安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えをいたします。
 代表に就任されたこと、お喜びを申し上げます。是非、建設的な議論を進めていきたいと思っております。
 我が国の外交姿勢及び米国との関係についてお尋ねがありました。
 私は、就任以来、積極的平和主義の考えの下、地球儀を俯瞰するような視点に立って積極的に平和外交を推進してまいりました。今後もこの立場にいささかも変わりはありません。
 米国は、我が国と基本的価値及び戦略的利益を共有する強固な同盟国です。平和安全法制の整備により、互いに助け合える同盟として、我が国とのきずなはかつてないほど強固なものとなりました。
 今後とも、日米同盟の揺るぎないきずなの下、米国は我が国と共に手を携えて、アジア太平洋の平和と繁栄のために主導的役割を果たしていくと確信しております。
 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル及びノドンミサイルについてのお尋ねがありました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威です。北朝鮮は二度にわたりICBM級の弾道ミサイルを実際に発射しており、ミサイルの長射程化を図っています。また、過去六回の核実験を通じた技術的成熟などを踏まえれば、核兵器をミサイルに搭載するための小型化、弾頭化を既に実現している可能性があります。他方、核兵器を弾道ミサイルに搭載して配備、運用するためには大気圏再突入技術等が必要ですが、北朝鮮がそうした技術を実現しているかについては引き続き慎重な分析が必要と考えています。
 我が国を射程に収めるノドンミサイルについては数百発を保有していると見られ、対処に当たっては日米協力が不可欠です。北朝鮮の脅威を抑止するため、平和安全法制の整備により、かつてないほど強固となった日米同盟の下、日米で緊密に協力し、防衛態勢と能力の向上を図るべく、具体的行動を取っていきます。
 また、我が国としては、陸上配備型イージスシステムを中心として弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図るなど防衛力を強化し、国民の命と平和な暮らしを守るため最善を尽くしてまいります。
 北朝鮮による挑発及び圧力と対話のバランスについてお尋ねがありました。
 九月十五日以降、北朝鮮による挑発行為は行われていませんが、言葉による挑発は続いており、北朝鮮は一貫して核・ミサイル開発を継続していると考えています。
 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。
 北朝鮮に対する最大限の圧力、全ての選択肢及び日韓両国におけるトランプ大統領の発言についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領との間では、安保理決議の完全な履行、独自制裁の実施、共同訓練の実施、北朝鮮との関係の縮小に向けた各国への外交面での働きかけなど、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にすることで一致しています。
 また、我が国は、米国による北朝鮮のテロ支援国家再指定を、北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎し、支持します。
 我が国は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持しています。その上で、政府としては、米国の今後の対応を予断することは差し控えさせていただきます。
 北朝鮮には、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させる必要があります。そのために、圧力を最大限まで高め、北朝鮮の側から核・ミサイル開発を断念するので話し合いたいと言ってくる状況をつくることが必要です。日米間ではこの方針について完全に一致しています。トランプ大統領が日本と韓国で述べたことは一貫してこの方針に基づいていると考えます。
 マキャベリを引用しつつ、慎重な外交姿勢についてのお尋ねがありました。
 北朝鮮問題について、挑発行為、挑発を行っているのは北朝鮮の方であります。私も、そして世界中の誰一人、紛争など望んではいません。
 私は、自衛隊の最高指揮官として、毎年、殉職された自衛官の慰霊式典に出席し、御遺族の方々にもお目にかかっています。そのような立場にある者として、問題の平和的解決の重要性については誰よりもよく理解しています。
 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要と考えています。
 実質賃金及び相対的貧困率についてお尋ねがありました。
 御指摘の実質賃金は、景気が回復し雇用が増加する過程においてパートで働く方が増えたこと、二〇一四年四月の消費税率引上げに加え、デフレからの脱却に取り組む中で物価が上昇したことにより、低下していました。その後、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからはおおむね横ばいで推移しています。
 雇用者数の増加を加味した国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を見ると、名目で見ても実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。
 また、相対的貧困率は、これまで長期的に上昇傾向となっていましたが、政権交代後、雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で改善に転じ、特に子供の貧困率は大きく改善しました。
 なお、等価可処分所得の中央値は、高齢者の増加等に伴い長期的に低下傾向にあります。総務省の全国消費実態調査では二〇〇九年から二〇一四年にかけて低下しております。厚生労働省の国民生活基礎調査でも低下し続けていましたが、二〇一二年から二〇一五年には経済が好転する中で若干改善いたしました。
 格差と経済成長との関係についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものであります。政府がどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていきます。成長し、富を生み出し、それが国民に広く均てんされ、多くの人たちがその成長を享受できる社会を実現していきます。格差が固定化しない、同時に許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことが重要な課題です。
