法務委員会

2017-05-19 衆議院 全255発言

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会議録情報#0
平成二十九年五月十九日(金曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 鈴木 淳司君
   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君
   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君
      赤澤 亮正君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    奥野 信亮君
      門  博文君    菅家 一郎君
      城内  実君    國場幸之助君
      鈴木 貴子君    辻  清人君
      野中  厚君    藤原  崇君
      古田 圭一君    宮川 典子君
      宮路 拓馬君    山田 賢司君
      若狭  勝君    枝野 幸男君
      階   猛君    山尾志桜里君
      浜地 雅一君    吉田 宣弘君
      畑野 君枝君    藤野 保史君
      松浪 健太君    上西小百合君
    …………………………………
   議員           逢坂 誠二君
   議員           丸山 穂高君
   法務大臣         金田 勝年君
   法務副大臣        盛山 正仁君
   外務副大臣        岸  信夫君
   法務大臣政務官      井野 俊郎君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    林  眞琴君
   政府参考人
   (公安調査庁次長)    杉山 治樹君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君
   法務委員会専門員     齋藤 育子君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(階猛君外二名提出、衆法第一七号)
     ————◇—————
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鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する平口洋君外四名提出の修正案並びに階猛君外二名提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案の両案及び修正案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官白川靖浩君、公安調査庁次長杉山治樹君及び外務省大臣官房参事官飯島俊郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#3
○鈴木委員長 これより両案及び修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。
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土屋正忠#4
○土屋(正)委員 長い間議論をしてまいりましたが、議論が積み重ねられ、そして相当論点が集約してきたと存じます。その上で、私は、大臣に何点かお尋ねをいたしたいと存じます。
 第一の質問は、金田大臣の答弁すべき範囲と、刑事局長以下政府参考人の答弁の範囲についてであります。
 衆議院規則並びに各会派申し合わせ事項に基づいて、大臣が政策を語り、細目的、技術的なことは政府参考人が答弁をする、こういう配分になっております。
 しかし、この衆議院規則の背景にあるものは、日本の民主的な行政執行にかかわる根本的な課題があるだろうと思います。
 我が国においては、憲法、内閣法、国家行政組織法、法務省設置法並びに法務省設置令などなどの法体系によって、法務省の行政領域と、またそれぞれの役割が分任をされているわけであります。とりわけ、法務省組織令第五条は、「刑事局は、次に掲げる事務をつかさどる。」として、一に「刑事法制に関する企画及び立案に関すること。」となっているわけであります。
 こういった中において、改めて、私は、大臣の職責とその答弁に対する心構えをお聞きしたいわけであります。
 法務省全体として五万人を超える職員が一体となって法務行政を執行しているにもかかわらず、大臣一人に質問を集中させて、そして、あたかもそれが政策的な事項からはるかに外れている、こういったようなことがたびたび行われたわけでありまして、このことについて、例えば、具体的に言えば、保安林に入ってキノコをとるのはテロ等の準備罪に当たるかなどという珍問、奇問が出されているわけであります。そもそも、キノコといったって、いろいろ、マツタケもあるし、その辺の普通のキノコもあるわけですから、とりに入ったのが入会権を持っている里山の住人なのかどうかとか、こういうことがない限り、答えようがないわけであります。
 でありますからして、そのことをもって、答えられないからといって、大臣をあたかも窮地に立たせて一本とったなどと考えている者がいるとすれば、日本の民主的な行政執行、憲法を原点とする法の民主的な統制、こういったことに対する重大な誤認があると言わざるを得ないわけであります。
 私は、改めて、金田大臣の基本的な姿勢について、締めくくりが近いわけでありますから、基本的なことをお尋ねしたいわけであります。
