階猛の発言 (本会議)

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○階猛君(続) イエスかノーかで聞いているにもかかわらず、イエスともノーとも答えず、いろいろなことを述べて時間を空費している。私たちは、このような的外れな答弁で論議が深まらない、これを非常に問題だと思っております。質問に真正面から答えず、時間を空費するような大臣に、大臣としての資格はないと言わざるを得ません。
 さらに、もう一つ問題点、言い逃れの答弁の多さであります。
 法案提出前は、成案が出ていないので答えられない、また、成案が出る前、出た後、共通して、事前に通告を受けていないので答えられない、こういう答弁がたびたびありました。しかし、成案が出ても、事前に通告をしても、なお答えられない。結局は、成案が出ていないこと、事前に通告を受けていないこと、これは単なる自分の答弁能力を隠蔽するための言い逃れだったと言わざるを得ません。
 そして、国会への責任転嫁という問題もありました。
 二月六日、予算委員会の質疑の後、法務大臣は、突然、記者クラブに文書を配付しました。質問に対して政府参考人の同席を求めること、あるいは、成案が出た後で答弁しますといったようなこと、私たちの質問権を制限するようなこの文書に対して、我々は断固として抗議をしました。私たちは、この文書、まさに憲法六十三条違反ではないかということで、二月八日の委員会では、厳しく大臣に対して資質を問う追及をしたわけであります。
 その中で、大臣は、文書は撤回する、今後は自分の力で答弁するということを申し述べたわけでありますが、そのような言葉を忘れてしまったのか、今は、先ほどから申し上げているとおり、政府参考人に頼ったり政務三役に頼ったり、そして、なかなか聞かれたことには答えず、的外れな答弁を繰り返しているわけです。
 私は、こうした二月六日の文書の提出も含め、大臣に対しては厳しく物を言ってまいりました。私も、二月の八日に質疑に立った際には、大臣のこの国会の言論を弾圧するような、国会の質問権を封じるような対応というのは、本質的な意味においては、まさにテロ等準備行為ではないかといったようなことも言っております。
 これをあえて申し上げたのは、私は先ほど、土屋理事の不規則発言を問題にしたわけです。それを捉まえて、ブーメランではないかと三流のマスコミが批判するということが予想されますので、あえてこの点について触れさせていただきました。
 私は、今の大臣に対するテロ等準備行為という発言の後に、こう申し上げました。もし私の発言が間違いであれば、それを指摘してください、そうすれば、この場ですぐ撤回します、ただし、間違いだというのであれば、準備行為とは何か、組織的犯罪集団とは何か、これをちゃんと説明してくださいということなどを申し上げました。しかし、それに対して大臣は、まともな答えはなされず、最後には、憲政史上に残るあの有名な答弁、私の頭脳では対応できません、申しわけありません、こういう発言をするに至ったわけであります。
 私は、単に批判のための批判をしたわけでも、大臣の資質に対して暴言を吐いたわけでもありません。委員会の正式な議論の中で、大臣に対する反論権も与え、そして、誤りであれば撤回しますよということも述べた上で、私は申し上げました。ブーメランだという批判は全く的外れだということを申し上げたいと思います。
 さて、今回の問題を生んだ原因のその二としまして、法案自体の問題、これがあると思います。法案自体問題があるからこそ審議を急がざるを得ない、また、法案自体に問題があればこそ、答弁にたけた法務局長に答弁させざるを得ない、こういうことがあったのだと思います。
 それでは、この法案にどういう危険があるかということを申し上げたいと思います。
 まず一つは、憲法二十一条の表現の自由あるいは集会、結社の自由が萎縮する危険であります。
 このような法案が通るということになれば、集まって本音を出し合って、権力に対する批判も含め、いろいろなことをぶつけ合って議論する、こうしたことに対して萎縮的な効果が生ぜざるを得ないというふうに考えます。
 そして、問題は、この萎縮効果は、単に基本的人権である集会、結社の自由や言論の自由を侵害するだけではなくて、民主主義を根底から壊す危険をはらんでいるということであります。
 なぜならば、権力に対する自由な批判、言論が萎縮されるようなことになれば、国民は有意義な情報が得られず、権力の言い分だけを素直に聞かざるを得なくなって、そして、権力の腐敗、暴走が進んでいくことになりかねないからであります。
 民主主義は、言論の自由、集会の自由が十全に守られているからこそ機能するものである、そして、それを機能させるためには、このような法案が通ることによって言論の自由を萎縮させるようなことがあってはならないということをまず申し上げたいと思います。
 そして、二つ目の危険として、監視の危険であります。
