村岡晃の発言 (厚生労働委員会)

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○村岡参考人 高知市の村岡でございます。よろしくお願いをいたします。
 自治体の立場から、改正法案に賛成の立場で意見を申し上げます。
 自治体の現場におきましては、制度を利用する方々は、家族、地域との関係など、人や社会とのつながりが薄く、社会的に孤立をしていること、就労、収入の問題に加え、御自身や御家族の健康上の問題、住まいなど、複合的課題を抱えていることがわかっております。
 改正案の重要な点として、生活困窮者自立支援法において、先ほど菊池参考人からも御意見がございましたが、基本理念を定め、生活困窮者の尊厳の保持や包括的、早期的支援の必要性、関係機関の連携など、支援を通じた地域づくりという考え方が盛り込まれていることがあります。
 また、困窮者の定義では、経済的な困窮に限らず、その背景に就労、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情が追加をされ、より幅広く対象者を捉え、社会全体として支援をしていくことの重要性を明確にしたことが重要なポイントです。
 これによりまして関係機関や団体などが理念や定義を共有することで、行政はもとより幅広い分野の社会資源がかかわり、複合的な課題を包括的に受けとめる体制を構築することができ、課題の重症化を防ぎ、早期の自立支援につながるものと考えています。
 また、生活保護と困窮制度が一体となった取組を強化していく点では、保護制度において、経済的に自立し保護廃止となったとしても、生活改善や社会的自立の支援が必要な方は再び困窮状態になり、再申請を繰り返すケースも少なからずあります。こういった状況を踏まえれば、真に自立を助長する保護制度の目的を達成するためにも重要と考えています。
 この点でも、経済的な自立だけではなく、日常生活や社会的な自立を含めた包括的な支援を行っていく仕組みとして意義があり、早期の法案成立を望むものです。
 次に、改正の具体的な効果について、まず一点目として、生活困窮者自立支援制度、任意事業の一体的実施により、自治体の事業参加率の向上が期待をできることです。
 法が施行して三年がたちましたが、対象自治体の就労準備や家計相談の実施率は五〇%弱で、こうした状況を改善をする必要があります。特に、生活困窮者の課題は家計と就労に関するものが多く、今回、自立相談支援と家計改善と就労準備支援事業を一体的に実施をすれば、補助率が上がることなどインセンティブが与えられ、実施自治体の増加につながるものと考えています。
 また、今回の改正では、都道府県の役割を明確にすることも重要なポイントです。
 福祉事務所設置自治体だけではなく、都道府県が事業を実施をしたり、管内市町村に対する支援を主体的に行うことにもつながることから、地域における事業実施のばらつきも改善をされるものと期待をしています。全国どの地域でも支援を受けられるよう、多くの自治体が事業を実施する必要がありますので、法改正の意義は大きいものと考えています。
 また、自治体によっては、受皿となる社会資源が少なかったり、人材の確保が難しいという課題もあります。
 人材の育成、社会資源の開発や管内での事業実施を広域化をするために、都道府県がこの事業に主体的に関与していくこと、また、国がその財政的支援をしていくという仕組みが重要ですので、積極的に進めていただきたいと思います。
 二点目は、子供の学習支援事業の強化と居住支援において、支援の質を高め、生活支援や日常生活における支援の充実を図っていこうとすることについてです。
 学歴が就労先や雇用形態に大きく影響し、所得格差が生まれることが明らかになっており、いわゆる貧困の連鎖を断ち切ることは日本における喫緊の課題となっています。
 本市では、こうした子供たちへの学習支援として、平成二十三年より教育委員会と福祉事務所が連携をし、高知チャレンジ塾を開始をいたしました。運営は教員OBが母体となったNPO法人に委託をし、大学生や地域の方などボランティアの協力も得て、個々の状況に応じた寄り添い型支援を行っています。
 困窮世帯の子供の多くに、世帯の生活習慣に大きな課題があり、昼夜逆転の生活をしている、食事も十分とれていない状況があることや、知的障害や発達障害などにより、学習以前の問題で学校に行けない、なじめない、友人や教職員とのコミュニケーションも十分にとれないなどの傾向も見られています。
