安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは四十四兆円、実質GDPは二十五兆円増加し、過去最高の水準となりました。
過去最高水準の企業収益を雇用・所得環境の改善につなげることにより、就業者数は百十万人近く増加、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、賃上げは中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現し、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は二年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
御指摘の実質賃金の減少については、消費税率引上げに加え、デフレ脱却に向かう過程で物価が上昇したことや、景気が回復し雇用が増加する過程においてパートで働く人が増えたことによるものであります。なお、足下では、平成二十七年七月以降、増加傾向となっています。
世帯当たりの消費を捉える家計消費は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっていますが、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、個人消費は二〇一六年に入ってから三四半期連続の前期比プラスとなっています。
生活意識については、様々な世論調査がある中で、昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査によれば、満足と回答した割合は、一九九五年以来の七〇%を超える水準を、二〇一三年以降、つまり政権交代して以降、四年連続で維持しております。
政府としては、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を加速します。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増すことにつながると考えています。アベノミクスを更に加速させ、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会をつくり上げてまいります。
医療と介護の見直しと国民生活等についてのお尋ねがありました。
平成二十九年度予算の医療、介護の制度改革は、社会全体が高齢化、社会保障費が増大する中、制度を持続可能なものとし、次世代に引き渡していくため、高齢者の方々にも負担能力に応じた御負担をいただくものです。
このため、今回の改革においては、七十歳以上の高額療養費制度の見直しや介護保険制度の利用者負担の見直しなどを行います。その際、高額療養費制度について激変緩和のため段階的に見直しを行う、長期的にサービスを利用される方の年間の自己負担が増えないよう年間上限を創設して負担額を抑える、医療と介護を併せて利用し高額の自己負担をされている方の年間の負担が増えないよう年間上限額を据え置くなど、きめ細やかな配慮を行うこととしております。
社会保障に関しては、持続可能な社会保障制度を構築するために、今回のように医療や介護などの給付と負担の在り方について不断の見直しを行いつつ、社会保障・税一体改革やニッポン一億総活躍プランに掲げたとおり、安定財源を確保して、保育、介護の受皿整備や年金の受給資格期間の短縮などを実施する、保育士、介護人材等の処遇改善を行うなど、しっかりと充実を行ってまいります。
なお、大企業に四兆円もの減税を行ったとの御指摘ですが、安倍内閣において平成二十七年度、二十八年度に取り組んだ法人税改革は、課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保しながら税率を引き下げたものであり、御指摘は当たりません。
働き方改革についてのお尋ねがありました。
一年余り前、入社一年目の女性が長時間労働により過酷な状況の中で自ら命を絶ちました。このような悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
野党が提出している労働基準法改正案では、誰に対して何時間の上限にするのか全く決めておらず、厚生労働省令に丸投げしています。政府としては、具体的な内容を示し、実行しなければなりません。実現会議で取りまとめる三月の実行計画においては、現在の大臣告示に強制力がないことを踏まえ、実効性のある規制となるよう、罰則付きの時間外労働の限度が何時間か具体的に定め、法改正に向けて作業を加速し、早期に法案を提出します。また、インターバル規制については、中小企業への助成金の創設などを通じ、規制導入についての環境整備を進めます。
なお、現在提出している労働基準法改正案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものです。残業代ゼロ法案といったレッテル貼りに明け暮れていては中身のある議論はできないと考えます。
国家公務員の天下り等についてお尋ねがありました。
今回の文部科学省における再就職規制違反事案は、国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないことであります。文部科学省において、全容の解明に向け徹底した調査を行い、再発防止策を講じてもらいたいと思います。
国家公務員の再就職について問題なのは、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口利きや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。このため、平成十九年の国家公務員法改正により、各府省による再就職の禁止等厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設置したところでございます。
