総務委員会

2017-05-30 参議院 全224発言

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会議録情報#0
平成二十九年五月三十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     滝沢  求君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     滝沢  求君     こやり隆史君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     片山さつき君     佐藤  啓君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         横山 信一君
    理 事
                大沼みずほ君
                柘植 芳文君
                森屋  宏君
                江崎  孝君
                山本 博司君
    委 員
                片山さつき君
                こやり隆史君
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                島田 三郎君
                関口 昌一君
                塚田 一郎君
                二之湯 智君
                松下 新平君
                溝手 顕正君
                山崎 正昭君
                伊藤 孝恵君
                杉尾 秀哉君
                那谷屋正義君
                森本 真治君
                吉川 沙織君
                宮崎  勝君
                山下 芳生君
                片山虎之助君
                又市 征治君
   国務大臣
       総務大臣     高市 早苗君
   副大臣
       総務副大臣    原田 憲治君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  冨樫 博之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野  哲君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局長       安田  充君
       総務省自治行政
       局公務員部長   高原  剛君
       総務省自治財政
       局長       黒田武一郎君
   参考人
       山梨学院大学法
       学部政治行政学
       科教授      江藤 俊昭君
       弁護士
       神戸大学名誉教
       授        阿部 泰隆君
       奈良女子大学研
       究院教授     中山  徹君
       富山市長     森  雅志君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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横山信一#1
○委員長(横山信一君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人は、山梨学院大学法学部政治行政学科教授江藤俊昭君、弁護士・神戸大学名誉教授阿部泰隆君、奈良女子大学研究院教授中山徹君及び富山市長森雅志君でございます。
 この際、参考人の方々に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で、江藤参考人、阿部参考人、中山参考人、森参考人の順に御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず江藤参考人にお願いいたします。江藤参考人。
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江藤俊昭#2
○参考人(江藤俊昭君) おはようございます。山梨学院大学の江藤です。
 私自身は、住民自治あるいは住民参加だとか、そして議会改革について研究をしておりますけれども、国の地方自治制度改革では地制調の、地方制度調査会の第二十九次と三十次に関わらせていただいていました。
 今回、この地方自治法の一部改正案を読みますとガバナンスの強化ということで改革が提起されているなというふうに思っています。ただ、アングルを変えて読むと、住民参加だとか議会にも拡充できるというところもあるのかなというふうに思っています。
 最初の意見陳述では、改正によってどのような活用が可能なのか、そして留意点、課題について述べさせていただきたいというふうに考えております。
 もちろん、議会というと議会自体の問題を挙げる方も多いんじゃないかなというふうに思っています。政務活動費の不正受給とか、そして議会自体が追認機関化しているんではないだろうか、こうした問題というのはあると思いますけれども、今回の法律改正というのは、一方ではこうした状況を改革するためにも、そしてまた新たな議会をつくり出す上でも活用できる部分はあるかなというふうには印象を持っております。
 議会改革は御存じのようにかなり進展している、だから従来の議会改革のイメージとは違うんではないだろうかということをまず最初に述べさせていただきます。
 今から十一年ほど前に北海道の栗山町というところで議会基本条例というのが制定されていますけれども、そこでの方向性というのは、住民に閉鎖的ではなくて、住民に開かれて住民と歩む議会をつくっていこう、質問の場だけではなくて議員間討議を重視して論点を明確にしていく、そしてそれらを踏まえて追認機関ではなくて首長と政策競争をしていく議会というのをつくり出していく。で、たった十一年で約八百の自治体がこの議会基本条例を制定しています。だから、そういう意味では住民自治の広がりだというふうに感じていますけれども、ただ、その議会改革はある意味では形式なんですね。形式だと思いますけれども、それを住民の福祉の向上にどうやってつなげていくか、私たちの言葉では議会からの政策サイクルというふうに呼んでいます。
 それでは、住民自治、その根幹としての議会の充実に活用できる視点から改正案について少し触れていきたいんですが、ただ、自治法改正というと、抜本的な改正というふうにいうといろんな議論が出てくると思いますので、ここでは、現行法体系を踏まえて改正案についてベターかどうかという視点でのみ論評したいというふうに思っています。そういう意味では、三十一次の地制調の答申との関係についても考えたいというふうに思っています。
 それでは、まず監査制度の充実強化についてお話をさせていただきますが、監査委員制度は地域経営にとって重要だ、誰しもが認めることなんですが、監査委員制度の設置以降、抜本的な改革、議選監査委員の義務付けの緩和、いわゆる選択制というのがこの改正案には入っています。概要の中では少し下の方に書いてあるわけですけれども、かなり住民自治にとってすごく大事なんじゃないかというふうに思って、これを少し述べさせていただきます。
 かなり多くの議論の中に、議選の監査委員は独立性、専門性から問題ではないか、なじむのか。それから、単にポストの一つとしてみなされて、任期が四年にもかかわらず短期で替わることにはいかがなものか。あるいは、今日、政務活動費問題も含めて、議会に関わる住民監査請求が多く上がっていて、これでは審査できないんじゃないだろうか。これは確かにそういうふうな議論があって、議選の監査委員制度自体の廃止というのも長年強調されていました。
 私自身は、二十九次地制調の際にも少数説だというのを取っていたと思うんですね。言わば用心棒説というのがあるんですが、これは、監査委員制度が生まれたときに、政府の説明で、識見だけではなくて力を持った議選がいることによって充実した監査が可能なんじゃないだろうかという議論だったと思うんですけれども、政治的な感覚を持って監査に当たることも必要だ、実際にはこうした役割を実践している議会は少ないかもしれないので、その可能性というのはあるんじゃないかなというふうに思っています。だから、なくせばいいという議論ではないということです。
 ただ、そうであっても、私は今回の選択制について評価をしているのは、監査委員制度自体、そして議選制度自体をそれぞれの自治体で議論する機会になるというふうなことなんですね。そこの中で、どういうふうな議選の委員ならば必要なのかということを議論する機会になるのではないか。だから、つまり、議選制度があるから議選を置くのではなくて必要だから置く、あるいは、廃止するならばどのような監視機能を強化し、監査委員との連携を強化するかどうか。議選を配置するかどうかはともかく、識見は議会の同意です。だから、どのような人を識見として同意するかどうかというのを是非議論をしたい、そういうふうなことだと思うんですね。
 その上で、留意点として三点ほど述べさせていただきますが、一つは、監査委員制度が設置されたときに、実地検査権というのは監査委員に移っちゃっているんですね。だから、もし議選を廃止するのであれば実地検査権というのも議会に付与する、そういう議論の展開というのは今後課題としてあるんじゃないだろうか。また、議選をなくすとすれば、監査委員というのを議会からの選挙ということも今後議論することでもあるんじゃないかというふうに思っています。
