早川忠孝の発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○早川参考人 皆さんの前に久しぶりに帰ってまいりました。私、これ、つけているのは元衆議院議員のバッジであります。ここへ入るときには弁護士のバッジですから、弁護士であり、かつ元衆議院議員。私の現在の立場は、あくまでも国民のためになるような、そういう法律を与野党を超えてぜひつくり上げてもらいたい、こういうふうに思っております。
 皆さんが先ほどTOC条約とおっしゃっていました。国際組織犯罪防止条約、こう言っているんだけれども、その国際の中身が違うんですね。コンベンション・アゲンスト・トランスナショナル・オーガナイズド・クライム、要するに、越境的な組織犯罪に対抗するための国連の条約、こういう枠組みです。ですから、そういう意味では、非常に能動的な条約である。
 先ほど参考人から話がありましたけれども、何としても、日本としてもこの条約は締結をしなければならない。特にオリンピックもありますし国際会議もありますし、そういった状況の中で、日本が署名国にとどまって締結国になっていない、あるいは、世界の司法の流れの中で、それをリードするような立場をとっていない、これはやはり問題であろうと思います。
 それから、現在審議されている罰条の関係をテロ等準備罪あるいはテロ準備罪と言われています。私は、テロ対策のために特化した項目はない、むしろ予算とか組織とか、あるいはさまざまな捜査手法とか、そういった議論が本当のテロ対策のためには必要になってくるのではないだろうか。そういう意味では、この法律は、でき上がってもなかなか実効性がないということが出てくるかもしれない。そういうことの観点の中で全体を見渡さなければいけないというふうに思っております。
 そういう状況の中で、なぜ私が参考人としてここに登場することとなったのか。実は十一年前、私は自民党の、衆議院法務委員会の理事として、当時の共謀罪の議論の、言ってみれば実務担当者、責任者の一人でありました。自民党と公明党の間でこの修正案を何とかつくり上げたいという努力をさせていただきました。
 十一年前の議論が現在どこまで反映されているだろうかなということを心配しておりました。七割ぐらい、あるいは八割ぐらいは今回の法案の中に入っている。それは、組織犯罪集団というものの考え方は、我々の修正案の作業の中でも定義をしておりました。それから準備行為、こういったことを要件とする、これも当然議論の中に入っておりました。
 さらに、もう少し大事なのは、やはり、当時は多くの国民の皆さんから大変な不安の声が述べられてまいりました。もちろん、当時の野党の皆さんからもさまざまな議論がなされ、それを踏まえて、やはり、こういったTOC条約の締結のための国内法の整備ということであれば、国民の理解を得た、そういう法律づくりをしておかなければならない。
 もちろん、政府の原案というのは私が国会議員になる前にもうでき上がっていまして、二度廃案になり、三度目の段階で、ちょうど十一年前、衆議院の法務委員会で議論をさせていただきました。私がこの法案の中身を検討したときには、やはり懸念事項がどうしても払拭できない、この懸念事項をどうやって減らすか、そういったことを懸命に考えてまいりました。
 二度にわたって、修正案を自公でまとめて法務委員会に提出させていただきました。さらに、その通常国会の閉会の前の段階で、議論をさらに詰めて、もう少し国民の理解が得られるような、そういう内容に法案をブラッシュアップしていきたいということで、最終的には、修正案としては提出できませんでした、しかし、皆さんが御存じのとおりに、当時の法務委員会の議事録の末尾に参考掲載をしていただくことによって、当時の作業をやはり現在の国会議員の皆さんにぜひ承継して、いい法律をつくり上げていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。
 七割から八割、ある程度当時の検討の中身が反映されてきたなというふうに思いました。しかし、当時は、やはり憲法に定めるさまざまな自由の制約になる懸念がある、そうすると、配慮規定あるいは留意事項、そういったことをせめて国会の意思として法案の中に織り込むことによって、政府が提案された、いわゆる法務省が原案を作成した、それを右から左にエスカレーターのようにつくるのではなくて、国会の中で十分審議をしていただいて、問題点を十分認識の共有を図ってもらって、直せるものはどんどん直していただきたい、こう思っています。
 今回の政府の案については、自民党と公明党の間でさまざまな検討が進められていたと聞いております。確かに、その検討の結果、大幅な思想の転換がなされました。対象犯罪が、当時で六百余りあるというものを、政府の説明では二百七十七、数え方によっては三百余りということだそうですけれども、やはりそこまで減縮する。当時、法務省も外務省もそれはできないと言っていた中身でありました。しかし、それは変えなきゃいけない。
