山内弘隆の発言 (財務金融委員会)
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○山内参考人 一橋大学の山内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような機会をいただきまして観光の税制に関する陳述を行わせていただくことができまして、これについて深く感謝を申し上げる次第であります。
私は、昨年秋に観光庁に設けられました次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会、この座長を拝命いたしました。そこで本制度の制度設計にかかわったということでございますので、その立場から、きょうは御意見を申し上げたいというふうに思います。
まず、観光に関する基本認識でございますけれども、御承知のとおり、我が国の経済に対して観光がもたらす影響は非常に大きい。
観光関連産業というのは、宿泊、飲食、輸送等のサービスということでございますけれども、それだけではなくて、小売、製造、農林水産業などを含めた多様な業態に複合的に波及効果を及ぼすということでございまして、非常に裾野の広い産業だというふうに思っております。これは、国内の産出額の面でもそうですし、生産の波及効果の面でもそうだというふうに思っております。他のサービス業と比較しても、この観光業の我が国に与える影響というのは非常に大きいというふうに考えております。その点で、今後とも、日本の経済にとって、観光を主軸としていく、この必要性を感じる次第であります。
御承知のように、昨年の観光の日本の訪日旅客の消費額、訪日旅行消費額というふうにいいますけれども、四・四兆円というふうに発表されております。重要なことは、その前の年は三・七兆円であったわけでありまして、一年の間に一八%ぐらいふえているということであります。
この四・四兆円という額自体が、ほかの産業、例えば自動車産業とか化学製品とかそういった輸出額の大きい産業と比べても、非常に、匹敵するような額になるということと同時に、ほんの一年の間で二〇%近くふえたという、この事実が非常に重要であるというふうに思います。要するに、観光産業というのは、非常に大きく変動している、成長している、こういう産業であるということであります。
特に、日本の国の現状というのは、少子高齢化とか人口減少と言われておりますけれども、経済がなかなか伸びない中で、この観光産業の重要性は非常に大きい。そこにもありますように、日本全体の成長のエンジンだというふうに考えておりますし、さらに、重要なことは、これは地域の経済に非常に大きな影響を及ぼすということであります。
私は、よくこれを、いながら輸出というふうに表現しておりますけれども、外に製品を持っていかなくてもわざわざ製品を買いに来てくれる、こういうことでありまして、そこにいながら輸出ができるということであります。
特に、地域の場合には、インバウンドの外国人の方も、それから訪日旅客だけではなくて日本人のお客さんも同じように支出してくれるわけでありまして、地域の産業構造を変えていくという面で、とても重要な役割を及ぼすというふうに思っております。
次に、観光財源の必要性ということであります。
今申し上げたように、観光は非常に伸びている。訪日外国人旅客が昨年度は二千八百六十九万人ということで、対前年比一九%、先ほど申しましたように消費額が一八%増、こういうことでありまして、これで政府の方も、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人の目標を立てられているということで、恐らくは二〇二〇年の四千万人は何とかなるんではないかというふうに思っておりますし、それに向けた対策が重要だということから、この観光財源の必要性というのが出てきているわけであります。
二〇二〇年といってもすぐでございまして、再来年。この間、平昌が終わりましたので、二年後の日本の東京のオリンピック・パラリンピックはすぐということでありますし、来年はラグビーのワールドカップが行われるということで、本当に極めて短い間に急に成長していく、こういうことでありますので、これに対する受入れ体制の充実というために、今回、この国際観光旅客税によって早急に財源を確保することが必要である、こういうふうに考える次第であります。
我々の検討会でありますけれども、昨年の秋に立ち上がりました。これは、今申し上げたように、例えば観光ビジョン等で、観光の財源が必要である、こういうことを受けて、どういう形でこの観光財源が望ましいのかということを具体的に議論する場として設けられたというふうに理解しております。この我々の議論が、今ここで議論されている国際観光旅客税法案という形でまとまっているというふうに理解をしている次第であります。
我々の検討会はどういう議論をしたかということでありますけれども、まずは、もちろん、必要性についての議論というのはあったわけであります。これは、我々の議論の前から、先ほどの観光ビジョンもそうですし、それから、政府のいろいろなところで観光の財源の必要性が言われておりましたので、それを再度確認をしたということが一つございます。
それから、これをどういうふうなことに生かしていくかということで、使途とかあるいは使い方の目的あるいは範囲というものもいろいろ議論をしたところであります。
これは、最終的には何か特定の財源という形をとらないことが望ましいということになったわけでありますけれども、それにしても、新しく国民の皆様、外国人の皆さんに御負担をお願いするということであるから、どういう形でそれを使っていくのか、これが非常に重要な問題ということだと思います。要するに、受益と負担の関係、こういったことを考えたということであります。
それから三つ目は、そのやり方としてどういうものがいいのかということであります。
最終的にこの税法案という形で、税という形でまとまったわけでありますけれども、そのほかにも手数料、負担金といういろいろなやり方があるわけでありまして、それぞれについて、これは最初に予見といいますか予断といいますか、そういうものをなしにして、どういうものが望ましいのかということを議論させていただいたということであります。
今回の法案に一番関連するところは、これが税金として取るのが望ましいかどうかということかと思いますので、その点について一言申し上げたいというふうに思います。
