安倍晋三の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野田佳彦議員にお答えをいたします。
我が国の財政についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、国、地方合わせた税収が二十二兆円増加し、新規国債の発行額が十兆円減少し、国の一般会計プライマリーバランスを十四兆円改善させました。
そして、これまでも、社会保障の改革を含め、徹底的な歳出の重点化、効率化に取り組み、その結果、かつて毎年一兆円ずつふえていた社会保障費の伸びを、今年度予算に続き、来年度予算においても五千億円以下に抑えることができました。
私たちは、言葉だけではなく、結果を出しています。
さらに、平成二十九年度予算において、保育士及び介護人材等の処遇改善や、給付型奨学金を新たに創設するなど、一億総活躍の未来を切り開いていくための取り組みに重点化いたしました。
まず、これらの事実を明確にしておきたいと思います。
今後とも、経済・財政再生計画の枠組みのもと、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行し、経済再生を図りながら、二〇二〇年度におけるプライマリーバランスの黒字化を実現してまいります。
経済見通しについてお尋ねがありました。
平成二十八年度の成長率の見通しを引き下げたのは、平成二十八年度の前半に海外経済で弱さが見られたほか、個人消費や設備投資が所得、収益と比べ力強さを欠いた状況となったこと、また、消費税率引き上げの延期に伴い、駆け込み需要による押し上げ効果が見込まれなくなったこと等によります。
第三次補正予算案においては、平成二十八年度の税収について、対当初予算比で一・七兆円減の五十五・九兆円と見積もりました。その主な要因は、海外経済に弱さが見られる中で、平成二十八年の年初から円高が進行したことにより、法人税収や消費税収が当初予算から減少すると見込んだためであります。
なお、アベノミクスが行き詰まっているという御指摘ですが、税収について、平成二十九年度では、平成二十八年度補正後税収から一・九兆円増の五十七・七兆円と見込んでいます。これにより、安倍内閣において、国、地方合わせて、民主党政権時に比べて二十二兆円増加しているということも申し添えておきたいと思います。
平成二十九年度予算についてお尋ねがありました。
平成二十九年度予算においては、一億総活躍社会の実現に向け、保育士及び介護人材等の処遇改善や、給付型奨学金の創設などの主要な取り組みを確実に行う、科学技術振興費を伸ばすとともに、公共事業関係費の成長分野への重点化を行うなど経済再生に直結する取り組みを推進するなど、予算の中身を大胆に重点化しております。
めり張りに欠け、ニーズに的確に対応した予算とは言えないとの御指摘は当たりません。
人への投資といった観点についても、幼児教育の無償化について、住民税非課税世帯の第二子の無償化など、低所得世帯や一人親世帯等の負担軽減策の拡充を行っております。
また、保育士、介護人材等の処遇改善や、返還不要の給付型奨学金の創設に加え、無利子奨学金についても、低所得世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消しています。
民主党政権では、保育士の処遇について三年三カ月何も行わず、給与はむしろ引き下げられていました。安倍内閣は、言葉を重ねるだけではなくて、結果で応えてまいります。
なお、平成二十九年度予算における総合的なTPP関連政策大綱を実現するための予算については、海外展開を行おうとする中小企業等への支援などに必要な取り組みであり、TPP協定の発効を前提とするものではありません。
また、平成二十九年度の税収は、経済対策の推進等による雇用・所得環境の改善や、それに伴う消費や生産の増加等を見込んだ政府経済見通しを反映して見積もったものであり、適切であると考えています。
最大の経済対策は来年度予算の早期成立であり、御審議の上、速やかに御賛同いただきたいと考えております。
パリ協定についてお尋ねがありました。
政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への取り組みに最大限貢献していくとの立場から、パリ協定の締結のための作業を可能な限り迅速に進め、昨年十一月八日に締結しました。
COP22ではパリ協定の実施指針の策定が最重要課題であり、我が国はこの交渉に積極的に参加をいたしました。特に、我が国は、パリ協定の着実な実施のために、実施指針策定に明確な期限を設けるべきと主張いたしました。その結果、日本の主張が認められる形で、二〇一八年を期限とすることで合意が形成されました。
