黒田東彦の発言 (財務金融委員会)

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○黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に、通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 日本銀行は、四月末の金融政策決定会合において、二〇一九年度までの経済、物価の見通しを展望レポートとして取りまとめました。これを踏まえ、まず、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
 我が国の景気は、緩やかな拡大に転じつつあります。企業部門では、輸出と生産が、グローバルな製造業や貿易面の改善などを背景に、増加基調にあります。そうしたもとで、企業収益は高水準で推移しており、企業の業況感は業種の広がりを伴いつつ改善しています。家計部門では、雇用・所得環境が着実な改善を続けています。失業率は二%台後半まで低下するなど、労働需給の引き締まりが続いているほか、今春の賃金改定交渉において四年連続となるベースアップが多くの企業で実現する見通しにあるなど、賃金も緩やかに増加しています。そうしたもとで、個人消費は底がたく推移しています。
 先行きの我が国経済は、海外経済の成長率が緩やかに高まるもとで、極めて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、二〇一八年度までの期間を中心に、景気の拡大が続き、潜在成長率を上回る成長を維持すると見られます。二〇一九年度は、設備投資の循環的な減速に加え、消費税率引き上げの影響もあって、成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれます。
 物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、このところゼロ%程度となっています。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、二%に向けて上昇率を高めていくと見ています。二%程度に達する時期は、見通し期間の中盤、すなわち二〇一八年度ころになる可能性が高いと予想しており、その後は、二%程度で安定的に推移していくものと見込んでいます。このように、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けていますので、引き続き注意深く点検していく必要があると考えています。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、昨年九月の金融政策決定会合において、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を導入しました。この枠組みのもとで、日本銀行は、経済、物価、金融情勢を踏まえ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促しています。四月末の金融政策決定会合では、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の維持を決定しました。我が国の長短金利の動向を見ますと、こうした金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑に形成されています。
 現在、世界経済が好転するもとで、我が国の景気の足取りもよりしっかりとしたものになってきています。しかしながら、二%の物価安定の目標までにはなお距離があり、これをできるだけ早期に実現するためには、現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが適切であると考えています。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 2017-05-10

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会