原澤英夫の発言 (環境委員会)

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○原澤参考人 国立環境研究所の研究担当理事をやっております原澤と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元に資料が御用意されているかと思いますけれども、その資料に沿って意見陳述したいと思います。
 本日は、大変貴重な機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。私個人の研究者としての意見とともに、環境研究所としてどう考えているかということも含めて意見を出したいと思います。
 二ページ目、一枚目の下の図でありますけれども、私どもの研究所では、温室効果ガスをはかる衛星を打ち上げて、それで大気中のCO2を観測しております。こちらは最新のデータでございまして、二月の時点ですけれども、四百五・九ppmを記録してございます。工業化前が二百八十ppmですから、四五%ぐらい大気中のCO2がふえているということであります。
 これがどう温暖化とかかわっているかといいますと、その次のページ、三枚目のグラフになりますけれども、こちらは最近の日本の温度の上昇の程度を示したものでありまして、気象庁のデータを持ってきたものであります。二〇一七年のデータによりますと、百年当たり一・一九度気温が上昇しているということでありますし、二〇一六年は、世界的に見ても、統計開始以来、最も高い値が記録されているということであります。一時、温暖化がとまったんじゃないかというようなハイエイタスという現象があったんですけれども、そのハイエイタスが終わって、また更に気温上昇に転じているということであります。
 このために、既に御案内のように、農作物の品質の低下ですとか栽培適地が移動したりとか、あと、感染症を媒介する蚊が北上したり、生態系への影響も出たりということで、日本においてもいろいろな面で影響が出ているということを四ページ目のグラフ、図に示しております。
 お米ですとかミカンへの影響から始まって、降水量が変わってまいりますので洪水といったようなこともあるということで、いろいろな分野でこういった影響が顕在化しているということであります。
 次のページ、五枚目でございますけれども、これは、政府の方で気候変動の影響と適応計画などの経緯を示したものであります。
 影響研究を長年やってまいりましたけれども、適応計画が政府レベルでできたということは、私は非常に画期的なことと考えておりますし、また今般、気候変動適応法という形で、それをしっかり担保して国として適応に取り組むという法案については、非常に画期的だと思っておりますし、影響研究をずっとしてきた立場からいいますと、やっと社会が変わっていくという思いを感じております。
 適応計画が非常に画期的と申しましたのは、それまで影響研究は長年やってまいりましたけれども、やはり、影響研究の科学的な知見を踏まえてそれを社会に実装していくということができるようになってきたということでありまして、特に適応法は、あるいは適応計画、適応法は、温暖化の影響を未然に防ぐという緩和策と車の両輪という形で非常に重要性を増しているわけでありますけれども、実際影響が起きているというのにどう対応するか、将来影響が拡大したときにどう今から予防していくかという意味で、社会そのものを変えていく必要があるという、緩和策とかなりやはり両輪としてしっかりやっていくべきではないかということで、六枚目に適応計画のエッセンスを書いてございます。
 あくまでも影響に対するいろいろな対策ということではあるんですが、更に突き詰めますと、やはり、安全、安心で持続可能な社会をつくるために非常に重要な計画であり、法案であると考えております。
 基本戦略のところには、既に三村学長がお話があったように、既存のいろいろな政策に適応を組み込んでいくですとか、やはり、科学的な知見をしっかり充実させて、それに基づいた適応計画、適応法をつくっていく。あるいは、気候のリスク情報をしっかり収集して、それを提供していく。地域での適応の推進を進める。さらに、国際的に日本のいろいろな知見あるいは情報を伝えて、途上国における温暖化対策にも資するというようなことでありまして、そういう意味で、適応計画というのは非常に画期的だと考えてございます。
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 そういう中で、今回の法案の中でも、国立環境研究所に非常に重要な役割をいただきました。環境研は、これまで環境研究といわゆる環境情報の提供というのを業務としていたわけですけれども、さらに、適応情報を使った行政的な業務をしっかり位置づけていただけましたので、これに従って今後いろいろ適応を進めていくということでありますが、二〇〇八年の九月におきまして、気候変動適応情報プラットフォームといった、ホームページを使った情報発信の仕組みをつくりまして、これを今運用しているという状況でございますので、こちらが適応法の中にうたわれております環境研の役割の一端を担うということで、非常に重要なものを今運用しておりますので、その一端を御紹介したいと思います。
 プラットフォームと申しますのは、インターネットを使った情報基盤ということで、ホームページだけかと思われるかもしれませんが、その裏には、しっかりした科学的な知見、それをまたつくり出すいろいろな研究のネットワークですとか、適応を地方自治体等にしっかり使っていただくようなそういう仕組みというのも含めて、そういう意味でプラットフォームという言葉を使ってございます。
 こちらは、黄色いところに書いてございますけれども、適応計画の基本戦略の中では、気候リスク情報をしっかり集めて伝えていくという話と、やはり、先ほどの学長にありましたように、特に、影響は地域の問題でございますので、地域における適応の取組をしっかり支援をしていくということのための情報基盤ということが言えるかと思います。
 その下の八枚目でございますけれども、国立環境研におきましては、一九九〇年に、当初、公害研から環境研ということで、より広くの環境を扱う研究を進めてまいりましたが、そのときから地球環境問題に取り組んでおります。
 地球環境問題は大変広い範囲を対象といたします。地球の観測、現象解明、影響、適応の研究、さらにそれを社会に実装するための対策研究ということで、そういう意味で、環境研は、温暖化対策あるいは科学的な知見を一気通貫でやってきた研究所ということが言えるかと思います。