このように、我が国は気候変動問題に積極的に取り組み、世界をリードしてきており、対応を見誤ったとの指摘は全く当たりません。
我が国の経済協力についてお尋ねがありました。
ODAについて、国連では、先進国に対し、国民総所得に比べて〇・七%の支出を求めることを決定しております。この決定については民進党の皆さんも御承知のことと思います。これはミレニアム開発目標の一つに掲げられ、さらに、持続可能な開発目標においても引き続きこの目標を追求することとされています。
これに対し、我が国のODA支出は国民総所得の〇・二一%にとどまっており、率直に申し上げて、国連で設定された目標にはるかに達していないのが現状であります。民進党はそれでも多過ぎるとお考えなのでありましょうか。
ODAの供与に当たっては、我が国の厳しい財政状況をしっかり勘案しつつ、限られたODA予算の範囲内で無理なく実施でき、最大限の外交的効果が得られるよう工夫しています。さらに、支援の大部分を占める円借款は、その期限が来れば返済されることになっていることを指摘しておきます。協力の実施に当たっては、事後のモニタリング等も実施し、適正性の確保に努めています。
我が国も戦後、海外からの支援を受けて発展してきた事実も忘れてはなりません。国際社会で協力し、世界全体の発展に貢献することは、我が国自身が裨益することにもつながります。
ODAは日本外交の柱であり、途上国からも高く評価されています。日本だけがテロ、難民、貧困、感染症などの世界的な課題に目を背けるようなことがあってはならない、このように考えております。
トランプ新政権との関係についてお尋ねがありました。
まず、トランプ大統領が二十日に正式に大統領に就任されたことに対し、心から祝意を表します。
トランプ大統領は、就任演説で、選挙期間中に主張してきた米国第一主義を改めて掲げ、米国を再び偉大にするとの決意を国の内外に鮮明にされました。
日米は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のきずなでかたく結ばれた、揺るぎない同盟国であります。トランプ大統領とできるだけ早期に会談し、トランプ大統領との信頼関係のもとに、揺るぎない日米同盟のきずなをさらに強化していきたいと考えています。
トランプ政権の貿易政策については、今後、閣僚人事の承認が進み、体制が整うに従って具体化されてくることと思います。
まずは、日米経済関係をどのように発展、深化させていくか、新政権とさまざまなレベルで議論していきたいと思います。その中で、日本企業の米国経済への貢献等に関する説明を含め、主張すべきは主張し、理解を深めていきたいと考えています。
トランプ大統領も、自由で公正な貿易の重要性については認識していると考えており、TPP協定が持つ戦略的、経済的意義についても、腰を据えて理解を求めていきたいと考えています。
トランプ大統領がツイッターを活用されていることについては、現代はネット社会であり、政治家であればSNSを活用することは不可欠という時代に我々は生きている、そして多くの首脳も活用していると認識しています。
昨年十一月にトランプ大統領とニューヨークで会談した際に、トランプ氏は、現職の大統領がいる中で、次期大統領があたかも大統領のように振る舞うことは米国の国益にとってマイナスであるというしっかりとした認識を持ち、現職の大統領に対する敬意をしっかりと示されていました。信頼できる指導者である、そう確信の持てる会談でありました。この考えは、現在も変わることはありません。
日ロ関係と北方領土問題についてお尋ねがありました。
先月訪日したプーチン大統領とは、平和条約の問題について二人だけで交渉を行い、その結果、平和条約問題を解決する両首脳の真摯な決意を声明に書き込むことができました。プーチン大統領自身も記者会見で、最も重要なのは平和条約の締結であると明確に述べていました。大きな成果を上げたと考えています。
歴代の総理が交渉を重ねてきた努力の上に今日の交渉があると考えており、私とプーチン大統領との間でも、これまでに採択された全ての諸文書及び諸合意に基づいて交渉を進めることを確認しています。
四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、交渉を進めてまいります。
新たなアプローチのもと、日ロがともに北方四島の未来像を描き、その中から双方が受け入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想で、領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えています。