 留意点の二点目です。それとも関係しますが、監査委員制度というのはすごく大事なんですけれども、その監査委員事務局がいまだに必置じゃないんですね。そして、設置しているとしても、総務課やそれから議会事務局との併任ということも多い。だから、そこのところを今度充実させる。だから、議会事務局の必置と同時に、その監査委員事務局も必置制というのも今後考える必要がある。
 さらに、ちょっと私は自治法、自治的な制度としては変則だと思っているんですが、議会の身分を残したまま執行機関の監査委員になっているわけですね。だから兼任になっているわけですけれども、この整合性を今後どうしていくかどうか。私自身も結論を持っているわけではないんですけれども、今回のものについても次善の策として考える必要もあるのではないだろうかというふうに思っています。
 それ以外の監査委員制度については、勧告制度の創設とか監査専門委員の創設などは、基本的に監査委員を充実させる、監査機能を充実させる意味では評価をしたいというふうに思っています。
 なお、この分野で、三十一次の地制調の答申、これとの少し異同があるわけですね。それは何かというと、全国を通じて統一的な基準を策定する、監査委員の研修を義務化していく、それから監査事務の助言等を行う全国組織を設置するというのが答申の中に書かれているんですが、私は今回これが外れたことは高く評価をしたいというふうに思っているんですね。もう既にこういう制度がありますし、実際上は研修もやられているんですね。またぞろそういう制度をつくる必要は私はないんじゃないかなというふうに思っています。これが一つです。
 次に、決算不認定についての議会への報告規定の整備についてなんですが、なぜこれが今までなかったのかどうなのか。要するに、専決処分については先般の自治法改正で専決処分の承認の否定後の対応が義務化されています。恐らくこれをスライドさせたものだというふうに思っていますけれども、要するに、決算、終わったことだからって軽視する風潮をなくすことにもなるし、それから関連事項が動いているから重要だという狭い活用の仕方ではないんですね。
 今日、本丸として、財務過程に議会が関わっています。予算を審議するためには決算認定がすごく大事だ、決算認定をするためにはしっかりと議会でも行政評価をやっていく、そういう流れの中ですから、この決算審査こそが今後の予算審査の中ですごく充実する。だから、是非、まず今回のことというのは評価をしています。
 ただ、今回の場合は、必要と認める措置を講じたときはという限定が入っているんですね。恐らく、政治的なあつれきの中で不認定ということも想定しながら、そういう場合に限ってということになっていると思うんですが、不認定の場合には議会側からも説得的な説明が必要になってきているなというふうに読みたいというふうに思っています。
 そして、三番目には、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直しということなんですが、これも三十一次の地制調でいろいろ議論があって、その後も議論があるところだと思います。
 大きくは二つあるわけですが、一つは、善意で軽過失の場合に賠償責任額を限定してそれ以上の額を免責すること、これを条例で定めるということだと思うんですね。もう一点は、住民監査請求に関する損害賠償請求等の放棄を議会が議決するとき、議会は今までもできたわけですけれども、そのときは監査委員からの意見聴取をする。
 一点目は、軽過失免責を取っていない、一方で、従来どおり監査請求ができるし、住民訴訟ができる、他方で、過大な責任は取らない配慮がされていると思います。
 問題になるのは二点目だというふうに思います。係属中の賠償責任を放棄することを制限するかどうか、いろんなところで議論がありました。私自身は、一点目と絡めながらこの二点目の議論をしていかないと、その条文だけを読んでいくと従来と同じじゃないかというふうに読めてしまう可能性もあると思うんですね。だから、一点目と二点目を絡めながらというふうに思っています。
 そもそも私は、今までの二十九次の地制調の中でも、原則論として、地方分権時代の議会が高まっている時期に議会の権限を制限する、係属中という規定がありながらも、今回なくなっていますけれども、問題はあるというふうに考えていました。ただし、住民の感覚からするとそういうことについても問題がある。そこで監査委員からの意見聴取を組み込んだというふうになりますけれども、監査委員に問題があるから住民訴訟になっているわけで、そこに、監査委員に聞いてもどれだけの意味があるかどうか。これはこれで一つの議論として成り立つんだと思うんですが、今回ベターだというふうに考えているのは、一点目が効いているんだと思うんですね。
 既に賠償責任額を限定してそれ以上の額を免責としている、そうだとすれば、それ以上の免責の放棄の根拠が必要になってくるわけです。だから、そこのところをどのように議論していくかどうか。今までも、通常、放棄というのは一部放棄ではなくて全額免責なんですね。だから、そこの一点目と絡めながらそこで慎重に議論する。要するに、議会にも監査委員にも説明責任が求められているというふうに思います。
 繰り返しになりますけれども、三十一次答申の係属中の放棄の禁止が強調されているんですが、これは今回なくなっていますけれども、議会の権限を奪うのは、分権時代に、そして政治の時代に私はなじまないというふうに思っています。住民感覚と外れた行動を議会に取らせないためにも、しっかりと説明責任の強化によって外堀をしっかり埋めていくような改正が一つの方向性かなというふうに思っています。
 その上で、巨額の損失を自治体に被らせないためにも、次の内部統制の強化が必要になる、それが次の論点なんですが、なぜ今までこうした内部統制に関する方針の策定等についてこういうことがなかなか広がらなかったかどうか。私たちが調査した中でも、実際上、市町村においては三十数%はまだそういう議論は知らない、去年の段階ですね、あるいは町村においては四〇%以上がそういう議論は知らない。是非、この内部統制をしっかりしていく、そういう方向性にかじを切ったということは評価したいと思います。
 そのことで報告書等が公開されるわけですから、議会もこれを活用する、そして住民もそれを活用するというような、実際上活用の方向に役立つことはできるんじゃないだろうかなというふうに思っています。
 今回、義務化が都道府県とそれから政令市、指定都市に限られているんですけれども、私は、それ以外のところでも積極的に位置付ける、さらには、庁内部の話だけではなくて、こうしたリスクマネジメントというのは議会にも必要だと、だから、今後議会としてもこうしたものを、リスクをあぶり出して不正がないようなシステムをつくる必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
 以上、ガバナンスの強化、とりわけ住民との関係でこの拡充、活用できるところ、あるいは課題について述べさせていただきました。
 あと一分あるので一つだけ。ちょっと私が今後議論しなきゃいけないところというのは、監査委員が監査基準を策定する際に国が指針を出すことになっているわけですけれども、私は、指針を出すことは重要だと思うんですが、既に技術的な助言があるのに、同じように法的拘束力があるわけではないので、大臣の助言の意義はどのような関係性があるかどうかというのは十分議論した方がいいのではないだろうかというふうには思っています。
 以上、ガバナンスの強化に絞って、最初の意見陳述を終わらせていただきます。
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横山信一#3
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。
 次に、阿部参考人にお願いいたします。阿部参考人。
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阿部泰隆#4
○参考人(阿部泰隆君) 本日は、参考人としてお呼びいただき誠にありがとうございます。阿部泰隆です。
 お配りした資料に基づいて、若干修正しながらお話ししますので、お手元で御覧ください。
 私は、行政法研究者、行政関連事件弁護士として半世紀以上、法治国家の実現を目指してきました。それで、住民訴訟というのでは原告側で多数行っています。それで、行政の違法を多数是正させました。そこで、住民訴訟、これは地方公共団体での違法行為をなくす、住民のためにもなるということですから、この機能を減殺していくのではなくて、生かしていかなければなりません。
 今回問題になるのは権利放棄議決の方だと思いますので、それでお話しします。
 軽過失免責の問題については、私たちが軽過失免責は行き過ぎだと言って反対して、責任の制限という形でまとめていただきました。これ非常にいいことだと思ったんですが、そして、いい法案ができたと思ったら、権利放棄議決は文言上は自由にできるようになっていて、これではもうウナギを注文したら毒蛇が出てきたという感じがしています。
 その権利放棄議決の条文、文言上自由になっている。そうすると、実際上そこで争われて、住民訴訟をやるのは非常に大変になるので、もう住民訴訟については改悪というよりもむしろ死刑法案であると。
 法治国家、これは基本の基本で、先生方が一番肝に銘じておられるはずのところですが、放っておく放置国家になる、地方公共団体では違法行為のやり放題と。私、研究者でいたら、役所はきちんとやっているのが普通だと思っていたんですね。行政法学者の偉い先生はみんなそう思って、違法行為は例外だと思っていたんです。ところが、弁護士になって相談を受けたら、もう役所は違法行為のオンパレードと。まあ率からいったら高くはないでしょうけれども、実際に僕のところに相談に来るのはそういうものが非常に多くて、それで行政救済は機能しないと、みんな泣いているということです。じゃ、そういうことは許されませんのでと。
