本田宏の発言 (厚生労働委員会)

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○本田参考人 本日は、大変貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。十分という時間ですので、皆さんのお手元の資料の順番に御説明をさせていただきます。
 まず、私は十六年前からずっと日本は医師不足であるということを訴えてまいりましたけれども、きょうのこの一ページ目、医師不足、正確な診断が本当にできているのかということをちょっとお話ししたいと思います。
 実は、私が医学生の四十年以上前から、将来医師は余るとずっと言われていました。四十年間、医師が余ると言って、今でも医師不足の問題が続いているということは、正しく診断されていなかったのではないかな。例えば、外科で急性腹症、おなかが痛いという患者さんがいらしたときに、緊急に手術をしないと助からない方をそのまま四十年間点滴をしていたらどうなるでしょうかと私には見えるわけですね。ということで、それをこれから説明していきたいと思います。
 主なポイントは、まず、一ページ目にも書いておきました。医師をきちんと実働数で把握してください。頭数はだめです。高齢の医師まで一人はだめ。
 あと、二番目。医師不足、地域の偏在と専門家偏在、それから高齢者の増加率をちゃんと考慮してください。救急医が全くいなければ、一般医が救急医のかわりもしているわけですね。それではその場で働きたくなくなるのは当たり前です。
 三番目。実効性ある具体策をとってください。フィジシャンアシスタントです。欧米では既に導入されております。これを日本でこそ導入すべきだということを御説明したいと思います。
 あと、四番目。やはり医療機関が赤字で潰れるようでは話になりません。埼玉県の私の近くの病院も赤字で売却になりましたし、先生方御存じだと思いますけれども、今、都立病院も赤字で独法化が迫られています。赤字の病院が悪いのか、診療報酬の点数が安いのが悪いのか、ちゃんと考えてもらいたい。それがきょうの私のポイントでございます。
 では、次に二ページ目に移ります。
 これは簡単に触れますけれども、二〇〇五年から既にOECDも、日本が医師不足になるんじゃないかということをOECDが心配してくれているんですね。
 この下の下線をごらんください。これもまだ日本では知らない方が多いんですけれども、世界の国では必ずしも医学部の定員を決めているわけではないんです。日本は医学部定員を決めているんですから、不足なく育成する義務があるんじゃないでしょうか。どうでしょう。これが私のまず言いたいところでございます。
 次のページをごらんください。
 これは全国の人口当たり医師数でございます。日本では、多くの場合、人口当たり医師数を見て偏在が問題だと言われますけれども、ごらんいただくように、日本の平均は、この黒い線ですね、今、日本は三十二万人近くいます。これをOECDの単純平均と比較しますと、日本は十万人足りません。しかも、日本で一番多い徳島、京都、高知も、OECDの平均にも追いついていないんです。これを偏在だと言うのはちょっとおかしいんじゃないか。これをまず考えていかなくちゃいけない。
 この三十二万人で十万人足りないということは、今現在、日本の医師は、本来、OECD平均並みにいるとすれば、四十二万人いなくちゃいけません。ただし、先生方御存じのように、日本は世界一の高齢化社会ですから、本当は平均より多くいなくちゃいけないんですよ。この四十二万人ということをよく御記憶いただきたいと思います。
 次のページをごらんください。
 ところが、いろいろな調査機関が試算すると、三十八万人いるともう余るということになってしまうんですね。これはどうなっているんでしょうか。日本の医師だけがどうして少なくて済むのか。時間の関係で細かいことは割愛しますけれども、これが今の日本の試算で、四十年前からこういう試算がなされてきたのではないかなと心配でならないわけでございます。
 その次のページをごらんください。
 それで、実は私は、日本の場合、先ほども申し上げたように、高齢の医師まで一人としてカウントされているんじゃないかということを懸念しましたけれども、かつて、二〇〇六年の医師の需給検討会でも、日本だけが八十歳以上の医師の週間労働時間のデータを出しておりました。
 今回のこのページをごらんいただければわかりますけれども、二〇四〇年、八十歳、九十歳はもう当たり前で、百歳、つまり亡くなるまで医師として働く意思がある人は頭数に入っていて、しかも、その右上をごらんください、九十歳以上の人が週に三十時間働くことになっているんですよ。これだったら、救急外来に来て、九十歳の人が目の前に来たら、どっちが患者さんなんだかどうかわからなくなってしまわないでしょうか。これもぜひ先生方に考えていただきたいと思います。
 その次のページをごらんください。
 これが、今申し上げた、二〇〇六年の医師の需給検討会に出たデータで、右側のグラフをごらんいただければ、ほかのイギリス、フランス、ドイツが六十歳以上の医師のデータしかないのに、日本だけ八十歳以上の医師が出て、しかも三十時間いる。ほかの国では、医師になると、やはり七十、八十になると引退できるんじゃないかなと想像いたします。日本の大手企業もみんな引退しているのに、何で医師だけ九十歳以上まで働かなくちゃいけないんでしょうか。これが問題だと思います。
 続いて、ごらんください。
