真山勇一の発言 (本会議)
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○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
会派を代表し、組織犯罪処罰法案、すなわち共謀罪法案について質問をいたします。
まず、質問の冒頭で申し上げたいと思います。
今朝、北朝鮮内から発射された弾道ミサイルは、我が国の排他的経済水域、EEZ内に着水したと見られるとのことです。今年になって北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しています。これは我が国の主権と国民の安全を脅かすものであり、断固抗議いたします。
北朝鮮情勢についてはG7においても議論されたとのことですが、安倍総理は、我が国に迫る北朝鮮の脅威について国際社会にどのように訴えたのか、また、我が国は今後どのような対応を取るおつもりなのか、お答えください。
さて、本法案に対する質問に先立ち、新たに広がった加計学園をめぐる疑惑についてお尋ねいたします。
安倍総理、単刀直入に伺います。文部科学省の前事務次官前川喜平氏は、総理の意向などと記された文書は本物と言い切りました。もはや確認できないでは済まされません。本物なのか、そうでないのか、どちらなのでしょうか。はっきりさせましょう。
前川氏は、また、国会の証人喚問に応じると答えています。怪文書と突っぱねたり個人的な悪口をあげつらったりするときではありません。証人喚問の実現を国民は見守っています。総理、証人喚問を行い、国会で疑惑を解明しましょう。
森友疑惑はまだ全く払拭されておらず、一方で、加計学園の疑惑もますます膨らむばかりです。国会は国民に真相を明らかにする義務があり、そうでなければ今や誰も納得しません。総理の御意向があったのであれば、当然、総理は総理大臣を辞め、国会議員もお辞めになるとおっしゃったはずです。総理、明確にお答えください。
この問題については、黒を白と言い募り、国の政を私物化する安倍政権の振る舞いに、多くの国民が驚き、あきれ、そして怒っています。
このところの安倍政権の専横ぶり、いや、独裁ぶりは目に余ると多くの人が感じています。衆議院における共謀罪法案の審議においても、総理官邸の主導する強引な委員会運営が繰り返されました。国会議員なら誰もが御存じのように、人権に最も密接に関連する法律を扱う法務委員会では、与野党理事の合意の下に審議を進めることが不文律です。しかし、衆議院の審議では委員長の職権による強行的な運営が何度もなされ、法務委員長の解任決議案まで出されました。参議院に送るに当たって、そんなことがなされた、いや、せざるを得なかった法案なんです。
今回の法案審議に当たり、まず最初に、私たち民進党・新緑風会の立場を明確にしたいと思います。
TOC条約の締結は、国際的にも急ぐべきなのは当然であり、テロ対策が必要であることも言うまでもありません。TOC条約を締結するため、また、本当にテロ対策のための法整備であるなら、私たちは協力を惜しみません。しかし、本法案はTOC条約とは全く関係ない上に、テロ対策にもなっていないのです。黒を白と言い募るのは無理です。
TOC条約は、マフィアなどによる麻薬取引、人身売買、マネーロンダリングなど、経済的な利益を目的とした国際的な組織犯罪を防止するための条約です。ほかならぬ日本政府も、テロ行為を除外するよう条約の作成される段階で求めていました。国連の立法ガイドを書いたニコス・パッサス教授も、この条約はテロとは無関係であると断言しています。国連のテロ対策の条約は別に存在しています。我が国はその主要な十三本の条約に参加し、関連する法整備も済んでいます。
岸田外務大臣に伺います。
テロとは無関係な条約の締結に、なぜテロ対策のためと称する法律が必要なのでしょうか。いつ、どのような理由でTOC条約の締結にテロ対策が必要であると解釈を変更されたのか、お答えください。
