村瀬博の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(村瀬博君) それでは、私の方からお話しさせていただきます。三重短期大学で非常勤講師をしています村瀬と申します。よろしくお願いいたします。
 私のお話は、配付資料というのを皆さんにお配りさせていただいておりますので、それに基づきましてお話をさせていただきます。
 一ページ目を御覧いただきたいと思います。
 私の話の中心というか、限ったお話ですが、自立支援に係る財政的インセンティブについて考えるということですが、自立支援をどう評価するか、それに対するインセンティブをどのように付与するかという、そういった点を桑名市の事例についてお話をさせていただきます。
 御存じの方も多いかと思いますが、桑名市は、厚生労働省から来ていただいた前副市長、今は厚生労働省へ戻ってみえますが、副市長さんが中心になって地域包括ケアシステムを骨組みから組み立てたという非常に先進的な市であります。二年間が経過したわけですが、今どんな状況になっているかということを私の懸念という意味でお話をさせていただきます。
 一ページの下の方の、これは国の、厚生労働省のホームページで、要介護認定率の推移ということで、和光市あるいは大分県が自立支援に努力されて認定率が下がっているという表が載っておりますが、桑名市はこれを上回る認定率の減少という状況にあります。
 次の二ページを御覧いただきたいと思います。
 桑名市の場合には、先ほど申し上げましたように、二年前の四月、新しい総合事業ということで出発しました。この中心の柱になるのが地域生活応援会議、一般に応援会議、応援会議と言っていますが、介護保険法では地域ケア会議の一類型という位置付けで出発しています。目的が、介護保険を卒業して地域活動にデビューする。これは、下に桑名市のホームページを付けさせていただきましたが、この中ほどの右側に、高齢者が介護保険を卒業して地域活動にデビューするというのが一つの大きな目標となっています。このために多職種が協力していろいろな助言、支援をするという、そういうふうな仕組みで出発しております。
 次のページ、三ページを御覧いただきたいと思います。
 地域生活応援会議というのはこんな形で行われます。左下の方に、サービス担当者あるいは介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーが座りましてプランを提示します。約四十名の方が毎週、これは水曜日の午後、桑名市の市役所へ集まってこういう会議を開くわけですが、いろんな職種、理学療法士であったり薬剤師であったり作業療法士であったり、こういう方、それから地域包括支援センターの三職種の方々は基本的にはここに出席するという、そういうことで大変な人数になるわけです。ただ、多職種とはいうものの、医師の参加というのはこの中には予定されていない、医師は参加していないという状況があります。
 この中でどういうことが話し合われるかというのを典型で示したのが、この桑名市のホームページにあります下の方です。
 これはよく見られた方も多いかと思いますけど、介護予防に資するケアマネジメントの在り方ということで、陥りがちなケアマネジメント、いわゆる独りで入浴できないという場合、清潔を保持したいという要求に基づいて通所介護、いわゆるデイサービスで入浴をするということになります。だけれども、こういうふうな形でいつまでもデイサービスに通うということになると、これは独りで入浴はできない、できないことを代わりにするケアがいつまでも続くということになります。
 右側に目指すべきケアマネジメントとありますが、なぜ独りで入浴できないかということをよく検討するという中で、バランスが不安定で浴槽をまたげないという、そういう例であれば、デイサービスで足を持ち上げる動作を指導する、あるいは自宅で専門職種が自宅の浴槽をまたげるように訓練する、こういう経過をたどって独りで入浴できるようになる、いわゆるできないことをできるようにするケア、これを目指すべきだということで、応援会議の一つの方向性というか、そういうことを桑名市は何度もホームページ等で示しています。
 次のページ、四ページですが、この場合、私としましては、この自立という考え方についての誤解あるいは誘導があると考えます。
 介護保険の目的は、状態を軽減あるいは悪化を防止するということが介護保険法に規定された目的、理念であるはずなのですが、介護度の改善だけが成果であるという捉え方をしますと、これは現場では大変なことになるんじゃないかなと思います。維持を評価する、状態の維持を評価するというのが基本というか、多くの人に当てはまる状態ではないかというふうに思います。
 確かに、骨折をして、七十歳代の方で、先ほどのお風呂の図のように改善される、これは行政にとってもいいことですし、本人にとっても幸せな、一番幸せなことでありますが、多くは、四ページの下の図にありますが、高齢者の場合は、その状態像においては一般的には穏やかに老いる、その状態をどういうふうに支援するかという、そこに重点が置かれるというか、そういう状態を支援するということが大事ではないかと思います。
 いわゆる、ケースを発見し、アセスメントをし、ケアプランを作成し、サービス担当者会議でサービスを選んで提供する、そして三か月後にはまたモニタリングをする、こういうぐるぐると回るサイクルが一般的に、穏やかに老いるためにその時点時点で支援していくというのが一般的ではないかと思います。
 ところが、桑名の場合には上のいわゆる卒業ということが言われますので、卒業を目的としているという形で若干のゆがみというところへつながるというふうに思います。
 次のページを御覧ください。