現行制度による厳格な監視が機能したからこそ本事案が明らかになったものでありますが、本事案で生じた国民の疑念を払拭するため、山本国家公務員制度担当大臣に対し、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示しました。今後、準備ができ次第調査をし、その結果を明らかにしてまいります。
沖縄における基地負担軽減についてお尋ねがありました。
普天間の辺野古移設によって、学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場は全面返還されます。辺野古の埋立面積は、返還される面積の三分の一以下であります。また、飛行経路が市街地の上空から海上へと変更されることにより、住宅防音が必要な一万以上の世帯数がゼロとなり、安全性も大幅に向上します。
北部訓練場、四千ヘクタールの返還は、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することにより、二十年越しで実現したものであり、沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後最大の返還であります。地元の国頭村や東村からは、国立公園の指定、世界自然遺産への登録を目指すとして早期返還の要望を受けていたものであり、基地負担軽減に大きく寄与するものであります。
伊江島においては、既存の施設の老朽化に伴い改修工事を行っているものです。
このように、米軍基地を抜本的に強化、固定化するとの御指摘は全く当たりません。
沖縄における選挙の結果については、いずれも真摯に受け止めています。沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任です。同時に、この思いは国も沖縄の皆さんも同じであり、変わらないはずであると思います。
政府の進めている基地負担軽減の取組が沖縄の民意を一顧だにしないとの御指摘は、これも全く当たりません。引き続き、地元の皆さんの御理解を得る努力を続けながら、普天間の全面返還に向けて全力で取り組んでまいります。
オスプレイの不時着水事故及び日米関係についてのお尋ねがありました。
日米地位協定の合意議事録は、米軍機の機体のような米軍財産は原則として米軍がこれを取り扱い、日本側当局は米側の同意がない限り捜索、差押え等を行えない旨定めています。この規定は、高度な軍事性や機密性を有する米軍財産について、その捜索や検証を徹底的かつ綿密に行うためにはその財産を熟知した米軍が一義的に取り扱うことが適当であること等を踏まえたものです。
したがって、仮に米軍が日本の警察当局による米軍機の検証に同意を与えないことがあったとしても、それが日米地位協定に直ちに違反するものではなく、日米地位協定上許されない無法なものであるとの御指摘は当たりません。
海上保安庁では、現場海域周辺において機体の一部と思われる浮流物を回収し、当該回収物の写真撮影などの捜査を実施しており、引き続き、米側にも協力を求めつつ、所要の捜査を実施してまいります。
また、オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であります。先般の事故については、事故後、飛行停止と空中給油訓練の停止措置がとられましたが、その再開に当たっては、米軍だけの判断ではなく、日米で協議を行い、日本政府においても防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らして独自に分析を行いました。その結果、米側が事故を引き起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広く取っていることを確認しました。また、今後とも空中給油訓練は陸地から離れた場所でしか行わないことも確認しています。
これらのことから、日本政府として、再発防止について有効な対策等が取られていると判断したことから、その再開については理解できると述べたものであります。引き続き、事故の再発防止を強く求めるとともに、米側と連携を密にして安全確保に万全を期してまいります。
日本と米国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のきずなで強く結ばれた揺るぎない同盟国です。また、日米同盟はいずれかのみが利益を享受する枠組みではなく、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎として不可欠な役割を果たしています。トランプ新政権との間で揺るぎない日米同盟を更に確固たるものにしていきたいと考えております。
福島原発事故の費用増大と原発の再稼働についてお尋ねがありました。
今回の所要資金の見通しは、現時点で最新の情報に基づき一定の蓋然性を有するものとしてお示しをしたものであります。上振れすることは想定しておりません。
福島原発事故に係る対応については、東京電力が責任を持って対応し、負担することが大原則です。その上で、福島の復興再生のため、国も前面に立って取り組みます。福島原発事故の費用に関し国民負担との御議論もありますが、政府としては、事故当事者である東京電力の経営改革による資金捻出を基本とするなど、国民負担を極力抑えつつ、福島の復興再生を一日も早く実現するとの方針で臨んでおります。
また、原子力発電所の再稼働については、仮に事故が起きれば住民の方々を始めとして極めて重大な影響が及ぶことを認識し、安全神話の信奉があのような悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえつつ、二度と事故を起こさないようにすることが重要だと考えております。
したがって、政府としては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという方針で臨んでおります。
