伊藤剛の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(伊藤剛君) 一つはちょっと精神論的なもので、二つ目はやや学者としてのコメントという二つに分けたいと思うんですが、一つは、やっぱり基本的には、グローバル化やってマイナス要因とプラス要因を考えてみると、やっぱり圧倒的に、知らない人と知り合える、そこからチャンスが生まれるということも含めて、やっぱりプラス要因の方が大きいであろうし、またそういう国際社会にしていくべきというまず大前提の目標があると思うんですよね。
 そういう中で、今、高原先生がおっしゃった交流の部屋がないということもそうなんですが、特に私、もう二十年、私立大学に勤めていますけど、やっぱり教室、交流部屋の前に、教室はあるというんですけど、教室ですら今足らない状況になっているというのが実際のところでありまして、特に少人数教育をやろうと思えば思うほど部屋はたくさん必要だと。教室レベルですら部屋が足りなくて、じゃ、伊藤さん、済みません、朝一限から授業やってください、ああ、分かりましたという、大学に二十年勤めて、朝一限から一、二、三、四、五、六、七とか、九時から九時まで働くという状況がごくごく普通に生じているというのが現状ですから、やっぱりそういう意味では、グローバル化を推進できるような社会にしていくべきだというまず前提で話をする方がいいと思うんですよね。これは精神論的な話。
 二番目には、構造論的な話で思うことは、グローバル化と同時に、やっぱり大きな問題というのは、私の最初の報告の中でも申し上げました、やっぱり過剰流動性をどういうふうにうまくマネージしていくかということが非常に大事な話でありまして、それは何も中国だけに責任があるわけではないし、アメリカだって国内の輪転機がっちゃんがっちゃん回していろんな紙幣を刷る、日本だって異次元金融緩和やっているわけでありますから、日本だって全く関係ないというわけではないと。
 そういった中で、経済の浮揚策として、特にリーマン以降がそうだと思うんですが、経済の浮揚策として流動性を非常に刺激するような政策というのが世界のいろんなところで繰り広げられてきている。当然のことながら、余ったお金が行き場所を求めてとにかく世界中をうごめくということになっていると。それで、世界の主要なところの不動産を買い上げる、それがその値段をつり上げて、そして中産階級は買えないような社会になっていくと。
 アメリカは五万ドル以上の授業料で世界中から学生が来ますけど、日本の私立大学は、さあこれから少子化にどう対応しようかと、全然アメリカの大学とは全く別の議論というのが今、中に出ていると。そんな中で、そのグローバル化というのが大学の課題として出ているのが現状でありますが、そういった構造になっているのが現状だと思います。
 その意味で、経済をうまくマネージしていくという政策を取っていくと、その中で、現状のままだと、一生懸命頑張って就職して、そこで頑張って働くことが幸せにつながるんだという考え方がだんだんだんだんうまく立ち行かなくなってきているというのが今の社会ではないかと思います。
 ここ三年ぐらい、景気はいいので学生は就職は簡単には決まるけど、十年たって十五年たつと同じところで勤めているか、あるいはその幸福感を感じるかということはやっぱり別の問題になってきているのが現状でないかと思いますので、やはり大きくは流動性の問題をどうやってうまくマネジメントしていくか。パイを大きくするということとパイをうまく配分するということ、やっぱり両方が必要だと思うんですよね。パイを配分することだけに関心があると全体をどうやって大きくするかということはなかなか立ち行かなくなって、パイをどうやって大きくするかということにいつも関心が向くとそれをどうやってうまく公平に配分していくかということがなかなかうまくいかないという。
 経済成長著しいときに貧富の格差が大きくなるということはよくある話ですが、今はその全体の成長がなかなかうまく見込めない中で、しかしながら分配もうまくいっていないという状況になっていますので、そういう点をやっぱり政策としてうまく考えていくことが大事ではないかというふうに思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 伊藤剛

speaker_id: 12652

日付: 2017-04-19

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会