 それで次に、認知症に陥った老人の財産を管理している成年後見人がそれを自分の口座に移したとしたら横領罪ですね。そして、後見人を監督する後見監督人が、それを問責して追及すべきところ、目をつぶっていたら、これは後見監督人も後見人の共犯となって老人の財産をかすめ取ったことになりますね。
 次のページ。それで、市長ということにしますが、市長は住民に代わって住民の財産を管理しています。自分の財産ではありませんから、後見人のようなものです。議会は執行機関を監督していますから、言わば後見監督人のようなものです。市長が市有財産を売却する際、入札にすべきところ、随意契約で、しかも著しく安く売ったということがあれば、これは違法行為です。それで、差額分の損害が市に発生します。市長個人に注意義務違反があれば、過失として市に対する賠償責任が生じます。不法行為です。つまり、市は市長個人に対して賠償請求権という権利を取得します。市の代表者である市長は、これポストとしての市長の方ね、この市の財産、自分に対する権利を管理しています。これは住民の財産ですから、誠実に管理しなければなりません。それを放棄することはこの義務に違反します。
 議会がこの権利を放棄するという議決をするということは後見監督人が後見人の監督を怠っているのと同じで、これは、市長は本来背任罪だと思うので、その共犯になるはずです。それで、そういうことは議会の多数派の支持を受けている市長にだけ可能なんで、退任しちゃったらもう責任追及されます。それは、京都のポンポン山事件の市長なんかはそうです。だから、これは極めて恣意的な制度だし。
 それで、じゃ、何でこれは許されるかというと、最高裁が間違ったからです。
 地方自治法九十六条一項十号は、議会は権利放棄議決することができるとして、どういう場合にできるか、何の制限も加えていない文言を置いているので、最高裁は、基本的に裁量だと、裁量ラインを割れば許されないという判断をしたんですが、法律の解釈は法律の断片的な言葉だけに着目してはなりません。そんなことだったら法律家なんて要らないんです。そうじゃなくて、法律というのは完全にできていませんから、そうすると、法律全体の構造、体系からあるべき解釈を導く、これが法解釈学という仕事なんですね。
 裁判所が、ところが真っ当な法解釈をやらないものだから、わざわざ平成十六年の行政事件訴訟法の改正で、「根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、」という言葉を入れて、裁判所は法解釈をもっとまともにやれよという注文を付けたんですね。それなのに、相変わらず最高裁は断片的な言葉だけで解釈している。
 それで、財産管理権は長にあるし、議会はそれを監督する責任があるんですから、議会も長も住民の財産を放棄する裁量権はないはずです。総務省も本来こういう解釈しているはずなんですね。それだから、最高裁平成二十四年の解釈は誤っているから、これを是正させるべきだと思います。
 それで、しかも、訴訟の話ですが、私はこの事件で答弁書というのを出したんですが、最高裁は私の主張に対して一切反論しないで、一方的な判断をしているだけなんで、まあこれは個人の悔しさですけれども。最高裁の判例を是正できるのは、大法廷以外は立法機関です。だから、立法者が不合理な判例を是正すると、これが重要な任務で、是非とも果たしていただきたい。
 今回の法案は、過失の場合、責任の限度額を設定しますので、市長が僅かな過失で重い責を負うことはありません。保険でほぼカバーできるでしょう。あるいは、カンパでカバーできるんです。神戸市長は、私の住民訴訟で何度か負けましたが、何千万ぐらいだと、みんな、奉加帳を回して、もう部下に払ってもらいました。だから、何千万単位だったら、神戸市ぐらいであれば何ということないんです。だから、権利放棄議決は必要ありません。
 その上、権利放棄議決について、地方制度調査会が係争中は禁止と答申を出して、総務省の原案も当初はそうだったはずなんですね。それで、総務省は僕にその当初の原案をくれました。ただ、それを国会に余り渡すなとかと言われたんですが、とにかくちゃんと原案はもらいましたからね。
 ところが、なぜか法制局で、係争中に限らない、いつでも放棄できるような条文にしちゃったんですね。そうすると、条文上は、市長が故意に公金を使い込んでも、議会が同じ仲間なら、権利放棄してもらって免責してもらえるということになるわけ。少数与党だったら駄目です。だから、今、名古屋市長だったら駄目なんですね。だけど、神戸市長なら大丈夫なんですね。そんなのは極めておかしいでしょう。故意に公金使い込んで勘弁してもらえるなんて、そんな制度はどこにもありません。
 恩赦も刑事事件だけです、民事でそんなものありません。住民は無資力のときだけ債務を免除されるという規定がありますが、そうでなければ、税金ならとことん追及されて払わされます。
 じゃ、その次。じゃ、これに対して権利放棄が無効だという住民訴訟を起こせばいいではないかと言われる方いっぱいあるんですが、これは住民訴訟の実態を御理解いただいていない。元々住民が違法、過失、損害ありとして勝っても、また権利放棄した。そうすると、今度は権利放棄が有効かどうかという裁判になる。それで、裁判所が権利放棄の要件書いてないからこれは自由裁量だなんという判断をする可能性があって、さんざん争われて、何年かたってやっと判例が出て決着が付くということになります。
 その間、原告側は手弁当でさんざん苦労して裁判をやります。被告側は負けても全部税金で弁護士費用を払ってもらえるようになっているんです。だから、被告は一〇〇%勝てないと分かっている事件でも全部控訴、上告します。およそ不公平になっていて、これだけでも住民訴訟はやっていられない。だから、私は大分やりましたが、もう桃クリ三年柿八年、住民訴訟十年です。だから、私はもうやめます。機能するようにしていただいたらやるかもしれませんが、もうこの世の中、どんな違法行為がはびこっても、もうどうにもならぬと思っています。
 その次。衆議院総務委員会の高市総務大臣の答弁、それへの反論ですが、やっと法案の理由が出てきたんです。ドイツやフランスあるいは台湾では、法案の理由、逐条理由書を国会に先に出します。それで、国会は最初から議論できる。日本じゃ、分厚い資料は出てくるけど、法案の個別の条文の解説は出てこないので、国会でこれ質問してやっと出てくるんですね。そのうち、衆議院は通過しちゃっているんですね。それで、参議院ではそれを前提に議論しようかと思っているけど、なかなか、もうこの段階で僕の言うとおりにしてもらえないと。だから、この国会の慣行を変えて、法案には必ず理由書を付けるというふうにやってほしいんですが。
 まず、これ、高市大臣は、議会の議決による権利放棄議決については免責条例との均衡を踏まえて適切な判断がなされるとか、どういう場合に許されるか要件を明確に規定することは困難であるなんて言うんだけど、しかし、軽過失についても免責しないである程度責を負わせると言っているんだから、重過失と故意の場合は免責一切できないと考えるのが当然で、ただ、議論の余地はあるんだから、それ、できないと条文書くべきだというのに対して、何かいろいろ考えていることがあるか、じゃ、どういう例外があるのか、きちんとしてほしいものです。で、例外がなければ全面禁止にすべきです。
 ここで、違法行為から生じた債権なんですね。違法行為をやって、しかも、市長が、俺のやつは勘弁してくれと議会に言うわけです。第三者が言うんじゃないんです。それは極めて異常なことです。だから、これ、本来全部禁止で、例外的に許すものがあるとしたって、正当な場合、やむを得ない場合とかというふうにして、それを議論する。それでも争いは起きますけど、原則を禁止というふうにしていれば論争はぐっと減ります。
 あと、議会による権利放棄はこれまでも認められていたと言われているけれども、それは先ほど申し上げたように、地方自治の体系的解釈の誤り。総務省もそういう見解を取っていなかったはずで、最高裁がそういう見解を取っちゃったから、それを使っているだけで。
 その次に、地方分権時代、地方公共団体の財産の管理権を一律に制限することは地方分権の考え方にそぐわないなんと言われるけれども、地方自治法はがんじがらめに規定しています。日本の地方自治法は非常にくどい、細かく決めて自治体の自由を奪っていますから、何これ今言っているのと思います。
 それから、総務省は適切な助言を行うと言われますが、総務省がどんな助言をして、それを守ってもらえるか分かりません。こんなの何の意味もない。白紙委任です。それこそ地方分権に逆行する。こんなのは法律できちんとルールを明確にした方がいい。
 監査委員の意見を聴いても、監査委員は間違っても責を負わないから何とでも言います。だから、何事も自分のやったことに責任を負うと。だから、監査委員の意見が不適切だったら賠償責任を負うという制度をつくっていかなきゃいけません。本当は、住民訴訟で市長だけじゃなくて議員だって違法な議決をしたら責任を負うと。だから、議会は記名投票にする、していただかなきゃいけません。
 そうして、このままでは市長が違法行為をしても議会の多数を味方に付けている限り安心というので、法治国家はますます後退する。では、どうしたらいいか。違法行為から生じた債権の放棄は全部禁止すると。適法行為じゃないですよ、違法行為で、しかも故意、過失がある場合というふうに。だから、与党の方は衆議院では修正案に応じていただけませんでしたが、要件を明確にして争いをなくすというのは立法の常道ですから、賛成していただきたい。
 じゃ、許される場合は何かというと、その次、第三セクターが破綻するときに銀行団と協調して債権を放棄する、これはやらざるを得ません。そういうことは許すと、これは違法行為じゃありませんからね。
 それから、市長は、後で責を負わされたら大変だから必要な施策もできないなぞと言われますが、それは法令コンプライアンスをしっかりやればいいんで、今まで住民訴訟で過失ありと言われているのは、独断専行でやったり、思い込みでやったり、無理なことをやっている例、あるいは違法だと分かっているけれどもやっている例というのが非常に多いんですね。大抵そうです。だから、法令コンプライアンスやったらと言ったら、法令コンプライアンスやると、やるなと言われるからやらないだけなんですよ。それで、これ全部税金でできますから、やらせたらいい。
