難波奨二の発言 (本会議)
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○難波奨二君 民進党・新緑風会の難波奨二でございます。
私は、ただいま議題となりました平成二十八年度決算について、会派を代表して安倍総理に質問いたします。
参議院は決算重視の院であります。私は、一昨年、この場で、総理が決算審査を軽視しているのでないかと指摘しましたが、それは二年が経過した今も変わっていないようであります。
我が党が求めてきた憲法第五十三条に基づく臨時国会の召集要求を三か月放置した挙げ句、やっと九月に開いた臨時会では冒頭解散でした。今特別国会においても、当初八日間という会期が、森友、加計問題が余りにもひどいという国民世論に後押しされて三十九日間となったため、会期中に会計検査院報告の提出が行われ、やっと本日の決算審議となりました。まさに決算軽視、疑惑隠しとの指摘に、総理、どう答えますか。
総理は、さきの衆議院解散の表明の際、財政健全化目標の先送りについて言及しました。本年六月閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一七でも、三十二年度までの国と地方のプライマリーバランスの黒字化という目標が掲げられていたにもかかわらず、とうとう総理自身が達成できないことを認めたのであります。
財政健全化を進めるに当たっては、三党合意に基づく消費増税が前提となっていましたが、安倍内閣は、消費増税時における増収分の使途を変更し、教育無償化など子供への支援拡充策を検討しています。しかし、財政健全化は何よりも将来世代のために行うものであり、財政再建が遠のくようでは本末転倒ではありませんか。あわせて、一千八十兆円を超える国の借金が積み上がる中、財政健全化の重要性について、総理の答弁を求めます。
今般の会計検査院による検査報告によれば、財政健全化の取組が始まった平成九年度以降の二十年間で、毎年設定されている目標を達成するための取組方針の指標は、決算ベースに当てはめれば、半分に当たる十か年で達成されていません。そして、補正予算の編成が常態化する中、当初予算は必ずしも予算の全体像を示しておらず、当初予算によってのみ評価しても、財政健全化への取組状況を正確に判断することは難しいと指摘をしております。
実際、この二十年間で実に合計百八兆円もの補正予算が編成されており、二十八年度決算においても、国の一般会計プライマリーバランスは、当初予算ベースでは十・八兆円の赤字であったのに対し、決算ベースでは十五・五兆円の赤字となります。このように当初予算ベースで取組方針を判断することは、補正予算におけるばらまきをごまかすための隠れみのとなっています。この指摘並びに取組方針の指標には決算額を用いるべきと考えますが、総理のお考えをお聞きします。
安倍総理は、今年度も補正予算の編成を指示しました。自然災害など特別な理由がない限り、当初予算の直前に補正予算を編成するなどということはやめ、総合予算主義にのっとった当初予算のみの予算編成とすべきと考えますが、総理の見解を求めます。
二十五年四月の量的・質的金融緩和の導入以降、日銀のバランスシートは過去に例を見ない規模で急速に拡大しております。日銀は足下で年間約六十兆円の国債を買い増しており、発行額全体に占める保有割合は四割にも上り、総資産額では約五百十八兆円と、何とGDPに匹敵する規模となっています。
一方、物価の伸び率は目標の二%には程遠い状況であり、目標達成時期は六回にわたり先送りされています。総理は今の状況をデフレではないと言い切りますが、これだけの金融緩和を行いながらも、物価目標が未達成であるのはなぜか。また、いわゆるデフレ脱却四条件はどうなっているのかについて、併せて総理に伺います。
物価目標がなかなか達成できないのは日銀の責任だけではありません。むしろ、政府が有効な成長戦略を講ずることができず、生産性の向上や需要の底上げが不十分であったことに原因があります。物価目標の未達成はアベノミクスの三本の矢の一つである成長戦略の失敗ではありませんか。総理の認識と今後の挽回策についてお答えください。
また、日銀は、国債のみならず、金融緩和の一環として、ETFという形で株式にも巨額の投資をしており、今やその保有額は時価で二十兆円に上ります。しかも、国債と異なり、償還のない株式は売却時期によって市場に大きな影響を及ぼしかねず、このまま買入れが続けば官製市場となり、健全な市場をゆがめてしまいます。これまでETFの買入れ規模の増加を認可してきた政府としての見解を総理にお尋ねします。
続いて、行政監視の観点から、森友、加計問題について伺います。
加計学園については、選定過程が不透明なまま総選挙後に獣医学部が認可され、森友学園については、会計検査院の指摘によって値引きの根拠が崩れ政府答弁が修正されるなど、疑惑隠し解散を裏付ける経過となっています。
