説明をしたいと思います。民進党の参考人なのに、おまえ賛成かと柚木議員に怒られてしまうかもしれませんけれども。
 五ページ目をめくっていただきまして、施行によるメリットとデメリット、当事者の立場から御説明したいと思います。
 三点ございます。
 一つは、失業の緩和です。今、一年が原則ですけれども、半年延ばすことが可能です。またそれを半年延ばそう、そういうお話でございますが、半年失業が緩和されるであろうということです。
 あとはまた、四月入園というものが主になりますので、打席数がふえるというメリットが二点目に挙げられます。
 そうすると、ゼロ歳児が減りますので、その分、一歳児に保育士が移行することができますので、保育士が一対三から一対六になりますから、三人多く受け入れることが可能になってくるというところになります。
 そして、デメリットになりますけれども、これは残念ながら大きく六点ございます。
 一つ目は、何度もお話があるかと思いますが、待機児童数のブラックボックス化ということがデメリットとして挙げられます。今、待機児童数、自治体ごとにカウントがばらばらでございますので、自分が待機児童だよということを育休でカウントしてもらえないということになりますと、行政の計画の中に入っていかないということがリスクとしてあります。
 二点目ですけれども、単純に育休二年に延長しますと、一年半とっていた女性側が恐らくまた半年延長することになるということになりますので、家族や社会の中でも性別的役割分担意識が根強く残るということが予測されます。
 また、三点目につきましては、女性の活躍推進に反するものではないかということが言えるかと思います。私自身、第一子出産のときに一年三カ月ほど産休でお休みしましたけれども、会社のシステムも変わっておりまして、戻ってみると浦島太郎状態でした。人脈や仕事勘を取り戻すのに、休んだ期間と同じだけかかるんですね。ですので、やはり、女性が休むということは、女性を活躍からより遠ざけることになるのではないかなということが危惧としてあります。
 また、四点目ですけれども、この制度を遵守してくれるのは大企業だけになってしまうという可能性が非常に高いです。特権階級の人のための制度にならないのかなということになります。
 また、五点目ですが、この制度、マタニティーハラスメントの被害増加の懸念があります。
 資料六ページにありますとおり、マタハラネットの調査によりますと、育休、産休を取得する社員が出ると、その社員の業務は周囲の社員が負うことになる労働環境だと七割の企業が答えています。つまり、その仕事が、残された人にしわ寄せが行くという構造になっておりますので、よりマタハラが横行する可能性が高まるということです。
 そして、六点目ですけれども、ページをめくりまして七ページ目ですけれども、マミートラックに陥りやすいのではないかということが言えます。
 マミートラック、いわゆる出世しないお母さんのためのキャリアコースというものでございますが、労働政策研究・研修機構の調査によりますと、育児休業が長期化、つまり十三カ月以上になりますと、人的資本量の顕著な下落が生じ、マミートラックに陥りやすいということが研究の結果としてわかっているということであります。
 また、女性活躍推進法の影響で、女性管理職数をふやそうという動きがあります。マミートラックに入って責任のある仕事を任されていないにもかかわらず、女性管理職をふやそうと、そこからピックアップをしまして管理職コースに乗せるんですが、その結果、経験が少ないですから、余り結果が出せない、成果が出せないということになりまして、やはり女はだめだねというふうに企業で扱われるといった負のスパイラルが発生しているというのも聞き及んでおります。
 そもそも、本件の本質的な課題は、日本の人口減少社会、つまり少子化にあります。よって、次は、少子化の視点から考えたいと思います。
 少子化の主な、大きな原因の一つは、保育園不足。口を酸っぱくして申し上げて恐縮ですけれども、この保育園不足を解消せずに育休二年に手をかけるということになりますと、厚生労働省の人的リソースが本件に割かれてしまって、本末転倒にならないかなという危惧がございます。
 そして、二点目ですけれども、資料八にありますとおりに、男性の育児参加というのが必要なのではないかなというふうに思われます。第二子の出生率が上がり、妻の継続就業率が高くなる、育児参加をされるとそのような成果があるということが証明されていますけれども、男性育児休業取得、今二・六五%と大変低い状況であります。
