安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二階俊博幹事長にお答えをいたします。
 国土強靱化の推進についてのお尋ねがありました。
 昨年は熊本地震や台風被害など多数の災害が発生し、今後も南海トラフ地震等の発生が懸念される中、国土強靱化は、我が国にとって焦眉の急であります。
 施設の耐震化、避難施設や海岸堤防の整備、防災訓練の実施など、ハードとソフトを適切に組み合わせ、オール・ジャパンで国土強靱化を強力に進めてまいります。
 また、国土強靱化は、我が国を訪れる外国人に対する一種のおもてなしでもあります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、選手や観客、国民の皆様が安心して大会を楽しむことができるよう、首都の強靱化、避難誘導等の対策を強化するとともに、安全、安心な国日本を世界に向けて発信してまいります。
 東北の復興についてお尋ねがありました。
 東日本大震災から間もなく七年目を迎え、復興・創生期間も二年目に入ろうとしております。復興は着実に進展しておりますが、今後とも、切れ目のない被災者支援や、住まいと町の復興、なりわいの再生を一層加速化してまいります。
 福島の復興再生は、引き続き、国が前面に立って、全力で取り組んでまいります。
 帰還困難区域以外の区域については、避難指示解除や帰還に向けて、引き続き環境整備に取り組んでまいります。帰還困難区域についても、新たな制度のもと、復興拠点を設け、ふるさとに戻って住めるようにすることを目指します。
 福島復興特措法の改正案を提出し、成立に向けてしっかり議論を重ねてまいります。
 東北には、美しい自然、おいしい食べ物などの魅力があふれています。観光先進地東北を目指し、東北の外国人宿泊者数を二〇二〇年に百五十万人にするという目標の達成に向け、東北の観光復興を加速してまいります。
 東北の復興なくして日本の再生なし。あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
 沖縄の負担軽減と抑止力維持に向けた決意についてお尋ねがありました。
 沖縄の基地負担の軽減を図ることは、政府の大きな責任です。地元の皆さんの理解を得る努力を続けながら、確実に結果を出していかなければなりません。
 先月、北部訓練場、四千ヘクタールの返還が二十年越しで実現しました。沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後最大の返還です。地位協定についても、半世紀の時を経て初めて、軍属の扱いを見直す補足協定が実現しました。
 引き続き、普天間飛行場の全面返還に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提です。引き続き、事故の再発防止を強く求めるとともに、米側と連携を密にして、安全確保に万全を期してまいります。
 今後とも、米国との信頼関係のもと、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に一つ一つ結果を出していく決意です。
 世界津波の日についてお尋ねがありました。
 世界津波の日の制定は、津波の脅威と防災の知見を過去から学び、将来のリーダーを育成する観点から、日本にとってのみならず、世界にとって非常に有意義であり、制定を主導された二階議員に改めて敬意を表したいと思います。
 昨年、高知県の黒潮町で初めて開催された世界津波の日高校生サミットでは、参加した高校生が、津波防災に関して活発に意見交換を行い、高台への避難訓練を体験し、成果を黒潮宣言として取りまとめるとともに、「稲むらの火」で有名な和歌山県を訪問するなど、大変充実したプログラムのもと、貴重な経験ができたと承知しています。
 昨年に続いて、本年、世界津波の日高校生サミットを沖縄県で開催することは、防災教育や防災を通じた青少年交流の観点から、大変意義深いことと考えます。
 中山間地域の農業についてお尋ねがありました。
 中山間地域は、農業産出額と耕地面積のそれぞれ四〇%を占めるなど、我が国農業、農村の中で重要な役割を果たしております。
 農は国の基であり、中山間地域などの美しい田園風景を守ることは政治の責任です。
 しかしながら、農業従事者の平均年齢が六十六歳を超えていることを初め、農業をめぐる状況は厳しいものとなっています。特に、第一次産業就業者の割合が高い中山間地域の農業の振興は、地域の活力の維持や多面的機能の発揮の観点から、大変重要な課題であると認識しています。
 このため、安倍内閣では、中山間地域の困難な状況の中でも創意工夫を発揮して、付加価値の高い農産物の生産や六次産業化などに取り組む意欲ある農業者を積極的に支援してきました。
 また、農業、農村の多面的機能の発揮のための地域活動や営農の継続等を支援するため、平成二十六年度から日本型直接支払い制度を実施しております。
