飯泉嘉門の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(飯泉嘉門君) ただいま御紹介をいただきました全国知事会地方創生対策本部副本部長、徳島県知事の飯泉嘉門でございます。
川田会長さんを始め調査会の先生方には、こうした場をお与えをいただきまして、心から感謝を申し上げたいと存じます。
それでは、紙媒体としては徳島の資料と、そして全体はスライドショーの方で進めさせていただきたいと存じます。(資料映写)
まず、今日のラインナップでありますが、地域間格差の現状と課題等という今回のテーマ、そして地方創生の必要性から全国知事会からの提言、あるいは徳島が今打ち出しております「VS東京」、そして徳島の具体的な事例について、以下御説明をさせていただきます。
まずは、今の全国の状況、どうなっているのか。大正九年から行われております国勢調査、平成二十七年度行われまして、大変ショッキングなデータが二つ出てまいりました。まず、全体としてはいよいよ日本が人口減少時代に入ったということ。また、調査開始以来一度も人口の減ったことのない大阪府が人口減少となりました。その一方で、東京を始めとする千葉、神奈川、埼玉、いわゆる東京圏は五年間で何と五十一万人も人口が増えたんですね。地方創生、まさに何とかしなければ東京一極集中の是正はあり得ないという状況になりました。
また、その中のデータを調べると、更に大きな課題が出てまいります。先ほど小田切先生の講演の中にもありましたように、都市部にいる若い皆さん方は地方に行きたい、こうした希望があるにもかかわらず、結果として大学への進学あるいは就職、これをきっかけに東京にどんどん若者が集まってしまっている。まさに若者のブラックホール東京となっているところでありまして、更なる地方創生、これが大変重要になるということで、その具体的な処方箋として、新しい働き方から地方創生回廊の創出まで、以下五つ御説明をしてまいりたいと思います。
それではまず、地方創生に入る前の年、全国知事会から日本再生デザイン、こちらを発表をさせていただきましたので、その主なポイントを御覧をいただきたいと思います。
ここでは、五つの未来像、こちらをしたためるとともに、具体的な施策の抜粋、これがなされました。一つは、自己決定と責任を持つ、二十一世紀型の地方自立自治体なんだと。まさに国、地方が連携をして国の形、例えば国、地方協議の場などを通じて策を取りまとめていく、こうした点であります。また、多様性のある経済圏、大交流圏形成によるまさに多極交流圏の創出ということで、こちらにつきましては、今大きなテーマとなっている六次産業化、一次産業をベースとしていかに成長戦略を果たしていくのかという点であります。また、三番目として国土軸の新たな形、リダンダンシーなどが出されておりまして、この中には全国の新幹線構想、こうした点についていかにこれから具現化をしていくのか、これが大きなポイントになるというものであります。また、国、地方の力を結集をした社会保障制度、こうした点についてどうしていくのか、その背景には多様なまさに働き方、環境整備が必要になる。そして五番目、地域や日本を担い、そして未来を開く、やはり重要なのは人づくりという点であります。
それでは、徳島が今地方創生の中で打ち出している「VS東京」、この点について少しお話をしたいと思います。
「VS東京」、これが発表されたのは平成二十六年の九月九日であります。ちょうど九月の三日に地方創生、東京一極集中の是正だ、政府が掲げた点で大変注目をいただいたところでありまして、この「VS東京」の動画、ユーチューブで流したところ、何と十日間で十万回の再生件数があったところであります。
マスコミの皆さん方は、徳島が東京にけんかを売るのかなんてことで言われたわけでありますが、実はそうした意味ではありません。コンセプトは大きく二つ。まず一つは、東京と地方がやはり切磋琢磨をしていかなければならないだろうと。特に、第二次世界大戦後、東京都の人口は四百万人でありました。もちろん、疎開をされている人もおられたとは思いますが、今ではそれが一千万を超え、一千三百万人、つまりその多くの皆さん方は地方にルーツを持つ皆さんということで、例えば徳島御出身、徳島ゆかりの人、あるいは徳島で長年仕事をしてお子さんの関係で老後を東京で暮らしている、こうした皆様方にあなたのふるさとはどこですか、こうした問いかけをしていこう、これがまず第一点であります。気付きを持っていただこうということ。
