安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会、憲法改正について、教育のあるべき姿を含め、具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論しようとされていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 子供たちこそ日本の未来であります。次なる七十年を見据えたときに、教育が極めて重要であることは論をまちません。そして、憲法は国の未来、理想の姿を語るものであります。新しい時代の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神が日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと考えております。新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められ、具体的な姿が現れてくることを期待したいと思います。
 教育無償化についてお尋ねがありました。
 教育投資は未来への先行投資です。特に、どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。このような思いについては御党とも共有しているのではないかと思います。
 このため、これまでも、幼児教育無償化の段階的推進、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであります。来年度からは、幼児教育の無償化や高校生への奨学給付金を拡充するとともに、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。さらに、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することとしました。
 意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ないということがあってはなりません。今後とも、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 なお、御党の提出される法案については、国会において御判断いただくものと考えております。
 日米同盟についてお尋ねがありました。
 日米同盟は我が国の外交・安全保障政策の基軸であり、トランプ新政権との間でも、信頼関係の上に、揺るぎない日米同盟のきずなを更に確固たるものにしていきたいと考えています。
 トランプ新政権の日本による防衛上の負担に係る立場について予断することは差し控えますが、アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、地域の平和と繁栄の礎として日米同盟の重要性は増しています。もとより、安全保障政策において根幹となるのは自らが行う努力であるとの認識に基づき、我が国としても防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図ってまいります。また、日米安保体制は日米いずれかのみが利益を享受するような枠組みではなく、したがって、在日米軍の駐留経費についても日米間で適切な分担が図られるべきものと考えます。
 日米地位協定については様々な御意見があることは承知をしておりますが、政府としてはこれまで、手当てすべき事項の性格に応じ、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところであります。引き続き、そのような取組を積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していく考えであります。
 沖縄の負担軽減を図ることは政府の大きな責任であります。地元の方々の理解を得る努力を続けながら確実に結果を出していかなければなりません。今後とも、米国との信頼関係の下、抑止力を維持しながら、沖縄の負担軽減に一つ一つの結果を出していく決意であります。
 トランプ新政権の下における日米経済関係についてお尋ねがありました。
 米国商務省によると、米国における日本企業の累積直接投資額は四千百十億ドルに上り、約八十四万人の雇用を生み出していますなど、日本企業は米国の良き企業市民として米国経済に貢献しています。
 トランプ新政権の雇用政策が日本企業の活動に与える影響については引き続き注視していきますが、活発な貿易、投資は日米経済関係の活力の源泉であり、政府としては、トランプ政権との間で日米経済関係の更なる発展、深化を図るため、官民を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
 トランプ新政権がTPPに代えて二国間協定を求めてきた場合についてお尋ねがありました。
 トランプ政権の貿易政策については、今後、閣僚人事の承認が進み、体制が整うに従って具体化されてくることと思われます。それまでは米国の方針を予断することは差し控えたいと思います。
 まずは、日米経済関係をどのように発展、深化させていくか、新政権と様々なレベルで議論していきたいと考えています。その中で、TPP協定が持つ戦略的、経済的意義についても腰を据えて理解を求めていきたいと考えています。
 我が国としては、引き続き、TPP協定の発効に向けた取組についてリーダーシップを発揮し、他のTPP署名国と緊密に連携していく考えです。
 中国の経済的攻勢についてお尋ねがありました。
 中国が国際社会のルールや法を遵守する形で経済的に発展し、地域の繁栄に貢献していくことは、我が国にとっても望ましいことであると考えます。かかる観点から、我が国は、TPP交渉における成果を踏まえ、中国も参加する経済連携の枠組みであるRCEP及び日中韓FTAにおいて質の高い協定を目指して精力的に交渉を進めていきます。