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金田勝年#5
○金田国務大臣 ただいま土屋委員からの御質問がございました。
 法務省の任務それから所掌事務というものは非常に多様な、そして時代の情勢を踏まえた、そういう事務が多いということをおっしゃっておられるというふうに私は認識をいたしました。
 法務省の任務というのは、御承知のように、ただいまの御質問にもありましたが、法務省設置法第三条に規定されておるわけであります。お聞きでございますのでお答えしますが、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理、出入国の公正な管理を図ることであります。
 そして、この任務を達成するための所掌事務については、法務省設置法の第四条において、例えば、民事、刑事法制の企画立案に関すること、司法制度の企画立案に関すること、検察、刑など裁判の執行、保護観察、犯罪の予防に関すること、そして恩赦に関すること、戸籍、国籍、登記に関すること、人権侵犯事件、人権啓発に関すること、総合法律支援に関すること、国の利害に関係のある争訟に関すること、外国人の在留、難民認定に関することなど、多岐にわたる事務が規定されているわけであります。
 したがって、土屋委員のおっしゃることはまさにそのとおりでありまして、時代の状況を踏まえて、現在の法務行政というのは多くの使命を求められている、仕事が非常に多岐にわたるという点はそのとおりであろう、このように私も受けとめております。
 これらに関して、例えば、全国で五万三千人の職員が、非常に多い皆さんが力を一つにしてその遂行に当たっておられる、私はこのように認識をしております。
 申し上げるまでもなく、法務行政の最高責任者は私、法務大臣でありますことから、副大臣、大臣政務官の支えを得ながら、法務省の任務を果たすために、法務行政のあり方について、その基本的な方針を決して、責任を負う使命、役割を担っているものと受けとめております。
 しかしながら、とりわけ多くを求められる現在の法務行政においては、法務大臣が一つ一つ判断をしていくことは現実的ではないのではないかとの御指摘がある点につきましては、かえってそれが事務の停滞を招くようなことがあってはいけないわけでございますし、一つ一つ判断をすることにより、現実的ではないというケースも出てくる可能性はあります。
 そして、そのもとで、本省に大臣官房や七つの局といった組織、機関等を設けて、先ほど申し上げた多岐にわたる法務省の所掌事務を分掌させているというのは事実でありまして、その長がそれぞれの所掌事務における責任者となって、また、全国各地に法務局、あるいはそのほかの多くの地方組織、機関を設けて、現場での法執行に当たらせるなどしながら、全国五万三千人の職員それぞれが日々責任を持って職務に精励をし、法務行政を支えている、このように私も受けとめております。
 したがいまして、法務行政においては、その最高責任者である法務大臣、それを支える副大臣、大臣政務官、そして本省、全国各地の組織、機関の職員がそれぞれの役割に応じた職責を果たし、一丸となって多岐にわたる所掌事務に対処をしていく、国民の皆様の生活の安全、安心を守る基盤を支えるという重要な任務を担っているものである、このように私は認識をいたしております。
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土屋正忠#6
○土屋(正)委員 ありがとうございました。
 巨大な組織の最高責任者でもあり、組織管理の立場からもさらに頑張って、大局的な立場で使命を果たされることを期待いたしております。
 先日、枝野先生が刑事局長と二時間にわたって大変濃密な議論をいたしました。私、さすがだなと思って感心して、その日のブログに枝野先生のことをお書きしたわけでありますが、こういう専門家同士のしっかりとした議論が積み重ねられてきたことも事実でありますし、それはそれ、プロフェッショナルとしての刑事局長の答弁だと思います。そういった意味で、我々は持ち場持ち場でしっかりとした仕事をしていくことを、しっかりしたことを積み上げていく必要があるということを申し上げておきたいと存じます。
 次に、二番目の質問として、自民、公明、維新三党が提出されました修正案の修正協議の経過と全体像についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 これまで当委員会で議論を重ね、議論が煮詰まりつつあるわけでありますが、その中にあって、自民、公明、日本維新の会の三党による修正案が提出されました。なお、別案が民進党、自由党両党により提出されたわけでありますが。この三党が出された修正案について、これまでの審議過程で示された懸念等を踏まえて与党と日本維新の会との間で協議が行われたということですが、その経過について、また修正案の全体像について、法案提出者の平口委員にお尋ねを申し上げます。
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平口洋#7
○平口委員 お答えいたします。
 まず、修正協議の経過について御説明をいたします。
 テロ等準備罪処罰法案に関して、衆議院法務委員会における審議が始まった後、日本維新の会から修正提案について示されました。それについて、自由民主党、公明党、日本維新の会の三党間で精力的に協議を進め、去る平成二十九年五月十一日に大筋合意に至り、翌五月十二日に三党共同で修正案を提出いたしました。
 次に、修正案の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、テロ等準備罪に係る事件についての被疑者の取り調べその他の捜査を行うに当たって、その適正の確保に十分に配慮しなければならない旨の規定を追加することとしております。
