安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫委員長にお答えをいたします。
南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
御指摘の敵対行為が何を意味するものか、必ずしも明らかではありませんが、国連の報告書において、UNMISSに対する移動制限等が報告されていることは承知しています。
他方、南スーダン政府自身は、これまで累次の機会にUNMISSへの協力を表明してきています。
また、自衛隊に対しては、南スーダンのキール大統領から、また、政府内で反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領からも感謝の言葉が示されており、南スーダン政府によるUNMISS及び自衛隊に対する受け入れ同意は安定的に維持されているものと考えています。
このように、南スーダン政府が自衛隊に敵対するものとして登場しないことを確保していることから、自衛隊が南スーダン政府との間で駆けつけ警護の任務に基づき武器を使用する事態が生じることは想定されず、自衛隊が憲法の禁ずる武力の行使を行うことはありません。
南スーダンPKOの日報についてのお尋ねがありました。
御指摘の日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています。
なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しています。
いずれにせよ、行政機関の作成した文書については、関係法令等に基づいて取り扱いを行うべきことは当然と考えております。
政府としては、これまでも、南スーダンPKO活動について、さまざまな機会を捉えて国民の皆様への丁寧な説明を心がけており、今後とも適時適切な説明に努めてまいります。
南スーダン制裁に関する安保理決議案についてのお尋ねがありました。
我が国は、南スーダン政府が状況改善のための取り組みを進める中で、制裁決議案が南スーダンの平和と安定に資するものであるかとの観点から検討を行いました。
大切なことは、南スーダンの状況を改善し、平和と安定を図ることです。そのためには、南スーダン政府が進めているPKO部隊の増強に向けた協力や国民対話の実施など、前向きな取り組みを後押しすることが重要です。
また、当時、南スーダン政府は、新たに創設が決定されていたPKO部隊の即時受け入れを閣議決定したばかりでありました。このため、米国とは異なる判断となりましたが、そのようなタイミングにおいて武器禁輸及び主要な当事者への制裁を行うことは生産的ではないと我が国として判断をしたものであります。
現地の危機的な状況をみずから認めることになることが棄権した理由との指摘は、全く的外れであります。また、他国の意見の逐一についてコメントすることは差し控えたいと思います。
これまでも、我が国は、自衛隊派遣のみならず、人道支援や民生支援などで大きな貢献を行い、南スーダンや国連を初め国際社会から高い評価を受けています。今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国際社会の平和と安定に貢献していく考えであります。
貧困と中間層についてお尋ねがありました。
安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものです。成長し、富を生み出し、それが国民に広く均てんされ、多くの人たちがその成長を享受できる社会を実現していきます。
格差等の問題について、例えば相対的貧困率については、長期的に緩やかに上昇する傾向にありましたが、昨年公表された全国消費実態調査では、集計開始以来初めて低下しています。
特に子供の相対的貧困率は、十五年前の九・二%から、十年前に九・七%と上がり、五年前に九・九%とさらに上がったものが、今回七・九%と二ポイント改善しています。これは初めてのことであります。これは、アベノミクスの成果により、雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、子育て世帯の方々の収入が増加したことによるものであります。
こうした状況をさらに推し進めるため、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を加速してまいります。
同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増すことにつながると考えています。
アベノミクスをさらに加速させ、こうした取り組みを続けることにより、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会をつくり上げてまいります。
消費税率引き上げの中止等についてお尋ねがありました。
消費税率の一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要であり、中止することはありません。
その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てられることとしており、所得の再分配に資するものであります。
御指摘の金融所得課税については、平成二十六年から、上場株式等の配当及び譲渡益について、地方税を含め一〇%の軽減税率を廃止し、地方税を含め二〇%の本則税率としたところであります。
加えて、安倍内閣においては、税制の再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引き上げ、給与所得控除の見直し、相続税の最高税率の引き上げ等を講じてきたところであります。
今後の税制のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えております。
平成二十九年度予算と社会保障等についてのお尋ねがありました。
平成二十九年度予算は、経済・財政再生計画の二年目に当たる予算であり、現下の重要な課題に的確に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立を実現するものとして適切に編成しています。
