安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
トランプ新政権と今後の日米関係についてお尋ねがありました。
トランプ大統領は、就任演説で、選挙期間中に主張してきた米国第一主義を改めて掲げ、米国を再び偉大にするとの決意を国の内外に鮮明にされました。日米は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のきずなで固く結ばれた揺るぎない同盟国であります。トランプ大統領とできるだけ早期に会談し、トランプ大統領との信頼関係の下に揺るぎない日米同盟のきずなを更に強化していきたいと考えています。
日中関係及び日中韓サミットについてお尋ねがありました。
公明党には、連立与党のパートナーとして、これまで政党間交流を通じた日中関係の発展に尽力いただいております。特に、山口代表には、政権発足直後及び一昨年十月に訪中していただき、私の親書を習近平主席にお渡しいただくなど大変重要な役割を果たしていただいており、改めて感謝申し上げます。
昨年九月のG20杭州サミット及び十一月のペルーAPECの際に習近平国家主席と会談し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年といった節目の機会を捉えて関係を改善させていくことで一致しました。
政府としても、引き続き、戦略的互恵関係の考え方の上に、大局的な観点から共に努力を重ね、政治、経済、文化、人的交流など、様々な分野で対話と交流を促進し、安定的な友好関係の発展に努めていきます。
日中韓サミットについては、御指摘のとおり、具体的な日程は現時点では決まっておりませんが、我が国は、議長国として、引き続き日程調整に意を用い、本年のできるだけ早い時期に日本で開催できるよう努力してまいります。
経済連携の進め方についてお尋ねがありました。
自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済の成長の源泉です。トランプ大統領も自由で公正な貿易の重要性については認識していると考えており、TPP協定が持つ戦略的、経済的意義についても腰を据えて理解を求めていきたいと考えています。
数年間の交渉を経てTPP協定に結実した新たなルールは、今後の通商交渉におけるモデルとなり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されます。この成果を基礎として、日EU・EPAのできる限り早期の大枠合意を目指すとともに、RCEP、日中韓FTAなどの交渉において質の高い協定を目指してまいります。
コロンビアを始めとする二国間の経済連携協定にも積極的に取り組み、自由貿易の推進に全力を尽くしていきたいと思います。
核兵器のない世界の実現に向けた取組についてお尋ねがありました。
核兵器のない世界の実現のためには、核兵器国がそれに同意することが必要不可欠です。御指摘の核兵器禁止条約の交渉開始決議については、最初から核兵器国は一国たりとも交渉に参加せず、決議にも賛成しませんでした。この決議は、核兵器国と非核兵器国の間の亀裂を一層深め、核兵器のない世界の実現を更に遠のかせてしまう結果となることから、我が国は反対しました。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。そのため、我が国は、核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、核兵器のない世界の実現に向けて、現実的かつ実践的な取組を重ねていくべきとの一貫した立場を取っています。この考えは、我が国の核兵器廃絶決議として、国連において圧倒的多数の支持を得て採択されています。このような現実的かつ実践的な取組を重ねることで、NPT体制の強化を含め、軍縮・不拡散の国際的な取組をリードしていきます。
核兵器のない世界の実現に向けて、我が国としては、主張すべきは主張していくことが重要であると考えます。核兵器禁止条約交渉については、ただいま申し上げた考え方の下、政府全体で検討していく考えです。
持続可能な開発目標の達成に向けた防災及び教育分野での取組についてお尋ねがありました。
持続可能な開発目標には、我が国の国際社会に示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、政府としては、持続可能な開発目標推進本部の下、NGO、NPO等の多様な主体と連携しつつ、率先して取り組んでまいります。
そのために、御指摘のとおり、我が国の知見や経験を生かした防災の主流化を進めることが重要であります。我が国は、二〇一五年三月に仙台で開催した第三回国連防災世界会議において、事前の防災投資の推進を含む仙台防災協力イニシアティブを発表しました。今般策定した持続可能な開発目標実施指針の下でも、同イニシアティブを着実に推進してまいります。