 さらに、平成二十九年度当初予算においては、地域の特色を生かした取り組みを後押しするため、中山間地農業ルネッサンス事業を創設することといたしました。都道府県が作成する地域別農業振興計画に基づいて実施される多様な取り組みを総合的、優先的に支援することとしております。
 これらの事業を初め、政府としては、引き続き、多様な施策を講じ、中山間地域の農業の振興と発展を図ってまいります。
 給付型奨学金制度の意義と教育投資のあり方についてお尋ねがありました。
 我が国の未来、それは子供たちであり、一人一人の個性を大切にする教育再生を着実に進めることが重要です。
 どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。
 このため、高校生への奨学給付金を拡充するとともに、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。さらに、新年度から、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することとしました。
 教育投資は未来への先行投資です。一人一人の豊かな人生と、成長し続け、安心して暮らせる社会の実現に必要な国家戦略として、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実にしっかりと取り組んでまいります。
 経済最優先に当たる決意についてお尋ねがありました。
 五年前、日本にはまだ、まさにデフレマインド、諦めという名の壁が立ちはだかっていました。しかし、政権交代後、アベノミクスによって、極めて短い期間で、デフレではないという状況をつくり出すことができ、名目GDPは四十四兆円、実質GDPは二十五兆円増加し、過去最高の水準となりました。
 特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百十万人近く増加、有効求人倍率は、史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現し、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は二年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
 さらに、国、地方を合わせた税収は二十二兆円増加しました。
 昨年後半から世界経済も全体として上向きつつある中、日本経済にも明るい兆しが見られます。
 この機を捉え、本年もぶれることなく、経済最優先で、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢の政策を続け、デフレから脱却し、日本経済の新たな成長軌道を確固たるものとしていく決意であります。
 成長戦略としての地球温暖化対策の取り組みについてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、地球温暖化対策と経済成長を両立させる鍵は、イノベーションです。
 政府としては、エネルギー・環境イノベーション戦略に基づき、次世代の蓄電池や太陽光発電等の研究開発強化に取り組みます。
 パリ協定を契機として、途上国を含め、世界の低炭素市場の一層の拡大が見込まれます。我が国が有するすぐれた技術を生かして、国内のみならず世界全体の温室効果ガスの排出削減等に最大限貢献し、我が国のさらなる経済成長につなげてまいります。
 社会保障制度についてお尋ねがありました。
 社会保障制度を持続可能なものとして次世代に引き渡していくことは、安倍内閣の重要な責務です。不断の改革を行い、国民の理解が十分に得られるよう取り組んでまいります。
 そのため、引き続き、所得の低い方々には配慮しつつ、医療や介護などの給付と負担のあり方について不断の見直しを行い、世代間、世代内の負担の公平を図るなど、社会保障制度の持続性確保に向けた改革を進めます。
 その際、若者も含め全ての世代の安心と納得を得られる全世代型の社会保障とすることが重要であります。高齢者人口がふえていく中で、現役世代、子育て世代への支援を強化するため、保育士及び介護人材等の処遇改善や、保育、介護の受け皿整備などを実施してまいります。
 地方創生にかける意気込みについてお尋ねがありました。
 日本の地方には、それぞれの魅力、観光資源、ふるさと名物があります。例えば、飛騨高山は、北アルプスや温泉、高山祭り、伝統工芸品といった地域が誇る観光資源や農林水産物をブランド化し組み合わせることで、多様な外国人観光客の獲得に成功しました。御紹介いただいた和歌山県田辺市の秋津野ガルテンは、遊休資産を再生し、新たな企業や人を呼び込みました。
 このような地域の魅力を磨いて経済を活性化させる意欲的な挑戦を、自由度の高い地方創生推進交付金などによって重点的に支援します。
 誰一人見捨てない。誰一人忘れない。
 例えば、過疎が進む中山間地域、安心して暮らしていけるよう、買い物、交通、コミュニティーの維持など、さまざまな機能を複数の集落が連携して確保する小さな拠点づくりを支援していきます。
