馬田啓一の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(馬田啓一君) お答えします。
 TPPの修正については、アメリカが一方的に言ってそれをほかの十一か国が受け入れるという一方的な修正ではありません。これではほかの国が付いてこない。ふざけるなという話です。アメリカの論理を押し付けるのかと。
 そこで、私が提案しているのは、例えばNAFTA、北米自由貿易協定と同じ補完協定ですね。あれは環境と労働に限定して成立させました。同じように、NAFTAと同じように、TPPについても、既に調印まで済ませたこの本体はできるだけそのままにして、あとは足りないアメリカが文句を言っているようなところ。これは去年、土壇場で最終合意にこぎ着けたアトランタの会合で、知財、医療品のデータ保護期間、五年、八年の問題とか、あるいは原産地規則とかですね。
 これ、アメリカ、非常に譲歩し過ぎたと。甘利大臣がフロマンを恫喝して、譲歩しろ、これを譲歩しなければ漂流だと。で、大統領選予備選にもみくちゃにされないようにここでというんで、十月でついに、まあアメリカはいつもそうでしたけれども、ずどんと譲歩したんですね。これがアメリカの議会でくすぶっているわけです。選挙中も、TPPについてはトランプもそれから民主党サンダースも駄目だと言って、その流れの中でヒラリー・クリントンは再交渉。でも、最後はそれで収まらないで反対よと、こう言ったわけですね。
 今の上院、下院の議員は多かれ少なかれ反対だということで議員になった人たちですから、これが仮にトランプ政権でまあ片目つぶって通すかといっても、議会が通るか分からない。本当は、オバマ政権があれで、ヒラリー・クリントンが当選して、あのレームダック会期ですね、大統領選直後の、あそこで最後っぺで、本当はTPPはいろいろあるけれどもやっぱりアメリカのためになるんだということでわっとオバマが上手に通す、これが日本から見てもハッピーだったんですけれども、まあそうはいかない。
 つまり、アメリカの議会を今、現行のTPPで通そうといってもうまくいかないぞというのが私の見方です。甘いと、それは。ですから、修正というのは、再交渉というのはもう去年からアメリカの議会は言っているわけです。
 あのTPPを何とか実現したいと思った人たちも、やっぱりいろいろ、商務長官のウィルバー・ロスも原産地規則は駄目だとか、マコネル院内総務も医療品で譲歩し過ぎている、もっと、十二年、データ保護期間。そういうところが修正される、つまり百点満点で九十点だとして、まあ随分高い数字だと思うんですが、業界のいろんな突き上げがあって駄目だ、じゃ、九十五点、百点にできるだけ、そうすればTPPを通してもいいと。つまりTPPの修正版ですね。これを日本側が何となくにおわせながら再交渉でもと。現行のTPPでアメリカがうんと言えばこれはファーストベストで結構ですが、まずは現実的に難しい。であれば、セカンドベストで一部はアメリカの意見を入れて修正。しかし、それは一方的に譲歩をするんじゃない、ほかの国がそれは駄目だということになりますから。
 私が言っているのは、あのアトランタの会合まで時計の針を戻して、あそこで仕切り直しだと、あそこで問題になった、あそこでもう一回交渉し直そうと。であれば、限定的で、はるかに二国間のFTAを結ぶよりは、自動車にしろ何にしろ、農産物も危ない、そういう日本への風当たりが弱まるだろうと。ですから、恐らくアメリカの方では、水面下で二国間FTAと言っていますけど、ちょっと待ってくれと。
 そういう問題も含めて、日米経済協力あるいはTPPも含めFTAの在り方について、もう一回しっかりそういう日米の話合いの場、これは例えば日米経済対話みたいな、つまりお互いにそれぞれ相手の問題点をつつき合いながら、何らかいい改善の方法という、そういう一旦は、いきなり二国間FTAではなくてそういう話合いの場、枠組みをつくって、そこに持ち込んで時間稼ぎ。そのうちにトランプの勢いも弱まるだろう、嵐も普通の雨になるだろう、途中で失脚するかもしれない、四年間もたないトランプ政権、急いで二国間FTAに入ってばかを見るなということですよ。
