森雅志の発言 (総務委員会)

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○参考人(森雅志君) 改めまして、おはようございます。
 先生方お三方と違って、私は恐らく現場の実務者としての声を発表させていただくということでお呼びいただいたと思っていますので、そういうトーンでお話をさせていただきます。
 今もお話がありましたが、超高齢社会の進展や人口減少社会にあって、一段と財政状況は厳しくなることが容易に予想できます。こうした中で、地域経済が安定し、人々が快適で安心して暮らしていけるように、さらに、二十年後、三十年後の将来市民にも責任が持てる持続可能な都市経営を確保していくことが必要であり、そのため、富山市としましては、十年以上前から公共交通を核とした拠点集中型のコンパクトな町づくりに取り組んでまいりました。同時に、市民に対して都市経営の担い手の責任ある立場にある身としてしっかりと説明責任を果たし、理解していただく必要性についても十分心掛けてきたつもりです。
 また、今回の改正に係る内部統制や監査制度等のガバナンスの整備につきましては、現行制度においても自治体自らが自立的、自発的にしっかりと取り組んでいく当然の責務であり、既に本市では様々な取組を進めてまいりました。阿部先生が原告代理人となって訴え提起されることのないように気を付けてきたつもりであります。
 平成十四年度からは、弁護士一名、学識経験者二名から成ります富山市行政苦情オンブズマンを配置し、市政に関する市民の苦情の調査及び迅速な処理を行うとともに、市の機関に問題があると認められるときには是正の措置の勧告、さらには、苦情の原因が制度そのものに起因すると認めるときには制度の改善を求めるための意見表明を行うなど、公正かつ中立的な立場で市民の権利擁護を図り、開かれた市政の推進、市政に対する市民の信頼の向上に努めてまいりました。
 また、平成二十四年度からは、それまで活用しておりました顧問弁護士に加えて、弁護士資格を有する者を新たに特定任期付職員として採用し、法令解釈や訴訟業務のほか、職員の法務能力の向上のための指導に努めてまいりました。
 加えて、自然災害や大規模な事故などの様々な危機事象に対して迅速かつ適切に対応するために、平成十七年四月から退職警察官を危機管理統括監として、同じく平成十七年九月から退職自衛官を危機管理副統括監として配置してまいりました。
 そのほか、情報システムの最適化の計画推進や、橋梁等の土木構造物の維持管理、国際観光や企業誘致に関する国内外での交渉業務を円滑かつ適正に推進していくため、それぞれの分野における専門的知識と経験を有する者を特定任期付職員として採用してまいりました。さらに、平成二十八年度には公認会計士の有資格者を一般職員として採用し、会計の専門家としての知識を生かした公共施設マネジメントを始めとする適正な自治体会計の推進に努めているところであります。
 もとより、多くの自治体においてもこうした取組を積極的に推進しておられるものと認識しておりますが、今回の改正は、こうした自治体が自発的に取り組んできたガバナンスの整備をよりスムーズに後押しする効果が期待でき、大変有り難いと考えております。
 まず、内部統制について意見を申しますと、私個人としては、これまでも、不祥事や不適正会計への対応だけでなく、こうしたことを未然に防ぐための内部統制の整備や運用も長の責任であると認識してまいりました。しかしながら、基礎自治体である市町村における事務は多岐にわたり、また、今日的な課題に対応するため、その量は増大してきております。このため、事務の重要度に応じて各レベルで適切に判断することが必要であり、簡素で効率的な組織をどう構築し、どう運用するかが特に長の手腕の発揮するところであると考えております。
 こうしたことから、地方自治体のガバナンスとマネジメントを抜本的に見直す今回の改正については、長のトップマネジメントをより効果的に発揮できることを主眼としている点で評価できるのではないかと思っております。
 特に今回の改正において必ずしも義務付けられておりませんが、自治体の予算は、人口の少ない自治体においてでさえ、全ての会計を合算しますと大規模な企業の売上高に匹敵し、しかもそのほとんどが税金で賄われていることを思料しますと、自治体の財務に対してこれまで以上の規律を求めることについては理解ができます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたが、本来、こうした内部統制、組織等をどう整備するか、運用するかは長に与えられた専権的な権限の一つであるとも考えますので、今後示される省政令において長の裁量の幅が狭められることのないよう制度設計されるよう、御留意をお願いしたいと考えております。
 次に、監査制度の充実強化についてですが、監査については、自治体の長として、その結果を真摯に受け止め、行政執行にしっかりと反映する責任があるとこれまでも意識してまいりました。先ほど申し上げた内部統制というものが制度として確立され適切に運用されていくためにも、監査の役割は一層重要になってくるのではないかと思います。
 また同時に、監査の水準を一定水準以上に向上させる必要もあります。正直申し上げまして、全国の自治体の監査水準をしっかりと把握しているわけではありませんが、政令市のような大規模な自治体と小規模な基礎自治体においては、同水準の監査が行われているとは到底考えられません。こうしたことからも、今回の法改正により法律上の位置付けが明確になった監査基準が全国の自治体で策定されることは、お互いの監査の比較も容易になり、全国的な監査のレベルを向上させることにもつながると同時に、自治体の内部統制についても効果的に機能させることにつながるものと期待しております。
