岡田直樹の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹です。
私は、自由民主党・こころを代表して、安倍総理大臣の施政方針演説について総理に質問いたします。
まず、これまでの平成の世を思い起こしながら、天皇陛下の御負担軽減について伺います。
昨年八月、天皇陛下は、国民に対するビデオメッセージで、象徴としてのお務めについてお言葉を述べられました。その中で、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないか、こうしたお気持ちを表明されたことを我々として重く受け止めなければなりません。そうした陛下のお気持ちを酌みながら、主権者である国民の代表として今後の象徴天皇の在り方について議論していくことは、我々国会議員に課せられた重大な責務であると考えます。
平成の世になってから三十年近くがたとうとしておりますが、思い起こせば激動の時代でありました。平成元年はバブルの絶頂期であり、我が国は空前の好景気を謳歌していました。国際的には、天安門事件が起きた年であり、ベルリンの壁が崩壊した年でもあります。その年の十二月には、米ソの首脳がマルタ島で会談し、冷戦の終結を宣言しました。
まさに世界史の転換点と言える年に始まった平成でありますが、我が国では、その後、バブルが崩壊し、経済的には厳しい時期が続きました。失われた二十年とも言われた出口の見えない景気の低迷に、自信を失いかけたこともありました。しかし、第二次安倍政権の発足後、デフレからの脱却が視界に入り、経済が好調に回り始めているのであります。
一方で、平成七年には阪神・淡路大震災、平成二十三年には東日本大震災など、甚大な災害にも見舞われました。そのたびに、天皇皇后両陛下は、自ら被災地に赴いて、被災された方々を励まされたのであります。避難所で膝をついて被災された方々と同じ目線で話される両陛下の姿は、国民の目に深く焼き付いています。このことで、どれほど多くの人々の傷つき疲れた心が救われたことでしょうか。こうして国民に寄り添う姿こそが新しい時代の象徴天皇の姿であると、陛下御自身が身をもって示されてきたわけであります。
また、陛下は、戦後七十年に当たる一昨年にはパラオを、続いて昨年はフィリピンを訪問され、戦没者の慰霊をし、平和を祈念されました。特にパラオは、両陛下が訪れるにふさわしい宿泊施設などがない厳しい環境であったにもかかわらず、実現を強く望まれた末の御訪問でありました。
両陛下が御訪問先で献花され、さきの戦争で亡くなった全ての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのばれるお姿は、戦争の苦しみを慰めると同時に、平和の大切さを改めて思い起こしたのであります。
新しい時代の象徴としての天皇のお姿がどうあるべきかという問題は、我々一人一人が党派を超えて真剣に考える問題です。国民統合の象徴としての陛下の御負担軽減の問題は決して政争の具にすべきではない、この点においては、この場に御参集の全ての皆様が同意されることと思います。二十三日に政府の有識者会議により、今後の検討に向けた論点の整理がまとめられました。立法府としても、党派を超えた真摯な議論と速やかな法整備が必要であります。
ここで、天皇陛下に対する総理の思いを伺うとともに、今国会における天皇陛下の御退位等に関する法整備について、総理の御見解を伺います。
次に、各分野の基本方針について伺ってまいります。
昨日、我が党の吉田幹事長から経済財政や外交・防衛などを中心に質問いたしておりますので、私からは、国民の安全、安心の確保や地方創生を中心に質問させていただきます。
まずは、防災対策について伺います。
昨年十二月二十二日に新潟県糸魚川市で大規模な火災が発生し、多くの人が住まいや職場を失う甚大な被害をもたらしました。住宅や店舗など百四十七棟が焼け、その八割に当たる百二十棟が全焼するという、我が国では過去二十年で最悪の火災となってしまいました。
自由民主党では、今回の災害をフェーン現象による強風がもたらした自然災害と位置付けて、被災者生活再建支援制度を適用するよう政府に検討を申し入れるとともに、大みそかの十二月三十一日にも幹事長以下が現地入りし、新潟県知事、糸魚川市長らと意見交換を行いました。総理も今月十一日に現地を視察されていますが、まずは速やかな復旧に政府を挙げて引き続き取り組んでいただきたいと存じます。
今回の教訓を生かして、全国的に火災に対する備えを見直していく必要があると考えます。近年、地震や水害などの大きな自然災害が続いたこともあり、防災、減災に対する国民意識は高まってきております。これを機に、火災も含めた様々な種類の災害を想定し、防災・減災対策を一層充実していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。総理の御見解をお伺いします。