 憲法十三条の幸福追求権の帰結として、憲法上、プライバシーの権利が保障されると解されております。壁に耳あり障子に目ありということわざもありますけれども、今の世の中は、壁に耳ありネットに目ありということが言えるかもしれません。アメリカでは、先ごろ、テレビの報道番組でも取り上げられていましたけれども、大量監視プログラムでテロ対策を理由に監視が肥大化し、プライバシーの侵害が行われていたということが明らかになっております。
 日本でも、既に大分県警が、不法に建築物、敷地内に侵入し、監視カメラで監視をしていた、こういう事件もありました。また、さきの最高裁判決で、任意捜査でGPSを用いることは違法だという判決も出たわけです。昨年は、通信傍受の対象範囲も拡大されております。今現在は、通信傍受の対象範囲に、今回の共謀罪は含まれておりませんけれども、将来、この対象犯罪に共謀罪が加わることを法務大臣も否定しておりません。今の技術のもとでは、一億総活躍ならぬ、一億総監視社会になりかねません。
 私は、国民の監視より、まずもって行うべきは行政の監視であると思っております。
 森友学園の問題にしても、私たち国会が財務省に対して説明を求めても、資料は全部廃棄されたということで、国会議員の行政監視機能を潜脱する、無に帰しめる、そういった国会での違法な活動がされているわけであります。私たちは、こうしたことをする政府が国民の監視に力を入れることは、断じてあってはならないと考えております。
 さらに、この法案、冤罪の危険もあります。
 火のないところに煙は立たず、こういうことわざがありますが、火のないところに煙を立てかねない、そういう共謀罪法案になっていると思います。共謀罪は、話し合ったことが重要な立証のテーマになります。話し合ったことは、監視体制を強化するか、しからざれば、話し合った内容を取り調べによって明らかにしていく、そのいずれかしかありません。必然的に、取り調べへの依存度も高めていくことになるわけです。
 可視化が不十分である中で、今の可視化の、三%しか対象になっていない中で、このまま共謀罪を導入して、取り調べで共謀の有無を立証するというのは、極めて冤罪の危険を高めることになると思います。
 過去にも、冤罪でたくさんの方がぬれぎぬを着せられてきました。捜査機関の暴走を私もみずから体験しております。私が以前勤めていた日本長期信用銀行でも、粉飾決算の罪で強制捜査が行われ、私も、自分の机を洗いざらい調べられました。にもかかわらず、最高裁で最終的には無罪であります。
 こうした無罪判決が出ても、捜査機関、あるいは裁判所、誰も責任をとらないわけであります。
 冤罪の危険を高めるような法案のたてつけ、この法案の中には自首減免規定もあります。他人を罪に陥れるような、そういう行動がむしろ促進されかねません。
 また、来年からは、刑事免責手続という新たな制度が刑訴法の改正によって施行されます。これは、証人は、自分は罪に問われないまま、他人の犯罪に関する事項、これをしゃべることが許される。
 何が問題になっているかというと、共謀罪で、一方が共謀の事実があった、一方が共謀の事実がなかったと見解が分かれる場合、どちらかがうそをついているわけであります。
 被告人が幾ら否定したとしても、証人がこの刑事免責手続を利用して、自分は罪に問われないからといって、被告人に対する共謀の存在を事実に反して話してしまう、こういう危険性も今後は生じ得るということも指摘させていただきます。
 さらに、この共謀罪の法案は、憲法三十一条、いわゆる罪刑法定主義にも反する内容になっていると私は考えます。
 今回のこの共謀罪については、新たな犯罪類型であるということを大臣は答弁されました。新たな犯罪類型ということは、過去の判例、過去の法律解釈が成り立たないということであります。
 これから、どのような範囲で捜査対象、処罰対象にするか、これは捜査機関の一存に委ねられております。極めて予見可能性が低い中で、だからこそ、犯罪の構成要件は、一点の曇りもなく明確性が保たれていなくてはいけません。
 しかし、組織的犯罪集団にしても、準備行為にしても、あるいは共謀ないし計画にしても、答弁を聞く限りにおいて、明確性が明らかになったとは到底言えないと思います。
 私たちは、過去の苦い経験に学ぶべきだと思います。戦前の治安維持法、あれも、一般人には適用はされない、こういう政府答弁があって、そして成立がされました。しかし、その後、どんどん、捜査対象、処罰対象が拡大されて、およそ国体の変革とは関係のない、出版記念の祝賀パーティーのようなものまで検挙されてしまった。
 この経験に学ぶならば、法案がひとり歩きしないように、文言の厳格性、明確性については徹底的に詰めていくべきだと私は考えます。
 さて、今回の法案、安倍首相にしましても、金田大臣、あるいは政務三役、参考人にしましても、法案の必要性ということのみを強調されます。しかし、法案の必要性だけではなくて、憲法上許されるか、こういう許容性の観点からの検討も必要不可欠だと思います。これが、まさに立憲主義、法の支配、その本質であります。
