酒井啓子の発言 (外交防衛委員会)

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○参考人(酒井啓子君) ありがとうございました。
 ISに対してメッセージを呼びかけたことがないという御指摘ですけれども、ISそのものがやはり、何というんでしょうか、統一的な団体ではなくて、指導部があれば、それを支持する者もあり、さらにそれに合流する者もおり、様々な母体から成り立っている存在だというふうに私は考えております。ISに対して何か対話あるいは和解を求めるメッセージを発出するというのは、そういう意味では余り効果はないのではないかと。例えば、そのうちの幹部の一人が受け取ったとしても、それがどれだけ全体の戦略につながるかというのは難しい。
 それよりも、私が一番懸念いたしますのは、やはりISがこれだけ力を付けたことには三つ理由があると思います。一つは、イラク戦争でやはり理不尽に自分たちが権利を奪われたと考える人々がたくさんいて、それが新しいイラクの政権の中で参与できずに放置されたという不公平感が一つですね。同様の不公平感がやはりシリアにもあって、シリア内戦の中で、やはり政権側あるいは反政府側の中で、内戦のごたごたの中で行き着く場所がないということでISに吸収されていったような人々、これもある意味では紛争の被害者ということなわけです。三つ目の勢力、これがフランスにしても、ヨーロッパ全体でやはり移民の二世、三世と言われた人々がイスラム教徒であるということだけの理由で差別を被ってきたという、これもまた不公平感というものを非常に強く持っていると。
 そういう意味では、ISという存在というよりも、ISのようなものをつくり上げる土台に対して、そういったものを解消していくためにはどうするかということを考えることが必要だろうと。
 そういう意味でのメッセージという意味では、まさに世界に蔓延している不公平感を、少なくとも日本はそれを認めない。例えば、先ほど御指摘のあったような、ロシアが一方的に軍港を租借するというようなことに対しても、ある意味でIS対策としてロシアの力を借りざるを得ないというリアルポリティクスの中で、かなりの蛮行が繰り返されているということに対して国際社会が黙っているというのは、これはまさに逆にISに合流しようという人々を再生産する行為にほかならないわけです。
 そういう意味では、日本政府としては、いろんな意味で、そういったリアルポリティクスに邁進して、アメリカにしてもロシアにしても、不公平をかこっている若者に対して無頓着であるという状況に対して、日本は少なくともそれに対しては考慮しているよと、世界は公平であるべきであると。きれい事に聞こえるかもしれないけれども、日本の培ってきたスポーツの平和因子であるとか、スポーツ的な公正感といったものをむしろどんどん積極的に発信していくことが日本の外交の要になっていくべきではないだろうかと私は考えております。

発言情報

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発言者: 酒井啓子

speaker_id: 34479

日付: 2017-02-09

院: 参議院

会議名: 外交防衛委員会