安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。
 イノベーション創出とその支援策についてお尋ねがありました。
 人口が減り、超高齢化社会を迎える中で、国民生活を豊かにするそのため、御指摘のとおり、課題解決型のイノベーション創出に向け、人工知能やロボットなど、近年の目覚ましい技術革新を産学官が一体となって活用していきます。
 例えば、自動走行については、我が国の英知を結集した研究開発を進めるとともに、官民でロードマップを策定し、安全面を含めて、必要な制度やインフラの整備をまとめています。
 こうした動きに企業も呼応し、ロボットタクシーの実験が藤沢市で実施され、自動運転機能を国産で初搭載したミニバン車が昨年八月に発売されています。
 あすからは、高齢ドライバーの交通事故防止対策の一環として、関係省庁の副大臣が集まり、自動ブレーキなどを搭載した自動車の普及啓発について検討していきます。
 人工知能については、人工知能技術戦略会議において、研究開発目標と産業化のロードマップを本年度中にまとめます。この中で、産学官一体の研究拠点において、介護士の動作などのデータを人工知能によって解析し、介護支援ロボットの研究開発に取り組む予定です。
 こうした技術を産業の現場に速やかに導入するため、革新的な物づくり、サービス開発などの整備、投資を支援するとともに、安全性の確保に加え、個人情報の取り扱い、人工知能時代に活躍できる人材の育成、確保など、幅広い課題に取り組んでいきます。
 地域の成長戦略についてお尋ねがありました。
 みずからの未来を創意工夫と努力で切り開く。安倍政権は、地方の意欲的なチャレンジを応援します。
 地域経済を支える中小企業の生産性向上を図ります。
 一定の要件を満たす経営計画を持った企業であれば、赤字であっても活用できる固定資産税の軽減措置や低利融資等の支援を、製造業から小売サービス業に拡大します。地域経済を牽引する事業を、税、予算、低利融資、規制緩和といった政策手段を組み合わせて重点的に支援してまいります。
 インバウンド需要を取り込むための地域ぐるみでのリノベーションや、農産物輸出に向けた地域商社による販路開拓を実現します。
 日本の地方には、それぞれの魅力、観光資源、ふるさと名物があります。例えば、福島県の歴史的な宿場町、大内宿では、人里離れた山間部に立ち並ぶカヤぶき屋根の民家群を再生し、魅力的な観光資源として開花させました。このような地域の魅力を磨いて経済を活性化させる意欲的な挑戦を、自由度の高い地方創生推進交付金などによって応援します。
 地方経済の核である農業については、農業競争力強化プログラムに基づき、生産資材価格の引き下げや、米などの農産物の流通、加工改革、農産物輸出のさらなる拡大、収入保険制度の導入、生乳改革など、大胆な構造改革を進めてまいります。加えて、中山間地域や都市において、その特色を生かした農業振興を図ってまいります。こうした取り組みを通じ、成長と分配の好循環を全国津々浦々まで広げてまいります。
 長時間労働の是正についてお尋ねがありました。
 一年余り前、入社一年目の女性が、長時間労働によって過酷な状況の中、みずから命を絶ちました。このような悲劇を二度と繰り返してはならないとの強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。しっかりと問題の構造を突き詰め、時間外労働の限度は何時間なのか具体的に定め、実行しなければなりません。
 政府としては、三月の働き方改革実行計画の取りまとめに沿って、いわゆる三六協定でも超えることができない、罰則つきの時間外労働の限度を定める法改正に向けて作業を加速し、早期に法案を提出します。
 また、勤務間インターバルは、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要です。インターバルを導入する中小企業への助成金の創設や好事例の周知を通じて、自主的な取り組みを推進し、規制導入についての環境整備を進めます。
 大切なことは、スピードと実行です。もはや先送りは許されません。実効性のある施策を必ずややり遂げるという強い意思を持って取り組んでまいります。
 非正規雇用の処遇改善についてお尋ねがありました。
 いわゆる就職氷河期に就職時期を迎えたことなどにより、現在、不本意ながら非正規として働いている方々などの処遇改善や正社員化を進めることは極めて重要と考えております。このため、平成二十九年度予算では、正社員として雇い入れた事業主への助成措置の新設、資格の取得などを可能にする長期訓練の拡充などの支援施策を盛り込んでいます。
 また、同一労働同一賃金については、昇給の扱いが違う、通勤などの各種手当が支給されない、福利厚生や研修において扱いが異なるなど、不合理な待遇差を個別具体的に是正するため、賃金にとどまらず、教育訓練もカバーした詳細なガイドライン案を昨年末公表しました。
 このガイドライン案の実効性を担保するため、裁判での強制力を持たせるようにする法改正案の早期国会提出を目指し、三月の働き方改革実行計画の取りまとめを受けて立案作業を進めます。
 これらの取り組みを着実に進め、非正規労働者の処遇改善や正社員化に全力で取り組んでまいります。
 社会保障と税の一体改革の必要性と推進についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、引き続き、社会保障と税の一体改革を進めていくことが必要です。
 平成二十九年度予算においては、喫緊の課題である年金受給資格期間の短縮や保育の受け皿の確保など、社会保障の充実を進めているところであり、今後とも、世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすため、社会保障と税の一体改革を着実に推進してまいります。
 医療保険制度改革についてお尋ねがありました。
 今回の医療保険制度の改革は、社会全体が高齢化し、医療費が増大する中、制度を持続可能なものとし、次世代に引き渡していくため、高齢者の方々にも、制度の支え手として、負担能力に応じた御負担をいただくものです。
 このため、今回の改革においては、七十歳以上の高額療養費制度の見直しや七十五歳以上の保険料軽減特例の見直しなどを行います。その際、所得の低い方については自己負担の上限額を据え置き、長期に療養される方の外来の自己負担がふえないよう年間上限を創設して負担額を抑える、さらに、所得の低い方の保険料軽減特例は据え置くなど、きめ細かな配慮を行うこととしています。
 政府としては、このような改革を行うことにより、制度の持続可能性を高めてまいります。あわせて、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく確保される地域包括ケアシステムの構築にしっかり取り組んでまいります。