防衛関係費については、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、中期防衛力整備計画の対象経費として、南西地域の島嶼部における防衛態勢の強化等のために必要な経費を計上しています。
また、公共事業関係経費については、厳しい財政状況も踏まえ、豪雨・台風災害等を踏まえた防災・減災対策などへの重点化を行い、全体として前年度同水準としたところであります。
社会保障に関しては、少子高齢化が進行する中で、社会保障費の伸びが引き続き見込まれる中、持続可能な社会保障制度を構築するために、医療や介護などの給付と負担のあり方について不断の見直しを行いつつ、社会保障・税一体改革やニッポン一億総活躍プランに掲げた充実を図ってきたところです。
具体的には、社会保障の充実について、安定財源を確保して、保育、介護の受け皿整備や年金の受給資格期間の短縮などを実施することとしたほか、保育士、介護人材等の処遇改善を実施することとしております。
御指摘の、格差と貧困の是正につながる予算についても、先ほど申し上げた社会保障の充実のほか、返還不要の給付型奨学金の創設に加え、無利子奨学金の拡充を行っています。また、幼児教育の無償化について、低所得世帯や一人親世帯等の負担軽減策の拡充を行っています。
なお、安倍内閣において、平成二十七年度、二十八年度に取り組んだ法人税改革は、課税ベースの拡大等により、財源をしっかりと確保しながら税率を引き下げたものであり、ばらまき減税との御指摘は当たりません。
給付型奨学金についてのお尋ねがございました。
教育投資は未来への先行投資です。特に、どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。このため、これまでも、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであります。
来年度からは、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにするとともに、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することといたしました。
意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ないということがあってはなりません。高等教育について、家庭の経済状況にかかわらず、必要とする全ての子供が機会を与えられるようにしていきたい。今後とも、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
労働法制に関するお尋ねがありました。
一年余り前、入社一年目の女性が、長時間労働によって過酷な状況の中、みずから命を絶ちました。このような悲劇を二度と繰り返してはならない。正規、非正規にかかわらず、過重労働で苦しむ人々がいなくなるよう、労働基準監督機関による監督指導を徹底するとともに、長時間労働の是正に取り組みます。
平成二十七年に成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものです。施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。
なお、非正規雇用を取り巻く雇用環境については、不本意ながら非正規の職についている方の割合は前年に比べて低下、働き盛りの五十五歳未満では、二〇一三年から十五四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているなど、着実に改善しています。
また、二〇一五年については、正規雇用労働者が、第一次安倍内閣以来八年ぶりに前年比でプラスに転じ、二十六万人増加しました。
正社員の有効求人倍率も〇・九〇倍と、調査開始以来過去最高となっています。
平成二十九年度予算においても、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしています。
同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。
正規と非正規の間の待遇差については、昨年末に公表したガイドライン案において、均衡だけではなく均等にも踏み込み、職務内容や人材活用の仕組みなどが同じであれば同一の待遇を保障し、違いがあれば違いに応じた待遇を保障することとしています。
このような考え方に沿って、三月の働き方改革実行計画の取りまとめを受けて、法改正の早期国会提出を目指し、立案作業を進めます。
なお、欧州の法制度においても、待遇差そのものではなく、合理性のない待遇差を禁止していると承知しています。
長時間労働是正についてのお尋ねがありました。
現在提出している労働基準法改正案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものです。残業代ゼロ法案といったレッテル張りの批判に明け暮れていては、中身のある議論はできないと考えます。
政府としては、実現会議で取りまとめる三月の実行計画に沿って、いわゆる三六協定でも超えることができない、罰則つきの時間外労働の限度が何時間か具体的に定め、法改正に向けて作業を加速し、早期に法案を提出します。
また、インターバル規制については、中小企業への助成金の創設などを通じて、規制導入について環境整備を進めます。
大企業と中小企業の賃金格差及び中小企業政策の基本についてお尋ねがありました。
安倍政権の中小企業政策は、多様で活力のある成長、発展を図ることを目的としています。
御指摘の大企業と中小企業の間の賃金格差は、中小企業の労働生産性が大企業に比べて低いことが要因であります。これを改善するため、自助努力を支援するという原則に立ちつつ、多様な中小企業が生産性を高め、賃金の引き上げを行えるよう、しっかりと支援してまいります。
具体的には、一定の要件を満たす経営計画を持った企業であれば、赤字であっても活用できる固定資産税の軽減措置や低利融資等の支援を創設しました。これを製造業から小売サービス業にも拡大することで、商店街等における攻めの投資を促します。
下請中小企業の取引条件改善に向けて、五十年ぶりに下請代金の支払いについて通達を見直し、現金払いを原則としました。さらに、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改正し、金型を無料で保管させるなど、コストの一方的な押しつけが禁止されていることを明確にしました。
