伊藤剛の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(伊藤剛君) 肯定的なお話はほとんどもう出尽くしたと思いますので、ちょっと違う観点から、ちょっと否定的な見解も含めて二、三申し上げたいと思います。
 まず第一は、クリミア問題を起こして既存の国際秩序を変えようとする国、それから、まあ南シナ海もそうですが、勝手に埋立てをして軍事化を進めている国との間で果たして価値観や利害が共有化できるかという基本的なまず問題があることは言うまでもありません。
 こちら側が抑止政策をしていかないと勝手に徐々に影響力を大きくしていく、何かアメーバのような、アメーバはたしかかつてアメリカの研究者がロシア外交を指してそういうことを言ったことがあると思うんですが、そういった国内の体制の問題と関わり合いがある国でどうやってうまく信頼を築けていくかということは言うまでもなく疑問に思います。
 第二には、今度は関係性の問題でありまして、日本だって、アメリカと中国がうまく信頼関係を築いて握手していると、いや、我々は大丈夫かなという気持ちになる、ニクソン・ショック・シンドロームのようなものが出ていると。これをいかに日本としても克服をしていくか。日米が緊密であればあるほど、今度は逆に中国が我々は置いていかれるんじゃないかという気持ちになるのと同じようなことで、やっぱり構造的に、ある二国間関係が仲よくなると、やっぱりどうしても蚊帳の外に置かれたという心配を持つ国、それがその周りを固めてしまうと孤立感を勝手に持ってしまうという状況ですので、確かにおっしゃることはそのとおりだと思いますけど、実際にそういうふうにいくのかなということはいろいろと疑問に思う次第です。
 一番いいのは、二国間ではなくて、ある程度ヨーロッパのような多国間の間の、複数の国で安全保障に関する同盟なりあるいは枠組みをつくるのがいいということになるかと思いますが、今度そうすると集合行動論の観点でフリーライドする国が、ただ乗りする国が生まれてくるということでありまして、これは冷戦後にヨーロッパのNATOが東側に拡大するときに、一体東ヨーロッパ諸国で大丈夫かという議論が起こったのと同じような話でありまして、フリーライドをいかに食い止めて全てのメンバーが貢献できるような多国間の枠組みをどうやってつくるかということはいつも問題になるということで、結局、私が結論として申し上げたいことは、一〇〇%うまくいくものはありませんということであります。

発言情報

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発言者: 伊藤剛

speaker_id: 12652

日付: 2017-04-19

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会