磯崎仁彦の発言 (憲法審査会)

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○磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦でございます。会派を代表しまして、憲法に対する考え方について意見表明させていただきます。
 昨年の臨時国会以来一年余りを経て憲法審査会が実質的な議論を行うことをまずは喜びたいと思います。国の最高法規である憲法を論じることは、立場のいかんを問わず、国会に課せられた重大な使命であり、次期通常国会での活発な審査を望みます。その上で、現時点での自民党内の憲法論議の状況と憲法改正に向けた取組姿勢について申し述べます。
 もとより、私たち自由民主党は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、日本国憲法の基本原理を揺るぎないものとして尊重するものであります。その一方で、憲法制定七十年を経て、国の内外の情勢の大きな変化に対応し、いかにして憲法の原理を守っていくのか、憲法論議の現代的な進化、発展が不可欠と考えます。
 目の前の一例を挙げたいと思います。
 去る四日、参議院本会議で北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議が全会一致で採択されました。北朝鮮の相次ぐ核実験やミサイル発射を典型的な例として、我が国を取り巻く安全保障環境は緊迫し、我が国民の生命、安全も脅威にさらされています。さきに自民・公明連立与党等が平和安全法制の整備に尽力したのも、日米安全保障条約の下で同盟国と緊密に連携して、我が国民の生命、我が国土の安全を守り抜くためでありました。
 国民を守るため日夜任務に精励している自衛隊について、かつては憲法九条を根拠に憲法違反とする政党が相当の勢力を占め、今なお憲法違反と考える政党があることも承知しております。憲法学者の中にも、九条を文字どおり読んで自衛隊違憲の立場を取る方々が一定数いるようです。
 この間、政府は一貫して九条の下でも自衛隊を合憲と解釈しております。私たち自民党も、政府同様、自衛隊は合憲と考えますが、厳しい安全保障環境の中でも一部に根強く残る自衛隊違憲論とどのように向き合うかは、やはり憲法の現代的な課題であります。
 現在、自民党憲法改正推進本部では、具体的に九条に自衛隊を明記する、そのことで自衛隊の合憲、違憲問題を払拭するために、具体的にどのような条文にすればいいのかということについて議論を深めているところでございます。
 自衛隊に加えて、緊急事態条項、教育の無償化・充実強化、参議院の合区解消が現在自民党内で熱心に議論されている四つのテーマであります。これらいずれも、現代的、今日的な課題に対して私方がどのように考えていくのかということが大切な問題と考えます。
 このうち、参議院の合区は、言うまでもなく、平成二十七年の公職選挙法改正によって、鳥取、島根、高知、徳島の四県二合区が参議院創設以来初めて都道府県単位を超えて行われました。これは、戦後一貫して人口が地方から都会へと移動、集中し、かつての地方区、現在の選挙区でいわゆる一票の格差が拡大を続け、憲法第十四条の平等の要請によって最高裁が二回の違憲状態判決を下したことを受け、人口少数の互いに隣接する四県を二合区し、そこで減らされた定数を都市部の選挙区に上積みして一票の格差を縮小する措置でした。
 しかし、合区された四県では住民の誇りは大きく傷つきました。飯泉徳島県知事の言葉を借りれば、私たちは独自の代表を出せない半人前の県として扱われたという怒りや、また無力感を覚えて投票率が低下し、合区反対と書かれた無効票まであったとされます。全国知事会始め地方六団体はそろって合区解消を求める新たな選挙制度改革の決議を行い、現在、三十の県議会で同趣旨の意見書が採択され、更に広がる勢いです。
 私は、参議院自民党の参議院在り方検討プロジェクトチームにおいて、衆議院とは異なる参議院の独自性を踏まえた上での新たな選挙制度の方向性について取りまとめを行いました。
 今日の人口減少社会において、条件不利な過疎地域の切実な声を国政に届ける代表者の減少が続けば、過疎と過密に拍車が掛かり、更なる人口の偏在は国土のバランスを著しくゆがめ、やがて地方という根が枯れれば都会という花を散らさなければならない。日本の将来が改めて強く懸念されます。人口の少ない地方にも、国境離島、エネルギー・食料供給、国土・環境保全といった国家的な課題が存在します。私たちは、地方創生を通じて、より均衡ある国全体の発展を目指しており、これが合区解消の立法事実です。
 今、自民党憲法改正推進本部では、政治、経済、社会、文化など、各面で一体性を持ち現実に広域的な地方自治体、現状では、都道府県から三年半数改選で少なくとも一人の参議院議員を選べるよう憲法第四十七条に必要な条文を追加すること、また、憲法第八章、地方自治の第九十二条にその根拠となる広域的及び基礎的な地方自治体の規定を加える方向で検討を進めています。参議院議員が地域の実情に即しながら憲法第四十三条の全国民の代表者として行動することは、決して矛盾なく、むしろ望ましい姿と考えるものです。
 なお、全国知事会も、当初は憲法第四十三条を改正して参議院を地方の府とする案を示していましたが、先日、四十七条及び九十二条の改正案を改めて公表しました。
 人口減少社会における新たな国民代表原理を探ることは、まさに憲法の現代的かつ緊要な課題であるがゆえに、本審査会での議論を深めていただくようお願いをいたします。
 このほか、三・一一東日本大震災のような大災害に対応するため、緊急事態に備えた法制度がかなり整備されてきた現状ですが、諸外国には憲法に緊急事態条項を備えたものも多く、これをどのように考えるかも、現在及び将来の国民の安全を確保する上で重要な検討課題であります。
 また、教育の充実強化は、国民の幸福追求権を満たすとともに、国の発展にも欠かせないところであり、とりわけ維新の会が教育無償化を掲げておられること等を注目しながら、憲法第二十六条、「義務教育は、これを無償とする。」とある条文に、意欲と能力ある者が経済的な理由で学ぶ機会を奪われない趣旨を加えるかの検討を進めているところであり、今後、憲法審査会を始め国会での議論が高まることを希望します。
 憲法改正については、我が党内の十分な議論を踏まえ、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院、参議院の憲法審査会で各党の議論を伺いながら議論を深めていくことが前提と考えます。改めて、次期通常国会での活発な審査を望み、発言を終わります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 磯崎仁彦

speaker_id: 31384

日付: 2017-12-06

院: 参議院

会議名: 憲法審査会