 それで、市長は、神戸市長なんかも、行政判断に何で司法が介入するのかなんて言っていましたが、法治国家では行政判断でも司法の下にある、法律に引っかからないようにやらなきゃいけないと、このイロハのイを分かっていただかなきゃいけない。最近、国立市長が、元の、住民運動でやったことを何で違法と言われるのかなんて言っていましたが、住民運動でやろうと公約であろうと、それが違法かどうか、これは吟味して違法にならない範囲でやらなきゃいけない、これが法治国家における市長のイロハのイなんです。
 それで、最後。必要な施策で、どうしてもやりたいんなら、議会の方にあらかじめ話して、万が一責任があったら放棄する、責任を免除するという議決をしてもらったらいい、それで大丈夫ですと、そういうお話で。
 最後に私の修正条文ありましたが、言わなくてもいいかもしれませんが、念押しで。自治体の長は財産を善良な管理者の注意義務をもって管理しなきゃいけないと、あと、違法行為から生じた債権は放棄できない、適法行為の方だったら放棄できる場合があると、こうすると明確になると。
 それで、とにかく、裁判であれこれあれこれ言って、住民訴訟の住民側はくたびれ、役所側の弁護士はぼろもうけと、こういう不合理なことはなくしてくださいと。
 以上です。
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横山信一#5
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。
 次に、中山参考人にお願いいたします。中山参考人。
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中山徹#6
○参考人(中山徹君) 奈良女子大学の中山と申します。
 私の専門は、法律というよりも町づくりとか都市計画、農村計画です。この間、地元で、奈良におりますので、奈良でいろんな自治体と地方創生等々にも取り組んでいます。そういう視点から、今回の地方自治法の一部改正、とりわけ地方独立行政法人との関係で私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 今回の地方自治法改正の背景なんですが、ここにも書かれていますように、人口減少に適切に対応するためとなっています。人口減少への対応は重要ですけれども、そのことをめぐって、実際地域ではいろんな問題が生じています。その点について若干触れますけれども、多くの市町村が人口減少に対応しようとしていますが、そもそもその前提に非常に大きな問題があるのではないかな、そう思っています。
 市町村は、この間、人口ビジョンを作成し、総合戦略を立てています。その理由は、このまま人口が減って、社人研、国立社会保障・人口問題研究所の出している予測に沿って地域の人口が減ってしまうと大変なことになる、それを防ぎ、人口減少率を穏やかにしつつ、人口減少の弊害を少しでも少なくする、それが総合戦略であったかと思います。
 また、市町村の指針となったのが国の作成した長期ビジョンですが、それによりますと、社人研の予測では百年後には四千万人台、そこまで人口が減るということに対して、政府の作成した長期ビジョンでは今世紀後半では人口九千万人ぐらいで安定させたいと、そういう目安になっています。
 ところが、この間、市町村が策定している人口減少への対応、例えば立地適正化、いわゆるコンパクトシティーですけれども、若しくは公共施設等総合管理計画、これらの前提には社人研の予測を使っています。この原因は、政府が社人研の予測を使えと指示しているからなんですけれども、これは明らかにおかしなことです。
 社人研の予測によりますと、予測のようになると大変だから、政府から自治体まで総力を挙げて地方創生に取り組もうとしていたはずです。ところが、市町村は、自らが作成した人口ビジョンよりもより大きな人口減少率に基づいて公共施設の統廃合を進め、中心部への集中を進めようとしています。人口が大幅に減るから公共施設の総量を削減しないと財政がもたない、人口減少に対応して都市的な施設を中心部に集中させないと地域全体が衰退してしまう、そういった理由です。
 この間の市町村の動きを見ていますと、どちらかというと過大と言えるような人口減少予測に基づいて様々な開発計画を立てているのではないかなと思います。
 そのような開発や公共事業を進める財源ですが、大きく二つ想定されているかと思います。一つは、医療や福祉、市民向けの予算を削減するということ、それともう一つは、いわゆる行政改革、人件費の削減やアウトソーシング、そういったもので今後の開発、公共事業予算を生み出そうとしているのではないかなと、そのように読み取れます。
 残念ながら、今回の地方自治法の改正もこのような一連の動きの中にあるのではないかと懸念しています。人口減少を掲げて、市民生活に甚大な影響を与える自治体業務のアウトソーシング、そういったものを進めようとしているのではないかなと、そのように思います。
 今回の改正で対象としているのは窓口業務、関連業務ですが、この窓口業務というのは市民と行政の接点部分でして、市民にとっては非常に重要なところです。これを行政から切り離して地方独立行政法人が担えるようにするというのには二つの問題があるのではないかなと思います。
 一つは、市民にとっての問題です。窓口業務というのは、市民を市民にとって必要な施策につなげていける端緒ではないかなと考えます。もちろん、証明書の発行業務、そういった点もありますけれども、同時に、市民が初めて窓口に行くところでもあるわけで、そういった市民が必要な施策につなげられるかどうか、ここは非常に重要なポイントではないかなと思います。ところが、行政職員が担う業務と法人職員が担う業務が分断されてしまいますと、それが困難になりはしないかと、そのように考えます。
 もう一つは、地域にとっての問題です。地方独立行政法人が窓口業務を処理できるようにする、その大きな理由はコストの削減ということが目的ではないかなと思います。今回あらかじめ配っていただいた資料で先行的な事例として紹介されているところも、その効果というふうに挙げているのは経費の削減とかコストの削減、職員の削減になっています。ところが、さきに述べたように、削減した経費を新たな開発や公共事業予算に充てようとしているのではないかなと懸念されます。
 人件費は地元で消費される部分が多く、地域経済にとっては大きな位置を占めます。その部分が縮小され、大型公共事業や開発に回しますと、地域経済にとっては残念ながらマイナスになります。このような削減がトップランナー方式と連動しますと地方交付税の削減につながり、地域全体で動くお金そのものの減少ということが懸念されます。
 このようなことを、私、町づくりなんかやっていますと、どちらかというと一九九〇年代、その再来ではないかなと、そのように考えます。しかし、それ以上の結果も残念ながら想定できます。
 どういうことかと申しますと、一九九〇年代は、当時は過大な人口増加予測、需要予測に基づいて過大な公共事業を展開しました。その背景になったのは都市間競争ですが、都市間競争ということで、市町村は大規模な開発にのめり込んでしまいました。しかし、過大な需要予測に基づいたため、あちらこちらで事業が破綻し、また、事業は進んだものの想定以下の利用にとどまり、地域経済へのインパクトというのは限定的でした。また、当時は財源を起債に頼ったため、ところが、その後、税収増が起こらなかったため財政悪化を招き、その後、福祉や市民向け予算の削減、そういう事態を当時はもたらしました。
 今回は、過大な人口予測ではなくて、発端になっているのは自治体消滅論です。自治体消滅論があり、過大な人口減少予測を立て、それに基づいて過大な公共施設の統廃合、コンパクト化、そういったことが全国各地で進もうとしています。
 しかし、都心部を開発しても需要が増えるわけではありません。インバウンドに至っては、海外の需要に依拠しているわけで危険性は更に高くなります。一九九〇年代は財源を起債に求めて、その結果、財政が悪化し、結果的に市民向けサービスの削減へと進みました。今回は、財政状況から起債にかなりの部分を求めるのは難しいため、最初から市民向け予算を削減する、若しくは行政改革、アウトソーシングで予算を確保しようとしているのではないかなと思います。
 二十一世紀に入って、大都市圏を除きますと、大型公共事業はやや低迷していました。ところが、最近になって、人口減少を掲げた都心部の開発、インバウンド、そういったものが状況によっては暴走と言えるような事態に今生じ、入ろうとしています。特に目立つのは、リニアの新駅周辺とか長崎新幹線とか、そういった新しい鉄道が通るような駅周辺の開発、若しくは、グローバルMICE都市の指定が行われていますけれども、そういったところでもMICE施設整備の競争が起こっています。以前から国際展示場とかは造られていましたけれども、当時造られた国際展示場というのはその地域の周辺の需要というのを前提にしていましたが、今回は国際的な需要を取り込むような計画になっています。
 コンパクトシティーも同様です。立地適正化を作成した自治体は既に百二十を超えていますけれども、そのうち都市機能誘導区域のみを指定している自治体が全体の三分の一程度です。多くの自治体は、市街地の縮小というのではなく、むしろ都心部の開発を進めるために立地適正化を活用しようとしているのではないかなと思います。
 もちろん、誤解のないように付け加えますと、コンパクトシティーを否定しているわけではありません。人口減少とともに、市街地の拡大を抑えて人口密度を一定以上に保つという施策は重要です。元々ヨーロッパでスタートした考え方ですし、今日も来られていますが、富山市を始め、日本では様々な先駆的な事例もあります。そういったものを全て否定する気は毛頭ございませんけれども、ただ、現在生じている多くの事例というのは、市街地の拡大を抑えるというよりも都心部の開発を進める、そちらに力点があるような、そういう感じに見受けられます。地域によっては一九九〇年代の再来ではないかなと、そういうふうに思われます。