教育についても、御指摘のとおり、誰一人取り残さないとの理念は、広く未来を担う子供たちの心に深く刻んでほしい重要な考え方です。実施指針の下、二〇二〇年度から開始される新しい学習指導要領に基づく教育課程や教材の改善、充実を推進していく考えです。
今後の温暖化対策の取組方針についてお尋ねがありました。
国内においては、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入等に取り組みます。特に、水素エネルギーは温暖化対策の切り札です。議員御指摘の水素ガス製造機器を活用するなど、水素ステーションを順次整備し、二〇二〇年には現在の四十倍、四万台規模で燃料電池車の普及を目指します。生産から輸送、消費まで、国際的な水素サプライチェーンを構築するなど、世界に先駆けて取り組み、イノベーションによる解決を進めます。
世界全体の排出削減については、二国間クレジット制度等を活用して、低炭素技術を普及させることで最大限貢献していきます。引き続き、内閣の最重要課題として地球温暖化対策に全力を挙げてまいります。
経済再生への取組と成果についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、政権交代後、アベノミクスによって極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出すことができ、名目GDPは九・〇%成長し四十四兆円増加、実質GDPも五・一%、二十五兆円増加し、過去最高の水準となりました。
特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百十万人近く増加、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、賃上げは中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現し、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は二年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
平成二十九年度予算においては、一億総活躍社会の実現に向け、保育士及び介護人材等の処遇改善や年金受給資格期間の短縮、給付型奨学金の創設などの主要な取組を確実に行っています。また、科学技術振興費を伸ばすとともに、公共事業関係費の成長分野への重点化を行うなど、経済再生に直結する取組を推進しています。
さらに、平成二十九年度税制改正において、中小企業の攻めの投資を後押しするため、固定資産税の軽減措置の対象を拡大し、あわせて賃上げ環境整備のため、中小企業に係る所得拡大促進税制の拡充を実施することとしています。
また、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を加速します。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増すことにつながると考えています。
アベノミクスを更に加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げるとともに、こうした取組を続けることにより、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会を実現してまいります。
中小企業・小規模事業者の賃上げや生産性向上の取組についてお尋ねがありました。
人手不足や事業承継の問題を解決し、経済の好循環をより確かなものとするため、議員御指摘のとおり、中小企業・小規模事業者の賃上げや生産性向上に重点的に取り組んでまいります。
高い賃上げを行う中小企業に対しては、所得拡大促進税制による税額控除の拡充を行います。下請取引条件の改善に向けては、五十年ぶりに下請代金の支払についての通達を見直し、現金払を原則としました。下請法の運用基準は十三年ぶりに抜本改正し、金型を無料で保管させるなど、コストの一方的な押し付けが禁止されていることを明確にしました。また、雇用保険料率を引き下げ、中小企業・小規模事業者の負担を軽減します。
生産性向上に向けた取組については、一定の要件を満たす経営計画を持った企業であれば赤字であっても活用できる固定資産税の軽減措置や低利融資等の支援を安倍政権において創設しました。今般、これを製造業から小売・サービス業にも拡大することで、商店街等における攻めの投資を促します。
