大串正樹の発言 (文部科学委員会)
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○大串(正)委員 ありがとうございます。
専門職大学のお話も出たところでございますが、ぜひ研究の質を落とさない中で、そしてしっかりと社会に役立てる人材をつくっていただくということは、大変重要なことだと思います。
また、今お話にありましたように、社会との関係性、省庁の壁を越えた議論がもちろん必要であると思いますが、社会から学び直しで大学に入る、あるいは大学で学んだ人がまた再び企業に戻って活躍をするという人材の流動性を高めていくこと、そういう社会環境をつくっていくこともこれから大切になると思いますので、またぜひそういった分野でも御支援をいただければというふうに思います。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
幾つかちょっと用語についてお伺いをしたいなというところがありまして、一つは、まず、イノベーションという言葉でございます。
科学技術分野でイノベーションというのはよく出てくる言葉ではあります。私も、議員になってからよくこの言葉に出くわして、往々にして、割と安易に使われている場面も少なくはないのではないかなと。イノベーションがあれば全てを解決してくれる、それが日本の経済を大きく伸ばしてくれる、そういうふうに、この言葉を使うことによって、かえって実は問題の本質が見えにくくなる場面も少なくはないのではないかなということで、少し定義に立ち返って、施策の中での重要なポイントをもう一回考えてみたいと思っているわけでございます。
まず、イノベーションというのは、もともとシュンペーターという経済学者が定義をしたものでありまして、これは、経済発展の中で、新結合という言葉、新結合を遂行することがいわゆるイノベーション、技術革新につながる。新結合というのは、新しい財貨であったりとか生産方法であったり、販路の開拓、新しい資源の供給源を獲得したり、組織も含まれますけれども、そういったものの新たな結合を意味しているわけでございまして、これは単なる創意工夫であったり、あるいは今までの既存技術の改善というものではないというところが、実はイノベーションの重要なポイントであります。
つまり、シュンペーターが例に挙げていますのは、時代背景がそうだったんですけれども、駅馬車が汽車にかわるという大きな変革ということがイノベーションの一つの例として挙げられているわけですが、ただ、駅馬車をやっている事業者が鉄道会社をつくったわけではない、全く違うところから新しい概念が出てきたというわけでございます。
そういう意味では、非連続的な変化であるというのが実はこのイノベーションの重要な課題であって、この非連続性というところを意識した上でさまざまな施策を打っていかなければ、なかなか実効性がないのではないかなというふうに思います。
ちょっとお配りしております資料でも、S字カーブというのがありまして、時間とともに技術というのは成長していくわけですが、最初は緩やかな成長で、それがある一定のレベルを超えますと急激な成長を遂げる。ただ、ある程度成長を遂げますと、民間のニーズをはるかに超えたレベルになってしまうと、今度は伸びが鈍化していく、そのすきにまた新たな技術が非連続的に生まれてくる。
こういう技術の積み重ねを重ねることによって経済の成長というのが成り立つというのがイノベーションの根本的な考え方でありまして、この新たな技術の発生というのが、ある意味、破壊的イノベーションとか創造的破壊という言葉もございますけれども、イノベーションによって引き起こされる既存産業の破壊ということもイノベーションには不可欠なもの、裏表であるということでございます。
ですから、クリステンセンが言っているようなイノベーションのジレンマというものが生じる、大企業だからこそ失敗をしてしまうというところに関しても、これは非連続的な変化であるがゆえに起こり得ることでございます。
そういった意味で、文部科学省としては、科学技術を先導する省庁として、このイノベーションの定義と文部科学省としての取り組みについて御紹介いただければというふうに思います。