安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 選挙結果の総括と今後の政権運営、所信表明の真意についてお尋ねがありました。
 今回の総選挙においては、三たび、国民の皆様から連立与党で衆議院の三分の二を超える力強い信任をいただきました。その責任の重さをかみしめながら、選挙でお約束した政策を一つ一つ実行していかなければならないと強く決意しております。その責任感と使命感の下に、これまで以上に身を引き締めて、しっかりと結果を出せるよう謙虚な姿勢で真摯な政権運営に当たっていく考えであります。
 いかに困難な課題であっても立ち向かい、次の時代を切り開くことこそ政治に与えられた使命であります。未来を切り開くことができるのはスローガンやパフォーマンスではありません。政策です。政策の実行力であります。その思いを今回の所信表明演説に込めたところであります。
 日本維新の会の国会対応についてお尋ねがありました。
 さきの通常国会では、テロ等準備罪処罰法案の審議において、日本維新の会の皆さんには、その必要性を共有していただき、具体的な対案を提出していただきました。その後、真摯な政策協議を経て、建設的な法案修正が行われたと承知しております。何でも反対、ただ批判だけを繰り返すのではなく、平素より政策実現を目指して誠実に取り組まれている片山議員を始め日本維新の会の皆様に改めて敬意を表します。
 私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に政策協議を行ってまいります。是非、今後とも、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行い、建設的な協議を行わさせていただきたいと考えております。
 質問時間の配分、国会改革についてお尋ねがありました。
 片山議員の国対委員長時代のお話は大変示唆に富むものであります。こうした見識ある諸先輩方が、良識の府たる参議院において、これまで大胆な国会改革に取り組まれてこられたことに深甚なる敬意を表します。
 一般論として、数万を超える得票を有権者の皆様からいただいて国会議員となった以上、与党、野党にかかわらず、政党内部の活動だけではなく、国会の中において国会議員としての責任を果たすべきであり、それが有権者の負託に応えることであるとの指摘もあります。
 いずれにせよ、質問時間の配分自体については、まさに国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私から答弁することは差し控えます。
 我々政治家の役割は、国家国民のために建設的な議論を行い、結果を出していくことであります。そうした大局的な観点から、国民の負託に応えるため、国会もまた与野党の枠を超えて不断の改革に向けた議論が行われることを期待しております。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。
 日本維新の会が、そうした観点から、議員歳費から被災地への寄附、文書通信交通滞在費の使途公開や、企業・団体献金、政党支部への寄附などに関し自主的な取組を行いながら、国会の場に具体的な提案をしておられることについては敬意を表したいと思います。
 その上で申し上げるとすれば、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
 憲法改正のスケジュール等についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が、憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法改正の内容については、私は今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している改正案やスケジュール、今後国会の憲法審査会において議論されるであろう御党の改憲案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、今後、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められることを強く期待しております。
 教育の無償化を憲法に明記することについてのお尋ねがありました。
 憲法改正の内容についてお答えをする立場ではないことは既に述べたとおりですが、その上で申し上げるとすれば、私は、子供、若者こそ我が国の未来であり、世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済事情にかかわらず子供たちが夢に向かって頑張ることができる日本、政権などのいかんにかかわらずそれが保障される国でありたいと考えております。
 いずれにせよ、憲法改正については、今後、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められることを強く期待しております。
 教育無償化についてお尋ねがありました。
 幼児教育の無償化については、幼稚園等が義務教育の基礎を培う場であり、子ども・子育て支援の場として広く利用されているほか、諸外国でも、就学前の教育の重要性を踏まえ、三歳から五歳については所得制限を設けていないと承知しています。
 こうしたことも踏まえ、政府としては、二〇二〇年度までに、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化する、ゼロ歳から二歳児についても所得の低い世帯に対して無償化するとの方針の下で、現在、具体的な検討を進めているところです。
