安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山本議員にお答えをいたします。
アベノミクスと子供の貧困率についてお尋ねがありました。
子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはなりません。経済的にも様々な困難を抱えている一人親家庭や子供の多い世帯には、きめ細かな支援が必要です。子供の貧困対策については、御指摘の子供の未来応援基金の活動のみならず、政府としては、児童扶養手当の多子加算の倍増、子供の学習支援の充実など、一人親や子供の多い御家庭などへの支援を積極的に行っており、来年度予算においても充実を図っています。
総務省の全国消費実態調査は、家計の収支などを総合的に把握している調査です。詳細な家計簿を三か月間付けていただくなど、一定の御負担を掛けることは確かですが、所得の低い世帯からも回答をいただいています。低所得者層の実態がどのように推移しているかを把握できるものと考えています。
昨年公表された全国消費実態調査における子供の相対的貧困率については、集計開始以来初めて低下しています。十五年前の九・二%から、十年前に九・七%と上がり、五年前に九・九%と更に上がったものが今回七・九%と、二ポイント改善しています。これは、アベノミクスの成果により雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、子育て世帯の方々の収入が増加したことによるものです。
国民生活基礎調査における子供の貧困率については、本年、精査の上、取りまとめる予定であり、それ以前の段階での予想は用意していません。
子供の貧困率については、世帯の資産が評価されないこと、算定の基礎となる所得に現物サービス等が含まれないことなど、指標として制約、限界があるため、数値目標とするにはなじまないと考えています。政府としては、子供の貧困対策に関する大綱に掲げている貧困率を含む二十五の指標が全体として改善するよう取り組んでいます。
安倍内閣が進めている施策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくものです。アベノミクスを更に加速させ、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会をつくり上げてまいります。
奨学金の在り方についてお尋ねがありました。
教育投資は未来への先行投資であります。特に、どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。このため、これまでも、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであります。
来年度から、低所得世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにすることとしております。また、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することといたしました。
経済的理由で返還が困難な者に対しては、返還に係る相談窓口を設置し相談に応じるとともに、従来から返還月額の減額や返還期限の猶予などの対応をしてきたところであります。加えて、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度を来年度から導入することとしております。
また、有利子奨学金の金利についても、現在の低金利の恩恵が行き渡るべく見直しを行い、現在〇・〇一%でありますから、百万円借りて百円であります。非常に低いものとなっております。このような総合的な仕組みにより学生の負担軽減を図っており、奨学金という名のサラ金地獄、国がサラ金のようなシステムで若い人を苦しめるとの御指摘は全く当たりません。
意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ないということがあってはなりません。高等教育について、家庭の経済状況にかかわらず、必要とする全ての子供が機会を与えられるようにしていきたい。今後とも、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでいきます。
国際組織犯罪防止条約の国内担保法についてお尋ねがありました。
東京オリンピック・パラリンピックを安全に開催するためには、国際社会と緊密に連携して、テロ対策に万全を期する必要があります。そのため、既に百八十七の国・地域が締結している国際犯罪防止条約の締結は必要不可欠であります。
国内担保法の在り方については、現在、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団、すなわち、テロ組織を始めとする組織犯罪集団に限定し、準備行為があって初めて処罰の対象とするなど、一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるよう検討を行っているところであり、御指摘は全くこれも当たりません。
また、現在、政府が検討しているテロ等準備罪は、テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるものであり、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであります。
汚染水の影響についてお尋ねがありました。
福島第一原発の港湾内の水は、潮汐の影響等により港湾外の水と一定の入れ替わりがありますが、港湾外の放射性物質濃度は、法令で定める基準値に比べて十分低いままとなっています。IAEAからも、周辺海域や外洋では放射性物質濃度は上昇しておらず、世界保健機構、WHOの飲料水ガイドラインの範囲内にあり、公衆の安全は確保されているとの評価を受けております。
私がブエノスアイレスで申し上げたように、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内に完全にブロックされており、状況はコントロールされているとの認識に変わりはありません。
原発事故の収束に係る費用についてお尋ねがありました。
東京電力福島原発事故について、政府及び原子力事業者がいわゆる安全神話に陥りあのような悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことです。二度と事故を起こすようなことがあってはなりません。
原発事故の収束、廃炉に係る所要資金の見通しについては、現時点で最新の情報に基づき、一定の蓋然性を有するものとして八兆円という数字をお示ししたものであり、上振れすることは想定しておりません。これについては、東京電力が徹底した経営改革を進めながら責任を持って負担することとしています。
原発の再稼働についてお尋ねがありました。
原発については、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
この新規制基準は、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、我が国の地震、火山といった自然条件の厳しさ等も勘案して十分な対策を要求しており、原子力規制委員会は、この基準に従って、地震や火山による影響についても科学的、技術的に厳格な審査を行い、再稼働に求められる安全性が確保されているかどうかを確認しているものと承知しています。
誰のための政治を行っているのか、そして私の在任期間についてお尋ねがありました。
総理大臣として、また国会議員として、常に私の頭の中にあることはただ一つ、国民の負託に応え、結果を出していくことであります。そのことのみであります。(拍手)