 第二に、附則の検討事項として、一、テロ等準備罪に係る事件に関する取り調べの録音、録画等に関する制度のあり方、及び、二、全地球測位システム、いわゆるGPSに係る方法を用いた捜査を行うための制度のあり方という二つの事項について定めることとしております。
 第三に、テロ等準備罪の対象犯罪のうち告訴がなければ公訴を提起することができないもの、いわゆる親告罪に係るテロ等準備罪につきまして、告訴がなければ公訴を提起することができない旨を明記することといたしております。
 以上でございます。
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土屋正忠#8
○土屋(正)委員 ありがとうございました。
 これについては、他の会派の皆さんも御質疑があることと存じますので、きょうはこの程度にいたしたいと存じます。
 次に、大臣にお尋ねをいたしますが……
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鈴木淳司#9
○鈴木委員長 ちょっと所用で。
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土屋正忠#10
○土屋(正)委員 はい。
 通告をしてありますので申し上げますが、テロ等準備罪処罰法が成立を仮にしたとして、これだけでテロを未然に防ぐということができるかどうか。もちろん、テロは起こってはならないし、そのために全力を尽くすわけでありますが、しかし、これは相当思い切った覚悟が必要だろうと思います。
 とりわけ、二〇二〇に東京オリンピック・パラリンピックの開催を迎えるわけでありますから、これを狙ってさまざまな動きが出てくることは当然予想されるわけであります。また、予想しなければならないわけであります。
 また、過去には、予想もできないような思いがけない事態が幾つも起こってきているわけであります。我々は、過去に起こった思いがけない事態を参考にして、日本国民の安全と、そして生命を守っていかなければならないと改めて思うわけであります。
 その一つは、一九七〇年代に続発した北朝鮮の日本人拉致事件であります。当時は、まさか隣国が国家組織としてテロ行為をもって我が国の国民を拉致するなどとは全く考えが及ばなかったわけであります。しかし、たび重なる事象によって、そういった現象が、もしかしたらというところから、確信に変わっていったわけであります。恐らく、一九七〇年代では、今は北朝鮮の拉致事件というのは相手も認めたわけでありますが、しかし、当時としては、本当に予想もできない事態であったと思います。
 また、二点目として、一九九四年から一九九五年にかけてのオウム真理教事件であります。宗教団体と称していたカルト集団が、いつの間にか組織的犯罪集団に変身をしていたわけであります。
 また、最近では、利便性を求めてインターネットが世界じゅうに普及しているわけでありますが、これに対するサイバー攻撃も、この十年、極めて深刻な事態になりつつあるわけであります。
 今、誰も想定できない事態が起きたとき、どう国民の生命と財産を守るか、こういったことについては、このテロ等準備罪処罰法の制定だけではなくて、これから不断の努力をしていく必要があるんだろうと思います。
 二十二年前に起こったオウム真理教事件について少し申し上げたいと思いますが、このときは、本当に地域社会も騒然とした空気でありました。
 私は武蔵野市長を務めておりましたが、オウム真理教の犯人たちが浄水場に毒を入れるということが予想され、これに対して全国の水道管理者が、これは大変だ、とりわけ都会周辺の水道管理者は緊張が走ったわけであります。東京都水道局からも指示があり、私どもは、それまで必ずしも予想していなかった浄水場の警備を電光警備にしたり、あるいは夜間、警備会社に頼んでパトロールをしたり、宿直員に泊まり込みをさせたり、こういったことでもって対応をしたわけであります。
 このオウム真理教が示した事件というのは、国民に重大な心理的影響を与えたわけであります。とりわけ一九九五年、平成七年の一月十七日午前五時五十六分には阪神・淡路大震災が発災をして、あのしょうしゃな神戸の町が一瞬にして灰じんに帰したわけでありますから、そのことも含めて、あのときほど国民に心理的な動揺が走ったことはありません。
 一九九四年の六月二十七日、松本サリン事件が発生以来、さまざまな積み重ねを経て、地下鉄サリン事件が一九九五年三月二十日、霞ケ関地下鉄駅を初めとする複数の駅で起こったわけであります。このときなどは、武蔵野から都心に通学をしている子供たちを休学させる、何があるかわからないから休学をさせる、こういうことも起こったわけであります。まことに深刻な事態でありました。
 さらに、これはオウムの事件かどうかわかりませんが、一九九五年三月三十日には、オウム警備の最高司令官であった国松警察庁長官の狙撃事件が起こり、国松長官は瀕死の重傷を負ったわけであります。
 麻原彰晃逮捕の一九九五年五月十六日までの間、日本じゅうが震撼をして、さまざまな機関がこの対策に取り組んだわけであります。
 当時、自動車ナンバーの自動読み取り装置Nシステムは既にあったわけでありますが、鉄道の改札口にいわゆる監視カメラが設置をされたのはこのことがきっかけであります。それまでは、監視カメラをつけることについては、肖像権とかプライバシー権とかという議論があって、なかなかこれが進まなかったことがあります。