 一方、今回の開発や大型開発が成功する確率は一九九〇年代より低いと思います。一九九〇年代とは異なり、人口が減少し始め、高齢化が急速に進み、経済規模の拡大がかつてほど見込めないからです。駅前を中心に地域の需要を上回る公共事業を進めても、事業そのものの破綻が考えられます。仮に事業としては成立しても、周辺部から人や消費を奪うだけであって、周辺部の衰退が加速される可能性が高いと思います。公共施設は人々の日常生活を支える基本ですが、それが地域からなくなると人々の日常生活が成り立たなくなります。このようなことを進めますと、失われた二十年以上の結果がもたらされかねません。
 過大な人口減少予測、必要以上のコンパクト化、地域の公共施設の統廃合、市民サービスの低下、行政力の低下、それが市民生活の破綻、地域経済の衰退、更なる人口減少の加速化という、かつてでは見られなかったような悪循環に陥る危険性、この負の連鎖というのが今回の非常に大きな可能性ではないかなと思います。
 さらに、行政との関係で一点述べておきます。
 先ほど申しましたように、大型開発や大型公共事業の財源を確保するために行政職員の削減、アウトソーシングを進める、これについては非常に大きな懸念があります。むしろ、少子化対策を本気で進めていく、高齢化対策を充実させるためにはそれらの充実が重要です。人口減少が進みますと、民間企業の撤退も予測できます。本来であればこのような事態に行政こそがきちんと対応すべきですが、今の趨勢は、市民の助け合い、互助、そういったもので乗り切ろうとしています。
 では、どうすべきかというところで簡単にかいつまんで申しますと、人口が減少する時代、普通に考えますと大規模な開発は不要です。大型の公共事業は最低限必要な防災分野などに限定すべきです。今地域で起こっていることは、過度の人口減少を抱えて、コンパクトやインバウンドに代表されるような大型開発を進め、その財源を確保するために市民向けのサービスの削減、アウトソーシングを進め、市民にとって必要な業務は、地域包括ケア、地域運営組織などで市民に丸投げしようとしています。それに対して、医療、福祉、行政サービスの拡充をまず第一に考える。第一次産業や地元製造業、商業、再生可能エネルギーの発展などにむしろ予算を割き、その財源は政府の責任で、収益を上げている企業の内部留保若しくは富裕層に求め、市民と行政が話し合って協働し、事態を打開する、ここに地方自治を、地方政治をめぐる大きなポイントがあるのではないかなと思います。
 中心部の開発、地域活性化というような発想ではなく、地域資源を生かした地域経済の活性化を考える場合、市民、事業者、行政など、様々な主体の連携が重要になります。その要に座るのが行政です。そこをアウトソーシングなど安易な発想で弱体化させてしまいますと、地域の要が失われるのではないかなと思います。このことは、残念ながら、市町村合併で中心部に事実上吸収合併された周辺部を見れば一目瞭然ではないかなと思います。きめ細かな少子化対策を取らなければ人口減少の歯止めが掛かりません。急速に進む高齢化に対応しなければ介護難民が地域であふれ返ります。そのような対策を進める中心が行政であるべきです。そのような点から見ると、行政の力を低下させかねない今回の改正はもう少し慎重に考えるべきではないかなと思います。
 人口減少が生じるのは確実ですけれども、過大な予測は禁物です。政府が作成した長期ビジョン、自治体が作成した人口ビジョン、それを実現するのが重要であり、その要に座るのは行政です。そのような行政の弱体化につながりかねない法改正についてはもう少し慎重に検討すべきではないかな、そのように考えています。
 以上です。
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横山信一#7
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。
 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
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森雅志#8
○参考人(森雅志君) 改めまして、おはようございます。
 先生方お三方と違って、私は恐らく現場の実務者としての声を発表させていただくということでお呼びいただいたと思っていますので、そういうトーンでお話をさせていただきます。
 今もお話がありましたが、超高齢社会の進展や人口減少社会にあって、一段と財政状況は厳しくなることが容易に予想できます。こうした中で、地域経済が安定し、人々が快適で安心して暮らしていけるように、さらに、二十年後、三十年後の将来市民にも責任が持てる持続可能な都市経営を確保していくことが必要であり、そのため、富山市としましては、十年以上前から公共交通を核とした拠点集中型のコンパクトな町づくりに取り組んでまいりました。同時に、市民に対して都市経営の担い手の責任ある立場にある身としてしっかりと説明責任を果たし、理解していただく必要性についても十分心掛けてきたつもりです。
 また、今回の改正に係る内部統制や監査制度等のガバナンスの整備につきましては、現行制度においても自治体自らが自立的、自発的にしっかりと取り組んでいく当然の責務であり、既に本市では様々な取組を進めてまいりました。阿部先生が原告代理人となって訴え提起されることのないように気を付けてきたつもりであります。
 平成十四年度からは、弁護士一名、学識経験者二名から成ります富山市行政苦情オンブズマンを配置し、市政に関する市民の苦情の調査及び迅速な処理を行うとともに、市の機関に問題があると認められるときには是正の措置の勧告、さらには、苦情の原因が制度そのものに起因すると認めるときには制度の改善を求めるための意見表明を行うなど、公正かつ中立的な立場で市民の権利擁護を図り、開かれた市政の推進、市政に対する市民の信頼の向上に努めてまいりました。
 また、平成二十四年度からは、それまで活用しておりました顧問弁護士に加えて、弁護士資格を有する者を新たに特定任期付職員として採用し、法令解釈や訴訟業務のほか、職員の法務能力の向上のための指導に努めてまいりました。
 加えて、自然災害や大規模な事故などの様々な危機事象に対して迅速かつ適切に対応するために、平成十七年四月から退職警察官を危機管理統括監として、同じく平成十七年九月から退職自衛官を危機管理副統括監として配置してまいりました。
 そのほか、情報システムの最適化の計画推進や、橋梁等の土木構造物の維持管理、国際観光や企業誘致に関する国内外での交渉業務を円滑かつ適正に推進していくため、それぞれの分野における専門的知識と経験を有する者を特定任期付職員として採用してまいりました。さらに、平成二十八年度には公認会計士の有資格者を一般職員として採用し、会計の専門家としての知識を生かした公共施設マネジメントを始めとする適正な自治体会計の推進に努めているところであります。
 もとより、多くの自治体においてもこうした取組を積極的に推進しておられるものと認識しておりますが、今回の改正は、こうした自治体が自発的に取り組んできたガバナンスの整備をよりスムーズに後押しする効果が期待でき、大変有り難いと考えております。
 まず、内部統制について意見を申しますと、私個人としては、これまでも、不祥事や不適正会計への対応だけでなく、こうしたことを未然に防ぐための内部統制の整備や運用も長の責任であると認識してまいりました。しかしながら、基礎自治体である市町村における事務は多岐にわたり、また、今日的な課題に対応するため、その量は増大してきております。このため、事務の重要度に応じて各レベルで適切に判断することが必要であり、簡素で効率的な組織をどう構築し、どう運用するかが特に長の手腕の発揮するところであると考えております。
 こうしたことから、地方自治体のガバナンスとマネジメントを抜本的に見直す今回の改正については、長のトップマネジメントをより効果的に発揮できることを主眼としている点で評価できるのではないかと思っております。
 特に今回の改正において必ずしも義務付けられておりませんが、自治体の予算は、人口の少ない自治体においてでさえ、全ての会計を合算しますと大規模な企業の売上高に匹敵し、しかもそのほとんどが税金で賄われていることを思料しますと、自治体の財務に対してこれまで以上の規律を求めることについては理解ができます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたが、本来、こうした内部統制、組織等をどう整備するか、運用するかは長に与えられた専権的な権限の一つであるとも考えますので、今後示される省政令において長の裁量の幅が狭められることのないよう制度設計されるよう、御留意をお願いしたいと考えております。
 次に、監査制度の充実強化についてですが、監査については、自治体の長として、その結果を真摯に受け止め、行政執行にしっかりと反映する責任があるとこれまでも意識してまいりました。先ほど申し上げた内部統制というものが制度として確立され適切に運用されていくためにも、監査の役割は一層重要になってくるのではないかと思います。
 また同時に、監査の水準を一定水準以上に向上させる必要もあります。正直申し上げまして、全国の自治体の監査水準をしっかりと把握しているわけではありませんが、政令市のような大規模な自治体と小規模な基礎自治体においては、同水準の監査が行われているとは到底考えられません。こうしたことからも、今回の法改正により法律上の位置付けが明確になった監査基準が全国の自治体で策定されることは、お互いの監査の比較も容易になり、全国的な監査のレベルを向上させることにもつながると同時に、自治体の内部統制についても効果的に機能させることにつながるものと期待しております。