確かに、いろいろなやり方があります。税金で取るやり方もありますし、それから負担金、手数料というのがあります。御承知のアメリカの場合には、手数料という形で、ESTA制度ということで、ビザをとるために御負担いただいて、それで収入を得る、こういうことをしている。一方で、そのほかにもいろいろやり方があって、税金とかがある。
我々の結論としては、やはり、先ほど申しましたように、どういう形で使っていくかとかどういう受益と負担を考えていくかというときに、やはり税が望ましいだろうということに至ったわけであります。
その結論に至った理由は基本的には二つでありまして、一つは、今申し上げたように、負担と受益の関係をある程度一致させるということによって御負担いただく方の理解を得る、こういう必要があるということが一つ。もう一つは、とはいうものの、ある特定の目的だけに限定してしまうということは、これは財政上非常に大きな足かせということになりますし、機動的な政策にはできないということでありますので、機動的にそれを使えるようにするには、毎年の予算の中で決めていくという形、こういう形をとるとすれば税方式が望ましいのではないか、こういうふうに考えた次第であります。
先ほどから言っていますように、二〇二〇年の四千万人、あるいはオリ・パラの開催が迫る中で、何を目的としてこれを使っていくのかという議論、これについて一言触れたいと思います。
基本的には、観光の資源の魅力を高めるということと、それを地方の創生の柱にしていくことというのが一番大きなポイントかというふうに思っています。オリンピック・パラリンピックまでは、何だかんだいう形で観光が伸びていくというふうに思いますけれども、それ以降どうするのか。そのためには、真に観光の魅力を高めるということと、それを地域に行き渡らせる、こういう必要があるということが一つであります。
それからもう一つは、今回の税金は日本の国民の方々も御負担していただくことでございますので、やはりそういう方にも受益を考えると、全体として全ての旅行者がストレスがなく快適に観光あるいは移動というものを実現できる環境をつくる、こういうことが必要かというふうに思っております。
そういう形で、観光施策の実行が急務ということで、財源の具体化を提言したところであります。
そこで、これについて、議論の過程では、一番大きな実務的な御負担になるのは航空会社になると思うんですけれども、航空会社の皆様とか、あるいは地方自治体の方々、あるいは旅行業界の方々、いろいろ御意見を伺いましたけれども、今申し上げたような形で、受益と負担のあり方とか、あるいは訪日旅行を始めとする旅行需要への影響とかいう点についても考えましたけれども、御提案申し上げているような形が最も望ましいのではないかという結論に至ったわけであります。
それで、今回のこの税金でありますけれども、海外でも広く一般的に行われているというふうに我々は認識をしております。
資料にありますように、韓国や豪州ではこういった税金を使いながら観光財源に充てている。明確な形をとっているわけです。韓国の場合には千円弱ということになりますし、オーストラリアの場合には五千円以上ということで、非常に大きな負担になっているということであります。また、台湾とか中国とか香港のようなアジアの国においてもこういった形の税がございまして、これは全部ではないですけれども一部を観光財源として充てているというふうに聞いております。そういった意味では、世界的な目から見ても、今回の税金は極めて妥当なものであるというふうに考える次第であります。
最後に、早期の財源確保、制度設計の必要性ということであります。
我々の会議は去年の秋に始まりまして、比較的短期間のうちに回数を重ねて結論、提言に至った、こういうことでございます。これについては、非常に時間的に早過ぎるのではないかという御議論があったようにも伺っておりますけれども、私の思うところ、先ほどから何度も申し上げていますように、来年のラグビーのワールドカップ、それから二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、こういった喫緊に迫った大イベントに対して、まさに出入国をスムーズにする、こういった施策を集中的に打つということであれば、この財源は安定的に早期の確保が必要である、こういうふうに考える次第であります。
それから、実務的に見ても、こういった税金を課すということで、今回の場合には、オンチケットの、チケットに含まれる形で税金を徴収するという形でありますので、この場合には、当然、主に航空会社が、船会社もそうですけれども、そういったチケットに入れるようなシステムの改修というのが必要になるということだと思います。
余計なことですが、韓国では、今はオンチケットになっていますけれども、昔は、別途、ウォンで出国税を集めていました。御経験あられる方もいらっしゃると思いますけれども、韓国を出るときに、最後にウォンをその分用意しておかなきゃいけない、そんなことがあったわけです。
そういう意味では、利便性の面からもオンチケットが望ましいと思いますけれども、もしそうだとすると、そのためのシステムの改修というのがまず必要になると思います。特に航空の場合には、国際的なインターラインとかあるいは共同運航、こういうことがあるわけで、そういった面でのシステム改修の影響といいますか作業といいますか、こういったものが非常に大きいということであります。
それから、航空の場合には、IATA、国際航空運送協会を中心に、直接、間接に乗り入れていることになっておりまして、このIATAの方で決済システムの登録をして、そのシステムを改修していただかなきゃいけない。こういうのにも時間がかかるということであります。
さらには、非課税範囲とかあるいはシステム改修とか、こういったことでいろいろな複雑なことがあることを考えると、非常に時間がかかる。そのためには、導入を急ぐべきだというふうに考えております。
さらに、もう一言申し上げたいのは、やはりこれは、利用者の方々の理解というのが第一でございます。
報道の世論調査によると、比較的御賛同いただくような方も多いというふうに聞いておりますけれども、そうであっても、周知徹底、情報の公開というのが必要でございまして、そのためにも、早期にこういった形を法律的にも確かなものにして、皆様に広報する必要があるのではないかというふうに思っております。その意味で、早期の財源確保、創設の必要性を訴えるところであります。
以上、雑駁でございますけれども、今回この制度設計にかかわった立場から、今回の税制について意見を申し上げた次第であります。
どうもありがとうございました。(拍手)