そしてもう一つは、東京を始めとする東京圏、二〇二五年問題が今大きく立ちはだかっております。医療、介護、この需給が大変逼迫をする。あの地価の高いところに病院を、介護施設をどんどん建てていく、これはなかなか不可能であります。ということであれば、徳島ゆかりの皆さん方に是非まだ現役として働ける間に徳島にお戻りをいただき、そして老後を過ごしていただこうと、こうした点を平成二十六年度から行ってきたところ、それが後に日本創成会議が打ち出す日本版CCRC、これへと結び付いてくることとなりました。
ということで、ちょうど平成二十六年の十二月、当時の舛添都知事さんの方へこの「VS東京」を持っていったところ、翌年には今度は東京側から「&TOKYO」というものが出されました。これの一番のポイントは、決して徳島VS東京と言っているわけではない。つまり、高知VS東京でも鳥取VS東京でもいい、地方が東京と共に切磋琢磨をして、そして日本をより良くしていこう、日本創成に結び付けていこうというものでありまして、実はこの「VS東京」、県庁の四十歳以下の若手十四名のタスクフォースが二十六年の一月から約九か月間を掛けてつくった、まさに若者の意識、やる気というものであります。
それでは次に、徳島の具体的な地方創生の状況、お話を各テーマに沿って申し上げていきたいと思います。
全体として共通をするのは、ピンチをチャンスへであります。徳島を始めとする四国、いわゆる典型的な地方であります。人口減少、高齢化、少子化、日本で最初に課題が訪れる課題先進県であります。そして、これが日本全体のまさに課題へとなっていく。であれば、真っ先にこの課題を解決をする処方箋を出すことがまさに徳島、四国から日本のスタンダードをつくることができる。我々徳島は、課題先進県から課題解決先進県を目指していこうとしているところであります。
そこで、まず第一番目、新しい働き方改革であります。
実は地上デジタル放送、テレビが双方向になる、紅白歌合戦、お茶の間から投票ができる、いいことずくめです。これは、しかし政府広報であります。実は、四十六都道府県はいいんでありますが、徳島県、アナログであるがゆえに関西波が全て見える。しかも、大阪は一チャンはビデオチャンネル、徳島は四国放送が見えます。つまり、十チャンネルということで、何と東京と同じなんですね。しかし、放送法上は三チャンネルしか見えない県、デジタルは仕事きっちりであります。見えるか見えないか、「暴れん坊将軍」が見えなくなる、高齢者の皆さん方が逆に暴れちゃうぞ、大変だということで、約七年間を掛けて、中山間地域、各御家庭までケーブルテレビでつなぎました。それが後発の利ということで、光ファイバーで結ぶこととなり、今ケーブルテレビの普及率は八九・八%、五年連続で日本第一位。ちなみに、第二位が大阪府、第三位が日本最大の難視聴地域である山梨県、「VS東京」相手の東京は第四位。もう既にVS東京、言うまでもないところであります。
ということで、この光ブロードバンド環境を使わない手はないであろうということで、まずは、東日本大震災、これが起こり、特に東京、大阪のICTの企業の皆さん方がクライアントから、BCPはどうするのか、リスクヘッジをどうするのか、こう問われた。しかし、彼らにとってみて東京、大阪以上の通信環境にあるところはない。しかし、それは徳島なんですね。
ということで、我々は、二十四年の三月から東京、大阪の企業の皆さん方に、徳島でサテライトオフィスを構えないか。今では神山町あるいは美波町は十六社始めとして、二十四市町村がある中で何と九市町に今四十五社が集まっております。そして、美波町では東京サテライトオフィス、そして美波町を本社にする企業も出てまいりました。