「もんじゅ」及び核燃料サイクルについてお尋ねがありました。
「もんじゅ」については、昨年十二月の原子力関係閣僚会議において、これまでの位置付けを見直し、原子炉としての運転再開はせず、今後、廃止措置に移行することとしました。
「もんじゅ」は、これまで、設計、建設、四〇%出力までの運転を通じて高速炉開発に関する様々な技術的成果を獲得し、研究人材の育成にも貢献するなど、今後の実証炉の開発に貢献する成果を上げたと考えております。他方で、その保全実施体制や人材育成、関係者の責任関係などマネジメントに様々な問題がありました。このことは、昨年十二月の原子力関係閣僚会議において取りまとめられた政府方針に明記されているところです。
核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の量及び放射線レベルを格段に減少させ、長期的な管理をより安全にする観点及び資源の有効利用及びエネルギー安全保障の向上の観点から、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた我が国にとっては必要なプロセスだと考えています。
核燃料サイクルについては、直面する様々な技術的課題やトラブルを、問題点を明らかにした上で一つ一つ解決していかなければなりません。国として責任を持って、安全の確保、技術の向上に万全を期しながら、引き続き自治体や国際社会の理解を得ながら取り組んでまいります。
憲法改正についてお尋ねがありました。
憲法が施行されてから今年で七十年になります。憲法は、国の未来そして理想の姿を語るものであり、新しい時代の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神が日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと考えております。
もとより、憲法改正は国民が国民投票によって決めるものでありますが、新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められ、具体的な姿が現れてくることを期待したいと思います。なお、憲法改正の議論を国会で進めるべきであるとの意見が五〇%、そして進めるべきではない、反対が二一%という世論調査の結果もあることは承知しております。
南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
御指摘の事実上の内戦状態が何を意味するものか、必ずしも明らかではありませんが、南スーダンにおいては、現在も武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じており、その治安状況は極めて厳しいものと認識しています。首都ジュバについても、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。
このような我が国の情勢認識について、国連とも基本的に異なるものではないことを確認しています。また、国連の報告書において、UNMISSに対する移動制限等が報告されていることは承知しています。
他方、南スーダン政府自身は、これまで累次の機会にUNMISSへの協力を表明してきています。また、自衛隊に対しては、南スーダンのキール大統領や政府内で反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領からも感謝の言葉が示されており、また、南スーダン政府によるUNMISS及び自衛隊に対する受入れ同意は安定的に維持されているものと考えています。
このように、南スーダン政府が自衛隊に敵対するものとして登場しないことを確保していることから、自衛隊が南スーダン政府との間で駆け付け警護の任務に基づき武器を使用する事態が生じることは想定されず、自衛隊が憲法の禁ずる武力の行使を行うことはありません。
これまでも、我が国は、自衛隊派遣のみならず、人道支援や民生支援などで大きな貢献を行い、南スーダンや国連を始め、国際社会から高い評価を受けています。今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国際社会の平和と安全に貢献していく考えであります。
国際組織犯罪防止条約の国内担保法についてお尋ねがありました。
東京オリンピック・パラリンピックを三年後に控える中、テロ対策に万全を期すことは喫緊の課題であります。テロを防ぐためには、テロ等準備罪の整備に加え、逃亡犯罪人引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約の締結は、そうした協力関係を構築する上で極めて重要であります。
国際組織犯罪防止条約を締結するに当たり新たに国内法を整備した国としては、ノルウェー及びブルガリアがあると承知していますが、米国や英国等は重大な犯罪の合意罪を、ドイツやフランス等は参加罪をこの条約の締結以前よりそれぞれの国内において法制化していたため、新たに国内法を整備する必要はなかったと承知しております。
国内担保法の在り方については、現在、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団に限定し、準備行為があって初めて処罰の対象とするなど、一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるよう検討を行っているところであり、国民の思想や内心まで取り締まる、多数の一般人が監視の対象となるといった御懸念は全く根拠のないものであります。
また、現在政府が検討しているテロ等準備罪は、テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるものであり、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであります。(拍手)