大平喜信の発言 (憲法審査会)

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○大平参考人 今回、発言の機会をいただきまして、森会長を初め幹事、委員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
 私たちは、かねてから、国民の多数は改憲を求めておらず、憲法改正原案、改正の発議の審査を任務とする憲法審査会は動かすべきではないと主張をしてきました。
 今回の調査も、各国の憲法そのものと憲法をめぐる情勢などについて調査をするという立場で、また、日本には、改憲を求めていないという世論と、それを代表する政党があるということをお伝えする見地で、各国の実情について調査をしてまいりました。
 まずはイタリアです。トニネッリ下院憲法問題委員会副委員長が、憲法は国民全ての財産であり、憲法改正は誰かの改正であってはいけない、国会の勢力も含めて国民全てが共有する改革でなくてはいけないと述べたように、憲法はほかならぬ国民のものであるということが語られていたのが大変印象に残りました。多くの識者が共通して、憲法改正は幅広い合意が必要だと強調をされました。
 今の日本で、国民の皆さんから現行憲法のここを変えてほしいという声や、国民的な幅広い合意が形成されている課題などがどこにあるでしょうか。トニネッリ副委員長が言う、国民全てが共有する改革を求めている動きなどがどこにあるでしょうか。いずれも存在しないもとで、いつまでにといったスケジュールの話ばかりが出てくるような動きを国民は決して許さないと言わなければなりません。
 イギリスでは、最初に伺ったベン下院EU離脱委員会委員長から、憲法改正の必要が感じられるということだが、どのような項目についてどのように憲法を改正しようと考えているのかとの質問が寄せられました。中谷議員が、自衛隊明記が一つのテーマだと述べたのに対して、ベン委員長は、さらに、憲法に明記されていなくても今まで自衛隊が活動できたのであれば、自衛隊が憲法に明記されていないということはそれほど大きな問題ではないように私には見受けられるなどの率直な意見がありました。
 この間、安倍首相などは、ただ、存在するだけの自衛隊を書くだけで、何も変わらないなどとおっしゃいますが、何も変わらないのであれば書く必要はないのではないかという当然の疑問が寄せられたのであります。それでも書き込もうとするのは、変えようという意図があるからにほかなりません。
 ベン委員長からは、さらに、自衛隊を憲法に明記することによってどのような違いが生まれるのか、防衛だけではなく攻撃もできるようになるということかとも質問が寄せられましたが、まさに安倍政権が狙う九条改憲の本質が他国からも見抜かれていたのであります。
 改憲ありきの姿勢と九条改憲は決して許されないという国内外の世論に、今度の調査で改めて私は確信を深めました。
 スウェーデンでは、特に教育の無償化についての調査が行われました。森団長からも御報告があったとおり、子供の就学が親の経済状況で左右されてはならないとの考え方は、憲法に明文で規定されているわけではありませんが、スウェーデン国民にとっては自明のことであって、これを憲法上規定するという議論はなされていないとのことでありました。
 スウェーデンでは地方自治体の予算の五〇%を教育費に充てているとの話を驚きを持って伺いました。こうした具体的な予算措置への姿勢や取り組みこそ私たちは学ぶべきではないでしょうか。
 憲法の改正の発議をするのは国会でありますが、その議会の構成が民意を正確に反映しているのかという議論も大変印象に残りました。
 イタリアでは、多数派プレミアム制度と決選投票制度によって第一党に議席が上積みされる仕組みがありましたが、この間、憲法裁判所によって違憲判決が下され、今後はその部分が取り除かれた選挙制度のもとで選挙が行われるそうです。
 日本では、一九九四年、政治改革と称して、現行の小選挙区比例代表並立制が導入されたもとで、民意の反映が著しくゆがめられていきました。この間の総選挙では、小選挙区において第一党は四割台の得票率にもかかわらず、七割から八割もの議席を獲得するということが続き、今回の総選挙も同様に、こうした小選挙区制の根本的欠陥が浮き彫りになりました。小選挙区制度は廃止をし、民意を公正に反映する選挙制度へと抜本的に改革する必要があります。
 民意の反映をゆがめる虚構の多数のもとで国民が求めていない憲法改正の発議を行うなど何重にも許されないということも、今回の調査の中で改めて感じたところであります。
 今回の調査を通じて、私は、改めて、憲法を変える必要はない、今変えるべきは憲法を踏みにじる政治の方であるということを確信しました。
 私は、今度の総選挙で議席を失ったことは大変残念であり悔しい思いでありますが、今こそ、国民の中で現行憲法の値打ちを大いに語り合い、戦争する国には絶対にさせない、個人の尊厳が守られる日本を目指して、安倍九条改憲は断固許さないという世論と運動を広げていくために奮闘する決意を申し上げ、発言を終わります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大平喜信

speaker_id: 18270

日付: 2017-11-30

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会