 しかしながら、あえて課題を挙げるとすれば、こうした仕組みを基礎自治体だけで構築する際には大きな負担が掛かることが想定されますので、小規模な基礎自治体への専門家の派遣などの支援をお願いできればというふうに考えます。
 次に、決算不認定の場合における長から議会等への報告規定の整備について意見を申し上げます。
 富山市では、幸い今まで決算不認定ということはありませんでしたが、今回の改正により、議会の不認定に対して講じた措置の内容を長が議会に報告することで長の説明責任を果たすことにつながり、意義があるものと考えます。
 次に、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直しについて意見を申し上げます。
 今回の改正は、軽過失の場合、条例により、長や職員の賠償責任に限度額を設けることを可能とするものになっております。その背景には、長や職員個人に対し、一生掛かっても支払えない多額の損害賠償を命じる判決があったことなどがあり、長や職員が施策の実施に当たり萎縮する懸念があるものと認識しております。
 こうしたことから、人口減少社会において創意工夫を凝らした施策を講じることが求められている中、今回の限度額を設ける改正としたことにより、全国の長や職員の萎縮効果が一定程度軽減されるものと考えます。また、今回の限度額を設ける改正は、その萎縮効果の軽減が図られながらも、住民訴訟制度の意義を踏まえている点においても評価できるのではないかというふうに思います。
 また、関連して、損害賠償請求権の議会による放棄の議決について監査委員の意見聴取を義務付ける改正が提案されています。
 議会による放棄の議決については様々な意見があると思います。地方制度調査会の答申においては、住民訴訟係争中には放棄を制限すべきではないかと答申されてもおり、先ほど来御説明がありました。しかしながら、首長の立場で議会の権能について触れるのはいささかどうかという気もしますが、やはり、議会自らの権能ということについてしっかり保障していくことが地方自治の原則ではないかというふうにも思います。
 現場の感覚でいいますと、上限が定められているのに上限以内の請求権を放棄するという議決が提案されるということはちょっと考えにくいですし、また議決されるということも考えられませんので、上限までは長たる者がしっかり覚悟を持ってその賠償の責めはのみ込んでいくということが必要ではないかと思いますし、その思いで仕事をしていくことこそが大事なんだろうというふうに思いますので、かなり成果が見込める改正ではないかというふうに思っております。
 長や職員の個人責任の在り方について地方公共団体が条例により事前にルールを決めた上で、事後的に請求権を放棄する際には監査委員の意見を聴くということになりますので、議会が放棄の議決をする際は今まで以上の説明責任が課せられることになるだろうというふうに思います。
 次に、独立行政法人の業務の窓口関連業務の追加ですが、窓口関連業務の民間委託に当たりましては、一部に審査や交付決定等の公権力の行使にわたる事務が含まれ、一連の事務の一括した委託ができず、コストが高くなり効果的な委託が難しいこと、また受皿となる民間企業も見当たらないことなどが課題となっております。
 今回の改正案は、地方独立行政法人に窓口関連業務を行わせることができるようにすることで、一連の事務を一括した効果的な委託が可能になります。また、自ら地方独立行政法人を設立しなくても、他の市町村が設立した地方独立行政法人に業務を行わせることが可能になり、広域連携によりスケールメリットが生かされたコスト低減にもつながるものと考えます。
 私どもの富山市の話を申し上げさせていただきますと、上下水道事業やごみ収集のほか、市民病院や一部の小中学校における給食調理業務、いわゆる現業部門においては積極的に民間委託を推進してまいりました。しかしながら、市民との窓口対応部門につきましては直接職員が対応することとしております。
 例えば、富山市は、市民に身近な事務手続や相談ができる地区センター等を七十九か所設置しております。約九九%の市民が二キロメートル圏内にそれがあるという組織構成になっており、恐らく全国で一番たくさんあると思っております。ワンストップサービスのベクトルに逆行している取組ですが、しかし、歩いて行ける距離に職員が平均一か所四人おりまして、そこに絶えず行政サービスが提供されていて、仮に本庁舎へ行かなくても職員がフェース・ツー・フェースで様々な相談にも対応できるという状況です。私は、今後もこうした体制をできる限り維持していきたいと考えております。
 しかしながら、全国の多くの地方公共団体においては、人口減少社会において限られた資源で行政サービスを行う必要があることから、職員の配置や窓口におけるサービス提供体制等の維持、対応に御苦労されている基礎自治体も多くあると考えられますことから、今回の改正によるメリットを生かして、それぞれの自治体ごとに民間委託が進んでいくことを期待したいというふうに思います。例えば給与計算とか旅費の計算とかですと、幾つもの自治体が共同で設置して任せるというようなことは十分考えられるかなというふうに思っております。
 取りあえず、以上で意見の発表とさせていただきます。
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横山信一#9
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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森屋宏#10
○森屋宏君 自由民主党、森屋宏でございます。着座のまま質問をさせていただく失礼をお許しいただきたいと思います。
 本日おいでをいただきました四名の参考人の皆様方は、大変お忙しいところ、また遠路、それぞれの先生方、おいでをいただきました。心から感謝申し上げたいというふうに思います。
 それでは、質問を四名の方にさせていただきたいというふうに思います。
 今回の法改正につきましては、地方自治法等の一部改正ということと地方独立行政法人法の一部改正ということであります。私は、地方自治法等の一部改正という面につきましてお尋ねをしたいと思います。一部、中山参考人は、地方独立行政法人法の一部改正についての強い関心のお話をいただきましたけれども、地域の中でいろいろな場面で住民との関わりもあるということで、地方行政に対する関心もおありということで、これからの質問にお答えをいただきたいというふうに思います。
 今回の地方自治法等の一部改正につきましては、これは先ほどからお話がございますように、第三十一次地方制度調査会の答申に基づいて、基本的な考え方の中でのガバナンスの在り方についてということで、それを基にした法改正であるというふうに理解をしております。
 この第三十一次の地方制度調査会の答申におきましては、地域における人口減少が進み、資源が限られる中において、長、つまり首長、そして監査委員等、あるいは議会、住民による適切な役割分担について述べているわけであります。また、各論において、その第三の中で、適切な役割分担に関するガバナンスにおいて現状認識を述べるとともに、今後の在り方について提言をされております。
 そうした中での法改正というわけでありますけれども、私の関心は、先ほど森市長さんからお話ございましたように、あるいは森市長さんのいただきました資料を見させていただきますと、この私どもの委員会で作りました資料の九十ページを見させていただきますと、過去三年間において富山市においては住民監査請求の実績がないというふうなことで、このように、日頃、市長様が地域住民の中の皆様方と密接な関係の中においてその役割を果たされているという現状であります。
 今回の法改正の論点は、やはり住民監査請求やあるいは住民訴訟というものが起きた中でのその対処の方法、あるいはその方法ということもあるかと思いますけれども、やはり第一義的には、その以前に、いかに地域の中で、行政の中でガバナンスが利くような体制を整備をしていくか。それは、地方においては、長、そして監査委員、そして議会、住民というこの四者の適切な役割分担ということであります。
 そして、中でも、私は、議会の役割というものが非常に大きなものがあるではないかというふうに思っております。私自身も地方議会の出身者であります。今日、国の議会制度と地方の議会制度が、もうこの制度自体が異なる、システム自体が異なるという意味において、日本の地方の住民の中においてこの議会制度に対する理解というものが私は薄いんじゃないかなというふうに思っております。
 特に、今回、ある都において、ある都といっても日本には一つしかありませんけれども、知事が地方政党を立ち上げて自ら議会の多数を図ろうという、まさに地方議会における、地方自治における二元代表制の機関競争に反するような行為をされているということ、これを国民の皆さんがどういう形で見ていらっしゃるかという、私は非常に疑問に思っているわけでありますけれども。
 そうした意味で、今回の内部統制におけるそれぞれの役割という意味において、私は、先ほど江藤先生からお話ございましたけれども、議会のこれからの重要性というものは、改めて地方分権の中でその重要性というものを見直されるべきではなかろうかというふうな考え方を持っているわけでありますけれども、改めて四人の皆様方にそれぞれの異なったお立場の中から議会に対する考え方をお聞きをしたいと思います。
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江藤俊昭#11
○参考人(江藤俊昭君) ガバナンスという言い方についてもいろいろ論者によって違いがあると思うんですけれども、今議員が言われたように、それぞれが協力しながら、協調しながら地域経営を行っていくんだろうというふうに思います。
