小山展弘の発言 (本会議)

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○小山展弘君 民進党・無所属クラブの小山展弘です。
 ただいま議題となりました農業競争力強化支援法案について、反対の立場から討論させていただきます。(拍手)
 まず、冒頭申し上げたいのは、農水省OBにより受注調整が行われた震災復興事業における談合事件です。現在、公正取引委員会による立入検査が行われておりますが、疑惑が本当だとすれば、まさに被災地の復興を食い物にした極めて悪質な事件であり、断じて許せません。政府は全農に対して役職員の意識改革を求めておりますが、意識改革が必要なのは農水省やそのOBの方であります。再発防止とともに綱紀粛正を強く求めます。
 また、本法案は、当初TPPへの中長期対策として検討されたものでしたが、そのTPPは破綻しました。本来、前提条件から考え直し、顔を洗って出直すべきだったんじゃないでしょうか。
 本法案では、農業者に有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組む努力義務を課していますが、これほど農家をばかにした規定はありません。今どき、スーパーで買い物をする人でも、チラシなどを見比べて一円でも安い商品を買おうといたします。
 農家だけが主体的、合理的な購入ができず、価値に見合わない資材を高く購入しているとでもいうのでしょうか。赤字でも債務超過でもない企業に政府が支援する仕組みを農家のためにつくるのだから、農家は経営改善の努力をせよという理屈ですが、これは関連事業者にとっても農家にとってもおせっかい以外何物でもなく、まさに上からの上からによる上から目線の改悪と言わざるを得ません。
 そして、本来の大目的であるべき農家の所得向上は全くおざなりです。
 そもそも、本法案は、農協系統組織の経営に介入するためにつくられたものではなかったんでしょうか。政府並びに規制改革推進会議は、本法案の根拠となっている農業競争力強化プログラムなるものを策定し、全農の購買事業、販売事業、会長や理事長を初めとする人事や組織体制にまで口を出し、数値目標や計画の策定を半ば強制的に求め、そのフォローアップまで行うとしています。
 全農は債務超過でもなければ繰越欠損もありません。政府の出資や特別融資を受けてもおりません。民間出資一〇〇%の健全な事業体です。ここまでの過剰な行政指導は極めて異常であり、憲法二十二条に反するおそれすらあります。
 また、昨年末に世界文化遺産に登録された協同組合の価値や原則を踏みにじるものであり、断じて容認できません。ICAを初め国際的な非難も浴びており、政府並びに規制改革推進会議の暴走に強く抗議し、猛省を求めます。
 本法案第五条では、農業者団体の努力義務を定め、附則で調査と施策検討の年限を規定していますが、これらの条文を根拠に、政府が農協系統や他の民間団体にさらなる介入を行うお墨つきを与えるものとの疑念は強まるものであり、容認できません。
 本法案第八条四号では、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進するとの規定があります。
 これまで税金を使って重ねてきた日本のすぐれた種子研究の知見を、国内民間企業はおろか外資にまで公表することは、主権の放棄にも等しい暴挙であります。加えて、日本の農産品の競争力の低下も招きかねず、国民に対する背信行為以外何物でもありません。
 本法案では、農業生産関連事業分野に対する事業再編や参入に支援措置を講じるとしていますが、そもそもこの分野に参入障壁などあったのでしょうか。
 農機市場は、昭和五十年代をピークに急激に縮小しております。これまでも多くの企業が撤退または統合再編し、現在の業界構造となりました。また、野菜やお茶など特定の品目のみに対応する農機を生産する中小零細企業も多々存在します。
 国は、既存の農機メーカーが行う新規事業には一切支援しない一方で、異業種の超大手企業の新規参入や、あるいは以前に農機市場から撤退をした企業の再参入については支援するとしておりますが、これは適切な市場競争をゆがめることにほかなりません。
 加えて、国からの支援に名乗りを上げる企業が総理周辺のお友達企業であるならば、特定の企業に利益を誘導するものではないでしょうか。
 ちなみに、国家戦略特区諮問会議において、愛媛県今治市の特区に極めて不透明かつ不合理な獣医学部の新設が認められ、安倍総理が親しい加計学園が進出することになりました。これは最初からできレースだったのではないんでしょうか。これらは、規制改革推進会議や国家戦略特区諮問会議の場を通じた新たな政官業の癒着構造と疑わざるを得ません。
 農村人口の急速な減少や高齢化への対応こそ喫緊の課題です。
 農機について言えば、人工知能を取り込んだ無人化や自動化などの高度な農機の研究開発こそ求められております。本法案によって農機メーカーが弱体すれば、民間による日本に適した農機の研究開発力が奪われることにもなりかねません。それはひいては、日本農業の競争力の弱体化、食料安全保障の脆弱化を招くものであり、まさに本法案は農業競争力弱体化法案であります。
 政府は、肥料や農薬の銘柄数が多いことを問題にしていますが、銘柄数削減によるコスト削減効果は固定費の範囲内で限定的という見方が大半です。かえって、銘柄削減の指導が、行政指導が、農家のニーズに応える関連事業者の姿勢を変え、価格に見合った真に必要な農業資材の生産がなされず、農家のもとに届けられず、農産品の品質低下を招きかねません。まさに本法案は、現場の声を聞いて問題を解決するものではなく、役人の考えた理屈に現場を合わせようとする頭でっかちな法案であります。
 農協法の変更、本法案、そして農業競争力強化プログラムなどの一連の農協系統に対する異常な介入、異常な行政指導は、かつて小泉純一郎首相がうそぶいた、郵政の後は農協という新自由主義的な路線の延長線上にあると思わざるを得ません。
 しかし、郵政民営化しなければ夜も明けないという当時の喧騒から覚め来れば、郵政民営化とは、組織の外形だけを変え、郵政事業に携わる皆様の誇りと思いを踏みにじり、国会に混乱を招いただけだったのではないでしょうか。この愚を再び繰り返してはなりません。
 そして、民間の特定の事業体をいけにえにして、農協系統組織をいけにえにして、みずからへの支持を高めようとする劇場型政治はもうやめるべきです。
 今、世界じゅうで、日本国内で、いけにえづくりの劇場型政治、ポピュリズムが横行しています。しかし、そこからは憎しみと分断しか生まれません。私たちは、憎しみと分断ではなく、違いを認め合いつつも合意形成を図る政治、現場の声をしっかりと聞く姿勢を持った調和の政治こそ求めていくべきであることを申し上げ、本法案に対する反対の討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 小山展弘

speaker_id: 34301

日付: 2017-04-11

院: 衆議院

会議名: 本会議