 武蔵野市で吉祥寺の駅前にピンクサロンというのがわっとできたときに、このために監視カメラを入れたのは今から四十年前の昭和五十二年でありますが、そのときは、公道上に監視カメラをつくるのは、プライバシーあるいは行動の自由、肖像権の侵害じゃないかという議論もなされました。その後、私は武蔵野市長になったわけでありますが、風俗環境から静穏な生活を守るためにといって日本弁護士連合会に調査を、いわゆる風俗営業から離れて静穏に暮らす権利というのはどういうことなんだろうかということを日弁連に調査研究を依頼いたしました。日弁連の人権小委員会がこれを受けていただいて、一定の報告を出されたわけでありますが、これなども行動の自由、肖像権などをめぐった議論でございました。
 しかし、それから十数年たった一九九五年には、今まで考えられないぐらいの監視カメラが鉄道駅の改札口に取りつけられたわけであります。それは、一連の事件の中から、国民が、これはしようがないんだ、こういうことによって犯罪を防ぐんだ、テロを防ぐんだということに納得したからにほかならないわけであります。監視カメラの効用が広く知れ渡ったのは、IRAの爆弾テロに対する監視カメラでの摘発が功を奏したからであります。
 でありますからして、私が言いたいのは、テロを未然に防ぐ、あるいはそのための対策をとる、あるいは刑事訴訟法のいろいろなことがあるかもわかりません、こういうことを含めて国民の理解と支援がなければならないし、そして、国民とともに歩む法制でなければならない、こんなふうに思っているわけであります。
 オウム事件の中でもいろいろなことがありました。例えば、オウム事件の捜査、検察、警察、一体となった捜査であったわけでありますが、当時は警察官は二十二万人でありました。そして、それを支えたのが国民の目でありました。オウム犯人の幹部を捕らえるきっかけになったのは、石川県の貸し別荘に怪しげな男女が泊まった、それを住民が通報した、そのことがきっかけになったわけであります。警察はありとあらゆる手段を尽くしました。この幹部職員が放置自転車に乗って逃走しようとしたとき、これを職務質問したのが警察官でありますが、その容疑は占有離脱物横領の容疑でありました。
 つまり、国民の声があり、その声に応えた現場の警察官の動きがあり、普通は、自転車泥棒なんて警察までしょっぴきませんよ、まず事情を聞いておしまいですよ。だけれども、そういうことがあったということが、やはり国民の危機管理、危機意識があったんではないでしょうか。
 テロの脅威を未然に防ぐために今やるべきことをやる、法制が必要なら法制をきちっとやる、人権や何かに配慮しながらもやるべきことをきちっとやる、その法制に従って、検察、警察また関係団体は全力を挙げて治安を守る、こういうことが必要なのではないかと思います。テロの脅威を未然に防ぐために、TOC条約を締結して、外国の治安、司法当局と情報を速やかに共有していく、こういうことが非常に大事なことではなかろうかと存じます。
 さまざまなことがありました。このオウム真理教で示した力というのは、検察、警察だけではなくて、自衛隊の化学防護隊も全面的にバックアップをしました。海上保安庁も、さっき言ったように水道管理者も鉄道管理者も道路管理者も、みんな総力を挙げて、これ以上のテロの拡散を防いだわけであります。
 そこで、大臣の決意をお尋ねしたいわけでありますが、法秩序の真ん中にあるのが法務省であり、そして、その法務省を統括し、組織管理し、他の官庁と十分連絡調整を図りながら、日本国民の安全と生命財産を守っていく使命は法務大臣にあるわけであります。今までの個別的な、極めて専門的な議論を重ねた上で今日ここに至った、その時点でもって、改めて法務大臣の御決意を承りたいと存じます。
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金田勝年#11
○金田国務大臣 ただいま、土屋委員がかつて武蔵野市長を務めておられたときの、さまざまな当時の状況に基づくお話をなされました。拝聴いたしておりまして、非常に、土屋委員の熱い思いというものはよく感じた次第であります。
 そこで、お答え申し上げるわけでありますが、私の方から、まず、テロ等準備罪の有効性についてお話をさせていただき、そしてまた、テロ対策についての状況と決意というものをお話しさせていただきたいと思います。
 テロ等準備罪を設けることによりまして、テロを含む組織犯罪につきまして、実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となる。その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになる。さらに、テロ等準備罪を整備してTOC条約を締結することによって、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助そして情報収集において国際社会と緊密に連携することが可能となる。
 このように、テロ等準備罪を含むTOC条約を締結するための国内法の整備というものはテロ対策として有効である、このように考えております。
 もとより、委員が御指摘のとおり、テロ対策、その状況を考えた場合に、テロ対策というものは今回の法整備を行って本条約を締結することにとどまるものではない、テロリズムの防止に向けてさまざまな対策を行うことは重要である、このように考えております。
 現在、政府におきましては、官邸直轄の国際テロ情報収集ユニットを設置いたしまして、国際社会と緊密に連携をして情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化、そしてサイバーセキュリティー対策の強化といったような、総合的なテロ対策を強力に推進しているものと承知もしております。
 委員がおっしゃられたように、このような政府全体としての取り組みを推進することによって、その推進することの重要性について、また国民の御理解、御支持を得ていくことが極めて重要である、このように考えている次第であります。