 ですから、TPPについては再交渉。つまり、トランプというのは不動産屋のおやじで、たたき上げの、まあそれは不動産王かもしれません。彼のやっていることは不動産という狭いビジネスなんです。普通のビジネスマンだったらもっとマルチに人間関係、人脈というふうに言いますよ。彼はそうじゃない。変わったちょっと異常なビジネスマンです。彼の考え方は非常に狭くて、常識もない、TPPもFTAAPも知らない。それで来ているわけです。自信だけで交渉力と言っているわけですね。
 そこで、結局、彼のやり方は、どんと肝を潰すような、みんながびくっとするような、それをぼんと駄目元で、いいですか、駄目元でやって落としどころ、妥協点、これが彼の不動産ビジネスのやり方だった。同じように、いいですか、これは分かりませんが、こんな物件なんて要らねえや、どんなにいい物件でもこんな物件要らねえとけち付けて、そして売主が売りたければ値を下げる、値を下げて値切ってビルを、ホテルを買ってきた人間ですから。TPPなんかと言って、離脱だと、知りもしない。
 でも、それで日本が、ちょっと待ってくれ、再交渉、これを待つ。つまり、離脱だと言って落としどころは再交渉。これがどのぐらいのパーセンテージで可能性があるのか分かりませんが、彼のやってきた世界というのは、そういうやり方で、ずっと交渉で自分の思いどおりに。だったらそれを、完全に否定するんじゃない、現行のTPPと言ったって怒るだけです、いらつかせるだけですから、ちょっと向こうの言い分というかメンツを立てるように再交渉、補完協定。再交渉の土俵に持ち込めば、あとは限りなく現行のTPPに近いところに持っていく。これは日本とかほかの国の交渉力です。もしかしたらアメリカのどんどん強い交渉力に負けて追い込まれる。でも、それはやってみなきゃ分からない。やってみなきゃ分からない、やってみろということです。
 そういうマルチの、TPPのアメリカにとっての経済的なメリットとか戦略的な重要性、意義、これを説いても、だからこの現行のTPPを認めろというのはちょっといかがなものかなと。そこは落としどころも考えながら、ちょっとアメリカがうんと言えるような交渉を日本が仕掛けていく必要があるんじゃないですかね。
 そういう話合いの場は、いきなり二国間のFTAをやろう、うんと安倍さんが言ったら駄目ですよ、これは。ちょっと待ってくれ、だってアメリカの閣僚、商務長官ロスも決まっていないんですから。まあ、商務長官ロスと、それから国際通商会議トップは例のナバロですね、対中強硬派。それから、USTR代表はライトハイザー。戦略はナバロとロス、そして交渉はUSTR代表のライトハイザー。ライトハイザーが自分で戦略立ててくる、ロスは日本もよく知っている、分かってくれているはずです。
 ロスがアメリカの通商チームの柱になるだろう。だったらロスに何とか理詰めで説明すれば、ロスは元々自由貿易論者ですから、そしてTPPも最初はいいと言っていたんですから。だけど、トランプに擦り寄ってというか、分かりませんが、最後は、商務長官の名前が挙がったときにこんなひどい協定と。でもあれは本心じゃない。恐らく裏で、分かりませんよ、これも、ロスとトランプは裏で、ぼおんと離脱だと言って、落としどころは再交渉。これは俺がやるとロスが言っているかもしれない。私も自由貿易論者です、TPP推進論者です。幾ら安倍さんに甘い言葉を言われたってTPP反対とはなかなか言いにくいところがありますが、でも彼はそれをやった。なかなかのくせ者です。
 つまり、アメリカ・トランプ政権との交渉は、額面どおりトランプの言ったことを、ツイッターを真に受けて、慌てふためいて対応を、答えを出しては駄目で、愚の骨頂であって、先読み、深読み、裏読み、場合によっては逆さ読み、これをしなければまともにトランプ政権に対して日本の国益を守る外交はできないんじゃないのかなと。そういう枠組みの中でうまく修正版TPPで復活の糸口をつかめば、これは、ほかの国がああ助かったと、アジア太平洋における日本の存在感、役割、リーダー国としての一目置くんじゃないですかと思いますが。

発言情報

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発言者: 馬田啓一

speaker_id: 26149

日付: 2017-02-08

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会