 男性たちに、育休を取得したかったができなかった、できないと思う理由の第一位は何かと聞くと、一位は代替要員がいない、二位は経済的負担、三位は上司に理解がないというふうにありました。
 男性が育児休業を取得するためには、資料にありますとおり、三つの壁があるというふうに言われています。
 一つ目は、本人の無意識の壁というところで、育休すら、男がとるものではないというふうに思っているところです。
 そして二点目は、職場の雰囲気の壁。一応クリアしても、周りが、何でおまえが休むの、奥さん何しているのという話になるわけであります。資料八にありますとおり、男性の子育てに対して最も理解があると感じるのは誰かという質問に対し、職場には誰もいないというのが圧倒的一位という状況です。
 そして三点目は、収入の壁です。先ほど申し上げたとおり、経済的負担が第二位に入っています。有休が余っているのに、収入が目減りする育休を取得する理由がないということで、有給休暇を利用した隠れ育休が多く存在しているのも事実と言えます。
 よって、少子化を改善するには、保育園の供給増加と男性の育休取得が近道でございまして、この三つの壁を段階的に取り払うことで貢献できると考えられます。
 そして、ページをめくりまして、次に、海外の事例から検証したいと思います。
 オーストリアでは、一九九〇年に、七月生まれから育休二年という制度に変わりました。この結果、復職率が一〇%悪化し、出生率が五%改善しているという結果が出ているそうです。
 続きまして、韓国の事例でございますけれども、韓国は非常におもしろくて、日本と同様に少子化の国でございますけれども、男女ともに一年ずつとることができて、一人目がとった後、二人目、つまり、妻が一年を取得した後、夫が育休をとると、最初の三カ月については給付金が一〇〇%支給されるようにしたわけであります。そうしますと、お得、男性が育休をとるとお得という設計になっているわけですね。そうしました結果、前年同期比で五三・二%育休取得率が上がったという結果になっております。
 日本で子供がふえない理由というのは、誤解を恐れずに申し上げますと、子供を産むと損をする社会になってしまっていると言えるのかと思います。私も三児の母ですけれども、周囲から、尊敬するとか、偉いね、よくやるねというふうに、信じられないといったような言葉をかけられます。つまり、親たちは、子供を産み育てることがお得というふうには思っていないというのが現状だと思います。少子化を抑制するためには、産んだ方がお得だねという社会にならなければならないわけです。
 長く休むと会社で隅に追いやられることを女性たちは知っていますし、男性が育児参加しない現状で数多く子供を産むと、より自分に負荷がかかるということを女性たちは知っています。女性にたくさん働いてもらい、子供を多く産んでほしいということであれば、この待機児童対策プラス男性育休取得によるお得論というのを組み合わせていただく必要があるのかなというふうに思っております。
 それゆえに、私が提案させていただきたい、ぜひ参考にしていただきたいというものにつきましては三点ございまして、待機児童のカウントを統一化して、育児休業中もカウント数に入れるというのが一点目。そして二点目は、男性の育児休業、育休を促進させるために給付金を一〇〇%支給する。そして三点目が、育児休業は夫婦が同時に取得することができ、時期を分割して取得することができるというものです。
 二〇二〇年までに、男性の育休、今二・六五を一三%にするという目標がございます。あと四年でございますので、前年比一・五倍増というふうにいけば、達成の見込みができるということです。ぜひこのタイミングでお得プランというのを推奨していただきまして、ぜひ、男性の育児休業取得に拍車をかけて、少子化対策への礎を築いていただけたらというふうに願っております。
 以上であります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 天野妙

speaker_id: 13828

日付: 2017-03-14

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会