 私ども法務省としては、その使命をしっかりと持って、テロ等準備罪を整備することの必要性については引き続き丁寧に説明をいたし、国民とともに歩むというお言葉を今委員は使われました、国民の皆様の御理解を得ていくように、関係省庁等とも連携をして、テロ対策、そうしたものにしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えておる次第であります。
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土屋正忠#12
○土屋(正)委員 ありがとうございました。
 最後に、重ねての要望といたします。
 法務省を中心に、検察、警察が治安のかなめでありますが、同時に、水際作戦では海上保安庁、あるいは、ドローン等による犯罪が仮に予想される場合には国土交通省を初め関係局、また、入管と、税関の役割も極めて大きいわけでありますから財務省、そしてまたサイバーテロなどは、総務省のNICTを中心に、サイバー攻撃に対する専門的な知見を蓄積した、また民間の力もかりながら、どうぞひとつ、政府の中にあって総合的に対策をとることを要請し、また、その中心に金田法務大臣がいらっしゃることを大変うれしく思い、これからも引き続き職務を果たしていただきますようにお願いをして、私の質疑といたします。
 きょうは、どうもありがとうございました。
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鈴木淳司#13
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
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吉田宣弘#14
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
 本日も質問の機会を賜りましたことに心から感謝を申し上げて、限られた時間でございます、早速質問に入らせていただきます。
 私は、今回のテロ等準備罪のこの審議、これは、国内法整備が必要なのか、そうでないのかという議論がずっと継続をしてきているというふうに思います。私のこれからの質問は、これまでのこの委員会における質疑の流れを踏まえて、おさらいの意味も込めさせていただきますが、順次、通告に従い質問をさせていただきます。
 先日の法務委員会における参考人の質疑において、海渡参考人が、概要ですけれども、立法ガイド、パラグラフ四十三にある、国内法的原則と一致するようにするという旨の記載、及びUNODCの口上書にある、本条約の犯罪化の要求を満たすために本条約と同じ方法で規定をされる必要はないという旨の記載を理由として、国際組織犯罪防止条約、TOC条約の五条の義務を履行するための新規の立法措置は不要であるという御意見を表明されました。
 私はそのように理解をしておりますけれども、この海渡参考人の御意見に対する外務省の所見をまずお伺いしたいと思います。
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飯島俊郎#15
○飯島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の立法ガイドの記載は、本条約第十一条6の趣旨、すなわち、本条約に従って定められる犯罪について国内法において具体的にどのように規定するかは、他の国内法の規定との整合性を考慮しながら、締約国の国内法により定められることを示したものであり、本条約第五条1(a)が犯罪化を求めている重大な犯罪の合意及び組織的な犯罪集団の活動への参加のいずれをも犯罪とする必要がないことを意味するものではございません。
 立法ガイドを作成しました国連薬物犯罪事務所、UNODCの口上書における御指摘の記載、すなわち、本条約と全く同じ方法で規定される必要はないとの記載につきましては、この趣旨をより明確に説明したものであり、本条約の犯罪化義務が履行できることを前提に、その立法化に当たっては、本条約と全く同一の文言等によって国内法を規定する必要はないということを示したものでございます。
 我が国におきましては、参加罪は存在せず、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎないことから、現行法では本条約の犯罪化義務は履行できないということでございまして、したがって、御指摘の立法ガイドの記載を根拠に、本条約第五条1(a)の義務を履行するための新規立法は不要であるとすることはできないものと考えております。
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吉田宣弘#16
○吉田(宣)委員 今御説明があったとおり、海渡参考人が根拠とされたこの二つの、立法ガイド、パラグラフ四十三及びUNODCの口上書というものは、あくまで、国内法整備で条約と全く同じような文言を使うところまでは必要ではありませんよというものを示したところであって、自国の都合での解釈というものを条約が許容しているということではないということだと私は理解をしておりますので、したがいまして、この二つの理由を根拠に国内法整備が不要であるということは、私は理由がないんだろうというふうに理解をしております。
 ここで、各党が条約の締結には賛成をしてくださっているということ、このことは、まず強く言っておきたいと思います。
 また、歴史的にも、本条約については、平成十五年の国会において条約締結について審議がなされて、皆さんも御承知のとおり、我が党や自民党、また、当時の民主党や共産党も賛成をしていただいております。