 そうした子供たちに対し、ケースワーカーを始め、就学促進員や学校関係者、児童相談所の職員など、関係者がチームを組んで支援を行っていますが、チャレンジ塾は、学校や家庭、地域でも孤立しがちな子供たちの居場所としての大きな役割も果たしています。
 改正案では、進学促進に加え、中退防止のためのきめ細やかなフォローの体制の必要性や、生活習慣、育成環境の改善として、学校や家庭以外の居場所づくりや、小学生など就学前後の児童を持つ親に対する養育支援の必要性も盛り込まれているところであり、よりきめ細やかな支援が期待をされるところです。
 また、居住支援の強化では、住居を確保したとしても、利用者自身が日常生活や社会的自立ができないままであることが起因をし、家賃の滞納を再発する方や失踪するケースなどもありますので、住居確保後も一定期間、訪問、見守りの支援を強化していく取組は評価をできるものです。
 三点目として、今回の改正案では、大学等への進学において、進学準備給付金制度が創設をされ、新生活の立ち上げ費用として一時金が給付されるとともに、住宅扶助の減額がなくなり、保護制度において初めて、子供の大学等への進学支援の仕組みが構築されることにあります。
 貧困の連鎖防止、学歴によってその子供の将来に所得格差を生じさせない施策として、一歩前進したものと評価をしています。ただ、まだまだ課題はありますので、生活保護に限らず、子供の学習支援については今後も充実をしていただきますようお願いをいたします。
 四点目は、生活習慣病の予防などの取組の強化、医療扶助の適正化についてです。
 生活困窮者の方の健康状態として、ぎりぎりの生活によって医療機関での受診や治療ができず、生活保護になった時点で多数の健康上の問題を抱えている方がおり、適正な受診、治療を行うことが自立に向かうための重要な要素となっています。
 健康管理支援事業では、医学的な見地でデータを分析し、重症化を防ぐことや、病気の予防をするための必要な助言ができるという点で効果が大きく、予防的福祉の推進に資するものと考えています。
 一方で、病気が一旦治癒したとしても、保護受給者には、生活習慣の改善、特に健康な食生活を送ることについて十分留意できない方もおり、病気を再発するケースも見受けられるところです。
 生活改善の指導助言には、医療や栄養に関する専門知識、生活に密着をした伴走型支援が必要となることから、ケースワーカーが不足する中で、効率的かつ効果的な支援の方法や体制の構築については、今後更に検討していただきたいと考えています。
 また、ジェネリックの使用促進では、全国的にもその伸びは鈍化傾向です。医療扶助費が増加する中で、ジェネリックの使用原則化は、さらなる取組を進めていくために有効な選択肢と考えます。ただ、実施に当たっては、医師等がその使用を可能と認めていることや、薬局の在庫不足など、すぐに必要な薬剤の取り寄せができないなどの問題がないことなど、必要な条件を満たすことに配慮すべきと考えています。
 最後に、いわゆる法六十三条の資力がある場合の返還金について、保護費との調整が可能になることがあります。現状においては、振り込みの手間や納入を忘れたりすることで返還金回収の漏れが生じるなど、生活保護受給者と福祉事務所の双方に負担が生じています。
 今回、生活に支障が生じないよう配慮した上で、本人の同意が必要ですが保護費との調整ができるようになり、手間の解消と保護費の債権管理が適正になされることは、生活保護制度への信頼性を高める点でも有用と考えます。
 以上、今回の法改正には、生活困窮や社会的孤立に陥っている、陥る可能性のある方々に対し、早期に包括的、伴走型支援を行うことで、社会とのかかわりを持ち自立を助長する、今後の地域共生社会の実現にも資する重要なものとして、速やかな成立を求めるという意見を述べさせていただきまして、参考人の意見陳述といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 村岡晃

speaker_id: 22120

日付: 2018-04-24

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会