ということであれば、これをまず隗より始めよ、県庁からはしっかりとテレワーク、これを行っていこう。在宅勤務、モバイルワーク、そして神山町の方にサテライトオフィスまで構えた、これがとくしま新未来創造オフィス、後に消費者庁の移転の名前になるベースがここにございます。そして、いよいよ今年の六月からは、県庁十階、ここが消費者庁、消費者行政新未来創造オフィスが移ってくるフロアでありますが、WiFi環境を全て行い、フリーアドレス制、そしてさらには立ち会議システムの導入、ペーパーレス化、こうしたものを進める予定としております。
また、県民の皆さん方、企業の皆さん方にもテレワークを実感をしていただこうと、特に子育てあるいは介護離職、女性の管理職の皆さん方に大きな今課題となっているところでありまして、これを、テレワーク実証センター徳島を二十七年十月つくりまして、そうしたテレワークの講座、また各企業の皆さん方に、テレワークやってみたいんだけどまずはお試しからという皆様方の場の提供をさせていただいております。
次に、今度は六次産業化であります。今、農業を始め第一次産業は、従事者の減少あるいは高齢化、大きな課題があります。こうした中で、長らく関西の台所を任じ、そして東日本大震災発災以降は日本の台所を期待される徳島県。実は、中四国九県の中で大学に農学部がないのは徳島県だけであります。かつてはオー・ノーなんてことを言っていたわけでありますが、そうではなくて、このピンチをチャンスに、最大の工学部があるんであれば、工学系から農学系の方へと農工連携スタディーズを始め、昨年の四月から日本で初となる六次産業人材育成の進学、徳島大学としては三十年ぶりの学部を県とともにつくり上げ、生物資源産業学部が誕生をいたしました。
ということで、今、Iターンの皆様方にもどんどん農林水産業、徳島で行っていただいております。小田切先生始めとする明治大学の農学部の皆様方が、本県の海陽町、きゅうりタウンということで、先ほども出てまいりましたが半X半農と、ここでは埼玉のIターンの女性がJA共済の全国版の宣伝のモデルとして出てくるわけでありますが、きゅうりタウンでキュウリを作り、年商一千万を超えようと。そして、彼女は実は埼玉にいながらにしてサーフィンが好きなんですね。ということで、海陽町でサーフィンを行う。高知県との県境、生見のところはまさにサーフィンの世界的な大会が行われる場所であります。
また、これに併せ、徳島としては、地元の大学とアグリ、マリン、フォレスト、三つのサイエンスゾーンをつくり上げるところであるとともに、さらに即戦力としての林業あるいは漁業。既に林業は昨年の四月からとくしま林業アカデミーを、何と倍率は倍以上、そして今年卒業生が出たわけでありますが、この皆さん方、林業関係からは何と三倍の募集率ということで、次は更に数が増えたところであります。漁業アカデミーはこの四月から、こちらも五名の枠だけを設けたところでありますが、倍以上の募集がありまして、七名をまず採ってみて、そしてベテランの漁業者の皆さん方とともにこの皆さん方を育んでいこうというものであります。
また、全国初となりました徳島大学、こちらの生物資源産業学部、定員は百名であります。県から提案をさせていただきまして、実は八名の地方創生枠、こちらはセンター試験を受けることなく、いわゆる専門高校からそちらへ推薦で入ることができるわけで、弱いミシン目で四、四、全国枠と県内枠がありましたが、二年連続で五名、県内枠が入りました。つまり、全国枠を一名食べたところでありますし、また、百年を超える伝統の徳島農業大学校、こちらの専修学校化をし、大学の三年に編入を可能としているところであります。ということであれば、高校の段階からこの大学を目指していこうではないか。新たな専門コース、こちらをつくるところでありまして、今、職業高校が、例えば農商が一体になる、あるいは農工商三つを一体とする、こうした高校のコースをどんどんつくり、この生物資源産業学部を始めとする、即戦力として六次産業の人材を育成をしているところであります。
そして次に、どうして若者が東京に集まるのか。言うまでもなく、名立たる企業の本社が東京にあるからであります。しかし、それも各企業、東京をなかなか離れられない。これは、明治開闢以来、この国の中枢と言われる霞が関に各省庁が集まっているからであります。この省庁を地方に分散化しないことには、まさに企業の本社が地方へ展開をするのは夢、幻となります。
