山下芳生の発言 (本会議)
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○山下芳生君 日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
総理は、森友、加計疑惑について、丁寧に説明すると繰り返しながら、所信表明では一言も語りませんでした。しかし、総理夫妻のお友達のために行政がゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大な疑惑です。いつまでも逃げ続けることは許されません。
まず、森友疑惑について聞きます。
国民の財産である国有地が八億円も値引きされ、ただ同然で森友学園に払い下げられたからくりが、音声データの生々しいやり取りで明らかになりました。
近畿財務局の職員が、幾らなら買えるのかと籠池理事長に尋ね、籠池氏が一億六千万円と応じ、財務局職員は、それに近いところまで努力していますと述べていました。深さ九・九メートルまでごみが埋まっていたことにして土地を値引きするというストーリーが作られ、それが財務省の側から提案されていたのです。
総理、政府の側から値引きが持ちかけられたことは異常だと思いませんか。総理の責任で事実の究明を行うべきだと考えますが、いかがですか。
大幅値下げ実現の背景に安倍昭恵氏の存在があったとの疑いはいよいよ強くなりました。総理は、妻はだまされたと言っていますが、園児に教育勅語を暗唱させていた幼稚園をすばらしいと絶賛し、小学校建設予定地を籠池氏と一緒に視察するなど、一連の過程に積極的に関わっていたのが昭恵氏ではありませんか。
籠池氏も、昭恵氏の名誉校長就任で神風が吹き、大幅値下げが実現したと国会で証言しました。真相究明のためには、安倍昭恵氏に国会に来ていただき、真実を語ってもらう必要があると考えますが、総理の見解を求めます。
次に、加計疑惑です。
獣医師の数は足りているとして五十二年間認められなかった獣医学部の新設が加計学園に認められたのは、今年一月、その計画が国家戦略特区に認定されたからであります。政府は、認定理由について、一つ、新分野での具体的な需要が明らかなどの四条件を満たしている、二つ、競合する他の大学の計画よりも熟度が高いと説明してきました。
ところが、この説明には全く根拠がなかったことが明らかになりました。今年五月、文部科学省の大学設置審議会は、加計学園の計画に対し、新分野の具体的な需要が不明である、教員が高齢層に偏り、実習を補助する助手もおらず、カリキュラムの実現可能性に疑義があるなどとして警告を発していたのです。
四条件についてまともに検証されず、熟度が高いどころか設置基準の最低ラインさえ到達していない計画だった。要するに、一月の特区認定がでたらめだったということではありませんか。認定したのは国家戦略特区諮問会議。その議長は安倍総理です。総理、あなたの責任は重大だと考えますが、いかがですか。
大学設置審専門委員会のある委員は、しんぶん赤旗の取材に対し、四条件はアンタッチャブルだった、設置審の審査は答えを教えながら何回も試験するようなものだ、だから最終答申では合格に至った、じくじたる思いだと証言しています。
こんなずさんな計画がごり押しされたのはなぜか。加計学園の理事長が総理の腹心の友だったからではないかとの新たな疑問が起こっています。
総理、加計学園の特区認定プロセスについてしっかり検証すべきではありませんか。真相究明のためには、加計孝太郎氏も国会に来ていただき、本当のことを話してもらう必要があると思いますが、いかがですか。
次に、北朝鮮問題について、総理の認識、基本姿勢を伺います。
北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは絶対に引き起こしてはなりません。
トランプ大統領の日本、韓国、中国歴訪の際、中国と韓国の首脳は、いずれもこの問題について対話による平和的解決を表明しました。これに対し、安倍総理は、今は対話のときでないと北朝鮮との対話を拒否する姿勢を示すとともに、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持すると表明しました。この選択肢の中には軍事的オプションも当然含まれます。対話による解決を求める中国と韓国、さらに同じ姿勢を示すドイツやフランスなどと比べ、安倍政権の立場は異常なものと言わねばなりません。
今、最も危険なことは、米朝両国の軍事的緊張が高まる下で、双方の意思に反して偶発的な衝突が発生し、それが戦争に発展してしまうことです。秋山昌廣元防衛事務次官は、米朝の対立が進めば誤解や誤算による軍事衝突の危険が高まる、第二次朝鮮戦争に発展し、韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらすと警告しています。
