伊藤剛の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(伊藤剛君) 一般的には、アクターレベルでいえば、アメリカ以外の国とどうやって友好関係を深めればいいかという話になるわけです。そういう中で、ごく普通に出る話はオーストラリアであったりカナダであったり東南アジア諸国であるという話はよく出てくるわけですが、そういう連携を中国以外と進めれば進めるほど中国は孤立感を味わうというのが現状でありまして、実際には、あるところと連携を進めれば進めるほど中国は余計にリアリズム的な、伝統的な力に基づく現状変更を結局やめないということが続いていくというわけであります。
 じゃ、どうすればいいかということなんですが、ここ数年、安倍政権の基本的な方針は力による平和、力による現状変更に対してやっぱりこちらもきちんとその力を蓄えぬといかぬということであると思うんですが、それと同時に、やっぱり大事なことは、どうやったら中国を我々の領域に入れることができるか、オバマ政権流に言えばシェイプという言葉がついこの間まであったわけですが、そういう中で何ができるかということを考えていく必要があると。
 実は、先ほどの小野田先生の話の中に、国際法も遵守しないような国とどうやって付き合えばいいのかというのは、確かに一般論としてはそのとおりなんですが、よく私、話すんですが、PCA、仲裁裁判所の判決は要するに何を言っているかというと、中国にこれやっちゃ駄目よ、あれやっちゃ駄目よ、これも駄目よと、こう言うと。
 人を説得するときいつもそうだと思うんですけど、駄目駄目駄目と言っても絶対に人は言うことを聞かない。そうすると、駄目駄目ということと同時に、その代わりにこれならいいですよというものがやっぱりないと、特に孤立感、それがたとえ被害妄想であったとしても、孤立感を味わっている中国を、その行動様式を変えることはやっぱりなかなか難しいと思うわけですよね。
 その中で、よりやっぱり重要なのは、日本の外交って、伝統的にODAをどうやってうまく使っていくかということは昔からやってきて、国連の非常任理事国の議席を取るためにできるだけ広く、そしてODAをうまく活用するということをやってきたわけですが、それと同じように、アジア諸国及びインド洋、それからアフリカまで広げるところの地域で、中国の一帯一路に対抗するというとおかしいですけど、それと同時に日本が何ができるかというと、具体的にこういうことならできますよということをやっぱり考えていった方がいいと思います。
 そういう意味で、中国の立場に立てば、これは私、昨年中国に会議に行って実際にあったことなんですけど、国際会議の場で、私がもしも中国人でしたら、アメリカがハワイとかグアムを持っていて、イギリスがフォークランドを持っていて、フランスがポリネシアを持っていて、オランダが南米の北のアンティルを持っている、ああいう状況ですから、私がもしも中国人だったら、南シナ海のどこが悪いんだと、私ならそう言いますよと言ったら、新華社がぱちぱちぱちとやってくれたということがありました。私はその後で、でも、もしも私がベトナム人であればどう思うかといいますと、いや、こんな近くまで中国の公船がやってきて我々の船を簡単に沈める、これこそ力による現状変更じゃないかということを答えると、ここはカットされまして、非常にけしからぬと思っているんですが、しかし、その立場によって主張することはもうがらがらに変わっていくという前提で、どうやって信頼醸成をやったらいいのかということを実際に考えていく必要があるのではないかと思います。
 最後に一言だけ。よく、日本の立場は、南シナ海の公海が多いところを力による現状変更はあってはならない、つまり、その背景には公海というところはみんなが使えるところでないといけないという立場に立ってこれまで海洋安全に関する外交というのはやってきていますが、私いつも不思議に思うのは、捕鯨の話になったときに、わざわざオーストラリアの南辺りまで出かけていって調査捕鯨と称して捕ってくる、これは公海だから誰の国の迷惑にもなっていないじゃないかと。
 これは公海の解釈の仕方です。要するに、公園のごみ箱はみんなのものだからきれいにしなきゃいけないという立場を取るのか、公園のごみ箱は誰にも迷惑にもなっていないからがんがんごみ捨てていいという話と何か似たところがあって、公海だからみんなで平和に保たなきゃいけないという論理と、公海だから誰にも迷惑掛けていないでしょうという、お互い矛盾する議論が何か併存しているような気がするんですよね。
 こういうのは、やっぱり日本としてはきちんとその信頼醸成をやっていくにふさわしい外交形式に直していくという必要があるのではないかなということをふだんから考えている次第です。
 以上です。

発言情報

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発言者: 伊藤剛

speaker_id: 12652

日付: 2017-04-19

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会