 私自身も、今言われたように、議会の役割というのが本当に大事なんじゃないだろうか。二十六次の地制調答申も第二十九次の地方制度調査会の答申も、住民自治の根幹は議会であるというふうなことなんですね。だからこそ、重要な地域経営における権限を議会の方に与えている。これがずっと議論されていた九十六条、しかも、一項だけ重視されていたものが、第二項の議決事件の追加というのが今日すごく重要になってきているというふうに思います。
 この議会というのは、全世界でも同じだと思うんですけど、多様性があること、議論することによって論点が明確になること、世論を形成する力がある、だからこそ住民自治の根幹だというふうに言われていると思うんですね。これは国政とは違った形で、住民自治というのが、住民参加というのが基本的に入りながら、そして議会と首長とが政策競争を行ってくる。これこそがすごく難しい。私は、今お話しのように、二元的代表制、機関競争主義という議論を言っていますけれども、ただ、これは正直言って難しいです。一方では、議会多数派と首長の政策が一致する場合は癒着になる可能性がある。住民にとっても、透明性の問題から問題だと。あるいは、議会と首長が政策的に激しく対立する場合というのは、不毛な対立が激化する。そういう中で、議会本来の役割と、その合議体の役割と、そして首長とが緊張関係を持っていくというふうな役割を重視するというのは重要なんですが、極めて難しい選択の一つだというふうに思います。
 そういう意味で、今回の改正というのが、先ほどありましたように、監査機能を充実させる、そこの中で議選の位置付けをどうしていくかどうか。私は議選は大事だと思っているんですが、選択の一つとして議選を廃止する場合もあり得る。そういう場合は、議会としてどういうような監査機能を重視していくかどうか。監視機能、政策提言機能を踏まえながら監査機能を重視していくかどうか。そして、内部統制については、首長の権限だ、責任だと言っていますが、そういうことを活用しながら監視や政策提言に生かしていける、そういうふうな活用の仕方があるのではないだろうかというふうに思っていますので、これを活用しながら今の議会改革を更に進めていくようなことをいろいろ議論していきたいというふうには思っています。
 以上です。
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阿部泰隆#12
○参考人(阿部泰隆君) 申し訳ない、私に対する質問とは思っていなかったんですが、一言、どの点ですか。
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森屋宏#13
○森屋宏君 四人の方に、それぞれ分野は異なるお立場だとは思いますけれども、今質問をさせていただいております。
 三十一次の地制調において、人口減少社会においていかに地域の中でガバナンスの確保、ガバナンスを利かせていくかということの充実を訴えているわけでありますけれども、そうした答申において今回のこの法改正に至っているというふうに理解をしております。
 そうした意味で、地域の中でのガバナンスを充実をさせていくという意味で、議会の役割、先生は先ほど首長の責任ということに言及をされておりましたけれども、一方において、政策決定過程において議会はやはり大きな役割を果たしているわけでありまして、これから更に議会の役割というものは深まっていくのでなかろうかというふうな、私自身は、地方においてですね、思っているわけでありますけれども、それに対しての先生の御所見をお伺いをしております。
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阿部泰隆#14
○参考人(阿部泰隆君) 先ほど申し上げたのと余り変わりありませんが、ガバナンスというのをきちんとやるかどうか、きちんとやるんなら大変好ましい話なんだが、僕がお話ししたのは、議会の自主性に名を借りて違法行為をした仲間の市長を免責する、そういうことはガバナンスなんですかと、あるべきガバナンスじゃなくて、まるっきり逆ですから、議会の自主性なんと言ってそういうことを許すような法改正はとんでもない話ですと、真っ当なガバナンスをやらせるようにというふうにして、こういう間違ったガバナンスは禁止すると、こうしてくださいという趣旨のことをお話ししたわけです。
 それで、法令コンプライアンスをちゃんとやれば、首長が責を負わされることはめったにないんです。もうちょっと申しますと、神戸市長の話ね。
 僕は国家公務員だったんですが、国家公務員には、仕事を休んで何万円もあげるから遊んでいらっしゃい、特別休暇ですなんという制度はありません。ところが、自治体は結構多くて、神戸市では、十八万円ぐらい一生の間もらえて、遊んでこれるんですね。それは福祉だと神戸市は言っていましたが、それは給与ですと、給与条例主義に違反して違法ですという裁判をやって勝ちました。何でそういうことになっているかというと、市長は組合を基盤にして当選していて、組合の支持を失うと落選するようになっているからで、市長は私腹を肥やしていないと言われていますが、まるっきりうそで、自分のポストを勝ち取るため、維持するために税金を使っているんです。だから、税金を使った買収行為と同じなんです。そういうのはガバナンスとして許してはいけません。そういうことで、真っ当なガバナンスができればいい。
 それで、法令コンプライアンスちゃんとやってと、森市長さん、ちゃんとやっていると言われましたが、そういう法令コンプライアンスをちゃんとやればこういうことは最初からできないのに、神戸市長は法令コンプライアンスをやると駄目だと言われるからやらないで勝手にやっていたという話ですから、是非とも真っ当な法令コンプライアンスをやらせて、違法なコンプライアンスをやらせない。だから、議会での違法行為による、についての権利放棄議決は許さないというふうに決めていただかないと、およそ一貫しません。
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中山徹#15
○参考人(中山徹君) ガバナンスといいますか、地方政治の在り方を大きく捉えますと、やっぱり今一番重要なことは様々な市民の意見を聞きながらどう政策決定を進めていくのかという、やっぱりそういう視点が重要じゃないかなと思います。
 えてして今のような時代、政策の決定というと、長が早く決めていくというようなことが重視されがちですけれども、同時に、やはりたくさんの意見をどう取りまとめていくのか、そういう意見を踏まえながらどう着実に政策を展開していくのかと、一見すると相反するようなものをどう進めていくのかということが今とりわけ地方政治にとっては重要じゃないかなと、そう思います。
 市民の様々な意見を聞いていると政策が進まないんじゃないかなという御意見もありますけれども、私はそう考えません。むしろ、市民が行政に対して反発するのは、自分の意見と違うことを進めるからというよりも、自分の意見を聞いてくれないというところにやっぱり大きな反発があるわけで、むしろきちっと意見を聞き、きちっと議論をし、その上で自分の意見と違うことが決まっても、それほど大きな反発というのは出てこないんじゃないかなと思います。
 ですから、今、地方政治という場合、一方的に進めていくのが今重要なガバナンスでは決してなくて、むしろ様々な対立する意見も踏まえてどう政策を決定していくのか、とりわけそういうことで考えると議会の果たすべき役割というのは重要であって、むしろ議会に様々な意見が反映されるようなそういう選挙制度、議員の選出、そういったものを重視していく必要があるのではないかなと、そのように思います。
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森雅志#16
○参考人(森雅志君) 昨年、日本一悪名高い議会となってしまいました富山市議会でございますので、議会のガバナンスを語る立場ではありませんが、一般論として申し上げれば、私は、首長は、先ほど来も申し上げましたが、実現したい政策目標に対してどういう手法を取っていくかということを考える際に、絶えず、違法性はないか、訴訟リスクはないかということは、当然ながらすごい意識しております。
 その上で、多様な意見がある中で、首長の責任はどう説得するかだというふうに思っていますので、議会との関係においても、絶えずきちんとした緊張感の中で、私たちは議会を説得する、議会は議会の主張をするという形で、ある意味将来につながるような政策判断がお互いの緊張感の中で生まれていくというふうに思っていますので、その結果、きちんとしたガバナンスがそこに実現するということだろうというふうに思います。
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森屋宏#17
○森屋宏君 ありがとうございました。
 私自身も地方議会の出身者としてこの国会に来させていただいて一番感じましたことは、国会というところは政党政治ですから、それぞれに立場の違う中でいろいろな考え方を持った皆さん方のお集まりの場でありますけれども、今日の委員会も、こうした委員会もそうでありますけれども、与党の意見ばかりだけではなくて、野党の皆さん方の意見の場というものをしっかりと確保をし、それぞれの立場の中で意見を述べるという場が充実をしておるというふうに思っています。
 地方の中においてもそうした場が確保されていくことをこれからも望むところでありまして、今回の地方自治法改正がその第一歩になればなというふうに思っています。
 以上です。ありがとうございました。
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杉尾秀哉#18
○杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉でございます。
 今日、参考人としておいでいただきました先生、そして市長の皆さん、本日は誠にお忙しい中ありがとうございました。
 私は、今回の地方自治法等の改正、特に住民訴訟の部分、損害賠償責任の見直し等、ここにポイントを絞って意見を伺いたいというふうに思います。