第四次産業革命に挑戦する中小企業については、技術革新の成果を現場に速やかに導入できるよう、革新的な物づくり、サービス開発などの設備投資を積極的に支援してまいります。国内外の販路開拓も支援していきます。今月のフィリピン、インドネシア、ベトナムなどの出張の際にも、優れた技術を持ち海外展開に意欲を持つ中堅・中小企業に参加をいただきました。引き続き、きめ細かな取組により、中小企業の賃上げや生産性向上を支援し、成長と分配の好循環を実現してまいります。
地方創生についてお尋ねがありました。
現在、ほぼ全ての地方公共団体で地方版総合戦略が策定され、各地方公共団体においては、PDCAサイクルで成果をチェックしながら地方創生事業を着実に実施しています。御指摘のとおり、教育を通じて若者の力を地方創生に生かしていただきたいと考えています。
御紹介のあった島根県の高校のほか、例えば北海道音威子府村では、村立の美術工芸高校が地元木材を生かした木工芸の教育で全国から生徒を集め、高校生たちが地元の運動会やボランティア活動に積極的に参加しています。同じく北海道の三笠市では、高校生が地産地消による食堂「まごころきっちん」を運営し、地域経済に貢献しています。こうした若者が積極的に地域社会に関わる取組を情報、人材、財政面で支援し、地方創生にチャレンジする地方の皆様を全力で応援してまいります。
東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
今年の三月で東日本大震災から六年がたちます。復興は着実に進展しておりますが、避難生活が長期化する中で、コミュニティー形成、生きがいづくり等の心の復興など、今後とも切れ目のない被災者支援に取り組むとともに、農業、水産業など、なりわいの再生を力強く支援してまいります。また、観光先進地・東北を目指し、東北の外国人宿泊者数を二〇二〇年に百五十万人にするという目標の達成に向け、東北の観光復興を加速してまいります。
福島では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策について、引き続き国が前面に立って安全かつ着実に取り組んでまいります。浜通り地域に新たな産業集積を生み出す福島イノベーション・コースト構想についても、福島復興特措法を改正し、着実に推進してまいります。また、ロボットの活用等による最新鋭の農林水産業を促進するとともに、福島県産農林水産物のブランド力を回復するため、グローバルギャップ等の取得支援や信頼回復の取組に関する情報提供など、生産から流通、販売に至るまで風評の払拭を総合的に支援してまいります。
東京オリンピック・パラリンピックは、被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信する絶好の機会です。復興五輪に向け、被災地の自治体の声も十分に伺いながら、東北の復興を加速してまいります。
東北の復興なくして日本の再生なし。あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
保育士の処遇改善についてお尋ねがありました。
安倍政権では、高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々に仕事を続けていただくために、処遇改善を始め、潜在保育士の再就職支援や保育士の事務負担の軽減などに総合的に取り組んでいます。
安倍政権は、政権交代直後から毎年度、保育士等の処遇改善に取り組んできました。来年度、全職員について二%、月額約六千円改善し、安倍政権の下、合計一〇%の改善が実現します。これに加え、キャリアアップの仕組みとして、経験年数がおおむね七年以上の中堅職員に対しては月額四万円などの処遇改善を行います。
さらに、平成二十九年度予算では、保育の人材確保策として、保育士の宿舎借り上げの支援事業の拡充、離職者の再就職支援を行う保育士・保育園支援センターの体制強化などを盛り込んでいます。これらの対策に総合的に取り組み、必要な保育人材の確保を図ってまいります。
介護職員の幅広い処遇改善についてのお尋ねがありました。
介護職員の処遇改善に当たっては、介護の仕事は本当にやりがいがあると大きな希望を持って介護の道を選んだ皆さんの高い使命感にしっかりと応えていくことが重要です。
このため、ニッポン一億総活躍プランに基づき、一旦仕事を離れた人が再び仕事に就く場合の再就職準備金の倍増を図ったところであり、さらに、平成三十年度の介護報酬改定を待つことなく、平成二十九年度から、技能や経験に応じて昇給する仕組みを構築し、月額平均一万円相当の処遇の改善を行います。
あわせて、介護労働者が働きやすい職場環境や健康確保のための専門的な相談援助の実施、介護ロボットの活用やICT化による生産性向上の推進などにより、職場環境の改善や現場の負担軽減を進めます。このように、あらゆる手を尽くして介護職員の処遇改善に取り組んでまいります。
働き方改革についてお尋ねがありました。