 一般に、条約の規定に基づかずに、留保を付して条約を締結しようとする場合は、政府は、条約締結の審議の際に、留保を付して条約を締結することについて国会の承認を求めるということを私は承知しております。他方、本条約については、そのような留保を付することなく条約を締結することについて国会の承認が求められた上で、今申し上げたように、各党各会派、これは賛成をしてくださっているということを、まず前提として強く申し上げておきたいと思います。
 したがって、このTOC条約五条の義務というものは、すなわち、合意罪もしくは参加罪の国内法整備が避けられないということは、そういう立法をしなければいけないということから出発しなければならなかったことは、これはもう条約の承認時から明らかであるというふうに私は承知をしております。
 この点、この委員会の議論で、共謀共同正犯という理論が日本には確立をしていて、この理論があるから特別な立法は要りませんねという御主張もありました。また、同じく、日本には予備罪という規定がある法律もありまして、予備罪について共謀共同正犯というものを適用すればそれで足りますねという御主張もありましたが、そもそも、この共謀共同正犯という考え方は、いわゆる共謀の部分、条約に直すと合意の部分、テロ等準備罪に直せば計画の部分、この部分を処罰するということではない理論です。処罰できないわけです。あくまで予備行為もしくは典型的な実行行為というところを処罰することのための理論であって、そのことが前提にあるならば、すなわち、今、二つの、共謀共同正犯の理論、予備の共謀共同正犯ということを根拠にこのTOC条約五条の義務を履行した、しているというふうな主張は成り立たないということになることがまずこの委員会で明らかになっております。
 次に、計画を処罰するけれども、だから合意は処罰するけれども、条約がオプションとして推進行為というものを挙げておりますから、この推進行為に予備を付加することによって何とかこの条約の履行をすることができるのではないかというお考えもあるようでございますが、この予備の成立要件というのは国内において極めて厳しい。したがって、結果、合意という部分を処罰するということを求めているTOC条約の趣旨を必要十分に満たすことができないわけです。このことによって、これも、残念ながら、TOC条約五条の義務を履行することができないということになりますので、このことも理由にならない。ヤジ
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鈴木淳司#17
○鈴木委員長 御静粛に願います。
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吉田宣弘#18
○吉田(宣)委員 以上がこれまでの法務委員会の審議で、これは我が党の浜地委員からの質疑であったところでございまして、明らかでございます。
 後ろから、意味がわからないと言っておりますが、わかろうとしていない主張であろうと私は思っております。
 時間が限りがございますので、次に質問いたしますけれども……ヤジ
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鈴木淳司#19
○鈴木委員長 御静粛に願います。
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吉田宣弘#20
○吉田(宣)委員 先日、民進党ほか、自由党さんから提出された法案では、組織的詐欺と組織的人身売買の罪について予備罪を設けるという修正案を出されたというふうに、修正案というか改正案ですね、理解しております。
 もちろん、民進党さんは本条約の締結のためには新たな国内法整備は必要でないという立場であるということも、一応承知はしております。
 その上で、まず、過去の経緯について質問させていただきます。恐縮ですが、お許しください。
 平成十八年当時、民主党時代、過去の政府案に対する修正案を提出しておられます。この修正案では、共謀した者が処罰されると規定をされていたとお聞きをいたしました。では、この修正案はTOC条約を担保するために提出をされたものではなかったのかどうか、端的にお教えいただければと思います。
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逢坂誠二#21
○逢坂議員 吉田委員の質問にお答えいたします。
 平成十八年、二〇〇六年当時の議論でありますけれども、我が党は、当時、閣法が提出された、そういうことを前提にして、その範囲の中で最大限、刑法の謙抑的な考え方、これに合致するような対応がとれないかということで修正案を提出させていただいたわけであります。
 しかしながら、その後、二〇〇七年以降でありますけれども、例えば国連の立法ガイドでありますとか、あるいはさまざまな識者の考え方、そういったものを我々もさまざま検討させていただく中で、これは必ずしも国内法の整備というものは新たには必要がない、包括的な共謀罪の創設をする必要はないのだという結論に至ったわけであります。
 その理由として、先ほど吉田委員もお話をいただきましたけれども、現行法体系の中で、予備、陰謀、そうしたものが含まれているということでありますので、その考えに立って、現在は国内法が必要ないというふうに考えているわけであります。
 これにつきましては、記憶をたどりますと多分二〇〇七年に参議院選挙があったかと思うんですけれども、二〇〇七年の参議院選挙の時点で既にマニフェストとして掲げさせていただいておりますので、もう十年間、この考え方を我々は保持しているということであります。
 以上でございます。
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吉田宣弘#22