 いわゆる数字目標ということになるかと思いますが、桑名市では、桑名市のホームページ、地域生活応援会議の評価ということに関しましてこういう表を掲げています。上の表の左下の方に評価指標というのがありまして、その目的、目標は卒業の件数です。卒業の件数を多くしていく。その右に評価結果、三角がありますが、これは、ちょうど一年ほど前の、地域包括ケアシステムの推進会議という、地域ケア会議の一番上部の団体という桑名市は位置付けをしておりますが、そこでの自己評価は三角になっています。これは、一つは、余り卒業が伸びなかったということもあるわけですが、丸が書いてあって、二つ目の丸に卒業された方のその後の把握等が十分にできていないという、卒業された後の方がどういう状況でいるかという把握がやるべきだということで、三角になっているということであるわけです。
 こういうふうな課題を私自身どうなっているんだろうということで、下のようなフォーマットを作りました。卒業後の状況調査票ということで、三月に桑名市さんにお願いして、桑名市から回答をいただいた結果がこういう結果です。
 この結果の中で一番問題となる、まあ幾つか問題がありますが、一つは、⑤の自費のサービス事業所に参加という、卒業された方がなかなかそのままではやっていけなくて、それが九・二%、一〇%弱いる。同じデイサービスをやりながら自費のサービスで十割を払ってそのサービスを受けているという方がこういう比率というのは、介護保険は負担と給付というのを基本とした保険原理で成り立っている制度ですので、保険料を払いながら自費で十割払わなければ生活をしていけないというのは非常に重大なことだというふうに私は思います。
 その下、⑥は介護保険サービスを受給ということで、卒業したものの重度化して介護保険の方へ戻ってきたという、その方が二割います。⑦番の死亡につきましては一〇・六%。この一〇・六%という数字は、昨年、社会保障審議会の六十三回介護部会の資料で、二年前要支援一あるいは要支援二であった方が二年後にどうなったかという表が九月七日の部会に提出されていますが、そのパーセントで見ても、大体多くても六%から七%が死亡というふうになっておりまして、桑名市が元気な方を卒業させたというか卒業に至ったということを考えた場合、一〇%を超える死亡者というのは多い、まあ母数が少ないという問題はありますが、そういうふうに私は思っています。
 とはいうものの、①の自宅で元気に生活という、元気にという言葉、私がフォーマットで付けた言葉ですが、元気に生活というのが四割以上いるというのは成功ではないか、非常に目的が達成されているかという評価はあるんじゃないかというふうに一面思われるわけですが、次のページの表、上の表、これは行政自体が課題として、幾つか新しい総合事業を進める中で課題として掲げているものがありまして、今回の私の話に関連しては、一番右の、卒業後、住民主体のサービスにつながらない理由ということで書かれていますが、これは地域包括支援センターの三職種の職員さんに行った調査結果なんですけれど、行く手段がない、二十四、行く手段がないが半分近く、サービス回数が少ないというのも大体四分の一、サービスが合わないというのもかなりのパーセントがあるということで、初めこの円グラフを私が見せていただいたときに何か変な感じがしました。
 卒業して元気でいわゆるデビューということができる方が、サロン等いろいろなそういうところへ行く手段がないというのは、元気になったはずなのに、なぜそんなことが起こっているのかというのは非常に不思議だったし、サービスの回数が少ない、いわゆるデビューで担い手となっていくべき方が、回数が少ない、週一回行くのが二回にしてくれと。そういう意味で言われるのは何か変で、実はそういう方が一定の支援を受けながら生活、そこで介護のサービスを一定必要としているんじゃないかという、いわゆるサービスを受けるという、そういうふうなことを意味する結果ではないかというふうに思いまして、先ほどのページの六十名四二・三%というのは、非常に元気に生活しているという状況ではないんではないかという、そういう懸念を持ちます。
 申し訳ありません、戻ってもらって四ページですが、終結、評価というところですが、実際には、上の矢印、卒業した方が、お金のある方は自費サービスを利用している、十割を払ってでも利用している。この数は、そういうことをやっているデイサービスは十か所以上ありますので、かなり広がってきているということです。
 下の②サービス待機卒業者と書きましたが、初め私はデビュー待機卒業者というふうな意味合い、言葉で書いたんですが、この円グラフの結果を見ると、もうサービスをやっぱり待機している卒業者という、こういうふうに書いた方が実質を表しているんじゃないかと思って変えたわけなんですけれど、待っている間に死亡あるいは重度化する方がかなり見えるという、こういうイラストを作りました。
 済みません、先ほどの六ページの下へ行きますが、既にインセンティブという意味で桑名市さんは、くらしいきいき教室という短期集中型のこれはサービスC型なんですが、そこで卒業された方、卒業して六か月間介護保険サービスを利用されていない方については元気アップ交付金ということで、本人さんには二千円、事業者さんには一万八千円、プランを立てたケアマネジャーさんには三千円を交付する。その下の地域包括支援センターの委託費についても卒業件数等によってその委託費を決定するという、そういうふうになっています。
 七ページは認定率の桑名の下がり方ということで、アウトカム指標としましては桑名はこういうふうな表をホームページに掲載してチェックをしています。
 最後のページは、そういう中で来年の四月には専門職によるサービスというのはもう廃止するということをパンフレット等で明言しているということで、住民主体のサービスで支えていくという、こういう仕組みを徹底させるという、そういう在り方を考えています。これについて私は大変懸念をしているところであります。
 以上で意見とさせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 119314260X01820170523_009

発言者: 村瀬博

speaker_id: 9685

日付: 2017-05-23

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会