北方四島における特別な制度のもとでの共同経済活動については、今後、交渉を進めていく上で、双方にとって経済的に意義のあるプロジェクトの形成に努める考えであります。この方針のもと、将来の予算にかかわる事項については、国民の理解を得ながら進めていくべきことは当然のことであります。
山口での首脳会談の内容は、事柄の性格上申し上げられませんが、北方四島でのロシア軍による軍備強化については、我が国の立場と相入れず、遺憾である旨をロシア側に明確に申し入れてきています。
七十年以上動かなかった領土問題の解決は容易なことではありませんが、高齢となられた元島民の皆様の切実な思いを胸に、平和条約締結に向け、着実に前進していく決意であります。
日中関係についてお尋ねがありました。
日中関係には隣国ゆえの難しい課題もありますが、戦略的互恵関係の考え方の上に、大局的な観点から、ともに努力を重ね、関係改善を進めてまいります。
習近平国家主席とは、昨年九月のG20杭州サミット及び十一月のペルーでのAPECの際に会談し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年といった節目の機会を捉えて関係を改善させていくことで一致いたしました。
尖閣諸島周辺における中国公船の領海侵入に対しては、引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針のもと、冷静かつ毅然として対応してまいります。
南シナ海における一方的な現状変更の試みは国際社会共通の懸念事項です。引き続き、関係国と連携し、南シナ海をめぐる全ての当事国が国際法に基づく紛争の平和的解決に向けて努力する重要性を訴えてまいります。
慰安婦問題についてお尋ねがありました。
日韓合意は、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するものであり、この合意が全てです。我が国はこの合意を誠実に実行してきており、日本側の義務は全て果たしてきています。韓国側に対しても、合意を誠実に履行していくよう粘り強く求めていきます。
南スーダンPKO及び自衛隊の救急救命体制についてお尋ねがありました。
南スーダンでは、国づくりを支援するため、危険の伴う活動ではありますが、自衛隊にしかできない責務をしっかりと果たしています。自衛隊の活動はPKO参加五原則が前提であり、今後とも厳格な適用を図ってまいります。
また、五原則が維持されていても、安全を確保し、意義のある活動が困難と判断する場合には、撤収をちゅうちょすることはありません。この点は、今回初めて閣議決定においても明記しています。
政府としては、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国連や他の派遣国とも緊密に連携しつつ、想定されるあらゆる事態にしっかりと対応し得るよう、緊急撤収要領を不断に見直すなど、万全を期しているところです。
また、自衛隊が任務を遂行するに当たり、隊員の命を最大限に守ることは極めて重要であります。御党提出の法案については、議員立法に関するものであり、基本的に国会において判断いただくべきものと考えております。
いずれにせよ、有事の第一線における救命率の向上は重要な課題と認識しており、必要な体制の強化に努めてまいります。
宮内庁との意思疎通についてお尋ねがありました。
宮内庁からは天皇陛下の御活動状況など日ごろから報告は受けており、また、有識者会議には宮内庁にも出席を求めており、意思疎通に何ら問題はないものと考えております。
なお、御質問の前提とされている元号等に関する報道の内容については、政府は全く関知しておらず、これをもとにさまざまな臆測がなされていることについては、まことに遺憾です。
天皇陛下の御公務の負担軽減等に関する有識者会議での検討の方向性についてお尋ねがありました。
昨年八月の天皇陛下のお言葉に対する国民の皆様の受けとめを踏まえ、現在、予断を持つことなく有識者会議で御議論いただいており、本日、論点整理が行われる予定です。
有識者会議においては、この論点整理に対する各方面の動向等も見据えつつ、さらに議論を深め、提言を取りまとめていただくこととしています。
天皇陛下の御公務の負担軽減等に係る立法府との関係についてお尋ねがありました。
この問題は、国の基本、そして、長い歴史とこれからの未来にかけての極めて重い課題であります。決して政争の具にしてはならず、政治家がその良識を発揮しなければならないものであります。
今後、衆参両院におかれまして、議長、副議長を中心に各党各会派からの意見聴取が行われるものと承知しております。それをしっかり受けとめ、政府における検討をさらに進めていく所存であります。(拍手)
—————————————