 これについて先ほど主に意見を述べられました、まず阿部参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほどのお話では、議会の権利放棄の議決について文言上無制限に読めるようになっている、違法行為の是正防止に寄与してきた住民訴訟制度の死刑判決のようなものであると、こういう非常にはっきりしたというか、厳しい意見を述べられました。
 原則権利放棄の議決はすべきでないというお立場だというふうに伺いましたけれども、ただ、例外として認められるケースもあるのではないかというふうに思います。どういうケースが例外に当たるのか、お聞かせください。
 それから、権利放棄を仮に認めるとしても、例えば具体例ではございますけれども、議会の全員一致の場合に限るといったような何らかの歯止めも考えられるんですが、それについて何か御意見があればお聞かせください。
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阿部泰隆#19
○参考人(阿部泰隆君) 違法行為の場合、軽過失について、まあ気の毒だからと責任を軽減するということになっている以上、釣合い上、故意又は重過失の場合は免責の余地はないと、そういう解釈すべきであるとは思いますが、もめるのでと、裁判所は条文上制限ないじゃないかと解釈するので、ここで故意又は重過失の場合は権利放棄はできないという規定を置いてくださいとお願いしているんですが、例外はといったら、これは違法行為でない場合で、先ほど申し上げましたが、典型例は、例えば三セク破綻で銀行も債権棒引きと、だったら自治体も出資を棒引きとやらざるを得ない、こういうのはまだ違法行為じゃありませんから、それを免責、放棄するという議決はできると。
 それで、あと全員一致ということですが、議会は全員一致であろうとも、これは住民そのものではなくて住民の代理人なんですね。全員一致という考え方すれば、住民の投票、住民投票で決めるならまだいいかなと思いますが、それは非常に面倒くさいし、しょっちゅうやっているわけにいかない。だから、違法行為についてはここでもう免責しないけれども、違法行為以外だったら議会の多数、あるいは場合によっては三分の二の多数であらかじめ免責するとかいうことをつくった方がうまくいって、それだと萎縮効果もなくなると。だから、適切に行政を運営していただけると思います。
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杉尾秀哉#20
○杉尾秀哉君 もう一つ、軽過失の場合の責任限度額の設定なんですけれども、免除に関する参酌基準、それから免責下限額の設定に当たって重要な点はどういう点があるとお考えなのか。
 また、具体的に幾つか考え方はあるんですけれども、例えば会社法に倣って年収の六倍程度を限度とするという意見が私は有力のように伺っておりますけれども、先生のお考えはいかがでしょうか。
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阿部泰隆#21
○参考人(阿部泰隆君) 参酌基準というと、参考にしろとあっても参考にしない場合に違法と言えるかというのでまた面倒な論点が増えて、もう裁判くたびれるだけ。それと、その上に、下限かなり低くなっているので、もうこれは仮に賠償責任が認められても、職員にカンパさせるとか奉加帳を回す、あるいは保険に入ればもう自己負担がなくなるという場合がかなりあると。そうすると抑止効果はかなり減るので、やはりある程度は持ち出しということを覚悟させる仕組みが必要で、そこをうまくつくれないにしても、年収の六倍あるいは五倍という程度のものを置いた方がいいのではないかと思っています。
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杉尾秀哉#22
○杉尾秀哉君 最後に、もう一点だけ阿部参考人に伺います。
 権利放棄の議決にあって、今回、監査委員の意見を聴くということになっております。これが一定程度の歯止めになるのではないかというふうに期待されているわけですけれども、ただ、この監査委員の意見の客観性、合理性を担保するのに必要な条件があるのではないかというふうに思います。具体的な方法があればということも含めて例示していただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
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阿部泰隆#23
○参考人(阿部泰隆君) 先ほど、監査委員や議会の説明責任が強化されるという趣旨の話がありましたが、説明責任をきちんと果たさない場合の担保の方法がないというか、制裁がなければ皆ルーズにやってしまうということになります。
 それで、私は、議会では記名投票にして、その議決が違法だったら議員さんも賠償責任を負うと。それについて制限を設けるのは構いませんが、やっぱり違法行為をやったときに責を負わないという制度はよろしくない。そうすると、監査委員についても同じく、いいかげんな意見を言った、それを基に立件されて結局自治体が損害を被ったという場合に、監査委員にもある程度責任、給料の三割引きでも退職金をやらないでも、何か考えるという方が僕は緊張感があっていいと思う。
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杉尾秀哉#24
○杉尾秀哉君 それでは、今度は江藤参考人に伺います。
 先ほど、江藤参考人は軽過失の免責について、今回の制度改正はベターであると考えると、こういうふうにおっしゃいました。特に、議会の権限を奪うのは分権時代にそぐわないというふうな御意見も述べられましたけれども、ただ、先ほど来阿部参考人から幾つか示されている、例えば議会が市長派の、いわゆる多数派の支持を受けているような場合、よく江藤参考人、私ども実はローカル・マニフェスト大賞で一緒に仕事をしていた、そういう関係もございますので、いわゆる議会の悪い側面、二元代表制じゃなくて二元なれ合い制的な議会の場合、こういう場合には議会が権利放棄の議決をしてくれて、逆に市長と対立している議会の場合はこの議決をしてくれない、非常に不公平というか、おかしな制度になっているんじゃないかと、こういう指摘があるんですけれども、その指摘に対しては江藤参考人はどういうふうにお考えでしょうか。
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江藤俊昭#25
○参考人(江藤俊昭君) 今、今回の権利放棄の議論が出ているんですが、議会の議決というのは本当に重いというのは、御存じのように、先ほど言った九十六条、それから一項、二項あるわけですけれども、私はいつも、議決したことというのは、議決の前の日眠れるんですかと議員の方に言っているんです。それだけ重いことをやっているんですね。だから、議会というのは、権限を行使するというのは本当に説明責任を果たさなければいけない。
 今、杉尾委員からあったように、二元的代表制というのは、うまくいけばある程度緊張感を持って出るんですが、実際上は両極で揺れるんですね。言葉を悪くすれば癒着する場合もあるし、激しい対立がある。これ、住民の福祉の向上に役立たないんですね。だから、その緊張感を持って行うという一つの選択として、そして議員も首長も、そして住民も考えていかなきゃいけない。それを外から制度設計をするということについてどこまで許されるかどうかと。私の場合は、議会権限をむしばむようなものではなくて、それこそ住民自治を進めるためには、リコール制度や、そして選挙制度や、そういうふうなものとの関連の中で行うと。
 今回は、一つの歯止めを掛かっているのは、軽過失の場合については賠償責任額を限定して、それ以上の額を免責すると入っている。だから、これ以上のものにやるときには本当に説明責任が重い。これは議員もそうなんですが、住民にも責任があるということを一言述べさせていただきたいと思います。
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杉尾秀哉#26
○杉尾秀哉君 ありがとうございます。
 それじゃ、中山参考人にも同じ話を伺います。
 先ほど中山参考人の話の中には、住民訴訟制度の改定についての言及がなかったんですけれども、中山参考人はこの今回の法改正についてどういうふうにお考えなのか、御意見があったらお聞かせください。
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中山徹#27
○参考人(中山徹君) 住民がその地域の主人公としていろいろと行政施策に関わるということは必要だと思います。当然、それは選挙とか陳情とかいろいろとありますけれども、訴訟というのもその一つの方法だと思います。ですから、今後、改正なんかを考えていく場合、住民が行政に関わる、若しくは損害賠償を請求していく、それにとってプラスになるような方向で改正されるのであればいいと思うんですけれども、今回の改正というのがややもするとそういう住民の訴訟にとってはマイナスの影響が出るのではないかなということで、もうちょっと慎重に考えた方がいいのではないかなと、そんなふうに思います。
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杉尾秀哉#28
○杉尾秀哉君 引き続いて伺いますけれども、としますと、中山参考人は今回の制度改正には賛成できないということなんでしょうか。
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中山徹#29
○参考人(中山徹君) 全体的に見た場合、先ほど申しましたように、地方独立行政法人等々を見ますと、全体としては、今回の改正がその地域の健全な発展、市民の自治を高めていくという点から見ると、必ずしもその方向に沿ったものではないというふうに思います。
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