 今後とも、情報、人材、財政面での支援などあらゆる手段を活用し、地方創生にチャレンジする地方の皆様を全力で応援します。
 天皇陛下の御公務の負担軽減等に関する検討の進め方についてお尋ねがありました。
 昨年八月の天皇陛下のお言葉に対する国民の皆様の受けとめを踏まえ、現在、有識者会議で御議論いただいており、本日、論点整理が行われる予定です。
 この問題は、国の基本、そして、長い歴史とこれからの未来にかけての極めて重い課題であります。決して政争の具にしてはならず、政治家がその良識を発揮しなければならないものであります。
 今後、衆参両院におかれまして、議長、副議長を中心に各党各会派からの意見聴取が行われるものと承知しております。それをしっかり受けとめ、政府における検討をさらに進めていく所存です。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 ことしは、憲法施行から七十年の節目の年です。
 憲法は、国の未来そして理想の姿を語るものであり、新しい時代の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神が、日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと考えております。
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった現行憲法の基本原理を堅持することは当然のことでありますが、新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、国会の憲法審査会において議論が深められ、具体的な姿があらわれてくることを期待したいと思います。
 フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナム訪問の成果についてお尋ねがありました。
 今回訪問した各国の首脳とは既に何回も会談を重ねていますが、今回はさらに胸襟を開いて、二国間関係や地域の課題について率直な議論を行うことができました。
 特に、航行の自由、法の支配、紛争の平和的解決、武力による威嚇や武力の行使に訴えないことといった基本原則を堅持していくことが重要であることを各国首脳と確認することができたことは大きな成果であります。
 自由で公正な経済圏を拡大していくことの重要性を確認したこと、多数の経済界のリーダーに同行していただき、トップセールスを行ったことも非常に有意義でありました。
 この四カ国への訪問は、本年の地球儀を俯瞰する外交の皮切りとして、大きな成果を上げることができたと考えます。
 今後の日米関係についてお尋ねがありました。
 まず、トランプ大統領が二十日に正式に大統領に就任されたことに対し、心から祝意を表します。
 昨年十一月にトランプ大統領とニューヨークで会談を行い、さまざまな課題について私の基本的な考え方を伝えました。温かい雰囲気の中、大変充実した意見交換を行い、日米同盟の重要性を確認できたと考えています。
 日米同盟は、我が国の外交、安全保障の基軸であり、トランプ大統領とできるだけ早期に会談したいと考えています。アジア太平洋や世界の平和と繁栄について幅広く意見交換し、トランプ大統領との信頼関係のもとに、揺るぎない日米同盟のきずなをさらに強化していきたいと考えています。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上たってもロシアとの間で平和条約が締結されていないことは異常であり、これを打開するために、首脳同士の信頼関係のもとに解決策を見出していく必要があります。
 先月訪日したプーチン大統領とは、平和条約の問題について二人だけで交渉を行い、その結果、平和条約問題を解決する両首脳の真摯な決意を声明に書き込むことができました。プーチン大統領自身も記者会見で、最も重要なのは平和条約の締結であると明確に述べていました。大きな成果を上げたと考えています。
 元島民の方々のふるさとへの自由な訪問やお墓参り、北方四島全てにおける特別な制度のもとでの共同経済活動について交渉を開始することで合意し、新たなアプローチのもと、平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏み出すことができました。
 部落差別解消に向けた意気込みについてお尋ねがありました。
 部落差別のない社会を実現することは重要な課題であります。政府としても、これまで、教育、啓発活動など、さまざまな施策を講じてきたところでありますが、さきの国会で成立した部落差別の解消の推進に関する法律の趣旨を踏まえて、今後とも、差別の解消に向けてしっかりと対処してまいりたいと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

発言情報

speech_id: 119305254X00220170123_009

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-01-23

院: 衆議院

会議名: 本会議