 安倍政権下では、立憲主義や法の支配というのが軽んじられているのではないか。安保法制にしましても、きのうの総理の発言にしましても、およそ憲法を尊重しているような発言には聞こえませんでした。
 こうした政権のもとで、必要性だけが強調されて、憲法上許されるかという許容性の観点が抜け落ちたまま強引に法案が通されるということは、あってはならないと考えております。
 そして、こうした法案の危険性を隠蔽するために、さまざまな仕掛けが盛り込まれております。
 まず、罪名についてであります。
 テロ等準備罪という罪名は、法案のどこを探してもありません。テロという文言すら、当初与党に示された政府原案には見当たりませんでした。
 テロ等準備罪、名づけ親は誰なのか、私が法務省に尋ねたところ、名づけ親は知りません、いつの間にかそうなっていました、とんでもない答えでありました。
 そもそも、テロ等準備罪、その言葉だけを聞いてみると、殺人罪や窃盗罪のような、一つの犯罪だけを意味するような錯覚にとらわれます。しかし、実際には、テロ等準備罪は、政府の数え方でいえば二百七十七、私たちの数え方でいえば三百を優に超える罪、こうした罪に関する実質的な共謀罪を定めるものであるということが隠蔽されているわけです。
 そして、このような多数の罪のうち、テロ等準備罪と言っておりますが、テロに関係するものが少数、テロ等の等に当たるものの方の割合が多いということも、これは明らかな欺瞞であると私は考えております。これこそまさに印象操作であります。
 残念ながら、世論調査の結果を見る限り、この印象操作が大きく影響しているような、そういうことも見てとれるわけでありますけれども、私どもは、それにごまかされてはならないということを国民の皆様にも強く訴えたいと思います。
 そして、二つ目の仕掛け、いわゆる今回の法案の欺瞞性でございます。
 TOC条約に加盟するに当たって、政府の説明では、共謀罪あるいは参加罪の新設が必要だ、もともとない国においては必要だ、こういうことをおっしゃるわけでございますが、実際に共謀罪を新設したのは二カ国のみであります。
 立法ガイドの解釈、これも、政府は口頭で確認したということでありますが、文言を素直に読めば、わざわざ共謀罪や参加罪を設けなくても、自国の法制度で十分な対応がされるのであれば加盟可能だということが読み取れるわけであります。現に、アメリカは留保つきで加盟をしております。条約の文言どおりの立法手当てをしているわけではありません。
 また、法務委員会の質疑の中で、北朝鮮もこのTOC条約に加盟しているということが明らかになっておりますが、加盟するに当たってどのような立法手当てがなされたのかという問いに対して、政府は、確認しておりませんといった無責任な答弁でありました。
 私どもは、政権当時から、このTOC条約について、特段の立法措置を講じなくても、現行の共謀共同正犯理論、あるいは未遂の手前の予備、準備罪についても取り締まる部分もあるわけでありますから、これを根拠にして、十分留保つきで加盟できるのではないかということを考え、政府内でも検討をしてきておりました。
 残念ながら、東日本大震災への対応などにも追われて、結論を見出すには至りませんでしたけれども、今なお、TOC条約加盟に関しては、特段の立法措置を講ぜずとも加盟はできるというのが私どもの立場であり、この点について明確な反論、説得的な反論はなされていないと言わざるを得ません。
 そして、三つ目の仕掛け、欺瞞性として、テロ対策に関する欺瞞性があります。
 審議の中で、テロ対策と言っていますけれども、どういう立法事実があるのかということでさまざまな議論が行われました。九・一一のような航空機を使ったテロ行為、あるいは地下鉄サリン事件のような毒物を使ったテロ行為、あるいはサイバーテロ、こうしたものを未然に防ぐためには現行法では足りないんだという説明がありましたけれども、これについては、我が党の議員の質疑により、現行法のもとでも特別法などによって十分対応できるということが明らかになったわけであります。
 そして、組織的犯罪集団というおどろおどろしい言葉で、一般市民は関係ないかのような説明がされております。しかし、答弁の中で政府は、一般の会社、宗教団体、サークルなど、こうした普通の正当目的の団体についても、目的が一変すれば組織的犯罪集団に当たるということを言われているわけです。一変したかどうかは犯罪の嫌疑があった時点で考えるということでありますが、一般人も捜査対象としなければ、組織的犯罪集団に当たるかどうかは決することができないと考えるわけであります。
 この点についても、きのうも逢坂委員は質疑の中で取り上げましたけれども、いまだに明確な答えはないと言わざるを得ません。