そこで、徳島県は、二十七年の九月、国からの手挙げ方式に対して、消費者庁、国民生活センター、消費者委員会、これらを提案をさせていただきました。
では、なぜ徳島県が消費者庁を選んだのか。平成十九年、本県の四大ブランド、その中の筆頭、こちらが実は産地偽装の事件が起こり、マスコミの皆さん方からは、消費者目線でやはりその業者の名前を公表すべきではないか、こうした話がありました。うちの農林水産部としてもこれをしようと決めたところではありますが、国の方から、風評被害を招くのでこれはまかりならないという待ったが掛かりました。やはり業育成のところが業規制と同じになっていると、どうしても育成が勝ってしまう。そうした点で、最終的には私が会見をしたところでありますが、この中で、やはり消費者目線の役所をつくるべきではないか。徳島県は翌年から政策提言として消費者庁の創設を提言をさせていただきました。そして、二十一年の九月、消費者庁が誕生するわけでありますが、当初の様々な、また全国の制度といったものが徳島をモデルとして生まれたものが多々あるところであります。
そして、平成二十八年に入りまして、神山町、県庁で業務試験が、国民生活センターにつきましては五月から今年の二月まで鳴門におきまして様々な研修事業が行われたところでありまして、こうした結果、今年の七月頃と言われておりますが、消費者行政新未来創造オフィスが先ほども少しお話をした県庁の十階に五十名の規模で創設をされることとなります。まさにこれからは、徳島県というフィールドを持つことによって新次元の消費者行政あるいは消費者教育の展開が、そして日本の新しい働き方改革へ、また消費者教育の新たな展開がこれから期待をされるところであります。
そして、最後、四番目となりますが、先ほどの地方創生回廊の話であります。
実は、二〇二〇年インバウンド二千万人、しかし、昨年既に二千四百万人を突破をし、今国におきましては、二〇二〇年には四千万人、そして二〇三〇年には六千万人という形となりました。しかし、東京圏あるいは東京から富士山、名古屋、京都、大阪、神戸、ゴールデンルート、今ではビジネスホテル一泊五千円のところが五万円、とても泊まることができない。新たな観光圏を、新たな広域観光周遊ルートを観光庁の方が展開を言われたところであります。
実は、中四国で最初にこの観光圏指定をされたのが本県の県西部二市二町、にし阿波でありました。またさらに、広域観光周遊ルートが最初に七つ選ばれ、新しいゴールデンルートをこの中で、実は、四国、瀬戸内、関西、この三つの広域観光周遊ルート、かぶるのは徳島県のみであります。
また、今農林水産省におきましても新たなインバウンド対策として、日本の原風景、これを是非にということで、食と農の景勝地、五つ全国で指定をされました。西日本では唯一やはりにし阿波が、そして、日本農業遺産には八地域指定をされるとともに、このうち特に三つを世界農業遺産にチャレンジをする。こちらについても、その三つの中ににし阿波が選ばれるところであります。
しかし、ダイレクトに四国へ入ってくる、海外からはなかなか難しいところであります。今は羽田空港、更に二本滑走路を加えようか、こうしたお話もあるところでありますが、しかし、関西、大阪ベイエリアを見ていただきますと、関空、大阪の伊丹、神戸、徳島、南紀白浜と五つで何と七本の滑走路があります。今、北陸新幹線の大阪までのルートが決まり、その後これを関空まで延ばすべきではないか。もし関空島まで新幹線が渡ることになれば、お向かいは、もう淡路島は目の前であります。そして、淡路へ渡れば、淡路島と徳島、鳴門の間には大鳴門橋が整備をされ、ここは新幹線併用橋となっております。BバイCということではなく、こうした既存のストックを併せ持つストック効果を今後は是非目指すべきではないか、このように考えるところでありまして、首都と関西、二つをまさに二眼レフ構造によりまして国土の強靱化を図っていく、そうした今後の道筋もお考えをいただければと思います。
ということで、以上、課題解決先進県徳島として、全国知事会を下に、是非先生方の御理解をいただきまして、しっかりと地方創生を展開してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
御清聴ありがとうございました。