 アベノミクスの下で雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、相対的貧困率は改善に転じています。四年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、相対的貧困率の改善を進めていきたいと考えています。国民の皆様の生活を良くしていく、そのためにアベノミクスの政策を続け、経済の好循環を加速させてまいります。
 日本銀行の金融政策についてお尋ねがありました。
 今般の所信表明演説において、あらゆる施策を総動員することで、デフレからの脱却を確実なものとしてまいりますと述べたところであります。デフレ脱却、そして力強い成長のため、大胆な金融政策を含む三本の矢の政策を継続していく考えに変わりはありません。
 物価の動向について御指摘がありましたが、日本銀行が十月に公表した展望レポートにおいて、現状、企業の賃金・価格スタンスが慎重なものにとどまっていることなどを背景に、消費者物価が弱めの動きとなっているものの、マクロ的な需給ギャップが着実に改善していくこと等から、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されている旨、示されております。
 また、現在、日本銀行が行っている国債買入れは、二%の物価安定目標の実現という金融政策を目的として、日本銀行自らの判断で行っているものであることから、財政ファイナンスとの指摘は当たらないと考えています。
 金融政策の具体的な手法については日本銀行に委ねられるべきであると考えており、私は黒田総裁の手腕を信頼しております。政府としては、日本経済の将来のために、引き続き日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しています。
 なお、相対的貧困率及びその中央値については先ほど答弁したとおりです。また、家計の貯蓄率については、少子高齢化の影響もあり、長期的に低下していると認識しております。
 デフレ脱却に向けた認識についてお尋ねがありました。
 デフレとは、物価が持続的に下落する状況を指すものと認識しております。我が国経済は、長期にわたって需要が弱かった中で、企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレマインドの固定化もあり、二十年近く続いたデフレに苦しんできました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢により、デフレではないという状況をつくり出すことができたと認識しています。中でも、日本銀行による大胆な金融緩和については、固定化したデフレマインドの払拭につながっているものと考えており、デフレからの脱却において金融政策が大きな影響を与えるということは一貫して申し上げているとおりであります。
 ただし、消費者物価は足下で横ばいが続いており、再びデフレに戻るおそれがないという意味で、完全にデフレを脱却したと言い切れる状況にはありません。
 足下の状況を見ると、雇用・所得環境の改善が続いていく中で、GDPギャップはプラスに転じ、企業収益は過去最高を更新し、人手不足感は四半世紀ぶりの高水準となるなど、デフレ脱却に向けた局面変化が見られます。こうした局面変化をデフレ脱却に確実につなげるため、引き続き、政府、日銀で緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
 新しい政策パッケージについてお尋ねがありました。
 今、日本経済は十六年ぶりとなる七四半期連続のプラス成長が実現しています。新しい経済政策パッケージについては、この経済の成長軌道を確かなものとして、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて生産性革命と人づくり革命を断行するためのものです。
 二〇二〇年を大きな目標に、生産性革命の実現に向けて、企業による人材や設備への力強い投資並びにソサエティー五・〇の実現に向けたイノベーションを促すため、これまでにない大胆な政策を講じていきます。
 人づくり革命については、幼児教育の無償化や介護人材の確保などを通じて社会保障制度を全世代型社会保障へ転換するとともに、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を拡充します。これらの政策を力強く進めていくため、消費税率一〇%への引上げに伴う増収分などを活用した二兆円規模の政策を取りまとめます。
 年末までに経済政策パッケージを取りまとめなければ、二〇一九年度から大胆な政策変更を行うことはできません。大きな改革には大きな財源が必要となります。財源のめどがないままでは改革の中身それ自体が小さくなっていくおそれがあります。そのために、九月下旬に消費税率の使い道を見直すことを決断し、新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめることを表明して、衆議院を解散し、国民に信を問うことといたしました。
 なお、平成二十九年度補正予算については、景気の下振れに対応するものではなく、災害対応を始めとする追加的財政需要に適切に対処するとともに、生産性革命や人づくり革命のうち緊急性が高いものへの対応や防災・減災対策、日EU経済連携協定などに備えた農林水産業の体質強化施策等を講じるため、編成を指示したものであります。
 また、既に来年度予算の概算要求基準において、新しい日本のための優先課題推進枠を設け、地域経済、中小企業、サービス業等の生産性向上に資する施策等について要望できる仕組みとしていたところです。
 全要素生産性についてお尋ねがありました。
 アベノミクスにより、雇用環境が大きく改善するとともに、設備投資もリーマン・ショック前に並ぶ水準まで回復する中、潜在成長率は改善してきています。ただし、資本や労働を活用し、どれだけ効率的に生産したかを表す全要素生産性が長期にわたり伸び悩んでいるのは事実です。
 その理由について一概に申し上げることは困難ですが、例えば、イノベーションを担う企業のパフォーマンスが必ずしも力強くないこと、情報通信技術の利活用が中小企業などで十分に進んでいないこと等が考えられます。
 このような状況を打開するため、税制、予算、規制改革、あらゆる政策を総動員して生産性革命を実現してまいります。
 生産性革命に伴う雇用への影響と対策についてお尋ねがありました。
 AI、ロボット、IoTなど、生産性を飛躍的に押し上げる新しいイノベーションによって、中長期的には産業構造が大きく変化していくことが予想されます。こうした中で、例えば、IT人材が二〇三〇年には七十九万人不足するとの試算もあり、雇用のミスマッチを解消していくことが重要な課題であります。
