相原久美子の発言 (本会議)
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○相原久美子君 民進党・新緑風会の相原久美子です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国務大臣山本幸三君に対する問責決議案の提案理由を説明させていただきます。
まず、決議案の案文を朗読いたします。
本院は、国務大臣山本幸三君を問責する。
右決議する。
以上であります。
以下、提案理由を申し述べます。
去る五月三十一日、私は、この本会議場において、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案についての代表質問をさせていただきました。ちょうど二週間前のことです。その際に申し上げたことを、たった二週間後に、同じこの本会議場において再度同じことを繰り返さなければならないことに、じくじたる思いを禁じ得ません。
昨日まで、内閣委員会では、国家戦略特区法等の一部改正案、そして昨日は我が党が提出の国家戦略特区の停止法案が審議されてきました。衆議院の審議時間を超える議論が行われ、何ゆえここまで時間を取って審議を行ってきたのでありましょうか。それは、国家戦略特区を使って今治市に獣医学部の新設が認められたことに疑念が持たれたからです。
皆さん御案内のとおり、加計学園の理事長は、安倍総理の腹心の友です。この腹心の友のために便宜を図ったのではないかという疑念が浮上し、野党の議員が追及していました。衆議院では委員会採決後に、前川前文部科学省事務次官が、行政がゆがめられたと告発されました。
獣医学部は五十二年間新設が認められてきませんでした。その理由は明快で、全国的な需給は満たされているからであり、獣医学部新設のためには、日本再興戦略改訂二〇一五に定められている四条件を満たさなければなりません。これは閣議決定です。
四条件とは、一つ、現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化、二つ、ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき分野の具体的需要が明らかになること、三つ、既存の大学・学部では対応困難な場合、四つ、近年の獣医師の需要動向を考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。
しかしながら、今回の加計学園はこの四条件を満たしているとは到底言えないものであるばかりか、質疑の中では、この閣議決定に基づいて規制監督をつかさどる文部科学省、農林水産省などとの徹底検証がなされたという事実もないことが明らかになっています。ですから、前川前文部科学省事務次官は、行政がゆがめられたと言って告発に踏み切りました。
この告発に対して、安倍総理は、現職中に言えばよかったという趣旨の発言をされていますが、安倍総理一強の中、まして内閣人事局で人事を官邸に握られている中で一官僚が言えるはずもないことは、この間の告発以降の人格攻撃を見れば明らかなことです。
真意を確認することなく、個人のスキャンダルを探し、マスコミを使って報道をさせる、これこそ総理の言う印象操作以外の何物でもなく、とても許される行為ではないことは明らかであり、共謀罪が成立した後の運用を考えるととても恐ろしいことだと思います。絶対に共謀罪も成立させるわけにはいきません。
さて、内閣委員会の審議で明らかになってきたことは、公平公正であるべき行政がゆがめられてきたことは、情報公開の不十分さにも言えることです。山本大臣は、戦略特区の担当大臣であるだけでなく、公文書管理担当でもあります。しかしながら、この間、私どもは、情報開示法に基づいて出されてきた今治市情報を提示し、今回決定に至った各段階の情報の開示、また、文部科学省で共有されていたとする文書等についても調査、確認し、提出するよう求めてきましたが、大臣は、その担当であるにもかかわらず不誠実な答弁を繰り返すばかりでした。不都合なものには目をつぶるその姿勢は、国民に対する背信としか思えません。
本来、国家戦略特別区域に獣医学部を新設する計画について、文部科学省に官邸の最高レベルが言っている、総理の御意向などと記載されていると報道された段階で、内閣府からそういう発言をした官僚などの調査を自らがリーダーシップを取って指揮を執るべきが大臣の責務であるはずです。にもかかわらず、その指揮を執ることもない大臣は、その任にあらずと言わざるを得ません。
また、五十数年ぶりとなる獣医学部の新設をなぜ加計学園と決定したのか、その具体的根拠についても委員会で何度もただされました。山本大臣からは、もう一方の名のりを上げていた京都府と京都産業大学を退けた明白な理由は、当初の全国的見地で選考するとしていた応募要件を昨年十一月に広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域に限りとしたこと以外、結局お答えいただくことがありませんでした。
しかも、その基準に特化して留め置けばよいものを、加計学園ありきを払拭させるためか、加計学園の提案内容の熟度が高い点についてるる述べられようとされました。その中の一つに、地元の水産資源を対象とした感染症対策など、地元固有の資源に着目した、より具体的な内容になっているとの答弁をされました。これに対し、我が党の櫻井議員が具体の内容をただしたところ、大臣は、その辺の詳しいところを十分に知っているわけではない、提案書の中にそういったことが書かれているからとしか答えられていません。