ところが、総理は、トランプ氏との首脳会談後の会見で、偶発的な軍事衝突を避けるためにどのような対応が必要かと問われ、誰も紛争など望んでいないと答えるのみでした。そんなことは当然です。しかし、望んでいなくても偶発的な衝突が発生する危険が高まっていると内外の専門家が共通して指摘しているのです。その点について、政府は対応策を持っていないのですか。危機を打開し、戦争を回避するためには、米朝が直接対話することがどうしても必要だと考えますが、いかがですか。
国際社会が一致して経済制裁の圧力を強めることは必要です。しかし、それだけでは問題を解決することはできません。制裁強化と一体に、対話による平和的解決を図ることこそ唯一の解決策です。そのために日本政府が積極的な役割を果たすべきではありませんか。真剣に考えていただきたい。
さらに、米国による先制的な軍事力行使への懸念もあります。それがどのような深刻な事態をもたらすか。米統合参謀本部は、北朝鮮の核兵器を完全に破壊する唯一の方法は陸上侵攻だとする文書を発表しました。これに対し、退役軍人である民主、共和両党の米上下両院議員十六人が共同声明を発表し、何十万あるいは何百万人もの人命が最初の数日の戦闘で失われることすら意味する、北朝鮮問題で有効な軍事選択肢というものはないと強調しています。
韓国の大統領は、先日の施政方針演説で、いかなる場合にも朝鮮半島で武力衝突はあってはならないと述べ、一方的な軍事行動には同意しない立場を改めて示しました。国民の生命と安全に責任を持つ為政者として当然の見識です。
総理、日本を守り抜くというのなら、日本にも大きな被害がもたらされることになる先制的な軍事力行使は絶対にやるべきでないと米国に提起すべきではありませんか。答弁を求めます。
東京電力福島第一原発事故から六年八か月。総理は所信表明で、福島では、帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除されたと述べました。また、今年三月、避難指示の解除を決めた際には、本格的な復興のステージを迎えると述べました。
しかし、福島の現実は、避難指示解除が本格的な復興に直結するような状況ではありません。医療、介護を始め、除染、住宅の整備、雇用など、まさに課題山積です。そもそも、原発事故は収束していません。だからこそ、いまだに六万八千人の方がふるさとや元いた場所に帰れない、あるいは帰らないということになっているのではないでしょうか。総理にこの認識はありますか。
しかも、安倍政権は、自主避難者への住宅提供を今年三月末で打ち切り、精神的苦痛への賠償は来年三月末で終了するとしています。絶対に許されません。復興加速の看板の下に被害者切捨てを進める安倍政権こそ、復興の最大の障害だと言わなければなりません。全ての被害者が生活となりわいを再建できるまで国と東京電力が責任を持つことは当たり前ではありませんか。総理の認識を伺います。
政府の長期エネルギー需給見通しでは、二〇三〇年度の電力に占める原発の割合を二〇ないし二二%にするとしています。全国で約三十基もの原発を再稼働することになります。
しかし、これは国民の世論に真っ向から反するものです。どの世論調査でも、再稼働に反対が賛成の約二倍となっています。
他方、財界は、原発の再稼働を強く求め、原発事故を起こした東電の柏崎刈羽原発まで再稼働しようとしています。政府も、稼ぐことが福島事業への貢献などとして、柏崎刈羽を再稼働させようとしていますが、福島を口実に再稼働を正当化するなど言語道断、被害者を愚弄するものではありませんか。
再稼働にひた走る道に未来はありません。原発事故後、約二年間にわたって稼働原発ゼロとなり、日本社会が原発ゼロでやっていけることも証明されています。直ちに原発ゼロの政治決断を行い、再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきではありませんか。答弁を求めます。
総理は、今回の解散・総選挙に当たり、二〇一九年に消費税を一〇%に引き上げるとともに、全世代型の社会保障への改革を行うと宣言しました。ところが、選挙が終わるや否や政府が打ち出してきたのは、医療費の窓口負担の引上げ、介護保険の在宅サービスの給付外し、子育て世代の生活保護費削減など、全世代を対象にした社会保障の切捨てです。国民をだまし討ちにするにも程があると言わなければなりません。
これらがどんな影響を与えるか。例えば、認知症の高齢者は四百六十二万人、軽度認知障害のある人も四百万人いると推計されています。高齢者の三ないし四人に一人が認知症か軽度認知障害という状況です。ところが、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、認知症のお世話は専ら家族任せという高齢者が膨大な数に上っています。