日弁連を始め多くの法曹関係者や学者が、我が国の現行の法体系でTOC条約に参加することは可能であると述べています。それに、国連には参加国がこの条約の参加要件を満たすかどうか事前審査する機関もありません。ですから、仮に参加国の法制度に条約にそぐわない部分があったとしても、一部留保しつつ参加することは可能ですし、参加した後に必要な法整備を行うという方法もあるはずです。
新しく法律を制定してTOC条約を締結した国は非常に少数だと聞いていますが、少なくともOECD諸国三十五か国の中で何か国あるのか、外務大臣にお伺いします。また、それらの国は、既存の法原則まで変更したのでしょうか。それとも、共謀罪をつくらないと我が国がTOC条約の締結ができないなどという、いつ、誰に、どんな形でこれを確認されたのでしょうか。
日本政府は、TOC条約の起草審議の際に、共謀罪の創設は我が国の法原則になじまないと主張していたではありませんか。一定の留保をしたり、後日の法整備を検討したりなどの形で、まず現行の法体系のままTOC条約への参加を試みたことはないのでしょうか。外務大臣、明確にお答えください。
そしてまた、国連人権理事会から正式に任命された特別報告者、ジョセフ・カンナタチ氏が法案への懸念を表明しています。外務省は感情的な抗議文を送ったそうですが、抗議よりもまず誠実に回答すべきではなかったでしょうか。本法案の目的に国連のTOC条約締結を挙げるのならば、丁寧に内容を説明する回答をして、国連における我が国への疑念が払拭されたことを確認してからにすべきではないでしょうか。
また、TOC条約の締結問題とは全く別の話として、テロ対策そのものに漏れや抜けがあってはいけないのは当たり前です。しかし、この共謀罪法案ではテロは防げないとの指摘があります。例えば、自民党の皆さんのお仲間で検察出身の若狭勝代議士も、そう断言しています。また、元警察庁長官の国松孝次氏も、この法案があってもオウム事件は防げなかったと述べています。
先日もこんなことがありました。羽田空港の入国検査を擦り抜けて外国人が堂々と入国してしまうという事案が起きました。安倍政権は世界一安全な国を標榜していますが、最も大切な空港の水際対策がこんな状態で、本当にテロを防ぐつもりがあるのかどうかすら危ぶまれます。法案は、TOC条約が求める国際的な犯罪集団の取締りとは関係のない条文が大半である上に、こうした水際対策についても手付かずという不可思議なことになっているのです。
金田法務大臣、その理由は何でしょうか。私たち民進党は、空港でテロを防ぐための水際対策を厳正かつ迅速に行うための法案をこれまで何度も国会に提出しています。これこそテロ対策として、まず真っ先に取り組むべき課題だからです。
この法案の中身は分からないことだらけです。衆議院での法務大臣の迷走答弁によって疑問点はどんどん増えてしまい、法案の六条二項に関する部分だけでもおよそ二百項目もの不明点が指摘されています。理解不能、しかも裁量が入る余地が大きいなら、その時点で欠陥法案ではないでしょうか。
また、未遂罪、予備罪のない犯罪にまで共謀罪を追加する本法案は、従来の刑事法体系から逸脱する整合性のなさ、矛盾が随所にあります。具体例を挙げましょう。強盗を共謀すれば五年以下の懲役です。ところが、この共謀から次の予備罪の段階まで準備を進めると二年の懲役、つまり罪が軽くなってしまうという矛盾、逆転現象が起きるのです。
内閣法制局長官に伺います。こうした粗雑、不整合な欠陥法案をなぜ通そうとするのでしょうか。説明してください。
衆議院での審議はたった三十時間余り、ごくごく基本的な中身も不明なまま参議院に送られてきました。立法事実として事前に示された三つの事例は全て現行法で対応が可能と証明されるや、政府はだんまりを決め込んでいます。
