春名幹男の発言 (情報監視審査会)
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○春名参考人 特定秘密保護法の施行から二年半を経過いたしましたけれども、衆議院情報監視審査会の額賀会長を初めとしまして、議員の皆さんには、真剣な討議を続けてこられましたことに敬意を表したいと思います。本日は、お招きいただいて拙論をお話しさせていただくことをまことに光栄に思います。
私自身は、三谷さんとは全く逆の立場でして、秘密をどう報道するか、秘密開示をどのようにして求めるかという立場から取材をしてまいりました。ワシントンに合計七年いたものですから、特に、冷戦終結後、情報機関の無用論がワシントンの政界で出まして、逆に、インテリジェンス機関の方から、特にCIAなどは、みずからの過去の業績を公開するという動きに出まして、それでたびたびシンポジウムなども開きましたので、私自身、そういうものに参加して、それで取材を重ねて、情報公開を利用して、歴史的な事実の解明に努めるという形で報道してまいりました。
二〇〇〇年に出ました「秘密のファイル」という拙著でございますが、そういうものにそういった成果を公開させていただいたんですけれども、結局、私が考えておりますのは、シークレシーというのは、当然、個人機密、個人の機密もありますし、個人情報には公開できないものが多々あるわけですけれども、シークレシーということは当然近代国家として認めるべきだと思いますけれども、それとともに、もう一つのやはり大きい価値観というのはデモクラシーだと。つまり、シークレシーとデモクラシーのバランスというものが非常に重要であるというふうに思いますし、そういう観点からきょうはお話しさせていただけたらありがたいと思います。
政府の情報・公文書の保護、管理、公開につきましては、過去二十年間で法律の整備が進められてまいりまして、特に公開の分野で一定の前進はあったと思いますけれども、国民の期待に応えるためには、さらに改善の余地はあろうかというふうに感じております。
最近では、自衛隊の南スーダンPKOの日報問題、あるいは大阪の森友学園等も情報公開の問題でありまして、国民の不信感が高まっているのは非常に残念だと思います。やはり、公文書管理法の第一条にありますように、公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であるということは非常に重要な観点だと思います。公文書あるいはその中に記載されています情報の活用が民主主義的な手続で進められることを切に願いたいというふうに思います。
前半では、具体的にお話ししたいと思いますけれども、手続だとか運用の問題で、場合によってはすぐにでも解決可能かもしれないなと思うようなことを挙げさせていただいて、後半では、もう少し理念的な問題に触れたいというふうに思います。
先ほども三谷さんからありましたけれども、行政文書の不存在の問題というのがことし新聞にも少し出たんですけれども、私自身が、この記事を読んで、すぐには理解ができませんでした。つまり、この問題で、報告書の中にありますように、政府は一定の措置をとるとのことですけれども、時間的制約があっても、文書が作成される前から特定秘密に指定することは、どう考えても、普通の人間からすると、合理的ではないんじゃないかというふうに思います。この点について、適切な措置を期待したいと思います。
それから、指定管理簿のつづりをいただいたんですけれども、これにさまざまな文書が書いてあるんですが、幾つかの問題点に気づきましたので、この点について申し上げたいと思います。
この中で一番最初に出ているのが、省庁の名前の次に「指定をした年月日」、それから「指定に係る特定秘密の概要」というふうにあるんですが、これがまず非常にわかりにくいと思います。文書のタイトルではなくて、特定秘密に指定した理由が書かれている場合が多いと思います。「秘密の概要」であって、これをわかりやすい表現にしていただくことが非常に重要ではないかと思います。
それと、やはり、真っ黒な伏せ字になっている文書は、先生方も非常に困られると思いますけれども、審査不能だと思いますし、何らかの説明はできるのではないかと思われますし、その辺の努力をさらに求めたいと思います。
それから、先ほどの不存在の問題とかかわるかもしれないんですけれども、一括の掲載ですね。例えば、この一ページの国家安全保障会議のところでは二項目出ていますけれども、一括掲載になっているわけですね。これだと、やはり何月何日の文書なのかわかりませんし、全部で何ページになるのか不明でありますので、文書別に日付をつけていただいた方がいいのではないかというふうに思いました。
それから、省庁間で共有した文書は、オリジナルを提供した省庁名のみとして、共有を受けた省庁名は別枠で併記することで件数も減りますし、そういうことで掲載していただければわかりやすいのではないかというふうに思います。
それと、最後なんですけれども、衛星情報、暗号情報などの技術情報につきましては、三番目で国家安全保障会議のように一括掲載にしない方がいいと言ったんですけれども、技術情報につきましては、全くそれとは逆に、一括掲載として、共有省庁名も併記するだけでいいのではないかというふうに感じました。それによって、二十七万件という数字を大幅に減らすことが可能になるのではないかというふうに思います。
それでは、後半の、デモクラシーとシークレシーについて述べたいと思うんです。
近代国家は、秘密の保持を政府に委託することで成り立っています。しかし、その濫用は防がなければなりません。つまり、シークレシーは認めますが、秘密指定の継続は最小限とし、デモクラシーとのバランスに常に注意するということだと思います。その意味で、僣越ですが、皆さんの御任務は、デモクラシーとシークレシーのバランスを維持するゲートキーパーのようなものではないかというふうに思います。その点から、最後に三点申し上げたいと思います。
まず最初は、文書廃棄の問題です。
私も、いわゆる密約に関する有識者委員として、民主党政権の時代だったのですが、密約に関する文書を探って、どういうことだったかということを報告書を書いたんですけれども、そのときも文書廃棄が問題になりました。
文書廃棄はもっと慎重であってほしいというふうに思います。特定秘密は各省の省秘よりもレベルが高い文書だと思われますので、基本的に廃棄されるべきものとは考えられないというふうに感じております。まして、公文書管理法上の行政文書の保存期間前に廃棄されるようなことは避けるべきだというふうに思います。それと、やはり、歴史的に重要な情報が消えてなくなるようなことがあり得ますので、そういうことを防ぐためには、内閣府の独立公文書管理監は、廃棄前に、例えば現代史の専門家などの意見を求めるべきだというふうに思います。
それと、国家安全保障会議の関係文書ですね。これについて、報告書の百九ページから百十七ページまで、この審査会における非常に詰めた議論をされて、特にこの御議論、皆さん方の御議論を読んで、審査会の役割が非常に難しいことを改めて痛感いたしました。国家安全保障会議関係文書の扱いについては、可能な限り説明ないしは情報開示をお願いして、皆さんの、先生方の御議論を具体的にできるように、できるだけ説明を丁寧に詳しくお願いしたいというふうに思います。
それから、最後に、南スーダンの自衛隊のPKOの活動日報なんですけれども、日報は、伝えられるところ、保存期間一年と言われて、特定秘密になっていないようですけれども、国民の財産であるこの種の情報が一年で廃棄されるのはおかしいと思います。国連等での外交上、あるいはテロ対策上、情報を共有する必要、恐らく外務省などと、あるいは警察庁などと情報を共有する必要もあるでしょうし、この点について御検討を求めたいというふうに思います。
以上です。どうもありがとうございました。(拍手)