 今、いろいろな方々が医師の労働時間をおっしゃっていますけれども、幸いというか残念というか、今の若いドクターは、当然ですけれども、ワーク・ライフ・バランスを考えながら将来の科目を選択しようとしています。私も六十歳以上に入りますけれども、私なんかは、外科が忙しいからなんて全く考えないで、すぐ移植外科医を目指してしまいました。
 今、医師の需給を考えて時間を考えている人たちは、結構高齢の方が多いんですね。自分が働かないのに、若手の医師にだけ自分と同じように働かせるというルールを決めて、皆さん、どうなるかは、それはもう説明が必要ないと思います。
 次のグラフをごらんください。
 この二十年間の各科の医師のふえぐあいです。これがまさにワーク・ライフ・バランスを考えている結果と言えませんか。
 この二十年間、いろいろな診療科がふえているのに、外科も産婦人科もふえていません。これで長時間労働したらどうなるでしょう。若い人は外科とか産婦人科に行くんでしょうか。これはちょっと考えればわかることですね。
 逆に、ほかの科がふえているのに、ほかの科が余ったという話は聞かないでしょう。これは医師が絶対数不足だからなんですよ。
 それは、勤務条件がいいか教育条件がいいところに行くのは当たり前です。私も、今医者になればそこから考えますので、それをぜひ検討に入れていただきたいと思います。
 次のページをごらんください。
 これは、先ほど申し上げた地域別の高齢者増加率ですね。この丸で囲んだところは、千葉、埼玉、神奈川などがありますけれども、これは今既に、現在、全国で一番医師不足の地域です。ここで高齢者の増加率が二〇〇%近くになるわけですね。すると、爆発的な医療需要が増大します。これで医師を二、三年後から減らすという話が出ていると聞いて、私は本当にびっくりしているんですけれども、こういう状況で大丈夫なんでしょうかということでございます。
 その次のページをごらんください。
 これが、私が先ほど強調した実働数でございます。年をとっても、医師として働いているという意思表示さえすれば一人としてカウントするのではなくて、もしその人が一週間に臨床医として、これがポイントです、臨床医として十時間しか働いていなければ、四人足して一人でしょう、週に四十時間だから。そういうカウントをして考えないと、いつまでたっても正しい診断ができません。診療の現場では、毎日でも、必要だったら血液検査するわけですから、実働数でカウントするぐらい、やる気があればすぐにでもできます。これをやっていただきたい。
 その次のページ。幸い、厚労省の検討会などでも、タスクシフティングと言われまして、フィジシャンアシスタントの導入などがうたわれております。
 フィジシャンアシスタント、次のページをごらんください。これは私の東京女子医大の後輩の河合先生という方からもらったんですけれども、アメリカでは、フィジシャンアシスタント、ナースプラクティショナーなど、医師を補助する職種があります。
 その次のページをごらんください。
 これはちょっと時間の関係で簡単に申しますけれども、人口当たり医師数が多いアメリカでさえ、そのフィジシャンアシスタント、ナースプラクティショナーがもう三十万人以上活動しているんですね。こういう人たちは医師不足の地域から入ったと聞いております。すぐにでも医師不足の地域にこういう人を補充して、その地域の医師の働き方を改善しなければ、その医師はそこに定着するんでしょうか。
 その次のページをごらんください。
 これはフィジシャンアシスタントがやっていることで、ちょっと時間の関係で詳細は避けますけれども、こういうことをやってくれる人がいれば、医師の労働環境はかなり激減するというか、すごくよくなると思います。
 その次のページをごらんください。
 これは世界の医師数ですけれども、日本は残念ながらG7で人口当たり医師数は今でも最低でございます。それで、一番左側にドイツ、G7で人口当たり医師数が一番多いドイツでも、フィジシャンアシスタントを何と十年前から導入しているんですよ。日本で導入しないという手はないでしょう。今すぐにでもやっていただきたい。これは私、十数年来活動してきたお願いでございます。
 その次、先ほど申しました、都立病院が独法化されたり、病院が赤字で、なくなる。今も西日本で、府中北市民病院、私は昔行ったことがありますけれども、もう急性期病院がなくなる。やはりその原因も医師不足などなんですね。一方、日本の薬価、あと薬剤の医療費、院外処方、あとは損税の問題。病院が経営が赤字だったら、皆さん、医師の待遇をよくするために医療秘書を雇うことだってできないんですよ。病院の経営を担保してあげなければ、医師の働き方改革なんか絵に描いた餅でございます。
 最後のページでございます。
 一番上、これは中国の言葉にあるようですけれども、小医は病を医し、中医は人を医し、大医は国を医す。先生方は大医のお仕事をされているわけですね。やはり我々、医療現場で必死に医師が過労死まで覚悟して働いていても、大医の先生方が日本をよくしてくれなければ何にもよくなりません。正確な診断をもとに実効性ある対策をしていただきたい。
 下の四つの項目は、先ほど申し上げました。
 一番最後、実は私、生活保護の関係の裁判なんかも応援しているんですけれども、日本はクールジャパンといいますけれども、コールドジャパンなんじゃないか、冷たい日本じゃないかと。本当の意味でクールジャパンと言えるように、先生方の活躍を期待したいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 本田宏

speaker_id: 4896

日付: 2018-07-13

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会