吉田宣弘の発言 (法務委員会)
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○吉田(宣)委員 今御説明があったとおり、海渡参考人が根拠とされたこの二つの、立法ガイド、パラグラフ四十三及びUNODCの口上書というものは、あくまで、国内法整備で条約と全く同じような文言を使うところまでは必要ではありませんよというものを示したところであって、自国の都合での解釈というものを条約が許容しているということではないということだと私は理解をしておりますので、したがいまして、この二つの理由を根拠に国内法整備が不要であるということは、私は理由がないんだろうというふうに理解をしております。
ここで、各党が条約の締結には賛成をしてくださっているということ、このことは、まず強く言っておきたいと思います。
また、歴史的にも、本条約については、平成十五年の国会において条約締結について審議がなされて、皆さんも御承知のとおり、我が党や自民党、また、当時の民主党や共産党も賛成をしていただいております。
一般に、条約の規定に基づかずに、留保を付して条約を締結しようとする場合は、政府は、条約締結の審議の際に、留保を付して条約を締結することについて国会の承認を求めるということを私は承知しております。他方、本条約については、そのような留保を付することなく条約を締結することについて国会の承認が求められた上で、今申し上げたように、各党各会派、これは賛成をしてくださっているということを、まず前提として強く申し上げておきたいと思います。
したがって、このTOC条約五条の義務というものは、すなわち、合意罪もしくは参加罪の国内法整備が避けられないということは、そういう立法をしなければいけないということから出発しなければならなかったことは、これはもう条約の承認時から明らかであるというふうに私は承知をしております。
この点、この委員会の議論で、共謀共同正犯という理論が日本には確立をしていて、この理論があるから特別な立法は要りませんねという御主張もありました。また、同じく、日本には予備罪という規定がある法律もありまして、予備罪について共謀共同正犯というものを適用すればそれで足りますねという御主張もありましたが、そもそも、この共謀共同正犯という考え方は、いわゆる共謀の部分、条約に直すと合意の部分、テロ等準備罪に直せば計画の部分、この部分を処罰するということではない理論です。処罰できないわけです。あくまで予備行為もしくは典型的な実行行為というところを処罰することのための理論であって、そのことが前提にあるならば、すなわち、今、二つの、共謀共同正犯の理論、予備の共謀共同正犯ということを根拠にこのTOC条約五条の義務を履行した、しているというふうな主張は成り立たないということになることがまずこの委員会で明らかになっております。
次に、計画を処罰するけれども、だから合意は処罰するけれども、条約がオプションとして推進行為というものを挙げておりますから、この推進行為に予備を付加することによって何とかこの条約の履行をすることができるのではないかというお考えもあるようでございますが、この予備の成立要件というのは国内において極めて厳しい。したがって、結果、合意という部分を処罰するということを求めているTOC条約の趣旨を必要十分に満たすことができないわけです。このことによって、これも、残念ながら、TOC条約五条の義務を履行することができないということになりますので、このことも理由にならない。(発言する者あり)