 そして、共謀罪法案との同質性、これについても、全く違うというふうにかねがね総理大臣も法務大臣も答弁しておりますが、質疑の過程で、組織的犯罪集団という文言がなかった過去の政府案と犯罪の主体の範囲は変わらない、明文化しただけだということが明らかになりました。
 また、実行準備行為を構成要件に加えて、犯罪成立時期をおくらせた、犯罪を絞ったという説明もされておりますが、我々が追及した結果、合意を処罰する対象にしているということはTOC条約との関係で変わらないということを答弁されました。また、任意捜査も実行準備行為前から可能だということを言われました。これでは、結局のところ、実行準備行為を盛り込んだとしても、捜査の開始時期あるいは捜査の主たるテーマ、これは従来の共謀罪と変わらないと言わざるを得ません。
 先ごろも、この任意捜査の一つである参考人取り調べで、参考人とされていた方が長時間にわたる取り調べの直後に自殺するという痛ましい事件がありました。先ほども触れました、私が所属していた銀行の冤罪事件においても、参考人取り調べが長時間にわたって続く中で、自殺者も出たわけであります。任意捜査だからといって、安易に許すようなことがあってはなりません。
 そして、共謀罪と実質的に変わらない以上は、法務大臣は共謀罪に対する不安や懸念が払拭されるよう法案の改善をしたと言っているわけでありますが、改善はされていないわけでありまして、潔く廃案とするべきだと考えます。
 ここで、私ども、TOC条約への考え方、そしてテロ対策への考え方、若干触れたいと思います。
 TOC条約につきましては、現在の法制度のもとでも十分に対応できます。留保という手段を用いることによってアメリカも加盟をしております。日本もそれに学ぶべきであります。
 そして、テロ対策については、必要性だけを強調すれば、どうしても国民の人権、国民の自由は後回し、国民の人権や自由はどんどんないがしろにされてしまいます。自由と安全をどのように両立すべきか、この観点から私たちはテロ対策を考えたいと思います。
 その意味で、一つは、航空テロ対策について。現行の制度のもとでは、民間の航空会社が主体となって所持品検査などを行っている。セキュリティーの万全を期すためにも、国が責任主体となってこの体制を強化すべきだと考えております。そのための新しい法案を、今、国会に提出すべく準備をしているところであります。
 そして、もう一つ、テロを含む組織的犯罪。私たちは、先ほど申し上げました予備罪の共謀共同正犯という現行法あるいは解釈上確立された考え方によって対応できるというふうに考えております。
 ただ、テロ対策、組織犯罪対策で不十分な点があれば、そこを予備罪の追加という形で補っていけばいいのではないかということで検討を進めてまいりました。その観点から、今回、組織的詐欺罪、そして組織的人身売買罪について予備罪を設ける、そういう組織的犯罪処罰法の改正案も国会に提出すべく準備中であるということを申し上げたいと思います。
 自由と安全の両立の観点から、共謀罪のような包括的、多数の不明確な犯罪をつくるのではなくて、私たちは自由と安全を両立するテロ対策を行うべきだということを申し上げます。
 最後に申し上げます。
 まず、自民党の皆さんに申し上げたいと思います。
 過去の共謀罪法案、今は引退されておりますけれども、早川先生を初め多くの自民党の皆さんも、政府案を金科玉条とせず、真摯に問題点を指摘し、改めるべきは改めていただいた、こういうふうに、記録を見ていると如実にわかります。
 今回の法案についても、拙速に採決するのではなくて、私たちの案も受けとめていただきながら、本当に国民にとってベストなテロ対策のあり方をともに考えていこうではありませんか。
 そして、公明党の皆さんにも申し上げたいと思います。
 公明党の皆さんには、この共謀罪について問題点をチェックしていただいている点、これについては、私は積極的に評価をしたいと思います。
 しかしながら、私は、この共謀罪、今のままでは一般市民も対象になってしまう、先ほども申し上げました普通の団体、これは宗教団体も含めてですけれども、対象になる可能性も否定できない。ここはもう一段、皆様には厳しい目をさらに厳しくいただいて、問題があれば積極的に改正案、議論させていただきたい、このように思っております。
 さらに、国民の皆様にもこの場をかりて申し上げたいと思います。
 参考人質疑の場で、小林よしのり参考人は、この法案は物言わぬ市民にとっては余り関係のない法案かもしれないということを言われつつ、ただ、物を言わない国民でも、一生に一回は命をかけて物を言わなくてはいけないときがある、そのときに物を言えない社会をつくっていいのか、こういう観点から、この共謀罪については反対だということを言われておりました。

発言情報

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発言者: 階猛

speaker_id: 32961

日付: 2017-05-09

院: 衆議院

会議名: 本会議