金田法務大臣、この法案が必要な事例を一つでも具体的にお示しいただけないでしょうか。大臣は、一般の人はこの法案の対象にならないと答弁されました。しかし、副大臣は、対象にならないことはないと否定しました。一体、一般の人は対象になるのでしょうか。そして、大臣のおっしゃる一般の人とは一体どんな定義によるものなのでしょうか。法文に犯罪組織の要件が明確に書かれていないため、構成員ではない一般の人でも幇助犯とみなされれば捜査対象となり、嫌疑及び告発の対象になると読むことが可能です。法務大臣、この点を明確にお答えください。
また、法案では、犯罪集団と一般の団体との区別が全く不明確です。大臣は、通常の団体が組織的犯罪集団に一変することがあるとおっしゃいましたが、それは誰がどんな基準で判断をするのでしょうか。犯罪集団に一変しないかどうか確認するために捜査当局はどんな団体も常時監視してよいと解釈されかねませんが、法務大臣、この点も明確にお答えください。
国家公安委員長にもお尋ねします。
岐阜県大垣市で、環境問題を考える集会に参加した一般の人を警察が調べていたことが明らかになりました。大垣事件と呼ばれるこの事件に関連して、犯罪組織でない団体を監視することも警察の通常任務であるとの答弁がありました。この答弁に変わりはないのでしょうか。もしそうなら、市民運動や労働運動、そして政治活動、宗教活動など、あらゆる団体にそうした嫌疑が掛かる懸念が生じないでしょうか。
法案の対象犯罪を見ると、大半は組織犯罪とは関係がない一方、一般の団体の正当な活動に関するものが数多くあります。法務大臣、ストライキは本法案が対象とする業務妨害になるのでしょうか。デモは騒乱罪に当たるのでしょうか。
懸念はまだあります。政治的意図を持った当局の恣意的な運用や国策捜査、そして意図的な冤罪のおそれも指摘されています。裁判で有罪にはならなくても、捜査対象として嫌疑を掛けることは可能です。今は刑事訴訟法に匿名証人制度が導入されており、司法取引も可能です。政府がテロ関連と指定した情報は特定秘密に指定できます。誰から何の罪でどういう状況で告発されるか分からないなら、市民の活動を萎縮させるには十分です。これではまるで一億総監視社会です。法務大臣、絶対に政治的、恣意的に運用されないという保証は法文に明記されているのでしょうか。
スペイン出身の哲学者であり詩人であるジョージ・サンタヤナはこんな言葉を残しています。過去を思い起こし得ない者は、過去を繰り返すように運命付けられている。過去を思い起こし得ない者は、過去を繰り返すように運命付けられている。
国家権力に都合の良い統治の道具によって、古今東西、甚だしい悲劇が起きました。戦前の治安維持法もそうです。治安維持法は、国体や私有財産制度を否定する運動を取り締まるものとされました。当時、国内にいた千人ほどの共産主義者のみが対象であり、一般の人々は対象ではないと説明されたと聞いています。
しかし、現実には、労働運動から政治運動、宗教活動、さらにメディアの言論活動へと治安維持法の対象は拡大され、最後は政府部内の路線闘争にまで使われました。逮捕者は二十万人、勾留中の拷問などによる死者は二千人に上ると言われています。国民はすっかり萎縮し、政府の方針に反対するどころか、戦争の勝敗に関することさえ一切口にできなくなったことは、ここにおられる公明党の皆さんこそよく御存じのことと思います。
特定秘密保護法、改正刑事訴訟法、そしてこの共謀罪を組み合わせれば、強力な監視社会ができ上がるという指摘があります。安倍政権の皆さんは育ちも心も良い方ばかりですから、悪い目的では使わないと私も信じたいところです。
しかし、将来、どんな主義主張の政党や団体が政権を取るかは誰にも分かりません。そして、法文が曖昧なら、どんな形で恣意的、政治的に運用されるか分かりません。そのとき、嫌疑を掛けられ捜査の対象になるのは、一般の人であり、皆さんの子供、そして孫かもしれないのです。
私たちは参議院、参議院は良識の府です。一つ一つの法案を後世へ重い責任を持って成立させる使命があります。