にもかかわらず、安倍政権は、要支援一、二に続き、要介護一、二の在宅介護サービスを保険給付から外すことを検討しています。こんなことをやれば、政府が提唱している認知症の早期発見、早期対応に逆行する事態を政府自らつくることになるではありませんか。介護を必要とする多くの人に影響する在宅介護サービスの保険給付外しは中止すべきであります。
認知症の人と家族の会の皆さんは、認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳が守られ日々の暮らしが安穏に続けられなければならないという理念を掲げ、奮闘されています。こうしたすばらしい理念に現実社会を近づけることこそ政治の役割だと考えますが、総理の認識はいかがですか。
所得の低い人ほど負担が重くなる、社会保障財源として最もふさわしくない税金が消費税です。一〇%への増税はきっぱり中止し、応能負担の原則に立って、アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
安倍政権は、働き方改革と称して、労働時間規制が掛からない労働者をつくり出す残業代ゼロ制度を導入しようとしています。さらに、月八十から百時間という過労死ラインの残業を合法化しようとしています。とんでもありません。これでは、長時間労働と過労死が一層はびこることは明らかです。
総理も演説で触れた、電通で過労自死した高橋まつりさんの母、幸美さんは、過労死遺族の一人として全く納得できません、政府は働く人の健康と命を守るために法律改正を行ってくださいと訴えています。総理、この訴えにどう応えますか。
働き方に関わって、喫緊の課題について質問します。
政府は、昨年、通算雇用期間が五年以上になる有期雇用労働者のうち、希望する労働者は全て無期転換、すなわち期間の定めのない雇用に切り替えるとの目標を掲げました。
ところが、改正労働契約法に基づく無期転換権が生ずる来年四月を前に、トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーは、雇用契約更新の際、六か月の空白期間を設ける契約への変更を進めています。無期雇用にしないためです。明らかな脱法行為です。こんなことが許されたら、無期転換権を行使できる労働者は誰もいなくなってしまうではありませんか。
五年たったら無期雇用でなく、五年以内で雇い止め、これでは雇用の安定化どころか大量の失業者を生み出すことになります。多くの国立大学、独立行政法人でも同様の動きが顕在化しています。有期雇用労働者一千五百万人に関わる重大な問題です。
政府は大手自動車メーカーに対する調査を行っているといいますが、具体的にどのような手だてを取るつもりですか。このような脱法的なやり方は今すぐ止めるべきではありませんか。しかとお答えください。
最後に、憲法について質問します。
五月三日、総理は憲法九条を変えると宣言しました。しかし、憲法九条は、日本国民三百十万人、アジアの人々二千万人もの犠牲をもたらした日本が起こした戦争への深い反省から生まれたものです。戦争はしない、戦力は持たないと決意した九条には、内外の犠牲者の無念、残された者の平和への願いが刻まれています。
九条は、その後、国民の中に広く定着し、日本社会の姿形を規定する根幹となりました。軍事では、自衛隊の海外派兵を制限する最大の歯止めとなり、自衛隊員が海外で殺し殺されることのない状態をつくりました。経済では、軍事費を抑制することにより、民生分野を中心とする経済成長を促し、国民生活を向上させる力となりました。学術、文化では、戦前のような軍事優先と決別し、科学と文化が我が国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献する基礎となりました。
総理は、こうした憲法九条の生い立ちと働きについてどのような認識をお持ちですか。しっかりお聞かせいただきたい。
総理は、憲法に自衛隊を明記すると主張しています。
仮にそれが実現すれば、新法は旧法を改廃するという法の原則によって、戦力は持たないとした九条二項が空文化し、歯止めのない海外派兵に道が開かれます。経済でも学術、文化でも、軍事が優先され、今述べた日本社会の姿形が大きく変わります。それが総理の狙いではありませんか。そのようなことを断じて認めるわけにはいきません。
今変えるべきは、憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治であることを訴えて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