 安倍内閣としては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は約二十二兆円増加し、新規国債発行額は約十兆円減っています。行政改革についても、これまで行政事業レビューなどの取組を不断に進めてきたところです。
 他方、人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年十月に予定される消費税率一〇%への引上げによる財源を活用しなければならないと判断し、衆議院を解散して国民に信を問うこととしました。あわせて、社会全体で子育てを支えるという観点から、税財源と併せ、産業界に対しても三千億円程度の拠出について検討をお願いしているところです。
 人づくり革命の推進と並行して、御指摘の大学改革を行っていくことは重要です。将来的な十八歳の人口の減少を見据えた大学間の連携、統合の枠組みの検討や教育研究の質の向上を一体的に進める必要があると考えています。
 また、地方創生の核として、地方大学の役割は極めて重要です。地域の人材ニーズを踏まえた組織にするなど、地方大学の振興を図ってまいります。
 さらに、所得の低い世帯ほど大学進学率が低いことが指摘されております。全ての人に開かれた大学教育の機会を確保していくことは喫緊の課題です。そのため、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる、真に必要な子供たちには高等教育を無償化する、そういう日本に一日も早くしてまいりたいと考えています。
 米国との経済関係についてお尋ねがありました。
 日本企業は、八〇年代以降、米国での現地生産の体制を築くなど、米国内に積極的に投資を行ってきました。その結果、米国の対日貿易赤字の比率を減少させるとともに、米国内で大きな雇用を生み出してきました。
 本年一月以降だけでも、外国企業による対米投資は日本が第一位であり、一万七千人の雇用創出につながります。これは、トランプ大統領も高く評価しています。こうした互いに利益をもたらす日米の経済関係を更に深化させるため、今後も日米経済対話で建設的に議論していきます。
 北朝鮮問題における米韓中ロの対応についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とは、訪日の際に、十分な時間を掛けて北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後の方策について完全に意見の一致を見ました。昨日、米国は北朝鮮をテロ支援国家に再指定しましたが、我が国はこれを北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎、支持しています。
 北朝鮮問題への対応に当たっては、日米両国のみならず、日米韓の三か国による緊密な連携が非常に重要です。私はこれまでも三か国の緊密な連携の重要性を訴えてきており、引き続き日米韓の連携を強化してまいります。
 中国及びロシアは、北朝鮮との対話を重視し、ダブルフリーズや段階的アプローチといった独自の提案をしていますが、その一方で、北朝鮮に対して格段に厳しい措置を課す強力な国連安保理決議の採択に賛成しています。私自身、習近平国家主席、プーチン大統領と率直な意見交換を行い、国連安保理決議の完全な履行に向けて緊密に連携していくことで一致しました。
 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国際社会全体で結束し、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。
 ミサイル防衛、敵基地攻撃能力、米国製装備品の購入及び防衛費についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル防衛については、陸上配備型イージスシステムを中心として、能力の抜本的な向上を図ってまいります。
 いわゆる敵基地攻撃能力については、日米の役割分担の中で米国に依存しております。今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておりません。
 その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため何をすべきか。我々には、常に現実を踏まえて、様々な検討を行っていく責任があると考えております。もとより、今後とも専守防衛の考え方にはいささかも変更はありません。
 我が国の防衛力については、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠であると考えています。自衛隊の装備品については、防衛大綱及び中期防に基づき、米国製の装備品を含め計画的に取得しており、今後とも防衛力の強化を図ってまいります。
 防衛関係費については、現在、GDP一%枠というものがあるわけではなく、防衛関係費をGDPと機械的に結び付けることは適切ではないと考えています。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領は、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及し、韓国での演説でも拉致問題を取り上げました。また、訪日の際に、拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただいたことは、拉致問題の早期解決の重要性を世界に訴える上で非常に大きな力となりました。