 年金制度の充実についてお尋ねがありました。
 年金の受給資格期間の短縮については、御党から強い御要望をいただいており、政府としても無年金の問題は喫緊の課題と考えていることから、消費税率引き上げを延期した中でも、本年八月に施行し、十月から新しく六十四万人の方々に年金支給を開始することとしました。
 加えて、今般の年金改革法により、本年四月から、中小企業で働く短時間労働者に被用者保険の適用拡大の道を開くとともに、平成三十一年四月からは、いわゆる第一号被保険者の産前産後期間の保険料を免除することとしております。今後、これらの改革の円滑な施行に取り組んでまいります。
 なお、年金生活者支援給付金も含め、社会保障・税一体改革による社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率引き上げを延期した以上、全てを行うことはできませんが、引き続き、可能な限り実現できるよう取り組んでまいります。
 がん対策についてのお尋ねがありました。
 国民の二人に一人がかかると言われているがんは、国民の関心が高く、早期発見、早期治療とともに、療養中の生活の質の向上が重要であると考えます。
 昨年十二月、がん対策基本法が改正され、仕事と治療の両立のためのがん患者の就労支援やがんに関する教育の推進などが盛り込まれました。
 既に政府においては、働き方改革実現会議などにおいて、企業と医療機関の連携など、具体策の検討を進めています。
 本年夏を目途に策定する次期がん対策推進基本計画においては、がん検診の受診率の向上、緩和ケアの充実、がん研究の推進などに取り組むとともに、この改正法の趣旨も反映し、就労支援やがん教育などをさらに推進するための方策を盛り込み、がんになっても安心して暮らせる社会の構築に全力で取り組みたいと考えております。
 教育支援の拡充についてのお尋ねがありました。
 我が国の未来、それは子供たちであり、一人一人の個性を大切にする教育再生を着実に進めることが重要であります。どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。このため、これまでも、幼児教育無償化の段階的推進、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであります。
 来年度からは、御党の提言も踏まえ、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。さらに、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することとしました。
 意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ないということがあってはなりません。家庭の経済状況にかかわらず、必要とする全ての子供に教育の機会を与えられるようにしていきたい。今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担の軽減にしっかりと取り組んでまいります。
 東日本大震災の復興支援、原子力事故災害からの福島の復興についてのお尋ねがありました。
 井上議員におかれては、公明党の東日本大震災復興加速化本部長として、累次にわたり与党提言の取りまとめを主導していただいており、改めて感謝申し上げます。
 ことしの三月で、東日本大震災から六年がたちます。復興庁を司令塔として、省庁の縦割りを排し、現場主義を徹底し、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興に取り組んでまいりました。
 復興は着実に進展しておりますが、今後とも、切れ目のない被災者支援や、住まいと町の復興、なりわいの再生を加速化してまいります。
 原子力災害からの復興再生についても、引き続き国が前面に立って全力で取り組んでまいります。
 福島復興特措法を改正し、福島イノベーション・コースト構想を推進するとともに、帰還困難区域についても、新たな制度のもと、復興拠点を設け、ふるさとに戻って住めるようにすることを目指します。帰還困難区域以外の区域については、引き続き、避難指示解除や帰還に向けて、着実に環境整備に取り組んでまいります。
 福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。
 あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
 日中、日ロ関係についてお尋ねがありました。
 昨年九月のG20杭州サミット及び十一月のペルーAPECの際に習近平国家主席と会談し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年といった節目の機会を捉えて、関係を改善させていくことで一致しました。
 日中関係には隣国ゆえの難しい問題もありますが、御指摘の与党間交流を初め、連立与党において、政党間、議員間の交流を今後も積極的に積み重ねていっていただくことは非常に有意義であると考えます。
 政府としても、引き続き、戦略的互恵関係の考え方の上に、大局的な観点から、ともに努力を重ね、関係改善を進めてまいります。
 戦後七十年以上たってもロシアとの間で平和条約が締結されていないことは異常であり、これを打開するために、首脳同士の信頼関係のもとに解決策を見出していく必要があります。
 先月訪日したプーチン大統領とは、平和条約の問題について二人だけで交渉を行い、その結果、平和条約問題を解決する両首脳の真摯な決意を声明に書き込むことができました。プーチン大統領自身も記者会見で、最も重要なのは平和条約の締結であると明確に述べていました。大きな成果を上げたと考えます。
 元島民の方々のふるさとへの自由な訪問やお墓参り、北方四島全てにおける特別な制度のもとでの共同経済活動について交渉を開始することで合意し、新たなアプローチのもと、平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏み出すことができました。この機会に弾みをつけるため、本年の早い時期にロシアを訪問したいと考えています。
 七十年以上動かなかった領土問題の解決は容易なことではありませんが、高齢となられた元島民の皆様の切実な思いを胸に、平和条約締結に向け、着実に前進していく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

発言情報

speech_id: 119305254X00320170124_009

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-01-24

院: 衆議院

会議名: 本会議