小規模事業者については、経営者の高齢化等により減少していますが、安倍政権では、平成二十六年に成立した小規模企業振興基本法に基づき、販路開拓に対する助成など、支援施策を充実させています。
引き続き、きめ細かな取り組みにより、中小企業の賃上げを後押しし、成長と分配の好循環を実現してまいります。
核兵器廃絶に関するお尋ねがありました。
核兵器を廃絶するためには、核兵器国がそれに同意することが必要不可欠であります。
御指摘の核兵器禁止条約の交渉開始決議については、最初から核兵器国は一国たりとも交渉に参加せず、決議にも賛成しませんでした。この決議は、核兵器国と非核兵器国の間の亀裂を一層深め、核兵器のない世界の実現をさらに遠のかせてしまう結果となることから、我が国は反対しました。米国の圧力に屈したとの批判は当たりません。
先ほど南スーダンの件では米国に賛成しろと迫り、今度は米国の圧力に屈したと批判をしている。これはまさにちぐはぐではないでしょうか。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取り組みをリードしていく使命を有しています。
我が国としては、核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、核兵器のない世界の実現に向けて、現実的かつ実践的な取り組みを重ねてまいります。
沖縄における基地負担軽減についてのお尋ねがありました。
北部訓練場、四千ヘクタールの返還は、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することにより、二十年越しで実現したものであり、沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後最大の返還であります。
地元の国頭村や東村からは、国立公園の指定、世界自然遺産への登録を目指すとして、早期返還の要望を受けていたものであり、基地負担軽減に大きく寄与するものであります。
普天間飛行場の辺野古移設のための埋立面積は全面返還される普天間の面積の三分の一以下であり、滑走路の長さも大幅に短縮されています。滑走路が二本になるのは、地元の要望を踏まえ、離陸、着陸のいずれの飛行路も海上になるよう、V字形に配置するためです。これにより、騒音も大幅に軽減されます。
また、岸壁の整備は、故障した航空機を搬出する運搬用の接岸のためのものであり、強襲揚陸艦の運用を前提とするものではありません。
このように、沖縄の海兵隊基地を抜本的に強化、固定化するとの御指摘は全く当たりません。
沖縄における選挙の結果については、いずれの選挙の結果も真摯に受けとめております。
沖縄の基地負担の軽減を図ることは、政府の大きな責任です。同時に、この思いは、国も沖縄の皆さんも同じであり、変わらないはずだと思います。政府の進めている負担軽減の取り組みが沖縄の民意を踏みにじるとの御指摘は当たりません。
引き続き、地元の皆さんの御理解を得る努力を続けながら、普天間の全面返還に向けて全力で取り組んでまいります。
オスプレイの事故についてのお尋ねがありました。
オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提です。
先般のオスプレイの不時着水事故については、事故後、飛行停止と空中給油訓練の停止措置がとられましたが、その再開に当たっては、米軍だけの判断ではなく、日米で協議を行い、日本政府においても、防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らして独自に分析を行いました。
その結果、米国が、事故を引き起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広くとっていることを確認しました。また、今後とも、空中給油訓練は陸上から離れた場所でしか行わないことも確認しています。
これらのことから、日本政府として、再発防止について有効な対策等がとられていると判断したことから、その再開については理解できると述べたものであります。
いずれにせよ、沖縄県民や国民の安全よりも日米同盟を優先するとの御指摘は全く当たりません。
引き続き、事故の再発防止を強く求めるとともに、米側と連携を密にして、安全確保に万全を期してまいります。
憲法改正についてお尋ねがありました。
憲法改正は、国会が発議し、最終的に国民投票において国民が決めるものであり、どの条文をどのように変えるかは、国民的な議論の末に収れんしていくものです。
国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった現行憲法の基本原理を堅持することは当然のことでありますが、新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められ、具体的な姿があらわれてくることを期待したいと思います。
国際組織犯罪防止条約の国内担保法の整備の必要性についてお尋ねがありました。
東京オリンピック・パラリンピックの開催を三年後に控える中、テロ対策は喫緊の課題です。既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約の締結は、テロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠であります。
国内担保法のあり方については、現在、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団に限定し、準備行為があって初めて処罰の対象とするなど、一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるよう検討を行っているところであり、国民の皆様の御理解を得られるような法整備に努めてまいります。
なお、現在政府が検討しているテロ等準備罪は、テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるものであり、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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