階猛の発言 (本会議)
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○階猛君 皆さん、おばんでございます。
あっちの方と今村前復興大臣に言われた、東北の岩手県出身、衆議院議員の階猛です。(拍手)
私は、東北に誇りを持っています。人材、食料、エネルギー。首都圏を含め都市部を支えているのは東北地方です。その東北に対し、今村前復興大臣は、震災がまだ東北で、あっちの方だからよかったと、被災者を初め東北人を深く傷つける暴言を吐き、辞任しました。この発言自体、復興大臣としてはもとより、政治家として、人として許されるものではありません。
さらに、震災による社会資本の毀損が二十五兆円に上ることに触れつつ、これがもっと首都圏に近かったりすると、莫大、甚大な被害があったと述べています。人口や経済規模だけに着目して、東北だから被害が小さかったという考えのようですが、大切な点を見過ごしています。
私は、東北地方に住む人々に、ふるさとを自分たちの手で守る、そういう強い意思と、そのような人々のきずながなければ、もっと被害は拡大していたと思っています。
もしも、水門閉鎖や避難誘導に当たった消防団員を初め、みずからを犠牲にして住民の命を守り抜いた人たちがいなかったら、もっと被害は拡大していたと思います。もしも、住む家も、食べるものも、家族も失ったにもかかわらず、避難所で不平不満を言わず、互いに助け合ってきた人たちがいなかったら、もっと被害は拡大していたと思います。
きょうも、岩手県の釜石市では山林火災の消火活動が続いています。震災の後も、被災地では多くの災害に見舞われましたが、東北人は決して諦めません。必ず復興をなし遂げます。そして、お世話になった方々への感謝の気持ちを決して忘れません。
東北は、あっちの方ではありません。日本を支え、日本のすばらしさを体現する、かけがえのない地域であります。このことを、今村前大臣だけでなく、本会議場にいらっしゃる全ての議員の皆様に知っていただきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、ここから本題に入ります。
私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました法務委員長鈴木淳司君解任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
主文
本院は、法務委員長鈴木淳司君を解任する。
以上であります。
以下、その理由を申し述べます。
まず、委員長解任案提出に至った事実経過であります。
今回の共謀罪法案が本会議に付されたのは四月六日のことでした。当時、法務委員会では、民法の債権法分野の改正案について、与野党で真剣な議論を行っていました。この法案は、制定後百二十年を経て、二百条にも及ぶ初の大改正として政府から提出されたものです。個人はもとより企業にとっても本法改正の影響は大きいため、本法案が提出される前後で多数の解説書籍が出版されました。
それほどの大きな改正であるからこそ、各条文について慎重かつ十分な審議を行い、必要があれば修正も行うべきであります。実際、昨年の臨時国会までは、鈴木委員長もそのような私たちの姿勢に理解を示していたと思います。
ところが、共謀罪法案が本会議に付されるや否や、まだ多くの論点が手つかずであったにもかかわらず、委員長はそれまでの態度を急変させ、質疑終局を急いだわけです。四月の十二日には、政府案に対し、民進党から第三者個人保証の見直しなど合理的な修正案を提出したにもかかわらず、わずか一時間二十分の質疑で法案審議を終えてしまいました。
鈴木委員長は就任の挨拶で、法務委員会の所管分野に国民生活の根幹にかかわる重要な問題が山積しているとの認識を示しつつ、公正かつ円満な委員会の運営に努めてまいりたいと決意を表明していただけに、私は失望を禁じ得ませんでした。
次に、鈴木委員長は、法案提出順を無視し、性犯罪に関する刑法改正法案を後回しにして、共謀罪法案の審議に入りました。
刑法改正案も、法制定後百十年を経て初めての大改正であり、特に性犯罪被害者や犯罪被害者の支援に携わる人たちにとっては待ちに待った法改正です。私たちも、一刻も早く法改正を実現すべきと考えております。
当初は、与党である公明党の皆さんも、通常の順番どおり、刑法改正を先に行うことを主張しておられました。ところが、与党国対委員長間で共謀罪審議、成立優先の方針が決定されると、鈴木委員長もこれに従ったのです。
刑法改正案の国会提出を心待ちにし、提出順で見れば、当然、共謀罪より先に審議されるだろうということを確信していた当事者にとってみれば、大変残酷な委員会運営であったと言わざるを得ません。
魂の殺人とも言われる性犯罪の被害者の切実な声を受けとめず、与党の方針に唯々諾々と従う委員長の姿勢に疑問を感じざるを得ません。
四月の十九日から始まった共謀罪法案に関する質疑においては、質疑者が要求していないにもかかわらず、鈴木委員長が職権で政府参考人たる法務省刑事局長を招致しました。そして、細目的または技術的事項に当たらない質問についても、大臣等の政務三役ではなく、政府参考人に答弁させました。これは、後で詳しく述べるとおり、衆議院の議事運営上、前例のない暴挙であります。そして、憲法違反と衆議院規則違反に当たります。