〔副議長退席、議長着席〕
重ねて、災害からの復旧復興についても伺います。
糸魚川大規模火災のほかにも、昨年は、四月に震度七を二度も記録した熊本地震があり、八月、九月には台風十号を始めとする台風被害が生じるなど自然災害が続いた年でありました。まだ復興が道半ばである東日本大震災の被災地でも、重ねて台風による被害を受けた地域もあります。
私も、自民党台風十号被害視察団の一員として岩手県に派遣され、九名もの高齢者の命が失われたグループホームなどの被害状況を確認してまいりました。気候変動のせいか、これまでとは全く異なる経路で台風が東北地方に上陸し、思い掛けない被害が生じてしまったのであります。御冥福を祈るとともに、災害対策に万全を期さなければならないとの思いを新たにしたところであります。
政府は、熊本地震や台風被害に対して激甚災害の早期指定を行ったほか、災害救助法や被災者生活再建支援制度の適用など、一日も早い復旧に努めてきました。引き続き、復旧事業の早期完了のために、事業を進められるところは速やかに発注し、すぐに工事に取りかかるといった対応で復旧復興を進めていただきたいと思います。
しかし、熊本では、建設業の人材不足が著しいため、復旧事業の入札に業者が集まらず入札が成立しない、そのため、なかなか復旧事業に着手できないという状況もあると聞いております。また、北海道、東北では、積雪のために冬の間は工事が難しく、春には直ちに工事に着手する必要があります。もし業者が集まらずに入札が成立しないとなれば、復旧復興のタイミングを逃すことにもなりかねません。
このように、建設業の人材不足などにより災害復旧が円滑に進まない状況は、東日本大震災の復旧復興事業においても見られるところであります。今後も各地で同じような状況が続けば、我が国の災害対策にとって大きな障害となるとも考えられます。防災、減災に対する取組とともに、災害後の復旧復興の円滑化についても政府を挙げて対策を検討すべきであると考えます。
防災、減災及び災害からの復旧復興事業を円滑に進めていくため、総理はどのように取り組んでいくお考えか、お尋ねをします。
次に、同じく安全、安心の観点からテロ対策について伺います。
我が国は二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックを開催しますが、テロ対策にしっかりと取り組み、是非とも成功に導かなければなりません。東京オリンピック・パラリンピックをテロリストから絶対に守らなければならないのであります。
開催国たる我が国は、国際社会と協力し、テロ対策に万全の体制を整える必要があります。にもかかわらず、テロ等の組織犯罪と闘うために百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約については、署名から十六年もたっているのに、いまだ我が国は締結できていません。テロ対策に万全を期すべきオリンピック・パラリンピック開催国が、そのための国際的な捜査協力や情報ネットワークに入れないのは、異常な事態とさえ言えます。そのための国内法整備として行われるテロ等準備罪の創設は、組織犯罪を実行する前の準備段階で処罰するものでありまして、これが一般国民が対象になるようなことはあり得ないと私は考えます。
早急に条約を締結するため、必要な法整備を行うべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
続いて、この東京オリンピック・パラリンピックと地方創生について伺います。
宮城県で開催予定のサッカーに加え、野球、ソフトボールでは、試合の一部を福島県で開催するといった案も検討されていると聞いております。このように、東京オリンピック・パラリンピックに復興五輪という意味を持たせることが重要であります。また、被災地を含め、全国にその恩恵が及ぶように、言わば地方創生五輪にもなるように工夫をしていくべきだと考えます。
二〇一二年のロンドン大会では、ロンドン以外の地域でも、雇用や投資の増加が発生し、広い地域に経済効果が及んだとされています。また、大会後も、ロンドン以外でも観光客が大きく増加したとのことであります。
オリンピック・パラリンピックは、地方創生を加速化させる大きなチャンスであります。我が国においても、こうした成功事例に学んで、オリンピック・パラリンピックの効果を全国に波及させるための取組を進めていくべきだと考えております。東京オリンピック・パラリンピックを地方創生に生かすことに関する総理の考えを伺います。
次に、教育再生について伺います。
総理が演説で表明されていたとおり、我が国の未来、それは子供たちであります。子供たちの一人一人の個性が大切にされる教育を進めることが何より重要であります。さらに、家庭の経済事情により、進学を希望するにもかかわらず断念せざるを得ないという状況を変え、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。