○吉田(宣)委員 今、非常に丁寧な、また誠実な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、当時、共謀した者を処罰するという修正案をお出しになっていた姿勢、先ほど、条約承認時に留保を付さずに条約の承認に賛成した姿勢からすれば、これは非常に当然な姿勢だった、民主党さんの姿勢というのは当然のことだと思っております。もちろん政府案とは形は違いますけれども、TOC条約の趣旨に沿った姿勢であったというふうに私は思っています。
 今、逢坂先生から、二〇〇七年以降、参議院選のマニフェストにも記載をしてこれまでずっと継続をしているという御説明がございました。としますれば、何ゆえに民主党政権時代に何ら立法もせずにこの条約を締結しなかったのか、私はこのことが問われておかしくないんだろうというふうに思います。本委員会においてさまざま議論をされておりますけれども、今の民進党さんの姿勢というのは当時の姿勢から百八十度変わってしまったというふうに私は思えてなりません。理解に苦しむところでございます。
 限られた時間でございますので、次に質問を移らせていただきます。逢坂先生、ありがとうございました。
 次に、民進党さん、それから自由党さんが出された法案、これは、TOC条約とは切り離して、あくまで国内における組織犯罪対策上必要なものとして提出されたものであるというふうに私は理解をしております。
 これまでの国会の議論により、本条約の締結のためには合意罪もしくは参加罪の一方が創設されなければならないことは、繰り返しですけれども、明らかでございまして、先ほど申し上げたとおり、予備の共謀共同正犯の考え方ではこの条約の義務を履行できないということも、これも明らかです。したがって、組織的詐欺と組織的人身売買の罪に予備罪を設けても、確かに切り離されておりますので、そのことは十分承知はしておりますが、本条約の義務を履行することは私は到底できないというふうに思っております。
 議員提出のこの法案について政府が答弁するのはなかなか難しかろうと思われますので、その背景もおもんぱかって、次のように政府に問いたいと思います。
 例えば、重大な犯罪の合意罪について、組織犯罪対策上特に必要で対処すべき緊急の必要があるかなど、我が国独自の観点に立って対象犯罪を選別することができるのか。あるいは、このように線引きした罪に予備罪を設けることで、本条約第五条一項(a)の(1)の義務を履行することができるのか。外務省から説明を求めたいと思います。
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飯島俊郎#23
○飯島政府参考人 お答え申し上げます。
 本条約は、重大な犯罪、すなわち各国の法律において定められている刑期の長さを基準として、長期四年以上の自由を剥奪する刑、またはこれより重い刑を科することができる犯罪、これを重大な犯罪の合意罪の対象とすることを義務づけております。
 その上で、本条約五条1(a)(1)は、締約国に対し、重大な犯罪の合意の犯罪化に当たり、国内法上、組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を付すことを認めております。この要件を付した場合には、犯罪化が義務づけられる合意の対象は組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪となりますことから、本条約の義務を履行するためには、組織的な犯罪集団が関与することが現実的に想定される罪を重大な犯罪の合意罪の対象犯罪とする必要があることになります。
 これに対し、御指摘のように、組織犯罪対策上特に必要で対処すべき緊急の必要がある犯罪に対象犯罪を限定するといった観点、基準は、本条約の規定に根拠を見出しがたいと言わざるを得ず、そのような、条約の規定に基づかない我が国独自の観点、基準によって対象犯罪を限定することは、本条約上許されていないと考えております。
 また、予備罪の予備行為につきましては、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合といった考え方を前提とすれば、先ほど委員も御説明になられたとおり、そのような危険性の認められる程度の準備がなければ処罰ができないということとなり、重大な犯罪の合意そのものを処罰の対象とする本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いものと考えております。
 したがいまして、御指摘のような観点、基準によって限定した対象犯罪に予備罪を設けたとしても、本条約の義務を履行することはできないと考えております。
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吉田宣弘#24
○吉田(宣)委員 野党提出の法案については、これは条約とは切り離されたところで考えなければいけないということはもちろんではございますけれども、その目的について、私は残念ながら十分理解することができません。あくまで条約との関係でやはり議論が進んでまいりましたので、その観点から今の質問をさせていただきました。
 次に、先日の法務委員会における参考人質疑において、木村参考人は、TOC条約には、捜査共助や情報交換、没収財産の被害者への返還の考慮等の規定等があり、犯罪被害の回復が図られることには大いな意味があるという貴重な御意見を述べておられました。
 我が党は、これまでも一貫して犯罪被害者に寄り添って、犯罪被害者保護の施策を提案し、さまざま実現してまいりました。最近では、被害実態に即してストーカー行為の厳罰化などを盛り込んだストーカー規制法の改正案が成立する、そういうところにも尽力もさせていただきました。