その十九日の質疑直後に、民進党の法務委員連名で抗議の記者会見を行いました。法務委員会の理事会等でも抗議を行い、鈴木委員長に対して再発防止を要請しました。
にもかかわらず、二十一日の審議で、鈴木委員長は、さらに驚愕すべき行動をとりました。
理事会において政府参考人登録が整わなかったにもかかわらず、法案審議中の全ての期日における政府参考人招致を採決によって議決してしまったのです。
そもそも、質疑者の要求なき政府参考人招致は、その日一日限りであっても前例がなかったわけです。よもや、このような包括的な議決が行われようとは夢想だにしませんでした。
鈴木委員長は、政府参考人招致をめぐる前回の抗議に耳を傾けるどころか、本案審査中という言葉を織りまぜる抜き打ちの形で、さらに激しい暴挙に出たわけです。これは、理事会の存在をも否定し、もはや公正かつ円満な委員会運営を放棄したものと言わざるを得ません。
こうした規則違反の暴挙に対し、私は、二十一日の質疑の事前通告では、いずれの質問も細目的、技術的事項に関するものではなく、政府参考人の出頭は不要であると記載した書面を提出させていただきました。
そして、当日の質疑の冒頭では、改めて政府参考人招致に抗議するとともに、もし私が本質的、基本的な質問をしたにもかかわらず、これを政府参考人に答弁させたならば、質疑は続行できませんと宣言して、質疑に入りました。
その質疑の終盤、私は、共謀罪の捜査は実行準備行為の前に行われるのか、後に行われるのかという、極めて本質的かつ基本的な質問を行ったわけです。それにもかかわらず、鈴木委員長は、金田大臣が答弁に窮すると見るや、政府参考人を指名し答弁させるという、衆議院規則四十五条の三に明らかに反する委員会運営を行いました。
ちなみに、二十八日の私の質疑の冒頭では、今の政府参考人の指名、答弁が規則違反に当たるのではないかとする私の見解が間違っているのかどうか、念のため、鈴木委員長に確認しました。それに対し、委員長自身も間違っておりませんと明言され、みずからの委員会運営に衆議院規則違反があったことを認められております。
この規則違反の政府参考人答弁を阻止するため、二十一日の質疑当日に、私は、我が党の逢坂筆頭理事とともに激しく抗議を行いました。しかしながら、政府参考人は衆議院規則を無視して答弁を続行したため、事前の申し出どおり、私は質疑を打ち切りました。
その直後、審議中断中に、私と我が党の法務委員数名で今後の対応を協議していたところ、今のはテロ準備行為ではないかといった不規則発言が聞こえてきました。私は、これから述べるとおり、この不規則発言は看過しがたい問題を多く含むため、声の主を誰何しながら、声の主と見られる土屋理事に詰め寄り、厳しく抗議を行いました。
二十八日の質疑において、私は、土屋理事に不快な思いをさせたのであればおわびをする旨を申し上げつつ、鈴木委員長に対し、土屋理事に対する発言撤回と謝罪を求めましたが、今なお放置されたままであります。
次に、土屋理事による不規則発言の問題点を述べさせていただきます。
まず、正当な理由なく他人を犯罪者呼ばわりすることは、刑法で言うところの名誉毀損罪に当たります。そういう判例もあります。名誉毀損罪が成立する場合、現行犯逮捕が可能であります。現行犯逮捕の場合には、必要かつ相当な範囲での有形力の行使もできるということを申し上げたいと思います。
そして、テロ準備行為ということで私を犯罪者呼ばわりしたということは、単に私に対する誹謗中傷、名誉毀損にとどまらない問題になります。なぜならば、政府案においてテロ準備行為が成立するのは、組織的犯罪集団の成立があって初めて認められるということを、かねがね首相も法務大臣も説明しているからです。
何を申し上げたいかといいますと、私の言動をテロ準備行為と論難することは、私の所属する民進党が組織的犯罪集団だと認定したことを前提としているわけです。
すなわち、単に私の名誉を毀損したというだけではなくて、私の所属する民進党の名誉をも毀損する重大な問題発言だったと言わざるを得ません。
また、政府案によりますれば、テロ準備行為を実行した者だけではなくて、その準備行為に加担した人たち、この人たちは、準備行為を実際に行っていなくとも、一網打尽で処罰対象になるということであります。
すなわち、民進党の所属議員のうち、私と常日ごろ一緒に行動していた者は一網打尽で処罰対象になってしまう、こういう問題も含むものであります。
さらに、テロ準備行為という不規則発言の大きな問題点、さらに申し上げますと……(発言する者あり)不規則発言はやめてください。このような正当な権力に対する批判の言動をテロ準備行為と論じる、そういう言論が許されるとするならば、権力への正当な抗議活動を、国民は萎縮する可能性があります。テロ準備行為というレッテル張りは断じて許されない、言論の自由を守るためにも断じて許されないと考えます。
さらに、今なお、土屋理事、あるいは、その委員会の運営をしてきた鈴木委員長、発言を撤回しておりませんし、撤回させようともしておりません。