 先般の東アジア・サミットでは、私から拉致問題の早期解決の重要性を訴え、各国の賛同を得ました。二国間会談でも、習近平国家主席、プーチン大統領を始め、各国首脳に対して理解と協力を要請しました。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日まで私の使命は終わりません。私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 尖閣諸島、自由で開かれたインド太平洋、日中関係についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島周辺における中国公船の領海侵入等に対しては、海上保安庁に尖閣領海警備専従体制を確立しており、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、引き続き冷静かつ毅然と対応していきます。
 今般、米国、豪州、インドとの間で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力していくことで一致しました。また、東アジア・サミットや各国首脳との会談等でも、我が国が推進する自由で開かれたインド太平洋戦略を丁寧に説明しました。こうした考え方に賛同してもらえるのであれば、中国を含め、いずれの国とも協力していけると考えており、我が国として、この地域の安定と繁栄のため、引き続き主導的な役割を果たしてまいります。
 今回、習近平国家主席及び李克強首相とそれぞれ日中首脳会談を行いました。特に、習主席からは、今回の会談は日中関係の新しいスタートとなる会談であったとの発言があり、私も全く同感であります。今後、日中韓サミットを早期に開催して李克強首相の訪日を実現し、その後、私が訪中し、その後には習主席に訪日していただきたいと考えています。
 本年は日中国交正常化四十五周年、来年は日中平和友好条約締結四十周年という節目の年であり、戦略的互恵関係の考え方の下、大局的な観点から日中の友好協力関係を安定的に発展させていきたいと考えています。
 日本経済の現状認識と日本銀行の金融政策についてお尋ねがありました。
 アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一〇・八%、五十三兆円増加し、過去最高となりました。
 御指摘の地方や中小企業においても、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、日銀短観の業況判断DIは全国九地域全てで改善しました。中小企業の経常利益が過去最高水準で推移するなど、明るい動きが見られています。
 こうした明るい動きを確かなものとするため、生産性を一気に高めていくための中小・小規模事業者の皆さんの攻めの投資を全力で支援してまいります。人口減少の時代にあって、生産性革命のうねりを全国津々浦々に広げていきたいと考えています。
 賃上げについては、これまで、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現しました。最低賃金もこの四年間で約百円引き上げました。来春の労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%の賃上げが実現するよう期待しています。大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することで、四年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。
 なお、金融政策について黒田総裁は、金融緩和の出口戦略に具体的に言及することについて、市場の混乱を招くおそれが高いため時期尚早であり、また、それぞれの国の状況が違えば金融政策の状況も違ってくるのは当然のことと述べているものと承知しています。
 政府としては、引き続き日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しています。
 所得税の在り方についてお尋ねがありました。
 御指摘の配偶者控除等については、平成二十九年度税制改正において、配偶者の収入制限の引上げなどを行うこととしました。これにより、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境づくりに寄与するとともに、人手不足の解消を通じて日本経済の成長に資することが期待されるものと考えます。
 所得税の在り方については、骨太の方針二〇一七において、所得再分配機能の回復や多様な働き方に対応した仕組み等を目指す観点から、引き続き丁寧に検討を進めることとしたところであり、議員の御指摘も踏まえつつ、引き続き丁寧に検討してまいります。
 賃上げや投資を行った企業に対する政策税制についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年を大きな目標に、生産性革命の実現に向けて企業による人材や設備への力強い投資を促すため、これまでにない大胆な政策を講じてまいります。
 賃上げや設備投資に積極的な企業には、国際競争において十分に戦える環境を整備します。特に、革新的な技術やビジネスに果敢に挑戦する企業には、世界で打ち勝つことができる環境を思い切って提供してまいります。
 他方で、企業収益が過去最高となる中で賃上げや投資に消極的な企業には、コーポレートガバナンス改革や様々な政策ツールを活用して果断な経営判断を促してまいります。その中で、税制についても大胆かつめり張りの付いた対策を検討してまいります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119515254X00520171122_012

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2017-11-22

院: 参議院

会議名: 本会議