安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤野保史議員にお答えをいたします。
 かつての国際組織犯罪防止条約の国内担保法案が廃案となった理由についてお尋ねがありました。
 国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法整備については、平成十五年、十六年、十七年の三回にわたって法案を国会に提出いたしました。
 これらの法案については、国会審議の過程において、主として、組織的な犯罪の共謀罪に関し、正当な活動を行う団体も対象となる、内心が処罰されることとなるなどの不安や懸念が示される一方、与野党において活発な御審議が行われ、修正案が検討、提出されるなどしましたが、いずれも成立に至らず、廃案となったところです。
 そこで、政府において、こうした国会における御審議の経緯やその間に示された不安、懸念等を踏まえつつ、どのような法整備を行うことが適切か慎重に検討した結果、今般、テロ等準備罪処罰法案を新たに国会に提出したものであります。
 もとより、かつての組織的な犯罪の共謀罪においても、刑事法の大原則を覆す、憲法に違反するなどの批判は全く当たっておりませんでした。
 すなわち、我が国の刑事法においては、現実に法益侵害の結果が発生していなくても、その危険性の高さ等に着目して、未遂罪のほか、実行の着手前の予備罪や共謀罪等を処罰することとしているところであり、かつての組織的な犯罪の共謀罪において、重大かつ組織的な犯罪実行の共謀行為に限り、その危険性の高さに着目して処罰することとしていたことが我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に反するとの批判は当たりません。
 また、かつての組織的な犯罪の共謀罪は、二人以上の者が重大かつ組織的な犯罪を実行しようと考え、共謀という行為に及んだことを処罰することとしていたのであり、人の内心にとどまる意思や思想を処罰するものではなく、憲法に違反するものでなかったことははっきりと申し上げておきます。
 これに加え、今回のテロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定することにより、正当な活動を行っている団体が適用対象とならないことをより一層明確にするとともに、犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とすることで、内心を処罰するものではないことについても一層明確にしているものであります。御指摘が全く的外れであることは言をまたないところであります。
 テロ等準備罪の必要性と呼称についてお尋ねがありました。
 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しています。
 国際組織犯罪防止条約が定める犯罪化を実施して同条約を締結することにより、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐとともに、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助を可能にするほか、情報収集においても国際社会とより緊密に連携することができるようになります。
 この点、テロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪対策として、国際組織犯罪防止条約を速やかに締結するため、必要な法整備を行うことは、平成二十五年十二月十日に閣議決定した「世界一安全な日本」創造戦略に既に盛り込まれている事項であります。
 加えて、先日策定した、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けたセキュリティ基本戦略においても、対策の一つとして、同条約の締結と、そのための国内担保法の整備等によるテロの未然防止等における国際連携の強化を掲げているところであります。
 同時に、本法律案によるテロ等準備罪の創設により、テロ組織を含む組織的犯罪集団による犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することができるようになると考えております。
 また、テロ等準備罪の適用対象団体は組織的犯罪集団に限定しているところであり、国内外の犯罪実態を考慮すると、組織的犯罪集団の典型がテロリズム集団であり、テロリズム集団による重大犯罪の典型がテロであることからも、本法律案がテロ対策を目的とするものであることは疑いようがありません。
 また、本罪は、計画行為に加えて実行準備行為が行われて初めて処罰するものであり、テロ等準備罪の呼称は、こうした罰則の実態を適切に反映したものであると考えております。
 国際組織犯罪防止条約に関する情報開示についてお尋ねがありました。
 共謀罪や参加罪が各国でどう規定され運用されているかについて、政府は、今般の国会での御審議を受け、OECD加盟国全てに改めて照会を行い、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の犯罪化について、各国の回答内容を開示しました。
 国連が作成した立法ガイドについては、既に国連のホームページで公開されておりますが、御要望を受けて資料を作成し、提供しています。
 この条約の起草に向けた交渉経緯に関する公電については、各国が公開されることを前提とせずに行った発言については、信頼関係が損なわれるおそれがあるので開示できませんが、それ以外の部分については誠実に開示してきました。
 このように、政府は、国会における審議に資する資料を適切に開示してきたところであり、今後も誠実に丁寧に御説明してまいります。
 テロ等準備罪は内心を処罰するものではないかなどの懸念に関するお尋ねがありました。
 テロ等準備罪は、かつての組織的な犯罪の共謀罪について、内心が処罰の対象となるのではないかとの懸念や批判が示されていたことも踏まえ、このような懸念や批判を払拭するため、犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないことをより一層明確にしております。
 また、今回のテロ等準備罪処罰法案は、捜査機関による新たな捜査手法を設けるものではありません。
 加えて、テロ等準備罪の対象となる団体は、一定の重大な犯罪等を行うことを目的とするテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々がテロ等準備罪による処罰の対象となることもありません。
 したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視する監視社会になることはありません。
 テロ等準備罪を新設し、既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約を締結することは、テロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠であり、テロ等準備罪が日本を戦争する国に変質させるものとの御指摘は全くの誤りであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

speech_id: 119305254X01720170406_027

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-04-06

院: 衆議院

会議名: 本会議