徳永エリの発言 (本会議)

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○徳永エリ君 民進党・新緑風会の徳永エリです。
 私は、会派を代表して、農業機械化促進法を廃止する等の法律案には賛成、食料自給率三九%の我が国の食料安全保障、国民や生産者が自らの食料や農業政策を決める権利である食料主権を守るためになくてはならない重要な法律である主要農作物種子法を廃止する法律案に断固反対の立場から討論させていただきます。
 戦後の日本において、食料増産を図るため、主要農作物の優良な種子を生産、普及することが課題になっていました。このため国は、昭和二十七年、サンフランシスコ講和条約の発効と同時期、つまり日本が主権を取り戻すとほぼ同時期に主要農作物種子法は制定されました。国民に食料を安定供給するために、我が国の主食、主要農作物である稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆の地域に合った品種を開発し、優良品種、奨励品種を指定するための試験などを都道府県に義務付けることによって、公的機関がその優良な種子の生産、普及を支えてきました。
 法律は三度改正され、昭和六十一年の改正では、都道府県以外のものが生産できるように圃場の指定や審査の規定を整備し、このときから民間企業の参入に道が開かれました。
 この種子法に基づく奨励品種の指定に関して、平成十九年四月、規制改革会議は、主要農作物種子法の奨励品種制度が民間の新品種の種子開発の阻害要因になると民間への配慮を促しましたが、当時の農林水産省は、妨げにはなっていない、従来品種よりも優良な民間育種があれば採用したい意向を持っている都道府県は多数あると回答し、種子法に基づく制度の堅持を強く主張していました。
 しかし、昨年の九月二十日、政府の未来投資会議、規制改革推進会議農業ワーキング・グループ合同会合において、農林水産省は、奨励品種に民間の種子が採用されていない、主要農作物種子法が民間の種子産業への参入をしにくくしている部分があるのではないかと、これまでの主張を変えました。しかし、種子法は奨励品種の決定について何ら規定はしておらず、種子法によって民間の品種が奨励品種から排除されたという具体的な事例も示されてはおりません。
 そして、昨年十月六日の同会合において内閣府の規制改革推進室の参事官が配付した資料に、突然、「民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する。」と書かれていました。さらに、このときの議事録を読むと、種子法の廃止に関する議論が全くありません。また、委員会審議での政府答弁では、廃止の方針を決める過程で都道府県や採種農家などの関係者には意見を聞くことも廃止の意向を伝えることもしなかったということで、いつ、どこで、どんな議論があってこの資料が作成されたのか全く分かりません。唐突に廃止の方針を打ち出したことは、決定プロセスが余りにも不透明であり、こんな結論ありきのやり方は国民や国会を軽視したもので、到底納得はできません。
 それだけではありません。規制改革推進会議の農業ワーキング・グループの提言がそのままの文言で自民党の農林水産業骨太方針になり、さらに政府の農業競争力強化プログラムになるという異常な事態であります。規制改革推進会議は総理大臣の私的な諮問機関であり、民間委員が闊達に意見を述べる場だったはずであり、政策決定機関ではなかったはずです。
 与党の皆さん、一部の人たちの主張に支配されるような政策決定の進め方をいつまで黙って見ているつもりですか。おかしいと声を上げる人はいないのでしょうか。
 今、種子法を廃止しなければならない理由は何なのでしょうか。
 そもそも、民間参入を阻害している要因が奨励品種制度であるというのであれば、廃止するのではなくて、種子法を改正し、あるいは制度の運用を改善することで、民間活力を活用しながら種子の安定的な供給体制を明確に担保していくべきなのではないでしょうか。
 都道府県は、種子法の廃止によって、これまでの種子の生産、普及体制が続けていけるのかどうか大変に心配しているんです。政府は種子法が廃止されても都道府県の取組は変わらないとしていますが、種子法の予算は平成十年の改正で一般財源化されていますので、根拠法である種子法が廃止されることによって、都道府県財政当局から取組を継続するための財源を長期的に確保することが困難になるのではないでしょうか。委員会審議における政府からの答弁では、これまでの都道府県の生産、普及体制や機能が維持できるという保証はどこにもありません。
 また、これから審議される予定の重要議案である農業競争力強化支援法には、種子や種苗について、独立行政法人の試験研究機関や都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することとしています。民間企業の参入が加速化され、野菜の種子のように主要農作物にも民間が開発した一代限りのF1種子が広く普及するようになれば、農家は自家採種できず、毎年種子を買い続けなければなりません。特定の企業への種子依存度が高まれば、地域農業が特定企業の方針に左右されるといった事態が生じかねません。
 さらに、将来的に、国際的な巨大資本、モンサント、デュポンなど世界の種子産業を牛耳るバイオメジャーは、米の品種開発に強い関心を持っているとも言われています。国内市場への参入や国内企業の買収などが生じた場合、種子価格の高騰や特許、ロイヤリティー、遺伝子組換え作物等の種子の参入、優良な品種の海外流出など、外資の種子のシェアの拡大が我が国の食料安全保障に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。
 種子法を廃止する理由は、外資も含めた民間企業の参入促進を図り、企業利益を拡大させるためとしか思えず、都道府県や採種農家などの関係者、また国民にとっては不安なことだらけであります。種子は、国家戦略であり、公共のものです。国の責任で守らなければなりません。そして、決してビジネスの対象にはしてならないのです。
 安倍総理は、息をのむような美しい田園風景を守ると言いながら、農業分野を成長戦略として、民間企業の利益拡大のために次々と参入障壁として国民から安全と安心を奪い取っています。
 昨日の委員会で、参考人としてお招きした龍谷大学の西川芳昭教授は、国がやるべきことは、企業にイコールフッティング、同じ競争条件を与えることではなく、企業の暴走を制御することだとおっしゃっていました。農業や食を守るということは、命を守るということであります。主要農作物種子法を廃止するということは、食料の安定供給の前提となる種子供給体制を壊すことにつながり、国が国民の食を、命を守る責任を放棄するということになると言っても過言ではないと私は思います。
 衆議院では、このような重要な法案をたった、たった五時間の審議で可決させてしまいました。参議院では五時間の審議と二時間の参考人質疑を行いましたが、まだまだ議論は尽くされておりません。
 主要農作物種子法が廃止されても、これまでの都道府県による種子の生産、普及体制が維持されるんだということがきちんと納得いく形で担保されない限り、そして、種子を制する者は世界を制すると言います、外資の参入や種子の海外流出に対する懸念が払拭されない限り、主要農作物種子法は廃止するべきではないということを強く申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。
 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119315254X01620170414_026

発言者: 徳永エリ

speaker_id: 20986

日付: 2017-04-14

院: 参議院

会議名: 本会議