 テロ等準備罪の創設により、組織犯罪が未然に防止され得ること自体、新たな犯罪被害者を生まないという意味で大きな意義があることは言うまでもございませんが、木村参考人の御意見のように、犯罪被害者の被害回復という観点も私は大変に意義があるというふうに承知をしております。
 そこで、捜査共助等の国際協力の観点から見た場合、本条約を締結することは犯罪被害者の被害回復にどのように資すると言えるのか、外務省にお尋ねしたいと思います。
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飯島俊郎#25
○飯島政府参考人 お答え申し上げます。
 本条約を締結することにより、我が国との間で刑事共助条約を締結していない国との間で、捜査共助が法的義務に基づく共助として一層確実に実施されることが確保され、また、より迅速かつ効率的に実施されるようになることが期待されております。
 この点を犯罪被害者の被害回復の観点から見ますと、例えば、財産犯罪によって被害者から得られた犯罪収益が我が国から他の締約国に移転された場合、当該犯罪収益に関連する銀行記録の提供や犯罪収益の特定または追跡などを本条約を根拠として相手国に要請することが可能となります。これによって、他の締約国に移転された犯罪収益を追跡し確保することが一層期待されることになります。
 さらに、本条約におきまして、没収に関して、一定の条件を満たす犯罪収益について、他の締約国から没収の要請を受けたときはその協力を行うこととされておりますほか、締約国は、他の締約国の要請により、没収した犯罪収益について当該要請を行った他の締約国に返還するよう求められたときは、犯罪被害者に補償等ができるようにするために、当該犯罪収益を当該要請を行った他の締約国に返還することを優先的に考慮することとされております。
 したがいまして、例えば、犯罪収益が他の締約国に移転された場合には、我が国が本条約を根拠にして、当該犯罪収益を没収することの協力を要請したり、あるいは、没収に係る犯罪収益を我が国に移転するように求めることが可能となります。
 このように、本条約を締結し、捜査共助や没収等の国際協力に関する規定を活用することによって、犯罪被害者に対する被害回復の可能性が高まることが期待されます。
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吉田宣弘#26
○吉田(宣)委員 本条約を締結することによって、これまでなかなか困難であった被害回復という道が大きく前進をするものだというふうに私は強い期待を持っております。ぜひ早期に国内法整備を完了してこの条約を締結すること、これは一刻も急がれるというふうに私は認識をしておりまして、しっかりした議論を踏まえた上で、きちっと決めるべきときには決める、このことが私は大切であろうというふうに思います。
 次に、本法案の法務委員会の審議においては、実体法たる本法案に関連して、手続面、運用面における審議にも多くの時間が費やされてまいりました。
 そのような中、与党と日本維新の会が真摯に協議し、修正案が提示をされております。審議の経緯を踏まえた誠実な修正案であるというふうに私は評価をしたいところでございます。
 この修正案について、修正案の法六条の二第四項の趣旨について、修正案提出者から御説明を賜りたいと思います。
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國重徹#27
○國重委員 吉田委員にお答えいたします。
 修正案、法六条の二第四項は、テロ等準備罪に係る事件についての捜査を行うに当たっては、全般的に、その適正の確保に十分な配慮をすべき義務を捜査機関に課すものでございます。
 テロ等準備罪の捜査については、国会審議において、証拠収集方法としての取り調べが重要な意義を有することとなり、自白偏重の捜査が行われる懸念があるとの指摘や、違法な捜査によって人権侵害が生じることを懸念する声があるとの指摘などがありました。
 このことを踏まえ、テロ等準備罪に係る被疑者の取り調べその他の捜査については、その適正の確保に十分に配慮することを求めるため、テロ等準備罪の捜査全般について特に適正の確保を図るべきである旨の配慮義務を盛り込むよう修正することとしたものでございます。
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吉田宣弘#28
○吉田(宣)委員 捜査の適正は、この委員会においてもさまざま広く議論をされてきたことでございます。改めて、このような条文ができたことを私は高く評価したいと思います。
 では、先ほどの提出者の説明を受けて、政府の受けとめについてお聞きをしておきたいと思います。
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林眞琴#29
○林政府参考人 修正案の中の適正の確保に十分配慮しなければならない旨の規定、この趣旨については、今、修正案提案者からの御説明にありましたように、テロ等準備罪の捜査における証拠収集方法として取り調べが重要な意義を有することとなり、自白偏重の捜査が行われる懸念がある、こういった指摘など国会における議論を踏まえて、テロ等準備罪の取り調べその他の捜査について、その適正の確保に十分に配慮することを求めるものである、このように理解しているところでございます。
 本規定が置かれた場合には、捜査機関におきまして、このテロ等準備罪に関する国会の議論の経過を踏まえまして、一層慎重な対応をすることになると考えられます。
 法務当局といたしましても、この規定の趣旨、内容について、関係機関に十分に周知してまいりたいと考えております。
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