黒田東彦の発言 (財政金融委員会)
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○参考人(黒田東彦君) このシムズ理論、このシムズ教授が言っておられる理論自体は、御案内のとおり物価水準の財政理論と言われていまして、たしか二十年ほど前から一部の学者が主張しておられる理論であります。
その理論によりますと、政府債務というものは最終的には通貨発行益を含む財政黒字でファイナンスされなければならないという、いわゆる予算制約式をベースにしまして、政府、中央銀行、民間の相互作用が物価水準を決定するという過程を理論的に示したものでございます。
この理論によりますと、ある一定の条件の下では財政政策が物価水準の決定に主導的な役割を果たす場合もあり得るという結論が導かれております。ただ、これはあくまでも学術的な理論でありまして、物価の決まり方に関する一つの視点を提供するものではありますけれども、実証的な研究が十分行われているものではないというふうに理解しております。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、二〇一三年一月の政府、日本銀行の共同声明において、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のためにそれぞれが果たすべき役割を明確にしておりまして、日本銀行は金融緩和を推進し、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということになっておりまして、他方、政府は成長力の強化に向けた構造改革を進めるとともに、機動的な財政運営を行いつつ、中長期的に持続可能な財政構造を確立するための取組を進めるということになっておりまして、私どもといたしましては、シムズ理論については一つの学術的な理論であることは確かですけれども、それが日本や欧米において現実的な政策論として有意義なものであるとは考えておりません。