安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
人づくり革命についてお尋ねがありました。
急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行しなければなりません。
子供たちには無限の可能性が眠っています。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学に進学できるよう、真に必要な子供たちには高等教育を無償化します。また、幾つになっても誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保するため、リカレント教育を抜本的に拡充します。
幼児教育の無償化や介護人材の確保など、子育て、介護といった現役世代が直面するこの二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと大きく変革してまいります。
人生百年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想し、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する。それにより、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した方も、誰もが生きがいを持って、一人一人がその能力を存分に生かせる一億総活躍社会を、公明党の皆様と力を合わせ、つくり上げてまいります。
社会保障と税の一体改革と財政健全化についてのお尋ねがありました。
少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障と税の一体改革を推進してきたところであります。その上で、足下の経済の成長軌道を確かなものとするために、我が国の最大の課題である少子高齢化の克服に向け、人づくり革命を断行します。
人づくり改革を力強く進めていくため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしております。これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。
ただし、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、プライマリーバランスの黒字化の達成時期、そして、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画をお示ししてまいります。
子ども・子育て支援についてお尋ねがありました。
待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年六月に策定した子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受皿整備を進め、待機児童の解消に最優先で取り組んでまいります。
あわせて、保育人材の確保や質の向上を図るため、保育士の処遇改善や潜在保育士の再就職支援、保育士の事務負担の軽減などに総合的に取り組んできたところであります。引き続き、こうした取組の推進に努めてまいります。
放課後児童クラブについては、放課後子ども総合プランに基づく二〇一九年度までの約三十万人分の新たな受皿の確保を来年度までに前倒しすることとしております。
幼児教育の無償化については、安倍内閣において毎年度段階的に取組を進めてきたところですが、先般の総選挙でもお約束したとおり、二〇二〇年度までに三歳から五歳まで全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化します。ゼロ歳から二歳児についても、所得の低い世帯に対して無償化するとの方針の下で、現在、具体的な検討を進めているところです。
この点については、現在、与党においても議論が行われていると承知しており、政府としては、与党の提言をいただいた上で、十二月上旬に新しい経済政策のパッケージを取りまとめてまいります。
奨学金の拡充と学び直しについてのお尋ねがありました。
公明党から御提言も受け、今年度から新たに創設した給付型奨学金制度は、私立大学の自宅外生や社会的養護を必要とする学生など、経済的に特に厳しい学生を対象に既に運用を開始しており、来年度からの本格実施を着実に進めてまいります。
さらに、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる日本にしてまいります。真に必要な子供たちには高等教育を無償化します。そのために、授業料の減免措置の拡充と給付型奨学金の支給額の大幅増加を実施します。
現在、与党においても議論が行われていると承知しており、政府としては、与党の提言をいただいた上で、十二月上旬に新しい経済政策パッケージを取りまとめてまいります。
また、学び直しができる環境整備につきましては、幾つになっても誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保するため、人生百年時代を見据えて、その鍵であるリカレント教育を抜本的に拡充するとともに、高齢者の方々を含め、リカレント教育を受けた方々の転職、再就職が可能となるような環境整備に努めてまいります。
さらに、副業、兼業の普及促進に向けたガイドラインの策定など、柔軟な働き方がしやすい環境整備に努めてまいります。
賃上げについてお尋ねがありました。
この四年間、今世紀最高水準の賃上げが続いています。安倍内閣では、最低賃金をこの四年間で約百円引き上げました。パートで働く方々の時給も過去最高となっています。こうした流れを更に力強く持続的なものとしていかなければなりません。賃上げは企業に対する社会的要請だと言えます。来春の労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%の賃上げが実現するよう期待しています。
政府としては、過去最大の企業収益を賃上げや設備投資へと向かわせるため、御指摘の所得拡大促進税制を含めた税制面での環境整備、賃上げに努力する中小企業への支援の推進、公明党の御提案で全国に設置した地方版政労使会議を通じた政労使の連携の推進など、あらゆる施策を総動員することで、四年連続の賃上げの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。
事業継承問題についてお尋ねがありました。
中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化は、日本経営の屋台骨を揺るがしかねない待ったなしの課題です。円滑な世代交代、事業承継を進めるため、気付きの機会を提供するための地域の支援体制の強化や、マッチングの支援、後継者による経営改革や新事業展開の支援など、今後編成する補正予算も活用し、切れ目のない支援策を講じてまいります。
事業承継税制については、更に使いやすい制度にすべく、山口代表を始め公明党の皆様のお知恵も拝借しながら、御指摘の提案も含め、思い切った拡充を検討してまいります。
地域包括ケアシステムと介護人材確保についてのお尋ねがありました。
御指摘のように、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要です。このため、平成三十年度の診療報酬、介護報酬同時改定においては、地域包括ケアシステムの推進を第一の柱とし、議論を進めてまいります。また、ICTを活用した医療・介護現場における情報連携、生産性の向上に向けてしっかり取り組みます。
介護人材の確保については、これまで自公政権で月額四万七千円の処遇改善を実現してきました。他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めてまいります。また、介護人材の負担軽減や職場環境の改善による離職防止や就業促進などにも取り組み、介護人材確保に向けた総合的な方策を講じてまいります。
認知症対策についてお尋ねがありました。