そのため、政府は、フリースクールの子供たちへの支援や高校生への奨学給付金の拡充、返還不要の給付型奨学金制度の創設など、全ての子供たちが未来に希望を持ち、夢に向かって学んでいくことができる施策を講じています。これこそ、総理の施政方針演説に引用された兼山のハマグリであり、日本の未来をつくる大きな一歩であると考えます。
教育再生、誰にでもチャンスのある教育の実現に懸ける総理の思いをお伺いいたします。
次に、女性の活躍について伺います。
今回の税制改正では、パートで働く方々が就業調整を意識することなく働くことができるよう、配偶者特別控除の収入制限を大幅に引き上げております。アベノミクスにより、パートの方々の時給も確実に上昇しています。企業活動を支えているパートの皆様が今まで以上に活躍できる環境を整えることは、企業にとっても大きなメリットとなります。
子育て、介護、日頃の家事など様々な場面で活躍している方々からの視点は、もっともっと社会で活用されるべきであります。例えば、近年、トラックドライバーや建築、建設分野への女性の進出が増加傾向にあります。女性の能力の発揮で経済の活性化が図られるものと大きく期待しております。
女性の活躍の重要性への認識と、今後どのように女性の活躍を進めていくお考えか、お聞かせを願いたいと存じます。
次に、私の持論として、鉄道ネットワークの整備、すなわち鉄道の復権について伺います。
安倍内閣の大胆な挑戦により、我が国には経済の好循環が生まれております。地方創生にとって大切なことは、この経済の好循環を更に全国津々浦々まで届けることであります。そのために、生産活動、観光、地域住民の生活などに不可欠な道路、空港、港湾等の交通ネットワークが重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。
昨年九月の臨時国会の所信表明演説で、総理は、リニア中央新幹線と整備新幹線の建設を加速し、東京と大阪を大きなハブとしながら、全国を一つの経済圏に統合する地方創生回廊に言及されました。
私の地元である石川県でも、一昨年、北陸新幹線が金沢まで開業した際には、観光客が増え、ビジネスのチャンスも膨らみ、地域開発の効果が極めて大きいことを実感いたしました。そうした経済的、社会的効果を見れば、鉄道、特に高速鉄道ネットワークは、もちろん北陸のみならず全国的に社会資本ストック効果が大きいインフラであり、国土のバランスある発展にとっても必須であると考えます。
我が国の鉄道ネットワークは、その正確さや安全性において世界に誇れるものであり、国民生活の向上や経済の発展、観光の振興などに大きな役割を果たしてまいりました。東日本大震災の被災地でも、鉄道の区間が復旧するたびに大きなニュースとなり、町が喜びに包まれます。このように、鉄道は人々の希望を運ぶ存在でもあるのです。
全国各地で予想もしない災害が続いている昨今の状況を考えると、鉄道ネットワークの整備に当たっては、一部の路線が災害でダメージを受けたとしても、他の路線が代替的機能を果たすことで速やかな復旧復興活動や継続的な経済活動を確保するというリダンダンシーという考え方がますます重要になっております。
昨年末、与党プロジェクトチームにおいて敦賀―新大阪間のルートが一本化された北陸新幹線も、このリダンダンシーという観点から整備が急がれるべきと考えます。万一、太平洋側で地震や津波などの大規模災害が発生した場合、東海道新幹線の代替補完機能として、日本海側を回る新幹線は大きな役割を果たすと期待されているからであります。
加えて、鉄道は環境にも優しい交通機関であります。鉄道が旅客一人を運ぶのに排出するCO2は、自動車の六分の一、飛行機の五分の一であります。このように優れた特徴を持つ鉄道でありますが、国の予算という面では、とても十分な予算が措置されているとは言えません。国の道路予算が約一兆七千億円であるのに対して、鉄道予算は約一千億円にすぎないのであります。道路、港湾などの着実な整備を進めると同時に、鉄道予算は相当額を増額すべきと考えます。
地方創生、防災、環境・エネルギーなど、様々な面から鉄道の意義を見直し、政府としても鉄道復権に向けて力を入れていく必要があると考えますが、総理の御見解はいかがでしょうか、伺いたいと存じます。
次に、地方創生の更なる推進について伺います。
地方創生は我が国の最重要課題の一つです。地方の過疎化も都市の過密化も背中合わせの問題であり、国民がひとしく安心して活力ある生活を送るために解決しなければならない課題であります。防災、減災や環境問題を考えた場合にも、東京一極集中は大きなリスク要因であり、国土のバランスの取れた発展は不可欠であります。
