國重徹の発言 (本会議)
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○國重徹君 公明党の國重徹です。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
それまでの自分は死んでしまった。被害者のこのような声に象徴されるように、性犯罪は魂の殺人です。
人間としての尊厳を踏みにじる暴挙の最たるもので、被害に遭ったときだけではなく、その後の被害者の人生に長きにわたって深い傷跡を残す卑劣かつ重大な犯罪です。
今般の法改正は、制定から百十年が経過した刑法の性犯罪に関する規定を被害の実情に即したものとする極めて重要なものです。
この改正の大きな後押しとなった力、それは、心身ともに筆舌に尽くしがたい苦痛を受けながらも、自分と同じような苦しみを味わう人を少しでも減らしたい、こういった思いで性犯罪被害の実態を訴え続けた被害者の方々の存在でした。
この思いを胸に、以下、具体的な改正事項について質問をいたします。
まず、本改正案では、強姦罪の構成要件を見直すとともに、その法定刑を引き上げています。
現行刑法が制定された明治時代はいまだ男性中心の社会であり、その中で強姦罪は、被害者は女性のみ、行為は姦淫のみが処罰の対象とされていました。これはともすれば、家父長制度を前提とした、女性の貞操の保護をも念頭に置いた、社会的な性秩序を維持するためのものと受け取られることもありました。
しかし、あくまで強姦罪の保護法益は性的自由や性的自己決定権であり、これは、全ての人の人格や尊厳に根差す重要な権利です。意に反する性行為によって人格や尊厳がじゅうりんされるのは、女性のみならず、男性や性的マイノリティーの方々であっても同じです。男性のレイプ被害についてのアメリカの調査によると、PTSDの発症率は女性の場合とほとんど変わらない、むしろ男性の方が高いという結果も出ています。
今回の改正案では、被害者はその性別を問わず、性的マイノリティーの方々を含むあらゆる人を対象にしています。また、強姦罪の罪名を強制性交等罪に改め、処罰の対象となる行為を、膣性交に限らず、それに類する肛門性交や口腔性交にまで拡大し、その法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げております。これらの改正は、性犯罪についての考え方そのものを変える意義あるものと受けとめています。
そこで、金田法務大臣に、改めて、強姦罪の構成要件や法定刑を見直した趣旨について答弁を求めます。
次に、暴行、脅迫要件に関して伺います。
強制性交等罪が成立するための要件として、強姦罪と同じく、暴行または脅迫が必要とされております。
この点、被害者の方々からは、抵抗できなかったがゆえに暴行、脅迫が認定されなかった、被害に直面した際に生じる生理的反応や心理状態が理解されていないなどといった意見があり、暴行、脅迫要件の撤廃を望む声が上がっております。
他方で、暴行、脅迫の有無の認定については、実務上、周囲の状況、相手方との人間関係、被害者の年齢、事件に至るまでの経緯など、さまざまな要素を考慮して判断することとされており、被害者が抵抗できなかった場合でも、暴行、脅迫が認められる例もあります。このようなことに鑑みれば、まずは、暴行、脅迫をいかに的確に認定するか、ここがポイントになると考えます。
そこで、被害者の方々の声を真摯に受けとめ、被害者の心理状態等に関する調査研究をより一層推進すること、そして、裁判官、検察官などに対し、これらの知見を踏まえた研修の充実を一層図っていくことが必要と考えます。金田法務大臣の見解を伺います。
監護者わいせつ罪、監護者性交等罪に関して伺います。
本改正案では、家庭内での性的虐待に厳正に対処すべく、全く新しい刑法上の罰則、具体的には、親などの監護者が、十八歳未満の子供に対し、その影響力に乗じてわいせつな行為や性交等を行った場合の罰則を新設しております。
家庭における性的虐待は、より被害が潜在化、継続化する傾向にあり、最も安全であるはずの場所を奪われた子供たちは、性的な発達を含め、人間としての成長過程全体が大きくダメージを受けることになります。
社会全体で子供への性的虐待をなくす努力がなされないのであれば、それは加害者を暗黙のうちに許容したのと同じことです。今般の監護者性交等罪などの創設は、子供に対する性的虐待が絶対に許されない犯罪であるという強いメッセージを社会に発することになります。
金田法務大臣にお伺いします。
強制性交等罪や強制わいせつ罪とは別に、監護者性交等罪などを創設した趣旨は何なのか。また、監護者性交等罪などのように被害者が子供である場合には、捜査の過程において、事情聴取の負担を軽減するなど、子供の特性を踏まえた特段の配慮が必要と考えますが、これに関する見解、取り組みについて答弁を求めます。
性犯罪が親告罪であるがために、被害者は加害者の起訴、不起訴をみずから決めざるを得ないなどの精神的負担をこうむってきました。そこで、本改正案では、性犯罪を非親告罪化することとしております。
もっとも、現行法で親告罪としている趣旨は、事件を公にしたくないという被害者の存在も考慮し、その意思を尊重する点にあります。
そこで、非親告罪とされた後も、事件の処分や捜査、公判の各過程において、被害者のプライバシーや心情への配慮は十分になされる必要があると考えますが、この点に関する金田法務大臣の見解を伺います。
性犯罪への対策については、これまで政府一体となって、第三次犯罪被害者等基本計画に基づいてさまざまな施策を講じてきました。実効的な対策を講じるためには被害の実態の把握が不可欠ですが、被害が顕在化しにくい性犯罪に関する実態調査をするに当たっては、より細やかな配慮が必要です。
この点、例えば、内閣府では男女間における暴力に関する調査を実施してきたものの、従来の調査票では、女性に対してのみ、無理やり性交されたかどうかを質問するなど、不十分な点も見受けられます。
そこで、今回の法改正を踏まえ、女性のみならず、男性や性的マイノリティーの方々を含めた性犯罪、性暴力被害の実態をより正確に把握すべく、調査対象や調査項目のさらなる充実を検討し、性犯罪の対策を一層強力に推進すべきと考えます。これに対する見解、決意について、男女共同参画を担当する加藤大臣、犯罪被害者施策を担当する松本国家公安委員長の答弁を求めます。
結びに、本法案の審議を通じて、性犯罪被害の実態、被害者の痛みに対する理解が深まり、その支援の重要性が改めて認識されることを期待するとともに、全ての人の性が尊重し合える社会を築くため全力で邁進することを誓い、私の質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金田勝年君登壇〕