認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気です。認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があります。このため、一昨年、我が国の認知症国家戦略として新オレンジプランを策定し、総合的な施策を推進しています。
認知症の研究開発については、平成三十二年頃までに認知症の進行を遅らせる効果等を有する薬の治験開始を目指し、必要な予算をしっかり確保しつつ、予防や診断、治療の研究開発を推進します。
認知症初期集中支援チームについては、チームが効果的に機能するよう、研修等を通じて医療・介護人材の確保を支援しているところです。
若年性認知症の方は、就労や経済的な問題など、様々な課題を抱えています。医療、福祉、就労に関する相談や就労継続の支援等、総合的な支援を行ってまいります。
今後とも、新オレンジプランに基づき、認知症の方々やその家族の方に寄り添いながら、認知症の方々が自分らしい生活を営めるよう支援してまいります。
被災地の風評対策、福島再生についてお尋ねがありました。
福島県の農林水産業や観光業で今なお続く風評の払拭は、福島の産業、なりわいの復興の大前提であります。農産品の輸入規制については、私自身、首脳会談などの機会に、緩和、撤廃を積極的に働きかけ、これまでに二十五か国で規制撤廃を実現しています。観光業では、在外公館における観光誘致PR、外国プレスの福島への招聘などを行い、昨年、福島県への外国人宿泊者数は前年比で五割増となっています。
今後、対策を更に強化するため、年内に風評払拭のためのリスクコミュニケーション戦略を策定いたします。全国の小中高等学校などにおいて放射線に関する科学的な知識を分かりやすく伝えるなど、正確な情報発信を一層強化してまいります。
福島イノベーション・コースト構想は、福島復興の切り札であります。そのため、この構想を福島復興特措法に位置付けるとともに、この夏から関係閣僚会議を創設したところです。
今後、関係省庁が一体となって、ロボットなど最先端技術の研究開発拠点の整備、産業集積、人材育成などを進めてまいります。引き続き、国が前面に立って福島の再生に全力で取り組んでまいります。
先般の日米首脳会談についてお尋ねがありました。
先般の日米首脳会談では、北朝鮮問題を始め日米が直面する地域や国際社会の諸課題について、胸襟を開いて率直な意見交換を行うことができました。
アジア歴訪の最初に当たり、トランプ大統領と深い意思疎通を行い、その後の韓国、中国訪問やAPEC、ASEAN関連首脳会合に向けて十分なすり合わせを行えたことは大変有意義でありました。先般の日米首脳会談を通じ、アジア太平洋の平和と繁栄を主導する日米同盟の揺るぎない姿を世界に向けて示すことができたと考えています。
北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
トランプ大統領とは、訪日の際に、十分な時間を掛けて北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後の方策について完全に意見の一致を見ました。この成果を踏まえ、習近平国家主席、プーチン大統領との間でも率直な意見交換を行い、北朝鮮における制裁の効果を注意深く見極めていくことで一致しました。
北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方々から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。
我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行を全ての国連加盟国に働きかけ、問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。
拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。トランプ大統領が、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及したことに加え、訪日の際に、拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただいたことは、拉致問題の早期解決の重要性を世界に訴える上で非常に大きな力となりました。
私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
持続可能な開発目標、SDGsの取組についてお尋ねがありました。
SDGsには我が国が国際社会に示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、私が本部長を務めるSDGs推進本部の下、民間企業、市民社会等の多様な担い手と連携しつつ、取組を加速化してまいります。国民の認知度向上ための広報にも更に注力してまいります。
日本は、これまで、保健、教育、防災、女性などのSDGsの主要分野で積極的に国際貢献を行ってきています。来月半ばに開催するUHCフォーラム二〇一七等の機会も活用しつつ、二〇一九年の首脳級会合に向けて、SDGsの推進を引き続き主導していく考えであります。
核兵器のない世界の実現に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
我が国は、唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向け国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。核兵器禁止条約の採択やICANのノーベル平和賞受賞が、被爆の悲惨な実相や核兵器の非人道性についての国際社会の理解を深めるきっかけになれば喜ばしいことですが、同時に、ますます厳しさを増す安全保障環境の中で、北朝鮮の核・ミサイル問題といった現実の脅威に真正面から取り組んでいく必要があります。
我が国は、核兵器国、非核兵器国双方の信頼関係を再構築していく上で橋渡し役を務め、御指摘の賢人会議の開催や、CTBTの発効や、FMCT、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約の交渉開始に向け、現実的かつ実践的な観点から、核軍縮・不拡散を進めていくべく粘り強く取り組んでまいります。
TPP11及び日中関係についてお尋ねがありました。
TPP閣僚会合での大筋合意は大きな成果となりました。自由貿易の旗手として、TPPのハイスタンダードの基準を踏まえ、二十一世紀型の質の高い、自由で公正なルールに基づく経済圏を広げていく取組を主導してまいります。
今回、習近平国家主席及び李克強首相とそれぞれ日中首脳会談を行いました。日中韓サミットを早期に開催して李克強総理の訪日を実現し、その後、私が訪中し、その後には習主席に訪日していただきたいと考えています。
本年は日中国交正常化四十五周年、来年は日中平和友好条約締結四十周年という節目の年であり、戦略的互恵関係の考えの下、大局的な観点から日中の友好協力関係を安定的に発展させていく好機であると考えます。
日ロ関係についてお尋ねがありました。
APEC首脳会議の際のプーチン大統領との首脳会議では、率直な議論を行い、長門合意を具体的に前進させていくことで一致しました。
北方四島における共同経済活動は、現地調査を実施し、早期に取り組む五件のプロジェクト候補が特定されています。双方の法的立場を害さない形で、来春に向けてプロジェクトを具体化させるための検討を加速させていきます。
また、首脳間の合意の成果として、本年九月に航空機による特別墓参が実施されました。来年以降も元島民の方々がより自由な往来をできるよう、ロシア政府と協議していきます。
我が国政府としては、来年の日本年、ロシア年を含め、幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で発展させつつ、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、粘り強く交渉を進めてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