大野元裕の発言 (本会議)
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○大野元裕君 民進党・新緑風会の大野元裕でございます。
まずは、熊本地震一年を迎えるに当たり、被災者の皆様に対し、改めてお見舞いを申し上げますとともに、被災地に寄り添い、政治の責任を果たすことを改めて約束をさせていただきます。
我が国自衛隊と米国、豪州及び英国軍との間での後方支援、物品又は役務の提供に関する我が国政府とこれら諸国政府との間で締結をされた協定に対し、民進党を代表し、反対の立場から討論を行います。
冒頭申し上げます。
ACSA協定が新しいものとなろうが、国会承認が得られずに既存の協定に戻ろうが、その運用のほとんどは、防衛大臣の下、自衛隊によって行われることになると理解をしています。しかしながら、稲田防衛大臣は国会での答弁を二転三転、記憶違いに虚偽答弁と続けているため、南スーダンからの施設部隊撤収、米国によるシリア空爆や北朝鮮の暴挙に引き続く朝鮮半島情勢の緊張等が見られ、外交、安全保障上国会が果たすべき役割がこれまでになく大きいにもかかわらず、大臣の答弁一つ一つが果たして正しいのか虚偽なのかと吟味しながらの国会審議となりました。
それのみならず、ACSAを運用する自衛隊に対するシビリアンコントロールを確固たるものとして発揮できずにいることに加え、日報隠蔽疑惑では、過ちがあれば大臣の名前で処分を行う立場にあるにもかかわらず、自らは虚偽の答弁をしても責任すら取らないでいる、自衛隊の大臣に対する信頼は地に落ちていると言わざるを得ません。
今回の日米、日豪、日英ACSAの審議はこのような中で行われ、慎重にも慎重を重ねて審議せざるを得ない状況になりました。安全保障上極めて重要な時期にあるからこそ、喫緊の課題の審議を充実させ、万が一の事態に国会が大臣の発言を信頼して議論できるような環境を整備するためにも、政府に対しては、稲田大臣を直ちに更迭するよう求めます。
さて、ACSA協定は、特定の国の軍と自衛隊との間で物品及び役務の提供の枠組みを事前に一括して定めるもので、それは主としてPKOや災害緊急派遣の際に活用されてきました。民主党政権時代にも日米ACSAは活用され、また日豪ACSAの締結に向けて具体的な準備を進め、その基本的な柱立てを議論してきました。この意味で、民進党は、アメリカ、オーストラリア等、一定の国との間でACSA協定の締結を推進していくこと自体には賛成です。
しかしながら、今回の日米ACSAには、我が党が反対してきた安保法制における存立危機事態及び重要影響事態等が明記をされています。
これまで民進党は、正式な党の合意の中で、集団的自衛権の行使が違憲であると断言したことは一度たりともありません。その上で、制約のない集団的自衛権の行使を憲法上認めることはできないとの考えの下、憲法の便宜的、恣意的解釈には一貫して反対してまいりました。
一昨年の安保法制は、主として自衛隊を遠くに派遣し米軍の下請にするものであり、我が国の安全を直接支えるものではありません。我が国の直接の安全保障に対し貢献しない安保法制において、遠くで他国軍の下請にするための事態を新たに日米ACSAに書き込んで改正を行うこの協定案には賛成することはできません。
そもそも与党は、威勢のいいスローガンを振り回すことは大好きなようですが、日本国民の命や日本の安全に対し、正面から向き合うことに御関心があるようには見えません。
自公政権は、冷戦時代の基盤的防衛力構想から脱却する必要を認めながらも、そのための戦略を構築することができず、十年以上も我が国の安全保障戦略は冷戦時代のままに放置をされてきました。これに対し、民主党政権で初めて冷戦時代の戦略を見直して、動的防衛力構想を確立する二二大綱を整備したのです。
ところが、政権交代をすると、自公政権はあろうことか大綱を凍結し、一年以上も日本を戦略なき状態に漂流をさせました。その挙げ句に作られた現行の二五大綱では、動的防衛力構想のほぼコピーにすぎない統合機動防衛力なる言葉が冠されました。安保戦略を漂流させた挙げ句に政治的な言葉遊び、これが今の自公政権の安全保障戦略の本質であります。
集団的自衛権の行使についても、真に日本の存立を脅かすような具体的なケースを示すことができたならばいざ知らず、政府が示した三つの事例が根拠なきものであることはことごとく証明をさせていただきました。それ以降、新たな根拠や事例は示されず、政府の安保法制は立法事実なきものとして浮遊しています。
政府は、立法事実がなく、現実的な想定すら示せない存立危機事態を書き込んだACSA改定を行う無責任さを自覚すべきです。きちんとしたケースを示して法制化や協定を締結し、後顧の憂いなく自衛隊に活動させるのが政治家の使命です。政治家の責任は果たさずに、現場に責任を負わせる手法をまたしてもあなたたちは繰り返すのですか。さらには、具体的な事例すら示せないのに、協定案に事態を書き込むとは、余りに相手国に対しても失礼だとはお思いになりませんか。
専ら遠くに自衛隊を派遣することが政治家に求められる責任ではありません。日本の領土、領海を守るためには、尖閣等の島嶼部を守ることが喫緊の必要となっているのに、自民党は、公約で掲げたグレーゾーン対処のための領海警備法、どこに行ってしまったんでしょうか。
日本の領土、領海を守ることに関心があるのであれば、我々が政府の安保法制よりも早く提出をした領域警備法を審議すべきです。あるいは、我々の領域警備法、お得意のコピーで構いませんので、それを対案として提出されてはいかがでしょうか。喫緊の日本の領土、領海に対処する法制を作った上で、必要な事態を書き込んだACSA協定を審議すべきです。
日豪並びに日英ACSAについても同様です。豪州や英国とは協力の余地が大きく、かつ、国際の安全に資する目的を共有する国です。政権時代に民主党内で日豪ACSAを議論した柱立ては、今回のACSAにほぼそのまま維持されています。しかし、一点だけ異なる部分があります。それは、弾薬という僅か二文字です。
安保法制採決以前、政府は、弾薬の提供については特段のニーズがないとしてこれを当時の周辺事態法に含めず、またその法的判断も避けてきました。当時の国会答弁にあるとおり、政府の立場は、協定案に含まれない、特段のニーズはない、そういうものでした。
ところが、今回の英国並びに豪州とのACSAには、存立危機事態や重要影響事態は明記されていません。それぞれの国の国内法に従うという部分について、これらの事態は論理的に含まれていると説明がありました。論理的に可能であることを日豪、日英共に確認しているが、具体的なケースを想定してニーズが表明されたわけではない、こういう答弁もありました。
法案に含まれるので論理的に可能であるという議論は、そこは理解できます。しかしながら、特定のケースを想定してニーズが表明されていないという状況は維持されており、協定案に書き込めばニーズが出るという議論は到底受け入れられません。政府の立場が一変した真っ当な説明すらなされていないのです。
なお、民進党が提出をさせていただいている周辺事態法には、これまでの政府の立場との一貫性を踏まえ、武器弾薬の提供は書き込んでおりません。
日豪並びに日英ACSAの重要性は理解をするものの、政府が責任ある立場を果たすためには、弾薬提供の部分についてなぜこれまでのニーズに関わる説明と違うかを国民に示す必要がありますが、政府はその責務を放棄をしていると言わざるを得ません。
民進党はこれからも、近くは現実的に、遠くは抑制的に、国際協力は積極的にという一貫した立場を維持し、厳しさを増す国際環境の中でも政治の役割を果たしていくことを最後に申し上げ、反対討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)