 このため、新しい経済政策パッケージにおいても、今後、中長期的に求められる人材像等を踏まえながら、不足しているIT人材の育成やリカレント教育の拡充等に取り組んでいく考えであります。
 労働法制についてお尋ねがありました。
 働く方の健康の確保を大前提に、生産性を上げつつ、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者が働きやすい社会に変えていく。こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務です。
 その中で、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ意欲や能力を発揮しながら働くことができるよう、働く方のニーズに合った選択肢を用意することを目的とするものであり、これらを内容とする法案の早期提出を目指します。
 介護報酬改定と診療報酬改定についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受皿を整備する、その大きな目標に向かって介護人材確保への取組を強化します。
 これまで自公政権で月額四万七千円の処遇改善を実現してきましたが、他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めます。
 また、平成三十年度の診療報酬と介護報酬の同時改定については、国民一人一人が状態に応じた適切な医療や介護を受けられるよう、適正化、効率化すべきことは実施しつつ、関係者の御意見も伺いながらしっかりと取り組んでまいります。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 昭和二十九年の自衛隊法制定により自衛隊が設けられて以来、政府としては、一貫して、自衛隊が我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であって、憲法に違反するものではないと解しています。これは、選挙戦においても討論会で私は一貫して述べてきたところでございます。他方で、近年の世論調査でも、自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は二割にとどまり、多くの教科書に合憲性に議論がある旨の記述があるという状況があります。
 自衛隊員たちに、君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれというのは余りにも無責任であります。そうした議論が行われる余地をなくしていくことは、私たちの世代の責任ではないかと考えております。
 憲法改正の内容については、私は今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している改正案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、自衛隊の存在が憲法に明記されることによって自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えていることは明確に申し上げておきたいと思います。
 保守とは何か、守るべきものと改革すべきものについてお尋ねがありました。
 保守とは、いわゆるイデオロギーではなく、日本及び日本人について考える際に、自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、今までの日本が紡いできた長い歴史をその時代に生きた人たちの視点で見詰め直そうとする姿勢であると考えています。先人たちが積み上げてきたものの重みをしっかりと感じながら、日本の大切な文化や伝統といった守るべきものをしっかりと守っていくべきと考えています。
 しかし、しかし保守と改革は矛盾するものではありません。大切なものを守るためにこそ、時には勇気を持って変えていくべきこともあります。常に変革を求めていく気持ちこそ大切なものを結果として守ることにつながる、それこそが私が考える保守であります。
 社会の格差についてお尋ねがありました。
 格差が限度を超えるかどうかについては、社会的な常識によるものであり、一概に私の方から判断をお示しするべきものではないと考えますが、格差が固定しない、同時に許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことが重要であると考えています。この考え方については、私が官房長官のとき以来述べてきたことでございます。
 先ほど答弁したとおり、安倍内閣は、アベノミクスを更に加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げるとともに、格差が固定化されず、誰にでもチャンスがあり、頑張れば報われる社会を実現してまいります。
 社会保障制度等が守るべき社会的公正についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣では、女性も男性も、若者も高齢者も、障害や難病のある方も、あらゆる場で誰もが活躍できる一億総活躍社会を目指します。
 格差については、先ほどもお答えいたしましたように、固定化しない、許容し得ない格差が生じないことが重要であると考えています。
 そのような観点から、社会保障については、医療、介護における低所得者の保険料負担の軽減や高額療養費制度の見直しなど、格差是正に向けた取組を進めてきております。また、税制についても、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率引上げ等を講じ、随時実施しているところであります。
 竹下元総理の発言についてお尋ねがありました。
 竹下元総理の御発言も含め、国会におけるこれまでの様々な前例や慣例の積み上げは大切であります。同時に、国会は国民の負託に応える場であり、こうした観点から、これまでも不断の改革が進められてきたものと承知しております。
 一般論として、数万を超える得票を有権者の皆様からいただいて国会議員となった以上、与党、野党にかかわらず、政党内部の活動だけではなく国会の中において国会議員としての責任を果たすべきであり、それが有権者の負託に応えることであるとの指摘もあります。
 いずれにせよ、質問時間の配分自体についてはまさに国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私から答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。(拍手)

発言情報

speech_id: 119515254X00420171121_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-11-21

院: 参議院

会議名: 本会議