 しかしながら、あえて課題を挙げるとすれば、こうした仕組みを基礎自治体だけで構築する際には大きな負担が掛かることが想定されますので、小規模な基礎自治体への専門家の派遣などの支援をお願いできればというふうに考えます。
 次に、決算不認定の場合における長から議会等への報告規定の整備について意見を申し上げます。
 富山市では、幸い今まで決算不認定ということはありませんでしたが、今回の改正により、議会の不認定に対して講じた措置の内容を長が議会に報告することで長の説明責任を果たすことにつながり、意義があるものと考えます。
 次に、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直しについて意見を申し上げます。
 今回の改正は、軽過失の場合、条例により、長や職員の賠償責任に限度額を設けることを可能とするものになっております。その背景には、長や職員個人に対し、一生掛かっても支払えない多額の損害賠償を命じる判決があったことなどがあり、長や職員が施策の実施に当たり萎縮する懸念があるものと認識しております。
 こうしたことから、人口減少社会において創意工夫を凝らした施策を講じることが求められている中、今回の限度額を設ける改正としたことにより、全国の長や職員の萎縮効果が一定程度軽減されるものと考えます。また、今回の限度額を設ける改正は、その萎縮効果の軽減が図られながらも、住民訴訟制度の意義を踏まえている点においても評価できるのではないかというふうに思います。
 また、関連して、損害賠償請求権の議会による放棄の議決について監査委員の意見聴取を義務付ける改正が提案されています。
 議会による放棄の議決については様々な意見があると思います。地方制度調査会の答申においては、住民訴訟係争中には放棄を制限すべきではないかと答申されてもおり、先ほど来御説明がありました。しかしながら、首長の立場で議会の権能について触れるのはいささかどうかという気もしますが、やはり、議会自らの権能ということについてしっかり保障していくことが地方自治の原則ではないかというふうにも思います。
 現場の感覚でいいますと、上限が定められているのに上限以内の請求権を放棄するという議決が提案されるということはちょっと考えにくいですし、また議決されるということも考えられませんので、上限までは長たる者がしっかり覚悟を持ってその賠償の責めはのみ込んでいくということが必要ではないかと思いますし、その思いで仕事をしていくことこそが大事なんだろうというふうに思いますので、かなり成果が見込める改正ではないかというふうに思っております。
 長や職員の個人責任の在り方について地方公共団体が条例により事前にルールを決めた上で、事後的に請求権を放棄する際には監査委員の意見を聴くということになりますので、議会が放棄の議決をする際は今まで以上の説明責任が課せられることになるだろうというふうに思います。
 次に、独立行政法人の業務の窓口関連業務の追加ですが、窓口関連業務の民間委託に当たりましては、一部に審査や交付決定等の公権力の行使にわたる事務が含まれ、一連の事務の一括した委託ができず、コストが高くなり効果的な委託が難しいこと、また受皿となる民間企業も見当たらないことなどが課題となっております。
 今回の改正案は、地方独立行政法人に窓口関連業務を行わせることができるようにすることで、一連の事務を一括した効果的な委託が可能になります。また、自ら地方独立行政法人を設立しなくても、他の市町村が設立した地方独立行政法人に業務を行わせることが可能になり、広域連携によりスケールメリットが生かされたコスト低減にもつながるものと考えます。
 私どもの富山市の話を申し上げさせていただきますと、上下水道事業やごみ収集のほか、市民病院や一部の小中学校における給食調理業務、いわゆる現業部門においては積極的に民間委託を推進してまいりました。しかしながら、市民との窓口対応部門につきましては直接職員が対応することとしております。
 例えば、富山市は、市民に身近な事務手続や相談ができる地区センター等を七十九か所設置しております。約九九%の市民が二キロメートル圏内にそれがあるという組織構成になっており、恐らく全国で一番たくさんあると思っております。ワンストップサービスのベクトルに逆行している取組ですが、しかし、歩いて行ける距離に職員が平均一か所四人おりまして、そこに絶えず行政サービスが提供されていて、仮に本庁舎へ行かなくても職員がフェース・ツー・フェースで様々な相談にも対応できるという状況です。私は、今後もこうした体制をできる限り維持していきたいと考えております。
 しかしながら、全国の多くの地方公共団体においては、人口減少社会において限られた資源で行政サービスを行う必要があることから、職員の配置や窓口におけるサービス提供体制等の維持、対応に御苦労されている基礎自治体も多くあると考えられますことから、今回の改正によるメリットを生かして、それぞれの自治体ごとに民間委託が進んでいくことを期待したいというふうに思います。例えば給与計算とか旅費の計算とかですと、幾つもの自治体が共同で設置して任せるというようなことは十分考えられるかなというふうに思っております。
 取りあえず、以上で意見の発表とさせていただきます。

発言情報

speech_id: 119314601X01520170530_008

発言者: 森雅志

speaker_id: 4323

日付: 2017-05-30

院: 参議院

会議名: 総務委員会