この間、大臣が何度も、最終的には私が判断する立場にあったと繰り返されていますが、提案書の内容すらも理解をされていない、すなわち、専門家でもない大臣が最終判断をするような国家戦略特区の仕組み自体が間違いの根幹ではないでしょうか。
結局は加計学園ありきだったということに国民の疑念が行き着くのだと思います。だからこそ、トップダウン方式の国家戦略特区の仕組みがおかしいと考え、私たち民進党は、いま一度原点に立ち返り総点検をするべく停止法案を出させていただいたのです。
また、審議の中で、私は大臣の答弁に何度も愕然としたことがあります。
大臣は経済にはお強いと自信を持っていらっしゃるようで、六月一日には、規制緩和というのは新規参入を増やすわけですから供給を増やすわけですね、そのことによって価格が下がり、それで消費者は喜ぶ、経済の理論からいえば、供給を増やせば増やすほど社会全体の利益は上がるということ、人数は多ければ多いにこしたことはないととうとうと述べられました。
大臣、お子さんがいらっしゃるかお孫さんがいらっしゃるかは存じませんが、子供たちが自分の進学について相談をされたとして、獣医師が増えれば勤め先も増えるから新設校へ進めとおっしゃるのでしょうか。また、昨日の審議でも明らかになったように、確定もないままに、教授陣はそろっているから是非にと加計学園を勧められるのでしょうか。そもそも論として、教育を市場原理に委ねるその姿勢は許せないと思ったのは私だけでしょうか。
そもそも、今回獣医学部を新設する目的は、先端ライフサイエンス研究や感染症に係る水際対策などへの対応のためと言っていませんでしたか。にもかかわらず、六日の質疑でも八日にも、またまた経済学理論を持ち出して、ペットの診療について価格の高止まりがある、もっと価格が下げた方がよいなどと繰り返し答弁をされています。産業獣医師が少ないなどの指摘はされていますが、加計学園は、先端ライフサイエンス研究や感染症の水際対策のためではなく、ペット獣医師を増やす目的としている答弁であり、本来目的をおざなりでよいと言っているようなものではありませんか。
また、五月三十日の記者会見では、獣医学部の新設に関して、国際機関による獣医学部のランキングでは東大が三十四位で、五十位以内に日本の大学は一校しか入っていない、長年にわたって認めなかったことで日本の獣医学部の質は落ちていると発言し、委員会においても同様の発言を繰り返しています。
これに対して、全国大学獣医学関係代表者協議会と日本獣医学会は、六月八日、見解を発表し、ランキングの低迷の背景にある最大の要因は、教育研究の根本的な基盤となる教員数、支援スタッフの数に日本と他国の間で大きな差があることを指摘した上で、山本大臣の発言について、公的な場における根拠なき批判は、多くの先達を始め、現在、獣医学教育改善に取り組む全国獣医系十六大学の教職員と獣医学生の努力を否定するものと強く大臣の発言を批判しています。
このような発言は、前回登壇で指摘した、事実の確認がないままに学芸員を批判したり、大英博物館での事実に基づかない職員解雇を堂々と言い切る姿勢と同じ轍を踏んでいるということです。
東京大学の専門課程で経済学部に転科される過程として理科一類に御入学された大臣であればこそ御理解いただいていると思いますが、科学研究の世界は一朝一夕に結果が出るものではありません。昨年、ノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅良典東京工業大栄誉教授は、基礎科学の重要性を訴えられており、数年で成果が上がるか否かで役に立つのかどうか判断をすることに警鐘を鳴らしています。我が国の現在の獣医学教育においても同様のことが言えるのではないでしょうか。
このような大臣が、国家戦略特別区域法の本来目的である国民経済の発展及び国民生活の向上を考えているとはとても思えません。
参議院内閣委員会は、衆議院から法案が送付されてから、難波委員長を始め、上月自民党筆頭理事、そして与野党を問わず内閣委員会委員の皆さんの誠実な審議を続けてきました。それは、私たち議員は国民の負託を受けているという責務を受け止めているという自覚があるからだと思います。
大臣は、諮問会議のメンバーに関しても、大変に高い見識を持つ有識者で議論がされてきていると答弁をされています。もちろん、そのような方たちもいらっしゃると思います。しかしながら、我田引水をするような方が有識者だとはとても言えないのではないかと思います。与党の皆さんの中にも、有識者と言われる諮問会議のメンバーが与党審査も無視して決定していくことにじくじたる思いを持っていらっしゃると思います。
世も末という言葉がありますが、このような利益誘導をされる有識者と呼ばれる方に政策をゆがめられていることに法案担当である山本大臣が同調されることに、担当大臣の資質はないと断ぜざるを得ません。
六月十八日の会期末を目前に控え、遅かれ早かれ今国会は閉会とさせられてしまうのでしょう。その上で、政権与党は、今回の加計学園疑惑、そして近日中に強引な採決を予定しているであろう共謀罪、また中途半端なままになっている森友学園問題等々を国民はすぐに忘れるだろうと、ほとぼりが冷めてから次期国会を開催する腹積もり、こんなふうになってはいけないのだと思います。
その間に予定されるであろう文部科学省の大学設置・学校法人審議会における今回の獣医学部新設に係る設置認可の判断の可否が、そこに携わる方々による真摯な議論を尽くした上での結果となることを切に願っております。
重ねて申し上げます。良識の府と言われてきたこの参議院で、内閣委員会は、真摯に国家戦略特別区域法等改正案について審議をしてきました。昨日、理事会においての合意を無視し、質疑予定者二人を残しての与党の不規則発言により委員会が散会となったことは……