 十年前、自民党の法務部会の中に、条約刑法等検討に関する小委員会というのを立ち上げました。当時の治安対策特別委員会の委員長等をされた笹川堯先生が委員長で、私が事務局長で、この案の取りまとめをさせていただきました。十年前、二月の二十日にその案を策定いたしました。
 しかし、当時の国対は、この条約刑法等検討小委員会でまとめた案を、それじゃ改めて政府の案にして提出するかということについて、やはり国民のさまざまな議論を招いてしまうということの中で、最終的に、この検討小委員会の案というのはそのままになってしまいました。自民党の法務部会の中だけの議論だったものですから、当然、公明党の皆さんとの情報共有ができておりません。ですから、公明党の皆さんはその案を多分見ておられないと思います。
 私も国会議員をやめましてもう八年ぐらいになりましょうか。そうすると、当時の資料が全部散逸をしています。散逸しておりましたけれども、たまたま、マスコミの関係者の方が十年前、十一年前の資料を私のところへ持ってきてくださって、なるほど、ここまでの議論をしていたのかということが確認できました。せめて当時の議論を今の国会にも反映してもらいたい、こういうふうに思っているところであります。
 その配慮規定とか留意事項については、調査局の方でおまとめになった資料集の中に対照表が書いてありました。非常に丁寧に作業をされておられましたので、なるほど、これを見ていただければかなり審議が充実するのではないだろうかなというふうに思っています。
 私がなぜこんなふうによりよい法案をつくってもらいたいと思っているのかは、日本が、全体として、今いろいろなチェックのシステムが機能しなくなっているのではないか、チェック機能が低下をしている。国会でも、なかなか本当に議論をしてもらえないまま何となく数で通してしまうということになると、理解している人が非常に少ない、それはやはり困ることだ。正確な認識を共有してもらって、国民のために法律をつくるんだということ、国会議員は国民の代表者ですから、やはりその役割を、与野党問わずしっかり果たしていただきたいと思っています。
 この十年の間に、刑事司法の分野でさまざまな問題が発生をしております。
 私が懸念しておりますのは警察です。鹿児島の志布志で選挙違反事件がありました。最終的に無罪判決になりましたけれども、あのときの、要するに選挙違反を摘発するということの中で、警察の現場で、言ってみれば思い込み、見込み捜査、こんなものがあって、ある地域の方々が何十人も調べられる。そういう事件の発生を抑止するためのシステムがきちんとあるかどうか、それを検証しなきゃいかぬ。
 それから、村木さんの事件がありました。大阪地検の特捜部の検事が証拠を改ざんしているというとんでもない事件がありました。地検は、そのことについて、どういうふうな体制の見直しによる、組織内でそういった違法あるいは不適正な捜査が行われないための仕組みづくりをどこまでやっているか。被害を受けた方々に十分救済の措置があるだろうか。
 TOC条約の中で共謀罪と言われているものが、今回はテロ等組織罪という表現で一般の方々の間に流布されております。テロ等組織罪であればこれはやはり必要な制度だと、国民の半分ぐらいの方はそう思うだろうと私は思います。ただ、実態はまさに、組織犯罪に対して対処するための条約を日本でも締結して、その枠組みの中に入るための国内法の整備の一環でしかないということを考えると、テロももちろんありますけれども、しかし法案の中身はちょっと違う。だから、その辺について正しい情報を共有していただいた上で、やはり対象犯罪を減らしていただきたい、こう思っています。
 十年前の条約刑法等検討小委員会で、対象犯罪の絞り込みをするときのメルクマールが、現実にテロ組織等の組織的な犯罪集団が実行するおそれがあること、計画段階で処罰しないと重大な結果が発生すると見込まれる重大な犯罪、実行前の計画段階で処罰することが真に必要と考えられる犯罪、こういうふうに一応メルクマールをつくりました。その結果、大体、百二十幾つから百六十ぐらいまで絞りました。今は、二百七十七とかあるいは三百とか言われています。多分、一つ一つの犯罪を検討すると、ああ、これは必ずしも日本では処罰の対象にする必要がないのかもしれないというのが出てくるのではないかと思います。その議論をぜひともこの法務委員会で、あるいは関連のところでお進めいただきたい。
 以上であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 119305206X01320170425_010

発言者: 早川忠孝

speaker_id: 32302

日付: 2017-04-25

院: 衆議院

会議名: 法務委員会