地方では、その地方を愛し、地域資源に工夫を加えて地方創生に取り組んでいる人々がたくさんおられます。このような取組を全力で支援せずに地方創生を実現させることはできないと感じます。自由度の高い地方創生交付金は、まさに自分たちの地方の未来を自分たちの創意工夫と努力で切り開くという意欲的なチャレンジを応援する仕組みとして大いに期待をいたしております。
しかし、地方創生は地域の力だけでは足りない場面もございます。例えば、先ほど質問いたしました新幹線などの高速鉄道ネットワークの整備がそうです。国として整備すべきものはしっかりと整備するという姿勢が大切と考えます。その観点で、政府機関の地方移転についても触れたいと思います。
昨年決定された政府関係機関移転基本方針では、文化庁が京都に移転することになったほか、私の地元である石川県にも国立近代美術館の工芸館が移転することになりました。しかし、各省庁からは政府機関を東京に残したいという移転に対する抵抗感も強いと感じられます。
現状、全体としては拠点の設置や連携の強化といった内容が多く、本格的な移転を期待していた地方からは残念な結果であったという声も出ていることは事実であります。しかしながら、これで終わりということではなく、これをあくまでも出発点として、今後ともできるものから一つずつ分散移転していくことが必要であると考えます。
また、地方の雇用を生み出すためには、企業の本社機能の移転や生産拠点の分散立地も重要であります。税制措置などは用意されていますが、地方創生のためには更に深掘りする必要があるのではないかと考えます。
政府機関や民間企業の地方移転も含め、どのように地方創生の更なる推進に取り組んでいくのか、その決意をお尋ねいたします。
最後に、参議院改革について申し上げます。
国権の最高機関、唯一の立法機関の一翼を担う我々参議院は、昭和四十六年に河野謙三議長による参議院問題懇談会が設置されて以来、二院制における参議院の在り方、独自の使命などについて、常に議論を続けてまいりました。
山崎正昭前議長の下では選挙制度協議会が設置をされ、私も協議会のメンバーの一人として、各会派と議論を重ねてまいりました。意見の隔たりは大きいものがありましたが、最終的には四県二合区を含む十増十減を主な内容とする公職選挙法改正が行われ、昨年の参議院選挙でそれが実施されました。
しかし、今回、合区がされた各県では、投票率の低下など深刻な影響が指摘をされております。合区反対と書かれた無効票も少なからずあったと聞きます。自らの県から国会に代表を送れないということは、一層の地域間格差をもたらす、地域間格差に拍車を掛けることが懸念されます。そして、合区を解消し、地域の声が国会に届く体制を取り戻してほしいという切実な要望が全国知事会を始め地方六団体から相次いでおります。
衆議院が政権を選択するための国民の意見を集約するという役割を持つのに対し、参議院は多様な国民の意見を国政に反映させるという機能を果たすことが期待されております。そのために、参議院は創設以来、地域代表と職能代表という性格を持った選挙制度を採用してまいりました。
地方創生が国政上の重要課題となる中で、地方も都市も歴史的、文化的、社会的、経済的にも一体性を有し、我が国の政治や行政の多くの場面で現実的に重要な役割を果たしている都道府県という単位で、地方の声をしっかり国政に届けるために代表を国会に送り出すことには大きな意味があると考えます。
現在、参議院自民党では、参議院在り方検討プロジェクトチームを設置し、そもそも参議院はどうあるべきか、そのための選挙制度はどうあるべきかについて忌憚のない意見交換を行い、議論を深めている最中であります。各都道府県から集まる代表が、互いの課題を把握して国全体の施策として解決していくことは、今まで都道府県を選挙区としてきた参議院だからこそできることではないでしょうか。
各都道府県から半数改選で必ず一名の代表を出すために、我々は憲法改正も一つの選択肢として議論すべきと考えております。
日本国憲法の施行から七十年がたち、当初は存在しなかった様々な課題が生じています。新しい人権、安全保障環境の変化、緊急事態への対応などがよく挙げられる論点でありますが、地方の人口減少と大都市への人口集中、それに対応した選挙制度の改革も大きな課題であり、憲法議論の俎上にのせるに値する問題と考えます。
参議院の独自性として、決算審査の重視とODAをめぐる諸問題の調査に積極的に取り組むという成果を生み出したかつての参議院改革協議会はしばらく開かれておりませんが、改革に向けた不断の努力は続けなければなりません。今こそ、党派を超えて、選挙制度を含めた参議院の抜本的な改革について協議を始め、真に国民のための制度設計を行うことが必要であります。
このことを皆様に強く強く呼びかけまして、私の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