田名部匡代の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○田名部匡代君 民進党・新緑風会の田名部匡代です。
会派を代表して、中間報告があった組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案は、議院の会議において直ちに審議することの動議に対し、反対の討論をさせていただきたいと思います。
先ほどの法務委員長の中間報告は一体何だったのでしょうか。全くどんな議論がなされたのかも報告がされておりません。
国会法第五十六条の三では、「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」、「中間報告があつた案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。」と規定されています。
今回の中間報告について、急を要する理由は一体何でしょうか。何ら具体的な説明もなされていません。また、与党は賛成の討論もありませんでした。数の力を振りかざし、今この状況をつくり出しているわけですが、いかに数の力をもってしても、法律を無視して、単なる状況の変化という与党の身勝手な理由で中間報告をするなどということは、許されるはずがありません。中間報告そのものが違法であり、国会法上の根拠を欠いた、まさに法律違反と言えるのではないでしょうか。
参議院は、良識の府、熟議の府として、国民の負託に応えるため、慎重かつ丁寧な議論を心掛けてきたのではないでしょうか。今回議題となる組織的犯罪処罰法改正案、いわゆる共謀罪は、衆議院では三十時間二十五分、参議院ではまだ十七時間五十分しか議論しておらず、いまだ議論は尽くされておりません。にもかかわらず、委員会の議論を封じ込め、こうした異常な国会の在り方であります。このことに、与党の議員の中で誰一人異を唱える議員がいないということ、それこそが異常だと感じます。
誰を、何を守るために政治をやっているのでしょうか。守るべきは、安倍総理や総理のお友達ではなく、国民生活であります。国民のための政治を取り戻すために、満身の怒りを込めて討論をさせていただきたいと思います。
一昨日、官房長官は記者会見で金田大臣について、国会で誠実に質疑対応してきている、丁寧な説明に努めるという政府の姿勢に立って、誠実に職務に当たっていただいているなどと述べていました。誠実、丁寧とおっしゃいますが、細目的でも技術的でもない質問にすら金田大臣が御答弁できずにいることは、これまでの審議の光景で明らかであります。隠しようのない事実なのです。質疑者が要求もしない政府参考人を職権で招致をしたことや、答弁しようとした金田大臣を両脇で制止した総理や副大臣のあの慌てぶりは、残念ながら、大臣には資質がないことを自ら認めていることのあかしではないでしょうか。気の毒だとさえ感じました。
共謀罪法案については、国民の人権、内心の自由を侵す可能性があるもので、誠実に質疑に対応することや丁寧な説明以上に、一つ一つの疑念に納得のいく説明をし、国民の皆様の不信を払拭することが最も重要なのであります。しかし、議論すればするほど懸念は深まり、国民の多くがいまだに不安を抱いています。
それは、金田大臣の支離滅裂な説明が招いている結果ですが、それでも我々は根気強く委員会で徹底審議を求めてきました。それも、熟議の府、この参議院の責務だからであります。にもかかわらず、この本会議で審議、採決するなどということは、将来に大きな禍根を残すことは火を見るよりも明らかであり、絶対に認めるわけにはいきません。
国際組織犯罪防止条約、TOC条約に加入するために新たな立法が必要になるという論法には無理があることが、これまでの委員会における審議で明らかになっています。国連の立法ガイドを執筆した刑事法学者のニコス・パッサス氏は、条約はテロ防止を目的としたものではないと明言し、条約を締結するだけではテロ防止にはならないと語っています。さらに、新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならないと警鐘さえ鳴らしています。そして、TOC条約については、組織的犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象で、テロは対象から除外されていると指摘しています。
我が国には既に重大な組織犯罪を実行前に処罰する規定があります。また、テロ防止のための国連の主要十三条約も全て締結し、国内法を整備してきました。これ以上に不備な点については、民進党が衆議院に提出をした航空保安法案など、個別立法で対応可能です。三百近い犯罪に共謀罪を設ける乱暴な立法など必要ないのであります。
安倍総理が、東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策を理由に、法整備ができなければ開催できないと言っても過言ではないと発言をしていますが、これこそまさに総理が批判する印象操作にほかなりません。
犯罪が行われなくても、計画し、準備に乗り出した段階で処罰するのが共謀罪法案です。捜査当局が法を恣意的に運用したり、計画、準備を察知するために、行き過ぎた監視や情報収集に走ったりするのではないかとの懸念は拭えません。安倍総理や金田大臣は、一般人は捜査の対象になることはないと繰り返し言い張っていますけれども、その答弁も二転三転、食い違い、とても信用できるものではありません。
そもそも組織的犯罪集団には、事前の指定や認定が必要ありません。ある組織が組織的犯罪集団に一変したとする判断は捜査当局に委ねられていて、捜査当局が怪しいと見込みさえすれば、逮捕や勾留など強制捜査の対象となるのです。組織的犯罪集団であるかどうかや、計画に基づき犯罪の準備に入ったかを見極めるには、組織やメンバーに対する日常的な監視が不可欠です。つまり、対象は全ての国民であり、一般人の監視を可能とするのがこの法案の本質であります。そこに捜査機関の恣意が働けば、誤認捜査や冤罪を生む可能性が高くなります。このような危険な法案が国民の理解と納得なしに成立してよいはずはありません。
安倍総理を始め政府には、共謀罪の成立を急ぐ前にやることがあるはずであります。権力は腐敗する、絶対権力は絶対腐敗する、まさにこの言葉が問われたのが今国会ではないでしょうか。
総理周辺に起きた森友学園、加計学園に関する疑惑は、いまだ真実が明らかにされていません。加計学園問題に隠れてしまっていますが、森友学園問題に関しても新しい事実は次々に明らかになってきています。
財務省は、森友学園への土地の貸付契約は特例であることを認めました。最終的には断念しましたが、八億円の減額の前に、五億円値引きできないか不動産鑑定士に依頼していたことも明らかになりました。そもそも、財務局側は、森友学園が提出すべき申請書類の案文を用意し、学園側の計画に沿った特例の求め方や、定期借地契約から売買契約締結までの詳細な手順書を渡していたことも分かりました。なぜここまでして森友学園の便宜を図らなければならなかったのでしょうか。納得できる説明はいただいておりません。
更に重大なのは、八億円の値引きの理由である地下埋設物がなかった可能性があることです。