 その中で、特に影響、適応研究については力を入れてやってきたということで、いろいろ書いてございますけれども、現段階でも、こういった研究の体制ができて、研究も進めているということで御理解いただければと思います。
 次のページに参ります。
 九ページ、これも一つ強調したい点でございますけれども、単に国立環境研究所だけがいろいろ研究をしてその成果を集めただけでは適応の推進にはいかないということで、いろいろな研究機関あるいは省庁と連携して、これまでもネットワークをつくって研究を進めると同時にその研究情報を使った活動をしてまいりました。
 さらに、先ほど年表を見ていただきましたけれども、中央環境審議会の地球環境委員会の中の影響等小委員会ということで、影響に関する最新的な科学的な知見を取りまとめる委員会がございまして、こちらは、一九八八年からIPCC、気候変動に関する政府間パネルという世界的に有名な温暖化の機関がございますけれども、そちらがことしで三十周年を迎えるということでありますけれども、日本においてもほぼ同時期からこういった温暖化の影響とか適応の研究をやってまいります。
 そういった意味で、かなりしっかりしたネットワークができておりますし、いろいろな研究機関、いろいろな研究者の協力も得られるという状況になってございます。
 十ページ、下の方ですけれども、現在までどんな情報を整備したかということで、まだ二年弱でございますけれども、もう既にある情報につきましてはこのプラットフォームの中に入れ込んで、既に皆様方に見ていただくことになっております。先ほど、適応計画の中でうたわれております政府の取組ですとか地域の取組、さらに事業者あるいは個人の適応に対する取組といったような情報も集めて、このプラットフォームから発信をしているということでございます。
 次に、十一ページに参ります。
 地域の影響、適応情報はどんな状況かということで、地図が出てまいりますと、対象とする県を選ぶと、その県に関するいろいろな情報が地図という形で出てくるという、見える化の工夫した設計になってございます。
 その下、十二枚目ですけれども、こちらは影響予測の結果ということで、こちらについては、熱中症等々の影響がいろいろな条件のときにどういう予測になっているかということで、これについては、これまで得られた研究の成果を関係者から収集いたしまして、それをプラットフォームの中に蓄積して見せているということであります。
 こういったいろいろな使い方ができるという例でございます。
 次の十三ページ。では、どれぐらい利用されているかということで、いろいろな指標がございますけれども、こちらは、開設以来の閲覧者数というデータを持ってまいりました。毎月百四十名ぐらいふえているという状況であります。
 特に、影響ですとか適応が話題になると少し閲覧者数がふえるということで、今後この閲覧者数は、一つの指標でございますけれども、このプラットフォームがいかに活用されているかということで、こういったものをとりながら運営しているということでございます。
 以上、影響研究の話、あるいは適応計画における情報プラットフォームの話をさせていただきましたけれども、今後どう取り組んでいくかということでまとめたのが次の十四枚目と十五枚目になります。
 環境研としても、気候変動適応法案にいろいろ記載された業務をしっかり推進していくということで、中期計画を変更したりとかをしながら、さらにまた、影響、適応情報の作成ですとか高度化といったものを推進してまいりたいと考えてございます。
 その中で、1ということで、法案の中にも、影響、適応情報や知識の収集、整理、分析、提供ということであります。
 こちらにつきましては、先ほどもお話ししましたように、環境研だけでできる話ではございませんので、関係各省庁、あるいは省庁傘下の研究機関、大学ですとか自治体、さらに自治体の研究機関、そういったところとしっかり連携をして、この役割を果たしていきたいと考えております。
 二番目が、地方自治体とか企業等の推進に技術的な助言をしていくということで、まだまだ適応に関する認知度が低いということもあったりするんですが、一部の自治体等は先進的な取組をしていたり、企業においても先進的な取組をしている例はございますので、そういったところの情報を得て、グッドプラクティスというような形でそういった経験等を取りまとめて、蓄積して、発信していきたいと考えております。
 三番目が、地域の適応センターと広域協議会といったことで、現在、環境省の方では既に準備を始めておりまして、地域適応コンソーシアムといったような形で事業を推進していらっしゃいますので、そういった情報も活用させていただきたいと考えてございます。
 最後のページ、十五枚目ですけれども、影響評価、科学的な知見はかなりいろいろ集まってきているわけなんですけれども、やはりまだ不十分な分野があったりしますので、研究は引き続き進めていく必要があるだろうということと、やはり定期的に見直しをしていく、IPCCは五年から七年で報告書を出しておりますけれども、先ほど御紹介した影響等小委員会でも、五年をめどにして影響評価をやって報告書としておりますので、IPCCと同様な仕組みが今できておりますので、そういったものを活用して定期的に見直しをしていく必要があるだろうと考えてございます。
 あとは、影響、適応研究の推進ということで、研究費が欲しいということではありませんで、やはりこの研究を、不確実性を下げるべく、研究をいろいろな機関が協力してやっていく必要があると思います。
 六番目ですけれども、影響が出ているかどうか、あるいは、先ほど御紹介したように、温室効果ガスがどう変化しているかといったようなモニタリングが更に重要になってまいりましたので、影響の前段階として、こういったモニタリングも強力に進めていく所存であります。
 最後に、国際協力でありますけれども、日本でいろいろ得た科学的知見ですとか、適応計画づくりの知見ですとか、そういったものをやはりアジア途上国等に積極的に提供していくことが必要ということでございますので、国際協力といった面も含めて現在検討をしているということでございます。
 以上、私からの意見ということで御紹介いたしました。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 原澤英夫

speaker_id: 1380

日付: 2018-04-24

院: 衆議院

会議名: 環境委員会