加計学園問題については、国家戦略特区の四条件が満たされているか不明確な上、加計学園が事業者に絞り込まれた経緯については記録も残っていないなど、国民の疑念は払拭されていません。国民の知る権利を損なうものであり、政府として真相究明に努力すべきではありませんか。総理と加計理事長の私的関係についても国民は納得していません。総理、これで問題ないと言い切るのですか。
そして、国家戦略特区制度については、本院決算委員会が本年六月、政府に対して措置要求決議を行い、事業における透明性、公正性に係る検証とともに、今後認定される事業についても常時点検し、国民の信頼向上に一層努めるよう求めています。この指摘を踏まえ、今後どのように透明性、公正性を担保していくのか、総理、お答えください。
次に、森友学園問題について伺います。
先日、参議院からの求めに応じて会計検査院から検査報告が提出されました。国有地売却の際の八億円もの値引きについて根拠が不十分であり、一定の条件を設けてごみの処分量を試算すると、国が推計した量の三割から七割程度であるとのことです。また、ごみの撤去費用の積算資料などが残っておらず、文書管理にも問題があると指摘されています。
これまで総理は、国会での追及に対し、法令等に基づき適正に手続が行われ、また価格についても適切な算定がなされたなどと答弁してきましたが、今回の検査院の指摘でそれが否定されました。
さらに、総理は三月の予算委員会で、会計検査院がしっかり審査すべきだ、それに政府は全面的に対応すると述べ、また、ごみがあるから一億数千億にディスカウントしていたのであり、ディスカウントするのは言わば当然と答弁していますが、総理は一連の発言の責任をどのように取るおつもりですか。
また、過大な値引きにより国有地を不当に安く売却し、事実と異なる答弁を再三行ってきた佐川元理財局長が国税庁長官の要職に就いたことについては、納税者たる国民の心理からすると到底納得できるものではありません。徴税事務の現場にも支障が出ており、佐川国税庁長官の任命は不適切と考えますが、総理、いかがですか。
あわせて、今後の国有地売却における手続の在り方、公文書管理の在り方並びに再発防止策及び再調査の実施を強く求めますが、総理の前向きな答弁を求めます。
森友、加計問題に共通する事項として、内閣人事局の弊害についても触れておきます。
内閣人事局を通して政治家が官僚の人事を掌握することによりそんたくが生まれ、結果的に行政がゆがんでいることは、全体の奉仕者としての公務員制度をないがしろにします。いわゆる猟官制が生まれたと言えますが、あるべき人事制度に汚点を残したとの認識はありませんか。総理に伺います。
いずれにしろ、両問題とも国民の理解は到底得られておらず、これで幕引きということはできません。引き続き追及していくことを明言しておきます。
商工中金の危機対応業務における不正融資問題に関して、本院は、本年六月、内閣に対して警告を発しております。十月の調査結果によって、商工中金のほぼ全店舗で職員の一割を超える四百四十四人が不正行為に関与し、四千六百九口座、融資実行額にして約二千六百億円に及ぶ不正融資が行われ、組織的な隠蔽工作や書類の捏造などが発覚したことは許されざることであります。
しかしながら、需要に基づかず事業規模や予算を配分し、商工中金に対し過大に危機対応業務を強いてきた政府にも大いに問題があります。安倍内閣が発足して、商工中金トップに経産省の天下りが復活したことも、当然無関係ではありません。
この異常な事態の原因と責任をどのように考えているのか、再発防止に向けてどのように取り組んでいくつもりか、総理に伺います。
また、政府系金融機関としての業務の範囲や規模を徹底的に見直す必要があると考えますが、お答えください。
終わりに一言申し上げます。
折しも、東証一部の上場企業は最高益を更新し、景気拡大期間はイザナギ景気を超える見通しです。しかしながら、戦後最長であるイザナミ景気が実感なき好景気と呼ばれたのと同様に、アベノミクスによる景気回復は国民生活に実感が伴わないものであります。私は、比例選出のため全国に出向きますが、地方の商店街の惨たんたる状態を目にしています。国民そして地域の格差は確実に拡大をしています。
こうした中、二十一世紀中盤に向けて、我が国はこれまで経験したことのない人口減少社会に突入します。長期的には税収減が避けられず、少子高齢化により社会保障費は膨大していきます。国家的課題である持続可能な社会を築くため、総理の言う全世代型社会保障を公平公正な税負担の下で実現していかなければなりません。しかし、財政出動もやがては限界を迎え、財政は硬直化していきかねません。好況期と言われる今こそ、今後訪れる景気後退局面に備え、将来世代にツケを残さない責任ある財政運営を始めなければなりません。
加えて、国民が真に豊かさを享受できる持続可能な社会実現のためには、将来を見据えたまともな財政の確立が重要であることを危機感を持って指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