 我が国としては、米国、豪州を始め、ルールや法を尊重する国々と連携し、アジア太平洋地域に二十一世紀にふさわしい自由で公正な経済圏を構築していく上でリーダーシップを発揮していく考えです。
 北方四島における特別な制度についてお尋ねがありました。
 北方四島における特別な制度の下での共同経済活動については、四島において初めて日本人とロシア人が経済活動を行うことを通じ、互いを理解し合い、地元住民の日本への信頼を深めていくという点で、平和条約の締結に向けて大きなプラスになると考えます。そのためにも、お互いの立場を損なわない新しい仕組みをつくるべく、交渉を進めていきます。これは困難な挑戦ではありますが、私とプーチン大統領との間で、平和条約の締結に至るプロセスの一環としてこの交渉を行うことで合意しました。
 七十年以上動かなかった領土問題の解決は容易なことではありませんが、高齢となられた元島民の皆様の切実な思いを胸に、平和条約締結に向け、着実に前進していく決意であります。
 平成二十九年度予算と財政健全化についてのお尋ねがありました。
 平成二十九年度の税収は、平成二十八年度補正後税収から一・九兆円増の五十七・七兆円と見込んでおり、政権交代以降、税収が増加している基調に変化はありません。安倍内閣における経済財政政策の成果であるアベノミクスの果実は着実に生まれています。
 また、安倍内閣においては、これまでも、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出削減に取り組み、その結果、かつて毎年一兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びを今年度予算に続き来年度予算においても五千億円以下に抑えることができました。さらに、政府に対する国民の信頼を得る観点から、行政の在り方を不断に見直し、税金の無駄遣いをなくしていく行政改革の重要性は論をまちません。
 今後とも、徹底的な歳出の重点化、効率化に取り組み、経済再生を図りながら、二〇二〇年度におけるプライマリーバランスの黒字化を実現してまいります。
 文部科学省の天下りに対するお尋ねがありました。
 今回の文部科学省における再就職規制違反事案は、国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないことであります。まずは文部科学省において徹底した調査を行い、再発防止策を講じてもらいたいと思います。
 本事案で生じた国民の疑念を払拭するため、速やかに、山本国家公務員制度担当大臣に対し、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示しました。また、文部科学省において関係者の厳正なる処分を行いました。徹底した調査を行い、再発防止策を講ずるなど、天下り根絶のためにしっかりと取り組んでまいります。必要なことは何でもやるとの考えで国民の信頼を確保してまいります。
 なお、大学に対する財政支援は、大学の教育研究水準の向上などを目的として措置するものです。しかし、それは真に必要なものに対して措置されるべきものであり、徹底的に効率化を図り、不要なものについて削減することは当然のことです。このことは、独立行政法人向け財政支出も同じであります。
 税制の改革についてお尋ねがありました。
 御指摘の夫婦控除については、与党の税制調査会の議論において、高所得の夫婦世帯にまで配慮を行えば非常に多額の財源を必要とすること、国民の理解が深まっていないことなどの問題があるとされたところです。こうした中、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる仕組みを構築する観点から、配偶者控除等について配偶者の収入制限の引上げなどを行うこととしています。個人所得課税改革については、御指摘の控除方式の在り方を含め、引き続き検討を進めてまいります。
 相続税については、資産再分配機能を回復する観点から、基礎控除の引下げや最高税率の引上げ等の見直しを行い、平成二十七年から適用されています。まずは、こうした見直しの効果を検証していく必要があるものと考えています。
 法人税については、平成二十七年、二十八年度改正において、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるとの考え方の下、成長志向の法人税改革を行ったところであり、今般の改正において、研究開発税制や所得拡大促進税制について、インセンティブ機能を強化する見直しを行うこととしております。これにより、企業における投資や賃上げへの積極的な取組を期待しております。
 高齢者の働き方改革と社会保障制度改革についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、高齢者の方々にできる限り社会の支え手として活躍していただける環境を整えることは重要であります。安倍内閣としても、一億総活躍社会の実現に向けた施策を進めているところです。
 一方で、社会保障制度における高齢者の考え方を見直すことについては、企業の雇用慣行や国民意識も踏まえつつ、慎重に議論されるべきものと考えております。御指摘の提案についても、医学的な立場から検討されたものと承知しております。
 高齢者の方々の働き方改革については、六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業などに対する支援や、ハローワークにおける再就職支援の強化に努めてまいります。また、高齢者の方々には、健康で末永く活躍いただけるよう介護予防の取組などを進めてまいります。
 天皇陛下の御公務の負担軽減等に係る国会での議論の在り方についてお尋ねがありました。
 国会におかれては、衆参両院の議長、副議長を中心に各党各会派からの意見聴取が行われ、静かな環境で議論が進められるものと承知しております。政府としては、そこでの御議論をしっかり受け止め、更に検討を進めていく所存であります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議