誰もが生きがいを持ってその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会をつくる、その最大のチャレンジは働き方改革であります。
テレワークは、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、女性、高齢者、障害者等の離職を防ぐ効果も期待できます。副業や兼業を行うことは、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業を進める機会が生まれます。我が国の場合、テレワークの利用者、副業、兼業を認めている企業はいまだに極めて少なく、その普及を図っていくことは極めて重要であります。
他方、これらが長時間労働を招いては本末転倒です。労働時間管理をどうしていくのかも整理する必要があります。ガイドラインの制定も含めて、多様な政策手段について検討を進めます。
女性の活躍については、我が国では正社員だった女性が育児で一旦離職するとパート等の非正規で働き続けざるを得ないことが多い事実があります。労働生産性の向上の点でも問題があります。
出産などを機に離職した皆さんのリカレント教育などの支援を抜本的に拡充するため、助成の対象となる教育訓練の講座を大幅に拡大し、多様なスキルの習得の機会を増やすとともに、受講費用に対する教育訓練給付の給付率を引き上げることなどを内容とする雇用保険法改正法案を今国会に提出します。短時間正社員制度の導入支援など、女性がライフステージに応じて再就職しやすい環境整備を急ぎます。これらの内容を含め、三月に実行計画を決定し、改革を加速します。
若者の活躍推進についてのお尋ねがありました。
子供が健やかに成長し、次代を担う若者として自立、活躍できるよう支援することは政府の重要課題です。
政府においては、青少年の健全な育成に関する事務について、加藤内閣府特命担当大臣の担当とするとともに、私を本部長とし、全閣僚によって構成される子ども・若者育成支援推進本部を設置し、子供、若者の育成支援に関する施策を総合的に推進しています。
同本部においては、昨年、子供、若者の育成支援に関する施策についての政府全体における基本的な方針策を定める子供・若者育成支援推進大綱を決定しました。この大綱を踏まえ、引き続き、子供、若者の健全な育成のため、若者を始め幅広く国民各層の意見を取り入れながら政策を進めてまいります。
いじめ及び不登校への対応についてお尋ねがありました。
いじめは決して許されないことであります。しかし、どの学校でも起こり得るものです。このため、いじめ防止対策推進法に基づき、全ての学校で学校いじめ防止基本方針を策定し、教職員や専門家から成るいじめ防止に必要な組織が設置されたところです。また、子供たちがいじめは絶対に許されない行為であると自覚することができるよう、道徳の特別の教科化など道徳教育の充実を図るとともに、学校におけるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実を進めてまいります。
不登校については、先般成立した教育機会確保法を踏まえ、教育支援センターの整備促進、スクールカウンセラー等の配置の充実や学校との情報共有の推進などの取組を進めているところです。今後とも、いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子供たちが自信を持って学ぶことができるよう、フリースクールの子供たちへの支援を拡充してまいります。
二〇二〇年東京大会へ向けた取組についてお尋ねがありました。
次はいよいよ東京大会であります。私もしっかりとブラジルからバトンを引き継いでまいりました。そして、昨年十二月、新国立競技場整備事業も本格化いたしました。
東京大会については、世界中の多くの人々が夢と希望を分かち合う歴史に残る大会、東日本大震災から復興を成し遂げた日本の姿を世界に向けて発信する大会、パラリンピックの開催を通じ、我が国が障害者の方々にとってバリアのない、世界で最も生き生きと生活できる国であることを示す大会としていきたいと考えています。
三年後に迫った東京大会を必ず成功させる。政府としては、基本方針を決定し、必要な準備を進めているところです。サイバーセキュリティー対策、テロなど組織犯罪への対策を強化します。また、受動喫煙対策の徹底、ユニバーサルデザインの推進、多様な食文化への対応など、この機を生かし、誰もが共生できる町づくりを進めます。
アスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、全世界に向けて夢と感動、そして平和を発信できる世界一の大会の実現に向け、政府一丸となって取り組んでまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