もし、この撤回しないという理由が、法案への無理解が理由ということであれば、法務委員会のこの法案の審議に四六時中立ち会っている理事ですら理解できない法案を国民が理解できるはずもなく、廃案にすべきであります。
もし、発言を撤回しない理由が法案を理解した上でのものであれば、組織的犯罪集団や準備行為、あるいは共謀ないし計画の認定は、いとも容易に、安易になされ、極めて危険であります。したがって、この場合も廃案にすべきであります。
そして、もう一つ問題となっているのは、政府参考人強行招致と違法答弁であります。
まず、憲法違反の問題です。
憲法六十三条は、国会の権限を定めた第四章「国会」の中に位置し、その後段において、首相初め国務大臣が答弁または説明のため出席を求められたときは、出席しなければならないと定めております。この規定に基づき、国会議員は国務大臣に対する質問権を有し、国務大臣は答弁義務を負うものと解されています。
十九日や二十一日の法務委員会の質疑において、我が党の質疑者は、首相や法務大臣に質問し、答弁を求めたのであります。にもかかわらず、法務委員長は、職権で政府参考人を一律招致し、首相や法務大臣が答弁できないと見るや、たびたび政府参考人を指名して答弁させました。これは、国務大臣に課せられた答弁義務に反する運営であり、看過できない憲法違反であります。
なお、昨日の衆議院予算委員会における、我が党の長妻議員への安倍首相による読売新聞を熟読せよという発言も、国務大臣の答弁義務を定めた憲法六十三条に違反するものと解されます。なぜならば、読売新聞は民間の一商業新聞でありまして、国民の多くはその内容を容易には知り得ません。国権の最高機関である国会の答弁は、国民がその内容を容易に知り得る形で行わなければ答弁義務を果たしたことにならないからであります。憲法を守らない人物に憲法改正を語る資格はないと思います。
次に、衆議院規則違反について述べます。
法務委員会など委員会の審査等において、委員の質疑は、国務大臣等政務三役に対して行うのが原則です。ただし、衆議院規則四十五条の三において例外が定められています。すなわち、細目的または技術的事項について、必要があれば、政府参考人の出頭を求め、その説明を聞くことができるとされています。
十九日以降の質疑において、我が党の質疑者は、細目的または技術的事項につき質問する場合は、あらかじめ政府参考人の出頭をこの規則どおり求めているわけであります。他方、それ以外の質問については、原則どおり政務三役に質問することにしておりました。
しかしながら、法案の本質的、基本的事項に関する質問についても、法務委員長は質疑者の了解なく政府参考人の出頭と答弁を命じたのであります。これらは明確な衆議院規則違反であるとともに、政府委員制度の廃止を決めた平成十一年の与野党申し合わせ事項や、政府参考人を招致する場合は質疑通告の時点であらかじめ要請するとした平成十二年の与野党申し合わせ事項を空文化するものであり、断じて容認できません。
また、この間の政府参考人のあり方についても申し述べたいと思います。
政府参考人は、先ほど申し上げました法務省の刑事局長です。もともとは検察官出身であります。いわば、この法案が成立した後は、捜査、処罰を行う立場にあるわけです。専門知識はあると言えるかもしれませんが、その反面、自分たちに都合のいいような答弁でこの審議を切り抜けようという思惑もあるのではないか、そういう疑惑も生じ得るわけであります。政府参考人が、このような立場で、自分から積極的に手を挙げて衆議院規則に違反するような答弁を重ねていることは、極めて問題だと私は考えます。
以上、るる申し上げましたけれども、憲法違反、衆議院規則違反、ルールを守るという規範意識の乏しい政府・与党がつくった今回の法案が、この法案のとおり運用されるという保証はないと言えるのではないでしょうか。法案に関する運用の不安、懸念は全く払拭されていないということを申し上げます。
さて、今回、私の、委員長解任決議案、この決議案提出に至ったそもそもの原因を挙げていきたいと思います。
まず、今回の問題を生んだ原因の一つに、法務大臣の答弁能力があります。
この一月以降、金田法務大臣は、審議のたびに、たびたび答弁に詰まり、速記がとまった回数は、きのうの逢坂委員の質疑が終わった段階で何と六十六回に上ります。このような法務大臣が、国民の権利、自由に重要な影響を与える法案について説明責任を果たせるわけがありません。
また、審議中断が多いだけではなくて、オウム返しの答弁が多いということも挙げられます。
私どもが質問すると、まず、政府参考人あるいは副大臣、政務官、こうした方が答弁に立ち、その直後で法務大臣が同じ内容を繰り返し答弁する、こういうことがたびたび見られました。
オウム真理教のテロ行為を処罰しようという、オウム事件に端を発したようなこの法案でありますが、大臣ももう一つのオウム事件を起こしていると言わざるを得ません。
そして、的外れの答弁の多さということも挙げさせていただきます。
私どもの質問に対して、聞かれたことに素直に答えない法務大臣……(発言する者あり)